高校球児が開発!身体障害者用のグラブで投げた後すぐに守備体制 [障害者]
和気閑谷高校野球部員が制作に関わった、身体障害者用の「野球グラブ」がTBS NEWSで取材され、Facebookでダイジェスト投稿されています。野球をやりたくても、道具がないことを理由に諦めている人たちの助けになりたい。そんな高校生たちの思いが詰まったグラブです。
左手から右手へのグラブの持ち替えにどう対応するか
こちらがツイッター版です。
— まめだぬき (@mame365march) August 10, 2020
「障碍を持っている人たちでも、自分たちが意見を出して出来たクラブを使って、キャッチボールをする」(濱本涼一さん)和気閑谷高校野球部員が制作に関わった、身体障害者用の「野球グラブ」。
動画によると、きっかけは2018年夏の西日本豪雨で、活動場所を失った身体障害者野球チーム「岡山桃太郎」への、グランド提供や練習のサポートを始めた時、交流の中で障碍者のための野球道具がないことに気づいたそうです。
「『桃太郎』のエースの早嶋健太選手が右ヒジを故障していて、その原因がグラブにあると知って、ケガをしないようなグラブを作っていけたらなと思って、チームでミーティングをして……」(石野翔大朗選手)
左手首から先がない桃太郎の早嶋投手は、グラブの網目に左手を引っ掛けて投げていました。
そして、球をリリースした後、すばやくグラブを右手に持ち替えて守備体制に入ります。
鋭いライナーに対応したり、ベースカバーに入ったりしなければならないからです。
工夫しながらひたむきにプレーする姿を見た部員たちは、早嶋投手の手に合うグラブを、部員全員で考えることにしました。
「アイデアはすべて部員たちで出し合いました」(出井翔選手)
冒頭の本涼一選手と河野純大選手のアイデアである、指カバーの背後に袋をつけ、中指と薬指の仕切りをなくしました。
「早嶋選手のプレーを見て、投げ終わった後、すぐにグラブを付け替えなければいけないので、そのときに少しでもはやくできればと思い(袋を)つけました」(河野純大選手)
早嶋投手は投げた後、グラブの持ち替えがこれでスムーズにできるようになりました。
さらに現在は……
「握力が極端に弱い選手用のグラブや、足を引きずってプレーする選手の補強のカバーを考えています」(谷口摩幸人選手)とのことです。
自分たちでまっさらなところに道を拓く
「今までにないものということで、本当にゼロからなので、とんでもない考えを出しても、不正解も正解もなかったので楽しかったと思います」(松山終真選手)
「ボールが入ったら、自動で閉じるようなグラブの案もありました」(藤原哲朗選手)
自分たちで、故障しないグラブを開発する、ということ自体すばらしいことです。
それだけでなく、ゼロから作るということは、不正解も正解もない、自分たちでまっさらなところに道を拓くという醍醐味を感じたことが素晴らしいと思います。
通常、それまで行ってきた学習は、既知を頭に叩き込み、ちゃんと入らないと不正解になるので、それに怯えながら、既知の背景も意味も考えず、ひたすら既知そのものを頭に詰め込むのが、少なくとも中等教育までのカリキュラムです。
自由研究、なんていうものもないわけではありませんが、成績としてつけにくいので、付け足しのようなところがありました。
でもまあ、人生というのは、自分で未知の将来を開拓するものですから、高校でいい機会を得られてよかったと思いますね。
早嶋投手ら、岡山桃太郎の目指すはパラリンピック。
今後の活動にも注目、と動画はむすんでいます。
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障碍がある投手にとって、野球をしやすいグラブができたのは良かったです。
和気閑谷高校野球部員にとっても、答えのある問題を解くのではなく、
みんなで、未知の答えを出していく営みであることは、貴重な機会です。
「理解と支援」のモデルのように思いました。
by 犬眉母 (2020-08-10 23:04)
自動で閉じるやつが気になる(^^♪
by pn (2020-08-11 06:11)
クラブを改良してでも、野球をしたいという思いの強さに頭が下がります。
by ヤマカゼ (2020-08-11 07:08)
障碍を乗り越えて、一途に取り組む姿に感銘しました。
by やおかずみ (2020-08-24 10:25)