「養子を迎える」とはどういうことか [社会]
特別養子縁組で、子どもが欲しくなったという内容のブログ記事を拝見しました。コロナ自粛で、親子が公園で楽しそうにしているのを見て、羨ましくなったからだそうです。私も以前、養子を迎えたいと思ったことがあったので、大変興味深いテーマだと思いました。
子どもが絶対的主役でない養子は不幸を生むだけ
様々な事情から、子を育てたい方が、養子縁組制度で引き取りたい、ということがあります。
私は、それ自体はすばらしいことだと思いますし、実は私自身もそれを考えていた時期があります。
ただし、養子制度というのは本来、親になりたい人の欲望ではなく、子の福祉に叶うかどうかがすべてです。ここは絶対に間違えてはなりません。
子どもを引き取りたいと思う動機、たとえば家財産を継がせたいとか、子供のいる家庭にしたいとか、あると思いますが、親になりたい人の主張はそこで止めておくべきです。
つまり、養子を迎えるにあたっては、「引き取った後の家庭はこんなふうに思い描いている」「こんな子になってほしい」など、子に対する一切の条件は絶対につけてはいけません。
こんな「要望」も聴きます。
親友のような関係になれる子がほしい
一見、何が悪いの? と思うかもしれませんが、これもダメだと思います。
親友になるか、グレるか、引きこもりになるかは、子が自由に選択する子の人生の道順でしょう。
そもそも、「親友」になれそうな「いい子」だったとしても、それがある日、交通事故で、親友どころか生涯寝たきりになるかもしれません。
引き取ってなければ、夫婦だけのゆったりした老後を過ごせたのに、引き取ったばかりに生涯介護に費やし、自分が死んだ後まで、その子のことを心配しなければなりません。
そうかと思えば、ちょっと道を外れて、罪を犯してしまうかもしれません。
子の不始末の責任は、親が問われることもあります。
一所懸命育てても、親孝行もせず、老後の面倒も一切見てくれないかもしれません。
公園のほのぼのシーンなんて、ほんの一面に過ぎません。
親というのは、実子だろうが養子だろうが、打算的に見れば「割りに合わない」役割なのです。
では、それでもどうして親になるのかといえば、子に対して見返りを求めない愛情を注げるからです。
子はちっとも親の言うことを聞かない。でも可愛くて仕方ない。
というのが親の健全なメンタリティです。
言い換えれば、見返りを求めないことを、楽しいと思えない人は親にはなれないのです。
「親友になりたい」というのは、ソフトな表現ですが、「見返りを求めない愛情」とは180度異なる、子に見返りを求めている「要望」にほかなりません。
実子は、どう育とうが実子です。
毒親だろうが親は親です。
実の親子には、よくも悪くも絶対的なつながりがあります。
でも、他人にはそれがありません。
どんなにうまくやっていても、ひとたび齟齬が生じた時、「引き取ってやったのに裏切られた」「やっぱり本当の親じゃないからわかってくれないんだ」という思いは、人間なら生じることはあるでしょう。
そうならないようにするには、実の親子以上に、親として踏み込んではならないことをわきまえなければなりません。
養子には、養親が加わるだけの「普通養子縁組」と、実の親子関係を法的にぶった切る「特別養子縁組」があります。
特別養子縁組は、どのようなケースにふさわしいか、というのは私にはわかりませんが、子は、長い人生の間には、実の親と繋がりを持ちたいと思うこともあります。
特別養子縁組は、解消が困難なので、まるで養親の側が退路を断ったような「立派なこと」のようにうつりますが、引き取られる子にとっては逆に禍根の残る迷惑なことかもしれません。
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— あかめ裏垢 アニメ垢 (@DOgQovTlIMMaCOt) July 16, 2020
どうでもよくなったから自分の顔晒す コメントください 話してくださいお願いします
生き別れた妹はもう会えないんだって。
特別養子縁組になってもう本人が探さないと追えないんですって。
泣きました辛いです。 pic.twitter.com/WcB81fXvkT
養親に、実親との関係をぶった切る権利はあるのでしょうか。
いずれにしても、親になりたい人の思惑ではなく、子の福祉という観点から考えるべきです。
私の考えでは、養子制度というのは、親がいれ代わるのではなく、親が増えるという普通養子縁組の理念が原則であると思います。
そして、やはり子にとって実の親こそが絶対であり、養親が子にできることなんて実は限られている、あくまでも実親の補完に過ぎない、ぐらいの控えめな見定めももっておいたほうがいいでしょう。
養子を迎えることの決意のほどは…
ここまで書くと、勘違いした人が、「養子を取る人の問題で、他人にどうこういう権利はない。それで当事者が幸せならいいじゃないか」と興奮しているかもしれませんね。
誤解のないように書き加えますと、冒頭に書いたように養子縁組を否定したり反対したリする意図は全くなく、養親なら当然心得るべき覚悟と立場を述べているに過ぎません。
それに、養子とは何かという問題は、決して個人的な話ではなく、公益性のあるテーマです。
なぜなら、子の人生がかかっているのですから。
私がどうしても強調しておきたいのは、(養子に対して)我々が引き取ってやるからお前を幸せにしてやる、などというのは思い上がりだということ。
そうではなくて、受け入れさせていただき、我々も幸福な時間を過ごさせていただく、ということではないかと思います。
子の福祉のために、養親として力添えになれば幸甚、という立場に過ぎないのです。
さらに、戸籍上の子どもにすると、当事者だけでなく親類から何らかの意見が出てくるかもしれませんし、お互いやりにくいこともあります。
究極の選択として、親類と縁を切っても養子の方を選択できるのか、ということも考えなければならないかもしれません。
ことほどさように、養子を迎えるというのは、
1.子の福祉が第一
2.自分は子の人生や価値観を一切妨げず、子のためならあらゆる犠牲を厭わない
など、厳しい決意が求められると思うのです。
養子を迎えられた方、検討されたことのある方、いかがでしょうか。
養子縁組を考えたら読む本──これから親になるあなたに知って欲しい20のこと - シェリー・エルドリッジ, ヘネシー 澄子, 石川 桂子
子供が主役なのは当然のことです。
by skeptics (2020-07-20 22:02)
「養子を迎える」こと、簡単に考えてはいけませんね。
by ナベちはる (2020-07-21 00:53)
特別養子縁組という制度は、あくまで「子どもの権利」を前提に、「実子同様」に育てることができる制度であるはずですが、多くの場合は、「実親の痕跡を消して、自分の子どもにしたい」という、養親の都合のための制度として機能している点は否めないと思います。
それと、不妊治療が結実しないご夫婦が、ではということで特別養子縁組を検討するという流れが一般的であるように捉えられていますが、不妊治療において生じた心の傷の薬が特別養子縁組、ではいけないような気がします。それはある程度、別問題として捉えることも必要だと思うのです。
いずれにしても、実の親と養親は根本的に違いますから、養親は養親としての役割を果たせばよいのであり、実親になりきることは不可能であるだけでなく、子どもに対してプレッシャーとなるだけはないかと思われます。
by i (2020-07-21 01:20)
養子縁組で引き取られた子供が凄い暴れて大変だったと何度かテレビで見たことがあります。
やはり過度の構好きがストレスになったのでしょうか?他人が一緒になるのは覚悟があるようですね。
by ヤマカゼ (2020-07-21 02:32)
虐待されて殺される子とか聞くと家で育ててやるよって思ったりするけどそれって捨てられてる子猫拾ってくるのと一緒の感覚なんだよね多分。
命を預かるってーのは並大抵の事ではない。
by pn (2020-07-21 06:20)
「子の福祉のため」を忘れてはいけないですね。
日本は欧米諸国に比べると養子縁組に対する社会の取り組みが遅れている様に思えます。
by Rinko (2020-07-21 08:26)
いろいろなパターンが考えられると思いますが、ひとつのパターンとして、子供のいない夫婦と、親のいない孤児という組み合わせがあるかと思います。うまくいけばwin winの関係になれるのではないかと思います。実の親が生きているのに育てないという場合は、実の親との関係を「ぶった切って」おかないと、あとになってからトラブルになることもあると思います。例えばその子が将来、大金を稼ぐようになったりした場合。。
by SGW (2020-07-21 09:17)
私も 訳あって
子どもが居ません
養子縁組を 周りから
薦められたことも
確かに ございました
ただ
私には 覚悟がございませんでした
いっぷくさん
全く 同感です
by pigumon (2020-07-21 09:36)
いっぷくさんの言わんとするところは「無償の愛」ではないかと思います。「無償の愛」を貫くということは、子供に限らず、夫婦でも難しいことです。ただそんな愛は存在しないではなく、「無償の愛」は必ずあると思って生きたいものです。
by 十円木馬 (2020-07-21 14:50)
なかなか子供の恵まれず、周囲からいろいろ言われてましたが、他人を育てるという認識はみじんもありませんでした。
幸いにも遅くに子供には恵まれましたが、実子でも子育てには難儀しました。
言われるとおり、養子縁組には相当な覚悟が必要ですね。
by kou (2020-07-21 17:14)
みなさん、コメントありがとうございます。
私も、養子縁組を現実の問題として検討したことが2度あるのですが、そのうち1度は、「誰かを養子にしたい」ではなくて、すでに関わりのある姻戚の子が対象でした。
が、結局私はまさに覚悟が足りませんでした。
その子にはその時は怨まれたかもしれませんが、覚悟もないのに籍だけ入れることで、より深い禍根が残るかもしれないと思いました。
養子縁組を考えられている方の水を差すわけではありませんが、そういった経験も踏まえながら、あくまでも子のためという視点だけは外さないでいただきたいと切に思います。
by いっぷく (2020-07-21 20:51)
こんばんは。
養子縁組は日本ではなんだか難しいことのように思われます。海外では、けっこう簡単にやっていますね。アメリカなどは、養子という存在に対して、世間が白い眼で見るということはないと思います。日本は養子ということがすごく注目されるように感じます。
やはり最後を見てもらおうと思って養子をとられるとおもうのですが、動けなくなった時、自分の思うようにしてもらえなかった事例も知っています。
by coco030705 (2020-07-21 22:17)
ほんと、無条件ですね(>_<) 身近なところでは、養子離縁もありました(>_<)
by yokomi (2020-07-22 09:36)
私は子供が出来なかったのですが、養子をもらおうとは思った事がありません。覚悟もなかったし、子供に血のつながりを求めたからです。今は二人の子供(笑)がいて幸せですU^ェ^U
by エンジェル (2020-07-22 14:11)
日本は外国と違い、戸籍と家(柄)の結びつきという
特有の文化がネックになっています。
親は子に対して絶対で、かつ子は親に服した上で
将来は扶養しなければならないという現法がある限り、
養子は慎重にならざるを得ません。
by 犬眉母 (2020-07-23 20:53)