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中村玉緒、薄幸で痛々しい役から一転マイペース天然でブレイク [懐かし映画・ドラマ]

中村玉緒、薄幸で痛々しい役から一転マイペース天然でブレイク

今日は中村玉緒さん(1939年7月12日~)の誕生日です。おめでとうございます。大映時代は純情な娘、テレビドラマでは薄幸で痛々しくも健気に生きる母親役を多く演じましたが、1990年代以降はマイペースなキャラクターと天然ボケでブレイクしました。(背景画像は田宮二郎版『白い巨塔』第30話、それ以外は以下のOGPより)




中村玉緒とは誰だ



中村玉緒は、大映のバイプレーヤーだった、歌舞伎俳優二代目中村鴈治郎の娘として京都で生まれました。

親戚の長谷川一夫は、やはり大映のスターで重役も兼ねており、1954年に大映へコネ入社。

長谷川一夫の口利きだったために、高給でハイヤー通勤のお嬢さんでしたが、大映の看板女優といえば、京マチ子や山本富士子や若尾文子らであり、中村玉緒はワンランク下がった序列で、清純な娘役を演じていました。

大映が倒産後、70~80年代はテレビドラマに出演することになりますが、どちらかというと“泣き役”。


薄幸で痛々しく、それでも健気に生きる母親役を多く演じていた印象があります。

薄幸で痛々しく、それでも健気に生きる母親役


白い巨塔



田宮二郎版『白い巨塔』(1978年6月3日~1979年1月6日、フジテレビ)では、財前五郎の誤診で死亡してしまう患者・佐々木庸平(谷幹一)の妻・よし江役です。

正義感溢れる関口仁弁護士(児玉清)に実費だけで受任してもらい、大学病院ではなく財前個人を提訴することになりました。

が、第一審は敗訴。

証言をしてくれた里見脩二医師(山本學)は大学をやめざるを得なくなりました。

なぜか中村玉緒は、「サドミ先生」と濁るのですが、脚本もそうなっていたのか、それとも「天然」のアドリブか。

裁判所の尋問シーンは、薄幸で痛々しく、それでも健気に生きる迫真の演技でした。

「主人が不誠実な人間味のない診療しかしてもらえんかったことが我慢できへんのだす!」

その甲斐あって、二審は中村玉緒側が勝訴します。

秘密



『秘密』は、1975年の東芝日曜劇場で放送されました。

OGPのツイートの通りで、脚本は山田太一。『岸辺のアルバム』のプロトタイプのようなストーリーです。

仏像撮影に熱中する夫(井川比佐志)、母親を煙たがる娘(岡本茉利)など、自分の存在価値に疑問を持つ主婦(中村玉緒)。

そんな時、いたずら電話を掛けてきた大学生(三浦友和)とデートをしてしまう話です。

人間関係を構築している相手ならともかく、もとはいたずら電話の相手に過ぎない男性と会ってしまう。

人間というのは寂しい、いつ魔がさすかわからないものなんだな、と当時思春期を迎えた私には結構ショックな展開でした。

1980年代の中村玉緒は、勝新太郎や息子の不祥事があり、「薄幸で健気な女」というイメージが役柄とリンクしているように見えましたが、ご本人は否定されています。

家庭内での中村玉緒と長女は大変なおしゃべりで、豪放なイメージのある勝新太郎のほうが閉口していたといい、「世間は私たちが勝を我慢していたように思っていますが、本当は勝が私たちを我慢していました」(Wikiより)と語っているそうです。



勝新太郎を励ますためにバラエティーへ



そんな中村玉緒が、1990年代からブレイクして、これまでは脇に回ることが多かったのに、主演のオファーも入ってくるようになります。

きっかけは、明石家さんまのバラエティ番組に出演してウケたことです。

今までのイメージがかわってしまうようなキャラクターでしたが、出演のきっかけは、喉頭がんに臥した勝新太郎が好きだったバラエティー番組に出ることで、少しでも元気になってくれたら…、という気持ちからだったとか。

残念ながら、勝新太郎は「自分は役者だから」と声帯の切除を拒絶したために、ガン宣告の1年後に亡くなってしまいました。

余談ですが、勝新太郎ががん公表会見の際、「もうタバコはやめた」といいながら1本口にくわえたことで、「やめてないじゃないですか」と報道陣に突っ込まれていましたが、それは深刻にならざるを得ないがんの宣言でも、ニュースとして面白くするために「勝新太郎」を演じたもので、実際は飲酒も喫煙も本当に控えていたそうです。

大麻をパンツに隠した事件後、「もうパンツははかない」と言った会見も、不謹慎だの不真面目だのといったそしりを受けましたが、きっとあえてそういったのでしょう。

このご夫婦を見ると、たしかに中村玉緒さんの方が天然に近く、一方の勝新太郎さんは実はセンシティブでかつ、自分が悪役になっても面白ければいい、という愚直なところがあったように思いました。

つまり、中村玉緒が「陽」で、勝新太郎はむしろ「陰」ではないかという気がしています。

以前は、三船敏郎も石原裕次郎も高倉健も、みんな紳士としての評判が高いのに、どうして勝新太郎はずっこけるのだろう、なんて批判的に見ていました。

が、今は、紳士然としてふるまうよりも、「全くこの人は……」と思われながら生きるほうが実は難しく、そして強い人なのではないか、などと考えることもあります。

それはともかくとして、中村玉緒さんには、これからもお元気で、1日も長くご活躍いただきたいと思います。




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お悩み、聞きまっせ!  中村玉緒の生き方相談室 - 中村 玉緒
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あほな女―生きてる限り、生きていく

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コメント 13

ナベちはる

中村玉緒さん、さんまさんとバラエティに出ている印象が強いですが、いろいろな作品で演技をされているのを見ると「やはり女優だ」と感じさせられます。
by ナベちはる (2020-07-13 00:28) 

pigumon

>中村玉緒が「陽」で、勝新太郎はむしろ「陰」ではないかという気がしています
こうした見立ては とても新鮮でした
なるほど 超一流の役者さんたる所以ですね
私も 「全くこの人は・・・」と
日々 スタッフから云われております
全く 違った意味で・・・(笑)
by pigumon (2020-07-13 02:48) 

pn

初期の必殺にレギュラーで出てましたがそんな幸薄系じゃなかったな確か、まあ殺し屋だから暗い過去はもちろんあったと思いますが。

by pn (2020-07-13 06:24) 

ヤマカゼ

時代劇シリーズはほとんど見かけてました。いっぱい出演されてましたね。
最近だとマロニーちゃん。
by ヤマカゼ (2020-07-13 06:44) 

なかちゃん

中村玉緒さん、後半の若干ダミ声でボケる感じしか記憶にないですが、そんなにキレイな女優さんだったんですね。
今度『白い巨塔』でも観てみようかな(^^)

by なかちゃん (2020-07-13 08:27) 

taku1_lily

そっか!
玉緒さんは勝新さんとの結婚は正解だったんだ。

by taku1_lily (2020-07-13 08:34) 

Rinko

バラエティ番組での玉緒さんの天然ぶりが最高です。
勝新さんを支えたイメージがとても強いですが、うまくバランスの取れたご夫婦だったのかもしれませんね。
by Rinko (2020-07-13 08:55) 

扶侶夢

勝新太郎&中村玉緒の夫婦は大好きです。勝新は玉緒さんにぞっこん惚れていました。

>中村玉緒さんの方が天然に近く、一方の勝新太郎さんは実はセンシティブ
まったく!当たっていると思いますね。
若い頃のご両人は晩年とは全く違うイメージでしたから…。
by 扶侶夢 (2020-07-13 10:27) 

十円木馬

玉緒さんが日本昭和村(現在はぎふ清流里山公園)の名誉村長だった頃、トークショーを聴きに行ったことがあります。その時もトークの内容は勝新さんのことばかりでした。心から愛されていたのだと思います。
by 十円木馬 (2020-07-13 14:38) 

ヨッシーパパ

ブレーしてから、イメージが変わりましたね。
独特の笑い声が聞こえてきます。
by ヨッシーパパ (2020-07-13 18:56) 

エンジェル

子供の頃山中湖のホテルのプールでご一家をお見かけしました。仲の良い家族のように見えました。きっと玉緒さんが尽くしていたんでしょうね。白い巨塔に出演されていたのは知りませんでした。やはりバラエティーのイメージが強いです。
by エンジェル (2020-07-13 22:06) 

mau

バランスのとれたご夫婦だったんですね。
by mau (2020-07-14 22:31) 

beny

眠狂四郎や座頭市での姫様の役どころがきれいで良かった。
by beny (2020-07-16 21:13) 

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