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火災保険を使った家修繕のトラブルとは? [社会]

最近、消費者センターで相談が多くなっているのが、

「火災保険を使って家を0円で修繕しましょう」

「僅かな屋根や樋の破損で、平均〇〇万円ももらえます」

などをうたった、業者とのトラブルだそうです。

Facebookでも、そういう広告良く出てきますね。

あれ、怪しいんじゃない? と思う人もいれば、

0円なら損をしないのだからいいのだろう、

と思う人もおられるかもしれません。

保険金詐欺は論外として、保険金請求自体は、実際に現場を見た上で保険金を請求し、保険会社が認めて支払うわけですから、一概に詐欺だ、嘘だとは言いきれません。

ですから、絶対に利用するな、という詐欺商法とまではいえないと思います。

ただし、その契約を巡って、トラブルが多いことは確かなのです。



「前払い」がトラブルのもと


「火災保険金を使おう業者」には、大きく2通りあります。

1.火災保険金請求の代行をする業者
2.火災保険請求の見積もり発行とともに、実際の修繕まで行う業者

「1」は、保険金の35~40%の高額な手数料を取る上に、自社の関連業者にあっせんします。

ですから、結果的に「2」と同じですね。

「2」は、支払われた保険金を全額前払いさせて修繕をしますが、契約が曖昧で要求通りの仕事をしてくれないことが少なくないそうです。そして、キャンセルしたり、他の業者に頼んだりすると、20~40%の違約金を取るそうです。

「1」「2」のどちらにしても、多額の報酬と、キャンセルの際のペナルティを取られることでは同じです。

たとえば、「1」で、100万円の修理が必要で100万円の保険金を請求しているのに、35%も取られてしまったら、65万円しか残りません。

「2」では、本来、修繕がちゃんと行われなければ、カネを払わなければいいだけの話なのですが、こういう業者は、保険金を全額前払いさせるので、トラブルになるのです。

かといって、修繕が始まる前にキャンセル⇒他の業者へ依頼したら、40万円取られて60万円しか残らないことになります。

60~65万円では、良心的な業者でも100万円と算定された修理はむずかしいでしょう。

そういうことで、頼んでもキャンセルしても、本来の修理の額を考えると見合わないので、トラブルになるわけです。

それでも、依頼者が絶えないのはどうしてか。

保険金がもとになっているので、依頼者の財布からはお金が出ていないことは確かですから、どっちにしても自分に損はないだろう、という気楽さがあるのだと思います。

ただし、繰り返しますが、本来100万円の修繕が必要とされたところを、60~65万円の修繕しかできないわけですから、資産価値として損をしている、ということは認識しておくべきだと思います。

もし、今後火災など請求に該当する事故があって、査定人が見に来た時に、請求通りの修繕をしていなければ、今度は保険会社との間にトラブル(次の保険金支払いが減額されるとか)が発生する可能性があります。



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どうすれば契約をキャンセルできるか


いったん契約してしまうと、公序良俗に反するものでない限り、当事者の一方に不利な契約であっても、それを無効にすることは容易ではありません。

「1」の業者だったら、話し合って安くしてもらえないかお願いし、ダメだと言われたら、「請求内容を保険会社に相談して、保険会社に調べてもらう」と言うと、曖昧で多めの請求をしていることがあるので、案外話し合いに応じてくれるかもしれません。

「2」の業者だったら、保険金を払い込む前に、きちんと自分の要求に応える修繕なのかどうか、徹底的に話を詰めることです。

たとえば、もともとは外壁を直したいという要求で頼んでも、そういう業者は、「屋根修繕で保険金を請求し、余った保険金で直します」なんて言って保険金請求をさせることがあります。

そういう場合、外壁を具体的にどう直すのか、納得行くまで確認して、納得できなければ、「話が違う」こを理由に断ることです。

「保険会社に再調査を依頼する」という通告を、内容証明などで出すやり方もあるそうです。

本当は依頼しなくても、そこは方便で。

そうすると業者は、昨今「保険金業者」が社会問題になっているので、深追いはしないことが多いそうです。

「でもそうやって断って、他の業者に頼んだら、後から契約内容にある20%~40%のペナルティ請求はないの?」

という心配もありますが、断った時点で契約は解除ですから、その後、どの業者に依頼するかは依頼者の自由であり、そんなペナルティは法的に無効である、という回答を、弁護士ドットコムで確認しました。

家を保険金で直したい時は、担当の代理店や保険会社に直接相談して、査定してもらう正攻法がいちばん、ということなんでしょうね。

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うりくま

占いの記事の後にいっぷく様のブログが途絶えてしまったので、何か事件に巻き込まれておられないかと心配しておりましたが、復帰されていた事が判ってホッとしました。火災保険の使い方は参考になりそうなので、早速読んでみようと思います。
by うりくま (2021-03-13 00:06) 

ナベちはる

ご無沙汰しております。
ブログに復帰されて、安心しました。

火災保険に関するトラブル、怖いですね…
by ナベちはる (2021-03-13 01:18) 

pn

まあやっぱあれですね、タダより高い物はないと(^_^;)
by pn (2021-03-13 06:19) 

トレンダー櫻井

お久しぶりです!
by トレンダー櫻井 (2021-03-13 07:22) 

ピンキィモモ

こんにちは。
ご無沙汰してます。
お元気でしたか
by ピンキィモモ (2021-03-13 12:31) 

八犬伝

この手の電話
2度ほど、かかってきました。
財団法人なんとかかんとか
と名乗っていましたね。

そして
あなたは、我が家の保険を知っていて電話をかけてきているのですか?
知らないでかけてきているなら
なんで、そんな事が分かるんだ
と、反撃してやりました。

上手い話に乗らない
これが一番ですね。
by 八犬伝 (2021-03-13 15:57) 

mistta

ネットの情報は玉石混交。
そんな中で弁護士ドットコムは頼りになりますね。
by mistta (2021-03-13 20:39) 

なかちゃん

ボクのお客さんにもそういう勧誘が何件かありました。
お客さんから確認の電話が入ったことで分かったのですが、ボクは敢えて詐欺という言葉をチョイスしました。
元々保険は偶然で突発的な事故に対して支払われるものであつて、家の経年劣化は最初から対象外であって、対象外を承知で請求するのは詐欺で会って、それを唆す業者は悪徳業者だということをお話させていただきました。
そしてボクがお付き合いのあるまともなリフォーム業者さんを紹介したところ、その出ていた見積もりさえも出鱈目だということを説明してくださいました(^^)


by なかちゃん (2021-03-15 08:07) 

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