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安倍晋三さんは典型的日本人か、幸せな「ほしのもと」なのか [政治]

安倍晋三さんは典型的日本人か、幸せな「ほしのもと」なのか

本日は、これまで2度ご紹介したことがある、『一月万冊』の動画で面白い回があったのでご紹介します。タイトルは、「安倍晋三さん、総理嫌なら辞めたら?」。といっても、左派的な人の「アベ政治を許さない」というシュプレヒコールとはいささか意味が違う「第三の安倍論」を語っています。(画像は動画から)



一月万冊とは何だ


『一月万冊』というYoutube動画は、これまで、このブログでも2度ご紹介したチャンネルです。

著述家の清水有高さんが、安冨歩、烏賀陽弘道、本多正樹、今一生の各氏と、対談形式でトレンドな話題について論考する動画です。

コメンテーターが4人になったので、1日2本ぐらい配信しているようです。

安冨歩さんは、東京大学の教授ですが、“本来の自分”はトランスジェンダーであるとした、女性装の経済学者として御なじみです。

烏賀陽弘道さんは、安冨歩さんの大学時代の同級生だそうで、オリコン批評でスラップ訴訟を食らった方です。

本多正樹さんは、博報堂勤務時代に、あることで懲役に行ったことがある方です。

今一生さんは、大学を3ヶ月でやめて、フリーライターとして身を立てながら、「虐待される子」というテーマにライフワークとして到達された方です。

そしてホストの清水有高さんは、父親に捨てられ(両親が離婚)、元不登校児、億単位の借金を背負い、2018年からはうつ病になり、今もすぐに死にたいという気持ちになってしまうそうです。

なんか、プロフィールだけで凄そうなメンバーでしょう。

でもこれぐらい凄まじい生き方をしているだけあって、陰翳に富んだ人柄や、社会のマイノリティーにも目配りする物の考え方が人を引きつけ、人気急上昇のチャンネルです。現在チャンネル登録者5万人。

そして、なぜ、人気があるのかがわかる典型的な動画のひとつが、本日ご紹介する今一生さんの動画です。

嫌な仕事を嫌々する安倍総理の体調問題は日本人の苦悩の象徴?



いよいよ、進退窮まった感のある安倍晋三総理ですが、この7年間の安倍政治に対する評価というのは、政治に詳しいつもりになっている人たちほど、ともすればうわっつらの感情論でポジショントークに明け暮れていたように思います。

たとえば、安倍擁護者は、安倍内閣でこれまでどんな失政、スキャンダルがあっても、とにかく屁理屈も恥じずにかばいまくりました。

もうそうなると、政治ではなく宗教状態ですね。

一方、それに対する野党(支持者)などは、「アベ政治を許さない」などという怨念だけのスローガンで、これまた結局なにひとつ政治を変える突破口を作っていません。

噛み合わない議論。それでは何も前に進まないですよね。

何でもかんでも安倍さん素晴らしいとひざまずくのも、逆に許さないのも自由です。

でも、そこでポジショントークに熱中して、何か変わったのか、なにか問題提起できたのか、ということを「政治に詳しい」あなたに私は問いたい。

今回の動画は、そのどちらかに乗っかる立場ではなくて、安倍首相は、親に威圧された可愛そうな人である、という視点で分析し、働く日本人の象徴であるとの教訓を導きだしながら、辞任を勧めています。

清水有高「異論はあると思いますけども、安倍さんってまあ1回体調崩されてね、それで辞めてるわけですよね。それなのにもう一回やれってこう言われねもうやれちゃう。そして、コピペのような文章を渡されて読み続け、悪口を言われ続ける。嫌な仕事を続けられる。体調が悪くても担ぎ出されるし、もう1回体調悪くなったとしても、それでもやめられない。私はこれってね、典型的な日本人だと思いました。安倍さんはお金もあるかもしれません。地位も名誉もあるかもしれません。でも嫌な仕事をやめられない。ブラック企業のバイトがねいろんな事情で辞められないよーって言ってる人とほぼ同じであると私は思います」

今一生「安倍さんのこれまでの人生について書かれた本は3冊ぐらい出てますけどね。お母さんからね、『お前はじっちゃん(岸信介)の名にかけて憲法改正するのよ』ってちっちゃい頃から教わるわけですよ。あんた、他の人と違うの、他の人と違うのとやると、どんどんお友達がいなくなっちゃったわけですよ。偉いさんの孫は生きづらいわけ。何か周りがすぐに期待してるならしょうがないのかなと、1回総理やってみたけど、お腹壊したわけ。ところが、ゴッドマザーは許さないわけですよ。『あなたは憲法改正した総理として歴史に名を残さなければ、あなたの存在価値はないのよ』と。

彼はコロナ対策で万全の対策もたてられないし、責任も追求されるし、かといって周りの側近はアホばかりで、嫌になって記者会見もしたくなくなったのでしょう。詮索するように体調も悪く、吐血もしたんでしょう。だからそういうときは、無理しないで休んでいいんだよ、と。安倍さんは、やはり自分の能力以上のことを期待されちゃっているわけです。彼には無理なのよ、きっと自分もわかってるよ」

まとめると、

・安倍晋三はお坊ちゃんであり、総理の能力も意欲もないのに無理をさせすぎた
・それは、政治家一族で母親の力が強かったからであり、自分の進路を自由に決められない「ほしのもと」は決して幸せな人生ではない
・お友達内閣などというが、実際には友達ができにくい立場であり、麻生太郎さんなどむしろ数少ない同じ立場の人である
・それをわかっていて神輿に2度も乗せるから、最近の「首をかしげるふるまい」はそれに対する反抗や無気力にも見える
・前回は「お腹」でやめたので、今回はそれでもやめさせて貰えそうにないから「吐血」になった

というような話です。

動画では、安倍晋三さんはそもそも憲法改正自体、いわれたから言ってきただけで、何が何でも通す、という意欲はなかったのではないか、と見ています。

と、書くと、安倍信者は「そんなことはない」と否定するかもしれませんが、憲法改正というのは、並の法律のように強行採決で突破できるものではありませんから、根回しから何から、もうコロナ放ったらかしででも取り組まなければおぼつかないものであるはずですが、安倍総理にそこまで必死だった時期は、この7年間に1度もなかったと動画は見ています。

拉致被害者の問題も同様です。

では安倍総理が憲法改正に消極的なのかというと、そういうわけでもなくて、要するに確たる信念や明確な政治生命をかけるほどの情熱もなかった、それはしょせん政治家という立場自体が敷かれたレールを歩まされているからだ、と動画では見ています。

動画では、安倍首相の「辛い立場」を「忖度」した辞任の勧告でしたが、私はそれを、毒親の問題としてとらえました。

自分の進路を自由に決められない「ほしのもと」は決して幸せな人生ではない、という指摘は、まさに親が自分の理想をもって、子どもを威圧的にコントロールする毒親の世界そのものだからです。

私が思うに、安倍晋三さんが、旧帝大でも学習院でもなければ、政治家の閥とも縁遠い学校のエスカレーター進学である時点で、おそらく政治家としての適性や力量を父親の安倍晋太郎さんはわかっていたと思うのです。

が、総理を目前にしたその安倍晋太郎さんの急逝や、養子で子供のやり取りをしてまで閨閥を形成する一族に生まれたことで、安倍晋三さんにはもう自分だけの判断で人生を決める可能性は残っていなかったのではないかということは容易に想像できます。



総理大臣は公人中の公人


「安倍晋三さんが、幸せな『ほしのもと』かどうかは本人の感じ方の問題で、周りがさしでがましく評価することではないだろう」

と、擁護される方もおられるでしょうね。

もちろん、そのとおりです。

もとより、世の中には、客観的には毒親であっても、子自身がそう認識せず、「僕は幸せだ、僕の親は毒親ではない。余計なこと言うな」と思っている方はごまんとおられます。

少なくともそれでいいという方の耳元で、「いや、お前の親は毒だ」と、わざわざ啓蒙する気は少なくとも私はありません。

ただし、安倍晋三さんは公人中の公人ですから、その詳らかになった経歴をもとに、何か(今回は毒親)を論考することは全く問題ない行為です。

「安倍家の身内はみんな偉い人で、自分も偉くなれて、金にも困ってなくて、そういうところに生まれていい人生じゃないか」という意見もあるかもしれません。

まあたしかに明日のご飯は困らないかもしれませんけど、安倍晋三さんのとくに最近の姿を見ると、人間の幸せってそれだけではないと私は思います。

……というわけで、『一月万冊』というのは、与党対野党とか、右対左とか、ありふれた対立軸でものを見ていくのではなく、もう少し普遍的なところから問題点を見出す演繹的な問題提起を行っているところが面白いと思い、今回ご紹介しました。

みなさんはいかがお考えですか。




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ナベちはる

>自分の進路を自由に決められない「ほしのもと」は決して幸せな人生ではない

それ相応の努力をしても、どう転んでも「なりたいもの・やりたいことが出来ない人生」は、生きがいがなくて寂しいものになりそうです。
by ナベちはる (2020-08-17 00:16) 

犬眉母

おじいさんも大叔父も総理大臣、父親は幹事長や国務大臣多数、
財閥の人たちとの姻戚ばかり。
そんな「特別な人」では、学校でも誰も面倒がって近づかないでしょう。
それこそ学習院とか、そういう方々の子弟が当たり前に
在籍しているなら話は別ですけどね。
by 犬眉母 (2020-08-17 00:59) 

lequiche

大変納得しながら読みました。その通りです。

>> ブラック企業のバイトがねいろんな事情で辞められないよー
>> って言ってる人とほぼ同じである

はい。これって私のことです。(^^)
ブラック企業という存在は社会的に考えてよくないものだから
そんなとこ、早く辞めなくてはいけないと思うのですが、
社会構造がそうさせてくれないという部分があります。
でもそういう「なあなあ感」がよくないのですね。

一国の総理大臣と私みたいな市井の人とでは
比較にならないかもしれませんが、でも本質は違わない。
総理大臣という職にあるということを無視して観察すると
この人ってそんなに悪い人じゃないのかもしれないけど
強い自我がなくて、いつも周囲に翻弄されてる人
というふうに見えます。
たとえば、たぶんDAIGOは政治家にはならないでしょう。
彼はそのくらいの見識は持っているので。
そういう自己認識が欠けていたというところが
安倍の悲劇なのだと思います。
by lequiche (2020-08-17 06:03) 

pn

毒親の影響恐るべし。
本人は政治家その物になる気も無かったかもと思うと泣けてくる、本当にやりたかった事って何だろう。
by pn (2020-08-17 06:17) 

ヤマカゼ

現総理はたしかにチョットお疲れ気味ですね。
沖縄のコロナ増加、そして全国のコロナ対策、尖閣諸島の中国に対するけん制、北方領土、朝鮮のミサイル、誘拐。
問題は山積ですね。
by ヤマカゼ (2020-08-17 06:30) 

Rinko

自分の能力以上を求められ続けるって、苦しい人生だと思います。
ご本人、それに気づいていらっしゃるのか疑問ですが、気づいたら気づいたで、それもまた虚しさ倍増ですかね・・・。
by Rinko (2020-08-17 08:09) 

やおかずみ

面白かったです。楽しませていただきました。
by やおかずみ (2020-08-17 10:49) 

kou

ホントは兄のように自由に生きたかったのでは?と思います。でも、運か実力かは分りませんが総理に二度もなってしまったのは事実です。あまり書くとアベガーさんからまたお叱りを受けて面倒くさくなりそうなので、この辺で。
by kou (2020-08-17 17:44) 

ヨッシーパパ

政治のことは、難しいですね。
by ヨッシーパパ (2020-08-17 17:48) 

Rifle

その日を生きる事が出来たなら只其れだけで其れはきっと幸せです。
by Rifle (2020-08-17 19:54) 

エンジェル

この方はリーダーとしての素質がなかったように思います。
自分では何も決断できず周囲が持ち上げて利用されたかわいそうな方だとは思いますが、そんな方には日本の将来は任せられないのですぐに辞めて頂きたいと思います。
by エンジェル (2020-08-18 11:09) 

ねこじゃらん

記事、面白かったです(^^)
動画は見れていないのですが^^;

感情論にすり替えるんじゃなくて、
筋道立てて議論したいですよね。
そして問題は問題として解決したいもんだな〜❤︎
って思いました(*^ω^*)

まあとにかく、
安倍さんには早く辞めてほしいですが…
なんかすごいことになりそうだな…
by ねこじゃらん (2020-08-19 09:19) 

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