今日は原田芳雄さん（1940年2月29日～2011年7月19日）の命日です。『復讐の歌が聞える』でワイルドイメージで売出し、テレビドラマ『冬物語』では悲恋のラブストーリーで大ブレイクしました。晩年はタモリ倶楽部でカメラ片手に京急に乗る鉄ちゃんぶりも見せてくれました。（上の画像は下のOGPより）
原田芳雄とは誰だ
原田芳雄は東京の足立区生まれ。
高校卒業後の1963年、俳優座養成所第15期生として入所。
俳優座養成所花の第15期生とは、片岡五郎、斎藤憐、佐藤博、津坂匡章（後の秋野太作）、小野武彦、柴田侊彦、高橋長英、
地井武男、夏八木勲、浜畑賢吉、原田芳雄、林隆三、前田吟、溝口舜亮、村井国夫、竜崎勝、赤座美代子、栗原小巻、
太地喜和子、三田和代……錚々たる顔ぶれです。
俳優を、職業とできずに夢破れた人は誰もいなかったので、“花の15期生”といわれる人たちです。
原田芳雄は俳優座の正式座員に昇格し、舞台で経験を積みます。
そして、1967年に『天下の青年』（フジテレビ）でドラマデビュー。
翌1968年の『復讐の歌が聞える』（石原慎太郎原作、松竹）で映画デビューを果たしますが、
復讐の鬼と化した連続殺人鬼役で、ここから“ワイルドなアウトロー風キャラクターの原田芳雄”が始まります。
そして、俳優座退座後は、同じ俳優座出身の中村敦夫が『木枯し紋次郎』という当たり役にキャスティングされると、原田芳雄にも大きなチャンスが巡ってきます。
それは、今も悲恋ロマンスドラマとして伝説化している『冬物語』です。
冬物語
一昨日、
石原プロの記事ですでにご紹介している『冬物語』（1972年11月13日～1973年4月16日、NTV）は、原田芳雄をブレイクさせたドラマと言っていいでしょう。
浅丘ルリ子は結婚3か月で夫を亡くして以来、格式ある家の嫁として、姑や小姑（宝生あやこ、南美江）たちのつらい仕打ちに耐え忍ぶ日々。
夫の一周忌の法事の日、見通しの悪い雨の中でぶつかってきたレインコートの男（原田芳雄）に強烈な印象を抱きます。
原田芳雄は、将来を嘱望されていたレーサーだったものの、謎の引退をしてテストドライバーになった身でした。
以来、2人の愛は日毎に燃え上がるのですが、そこに様々な邪魔があるのがドラマの見どころ。
義弟の津川雅彦も狙っていたので嫉妬しているし、原田芳雄は難病で目が見えなくなってしまうしで、視聴者は2人が幸せに結ばれることを願い感情移入するのですが、まあいろいろあって、2人は幸せに暮らしましたとさ、ということにはなりませんでした。
女性視聴者からは、最終回で亡くなる予定の原田芳雄の救命嘆願が殺到したと言われています。
40年前のドラマなのに、ツイッターで検索しても、絶賛ツイートが続々出てきますね。
君よ憤怒の河を渉れ
高倉健が、東映を離れてから初めての出演作品である『君よ憤怒の河を渉れ』（1976年、大映/松竹配給）で、
中野良子が相手役、そして原田芳雄は冤罪であるため真相を明らかにすべく逃走する高倉健検事を追いかける警部役で出演しました。
作品自体は、率直なところ、際立った秀作というほどでもないと思いました。
が、中野良子さんの記事でも書いたように、中華人民共和国では観客動員数が8億人に達したヒットに。
高倉健が無実の罪で追われるストーリーは、同じように理不尽な扱いを受けた文化大革命を批判的に総括していた中国人にとって、自らの姿を重ね合わせたからといわれています。
中野良子は中国の人気俳優となったことをきっかけに、国際的文化人になりました。
そして、原田芳雄も、いよいよワイルドキャラクターに磨きがかかったわけです。
祭りの準備
『
祭りの準備』（1975年、ATG）は、高知県中村市（現四万十市）を舞台にした、脚本家中島丈博の半自伝的作品です。
私は高校の映画研究部時代、この鑑賞を上級生から命じられました。
我々1年生部員たちは、二番館、もしくは三番館といわれる、封切りからかなり時間のたった作品を安く上映する自由が丘の映画館に観に行ったのです。
で、売出し中の竹下景子が、素っ裸で江藤潤とお戯れているシーンがあり、我々部員たちは「淡い恋心を抱いていたのに」と、涙目で映画館を出てきた、ほろ苦い思い出があります（笑）
それはともかくとして、ストーリーは、主人公の楯男（江藤潤）が、男女の睦み合いと噂話と喧嘩に明け暮れる狭い田舎で揉まれながら、脚本家目指して東京に出ていくまでのストーリーです。
原田芳雄は、普段は気の弱そうな江藤潤をいじめている近所の悪漢。
兄が傷害で逮捕されると、早速その晩から兄嫁（杉本美樹）と懇ろになってしまうどうしようもない男で、しまいには自分も他人に手をかけてしまうのですが、強盗殺人で指名手配されているにもかかわらず、夜逃げするように東京に出ようとする江藤潤を、駅でバンザイまでして見送ってくれます。
しかも、ゴソゴソと金を出して餞別として渡していました。
「貰われん」と遠慮する江藤潤に対して原田芳雄は、 ｢あるところから 持ってくりゃ ええんじゃから」と、また盗んで補填するような話をしています。
それまでは、脇役の一人に過ぎなかった原田芳雄が、このラストシーンで一気に主役まで食って全部持っていってしまった……という批評が当時圧倒的でした。
キネマ旬報賞とブルーリボン賞で、助演男優賞を受賞しています。
役者は、役柄やポジションも大事ですが、役者自身の存在感が大事ですね。
そして、テッチャンだった
16日に訃報が飛び込んできた森崎東監督作品には、『ニワトリはハダシだ』（2004年、ザナドゥー）に出演しました。
さらに、タモリ倶楽部では、鉄っちゃんとしてカメラをもって京急に乗っています。
ワイルドを売り物にした若い頃ですと、イメージ的に難しかったかもしれませんが、歳をとってからは、素の自分を見せてもいいと思ったのかもしれませんね。
原田芳雄さん、どんな作品を覚えていらっしゃいますか。
俳優 原田芳雄 - 原田 章代, 山根 貞男
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「春の坂道」で一目惚れです♪ ( ´艸｀)
ありがとうございました。命日だったのですね。
by Labyrinth (2020-07-20 00:17)
＞40年前のドラマなのに、ツイッターで検索しても、絶賛ツイートが続々出てきますね。
利用する人の多くが40代までの年齢であろうTwitterで、その人たちよりも早く世に出てきたドラマに対して絶賛ツイートが多く寄せられるとは、凄いですね。
by ナベちはる (2020-07-20 01:01)
西部警察の最終回で悪役やってなかったっけ？
１番印象に残ってるのは酒のCMで松田優作と誰だったかな？３人でプールサイドで座ってるやつ、あれの歌も原田芳雄が歌ってたはず。
by pn (2020-07-20 06:16)
インテリ風の原田芳雄に黄色いハンカチの高倉健！。
それに浅丘ルリ子などの頃の映画も良かったですね。
やはり昔が良い(-_-;)
by 旅爺さん (2020-07-20 07:02)
原田芳雄さん、確かにワイルドと言う言葉がピッタリな方だったように思います。
でも、鉄ちゃんのことは知りませんでした（＾＾；
by なかちゃん (2020-07-20 08:23)
原田芳雄さん好きな俳優さんでした。存在感ありました。
作品は思い浮かばないけど
良いなぁと思ってたお方ですっ
by みうさぎ (2020-07-20 14:13)
『祭りの準備』は鮮明に覚えています。私は映画ではなく、確か年末か年始の深夜ＴＶで放映されたものを観ました。竹下景子のファンだったので、彼女みたさでした。脇役で出ていた原田芳雄さんの存在感も凄かったです。
by 十円木馬 (2020-07-20 14:39)
ワイルドなイメージがありますが、個人的には美味しんぼの海原雄山役が好きでした。
by kou (2020-07-20 17:18)
「祭りの準備」は青春の旅立ちを描いたいい映画でしたね。
私も2番館か3番館でしたが、日本の映画の中では印象に残っている映画です。
by そらへい (2020-07-20 21:02)
「冬物語」が放送されたのは、私が高校１年の時でした。
毎回観ていました。日本のテレビドラマでは最も感銘を受けた作品です。
あまりにも悲しい物語でした。乾が失明したあと乾と信子が抱き合って雪の斜面を転げ落ちるシーン、忘れられません。
by 芝浦鉄親父 (2020-07-20 21:45)
原田芳雄さんは、すごく渋い俳優さんでしたね。とてもいいと思っていました。脇役でも存在感がありました。
私の好きな映画は、宮沢りえちゃんと共演した「父と暮らせば」という作品です。広島の原爆で被災した娘が、押し入れに住んでいる父親の幽霊と暮らすうちに、前向きな未来へと踏み出していくという、親子の心に沁みるいい映画でした。
父親で幽霊役が原田芳雄さんで、すばらしくよかったです。
by coco030705 (2020-07-21 22:42)