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平田昭彦、『ゴジラ』の芹沢博士は青年将校候補生だった [懐かし映画・ドラマ]

平田昭彦、『ゴジラ』の芹沢博士は青年将校候補生だった

7月25日は、平田昭彦さん(1927年12月16日~1984年7月25日)の命日です。弔い上げは終わりましたが、37回忌にあたります。端整なマスクと知的で気品のある雰囲気で活躍。東宝時代は特撮映画に数多く出演。テレビドラマも同様のキャラクターを演じました。(上の画像はGoogle検索画面より)




平田昭彦とは誰だ


平田昭彦は、日本統治時代の朝鮮の京城(現在のソウル特別市)生まれ。

なぜ、小野田家(平田昭彦の本名)がソウルにいたのかは、調べましたがわかりませんでした。

考えられるのは、父親が官吏として派遣されたか、旧東洋拓殖のような、鉄道や農業技術など朝鮮にインフラを確立する半官半民の会社員だったかで、いずれにしても社会的身分は中上級的な立場だったと思います。

少なくともその子弟の平田昭彦は、陸軍士官学校⇒旧制一高⇒東京大学法学部という、典型的なエリート官吏コース。

が、官僚を目指すのではなく、大学在学中から映画に興味を持って、新東宝でアルバイトに励んでいたとか。

実兄が、後に映画監督になった小野田嘉幹なので、その影響をウケたことや、戦争が終わって、陸軍士官から別の身の振り方を考えなければならなかったこともあったと思います。

いったんは東京貿易(現三菱商事)に就職するも、映画への思いはたち難く、結局第5期東宝ニューフェイスに合格して俳優として入社します。

以来、インテリヤクザや学者など、端整なマスクと知的で気品のある雰囲気で演じました。

東宝にはもうひとり、村上冬樹という東京帝国大学出身の俳優がいましたが、こちらは壮年学者役、平田昭彦は若手の精鋭としての役柄だったと思います。

大学のお姐ちゃん



1950年代終盤にシリーズ化されたお姐ちゃんシリーズ。

『大学のお姐ちゃん』はその第1作目です。

東宝生え抜きの団令子、ウェスタン歌手の中島そのみ、日劇ダンシングチームの重山規子の3人が主演。

大学文学部の3人が、恋やアルバイトに明け暮れる青春群像劇です。

私はまだ生まれていなかったので、リアルタイムでは見ていないのですが、カラー映像はきれいで、内容も東宝らしく都会的でおしゃれな作風です。

平田昭彦は、サングラスを掛けてヤクザ風の役柄です。

平田昭彦にとっての代表作というわけではないのですが、めずらしい役柄なのでご紹介しました。

ゴジラ



平田昭彦で、もっとも有名な作品は1954年公開の映画『ゴジラ』第1作における芹沢博士役です。

ゴジラシリーズは日本で32作品、アメリカでは3作品作られていますが、第1作こそが最高傑作という批評は覆りません。

小笠原諸島近くの海で貨物船が消息を絶ち、古生物学者の山根恭平(志村喬)尾形秀人(宝田明)をはじめとする調査団を派遣しましたが、ゴジラは倒せません。

「水棲爬虫類から陸上哺乳類に進化途中の巨大生物」(Wikiより)であるゴジラが、普段は海底にいたのに、水爆実験をしたために地上まで上がってきたのではないかと推察されました。

ゴジラは再び現れ、今度は品川に上陸し電車や街を破壊。

頼みの綱は、芹沢大助博士(平田昭彦)が密かに研究していた「オキシジェン・デストロイヤー」。

水中の酸素を一瞬で破壊してしまう酸素破壊剤です。

これで水中にいるゴジラを窒息死させることができるかもしれませんが、悪用を恐れて公開していませんでした。

しかし、破壊された東京の悲惨さを目にして、芹沢大助博士は1度だけ使用することに決めます。

ただ、芹沢大助博士はこの恐ろしい兵器が二度と作られぬように、ゴジラと共に「オキシジェン・デストロイヤー」で自決することを選びました。

平田昭彦は本作以来、特撮映画御用達俳優のように、東宝お得意の特撮映画には必ずといっていいほど出演していました。

品川駅にプレート


以前ご紹介しましたが、品川駅にはゴジラを描いたプレートもうめこまれています。

品川駅ゴジラ

ゴジラが品川運転所を襲って、撮り鉄の聖地である京急北品川の八ツ山橋を破壊するシーンがあったからです。

襲われたのに、それを記念するというのは面白いですね。

北品川には、『釣りバカ日誌』のハマちゃんの家もあるのですが、その記念碑が立つという話は聞いたことありません。

ゴジラの知名度とインパクトはそれほど強烈なんですね。

無責任遊侠伝



知的な悪役も演じた平田昭彦は、東宝の屋台骨を支えたクレージー映画シリーズ『無責任遊侠伝』に出演しています。

植木等は、お得意の賭け事で、外国人バイヤー(ジョージ・ルイカー)との商談をまとめますが、バイヤーはマカオの悪漢、張天玉(平田昭彦)の仲間で詐欺でした。

契約金を持ち逃げされたため、被害者仲間の陳秀明(谷啓)や秀玉(パイピン)、そしてクレージーキャッツの面々と、淡路恵子、浜美枝らでマカオへ乗り込み、マカオを舞台にストーリーが展開されています。



かつての将校候補と華族の子弟が婚姻



平田昭彦の実兄、小野田嘉幹と結婚したのが、新東宝の女優だった三ツ矢歌子。

『お笑い三人組』などに出演していた、音羽美子は妹。

平田昭彦自身は、「床の間に飾っておく」というプロポーズで、華族で学習院出身の“侯爵の姫君”女優・久我美子と結婚。


かつての将校候補と華族の子弟が婚姻して、芸能一族になったわけです。

戦争が終わり、小野田一家は日本に戻り、平田昭彦も将校という目標が消え、久我一家も華族から“普通の人”になったわけですが、ご本人たちにとっては、俳優業を自分の意志で自由に選択できた時代になったことは、よかったのではないでしょうか。

平田昭彦さん、ご記憶にありますか。




ゴジラ - 宝田 明, 河内 桃子, 平田 昭彦, 志村 喬, 本多 猪四郎, 村田 武雄, 本多 猪四郎
ゴジラ - 宝田 明, 河内 桃子, 平田 昭彦, 志村 喬, 本多 猪四郎, 村田 武雄, 本多 猪四郎

映画俳優平田昭彦 - 中村深海
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ナベちはる

>襲われたのに、それを記念するというのは面白い
ゴジラという名作の中で襲われたから出来るのであって、実際に襲われていたらそんなことは出来ませんね(笑)
by ナベちはる (2020-07-25 00:46) 

kinkin

品川駅のプレート、今度探してみようかな^^;
by kinkin (2020-07-25 04:25) 

shiho

あっ!ゴジラの芹沢博士~。
by shiho (2020-07-25 05:43) 

pn

多分今だからゴジラを倒した男で有名なのかも、学生の頃周りの友達ゴジラは知ってるけど芹沢博士覚えてないんだよ(^_^;)
ゴジラとゼットンを倒したんだから日本一、いや世界最高の頭脳だよ芹沢博士は(笑)
by pn (2020-07-25 06:16) 

十円木馬

ゴジラ第1作品はDVDは持っていて時々観ています。
平田昭彦さんの経歴を拝見して、陸軍士官学校出身ということで、私の父の2年後輩であることを知りました(父は広幼からですが・・)。またゴジラ公開の昭和29年に自衛隊が発足され、父は都立高校の教師を辞め、自衛隊に入隊していますが、この都立高校での教え子が宝田明さんだったというのも奇遇です。

by 十円木馬 (2020-07-25 08:13) 

念仏親父

私の中では、ゴジラより、ウルトラマン。
科特隊の博士ですね。
ビートルが宇宙へ行けるようになったのも、博士の開発だったかと。
あとは、東大卒ということを子供の時知り、東大を出て俳優さんなんだ・・・と思った記憶が。でも、当時高学歴の俳優さん、多かったような記憶があります。
by 念仏親父 (2020-07-25 11:48) 

ヤマカゼ

ウルトラℚ、ウルトラマン、ウルトラセブンと
ウルトラシリーズにでていましたね。
by ヤマカゼ (2020-07-25 15:31) 

kou

ゴジラは全作品観てます。彼も良くして知ってますが残念亜がら平田昭彦という名前はなんとなく覚えているという感じでした。いっぷくさんのお陰で心に刻まれました、ありがとうございます。
by kou (2020-07-25 17:14) 

ヨッシーパパ

見たことがある様な無い様な・・・。
やはり私が思い浮かんだのは、別の方のようです。
by ヨッシーパパ (2020-07-25 18:43) 

犬眉母

リアルな家柄や知性と、役のイメージはリンクするんですね。

by 犬眉母 (2020-07-25 23:40) 

そらへい

どの作品と言う記憶はないのですが
いろんな番組でよくお見かけした方ですね。
紳士で暖かい声の持ち主だったような。
37回忌、私の父と同じ年に亡くなっていたのですね。
by そらへい (2020-07-26 16:38) 

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