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水原弘、『黒い花びら』『君こそわが命』『へんな女』などヒット [芸能]

水原弘、『黒い花びら』『君こそわが命』『へんな女』などヒット

今日は、水原弘さん(1935年11月1日~1978年7月5日)の43回忌です。『黒い花びら』『君こそわが命』『へんな女』など、抜群の歌唱力でヒット曲の実績もありますが、破天荒で無頼漢を気取った豪放磊落な生き方が周囲の誤解を招いた面は否めませんでした。(画像はレコードジャケットより)



水原弘とは誰だ


水原弘。おそらく若い人にはわからない名前でしょうが、顔はご存知かもしれません。

何しろ、いまだに40年以上前のアース製薬のホーロー看板は、地方に残っていますね。由美かおるも若い。

水原弘アース渦巻
Wikipediaより

水原弘は、東京府東京市深川区(現在の東京都江東区)の出身です。

東京都立赤坂高等学校2年の時に、文化放送主催の『素人ジャズ喉自慢』に優勝。

その後活動していたジャズ喫茶で渡邊美佐にスカウトされ、芸能界入り

渡邊美佐さんというのは、坂本九やジェリー藤尾が所属したマナセプロの社長夫妻の長女であり、渡辺プロダクションの副社長であることは有名ですね。

ちなみに、現マナセプロダクション社長・曲直瀬道枝さんは実妹です。

水原弘はマナセプロに所属。低迷していた時期は渡辺プロに所属したこともあったようです。

水原弘は、ジャズ喫茶から、独特の風貌・歌唱力によって『黒い花びら』で衝撃的な登場。

その後は「スター気質」が抜けず、その豪遊のツケで体を壊し、さらに借金返済のための激務。

いったんは『君こそわが命』でカムバックしたものの、結局早逝した、といわれています。

享年44歳ですから、さすがに若すぎますね。

水原弘伝である『黒い花びら』(村松友視著、河出書房新社)によると、勝新太郎と知り合って「スター気質」を影響されてから、付き合いもない人の勘定まで面倒見て、一晩に大金を使う飲み方をするようになった。

俳優としてコンプレックスを抱えていても、三味線という芸がある勝新太郎に比べ、ヒット曲を出し続けなければ存在価値がない「流行歌手」の水原弘の方が、余裕がなくスターとして振る舞い続けなければならなかったと村松友視氏は見ています。

天衣無縫の勝新太郎も、実は俳優として悩んでいたんですね。

村松友視は、水原弘は破滅して短命だったけれども、「自分のステージの上における“無頼”のイメージに、ステージを降りた後も責任をとった芸人だった」と、その生き方を否定していません。

要するに、カメラが回っていなくても、キャラクターとしての「水原弘」でありづつけたというのです。

貧乏を売り物にしながら、実はリアルでは蓄財しているタレントなんてたくさんいます。

もちろんそういう人たちも生活があるから否定はしませんが、少なくとも水原弘について、古き良き時代の芸能人の豪快な生き方、というステレオタイプの見方ではなく、命までかけて(無頼として)愚直に生きるという生き様を貫いたことを理解したいと思いました。

黒い花びら



『黒い花びら』(1959年、永六輔作詞・中村八大作曲)。水原弘の代表作となる初めてのリリースであり、第1回日本レコード大賞を受賞した歌謡史上に残る歌のタイトルです。

いきなり、黒い花びらが散るという歌詞で、ロック的曲調のバラード。

いわゆるロッカバラードとして、当時のおそらく当時は相当のインパクトがある歌だったと思います。

君こそわが生命



『君こそわが生命』(1967年2月、作詞:川内康範/作曲・編曲:猪俣公章)も、心に染み入るいい歌です。

『黒い花びら』で第1回日本レコード大賞をとった水原弘が、再び第9回日本レコード大賞・歌唱賞を受賞しました。

さらに本楽曲で、リリースした年の「第18回NHK紅白歌合戦」に5年ぶり4回目の出場を果たしただけでなく、1969年の「第20回NHK紅白歌合戦」と、生涯最後の紅白出場となった1973年の「第24回NHK紅白歌合戦」と、合計3度歌っています。

私は、リアルタイムで『黒い花びら』は聴いていないのですが、『君こそわが生命』は覚えています。

OGPのツイートの通り、「が」行を鼻濁音できちんと歌っており、子どもである私が口ずさむときも日本語のお手本となる歌い方でした。



へんな女



水原弘は、『黒い花びら』と『君こそわが命』の間に若干売れなかったブランクがあるらしいのですが、『君こそわが命』以降もそれが続き、2度目の「カムバック」となったのが、この『へんな女』(1970年9月、浜口庫之助作詞、小谷充作曲)です。

タイトル通り「へんな女」を歌うナンセンスソングですが、別に女性をバカにしているわけではないのです。

変わった女性にへんなところで会って惚れてしまったへんな男、という歌です。

「ウパウパティンティン」のフレーズと、水原弘の抜群の歌唱力と、コミカルなハマクラ節が見事にマッチした楽しい歌です。

歌詞の中に、「へんな唄歌う、へんな男」と水原弘が歌うと、コーラスの子供たちが、水原弘の名前を呼びます。


これは、紅白歌合戦で歌われ、CMソングにも使われたので、よく覚えています。

いい歌手だったので、もう少し歌い続けていただきたかったですね。

水原弘、ご存知ですか。




君こそわが命 - 水原 弘
君こそわが命 - 水原 弘

黒い花びら (河出文庫)

黒い花びら (河出文庫)

  • 作者: 村松友視
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2013/02/15
  • メディア: Kindle版



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コメント 22

うさこ

水原弘さん知らないです(^-^;


コメントありがとうございました。
テラスでぽーっとするのが大好きです。
by うさこ (2020-07-05 23:05) 

ゆうのすけ

水原弘さんの歌は知ってますが 歌っている姿は全く記憶がないんですよね。
「へんな女」すごく惹かれるタイトルですよね。
1970年の紅白で披露されていますが 紅組の対戦相手は
「笑って許して」和田アキ子さんだったんですよね。^^;
by ゆうのすけ (2020-07-05 23:35) 

ナベちはる

水原弘さんは存じあげませんが、44歳で亡くなられたとはかなり早いですね…
by ナベちはる (2020-07-06 00:35) 

犬眉母

スターは夢を売る、という哲学があったんでしょうね。
by 犬眉母 (2020-07-06 01:56) 

扶侶夢

私が幼少の頃に初めてものまねをして大人たちの前で歌っていたのが『黒い花びら』だった記憶があります。大好きな歌手でした。当時のお気に入りは映画スターでは宍戸錠、歌手では水原弘で、牧伸二の『ヤンナッチャタ節』でフランク永井と並んで “低音の魅力”と歌われていたことを思い出します。
>命までかけて(無頼として)愚直に生きるという生き様を貫いたことを理解したいと思いました。
こうやって理解してもらえると本人も草葉の陰で喜んでいると思います(笑)
by 扶侶夢 (2020-07-06 03:30) 

shiho

水原弘さん…、あまり覚えがないのですが!
親が君こそわが命を口ずさんでいたような???
by shiho (2020-07-06 04:21) 

我流麺童

♬貴方をほんとは愛していた~♬子供ながらに水原弘さんが歌う"君こそわが命"を低音で真似していた記憶があります。
by 我流麺童 (2020-07-06 05:57) 

pn

水原弘を演じ切ったって事か、根は真面目だったんでしょうね。
by pn (2020-07-06 06:17) 

kohtyan

すごい歌手だったですね、
黒い花びら、君こそわが命、今も歌い継がれています。
酒を飲み過ぎましたね、もっと歌い続けてほしかった。
by kohtyan (2020-07-06 09:55) 

エンジェル

もちろん知っています。低音の魅力でした。
44歳で亡くなられたんですか?ちょっと老けて見えますね(^^;
by エンジェル (2020-07-06 10:34) 

旅爺さん

水原弘が黒い花びらでデビューしてきたときは
凄くかっこいい歌手だと思って好きでした、が
短い命でしたね。
by 旅爺さん (2020-07-06 10:35) 

十円木馬

第1回日本レコード大賞を受賞した事実は、未来永劫語り継がれます。昭和の時代は豪放磊落なスターが実に多かったですね。
by 十円木馬 (2020-07-06 14:08) 

みうさぎ

レコードありました。
覚えてます
ウパウパティンティン ウパウパティン~
へんなカッコしてる変なおんな♪~
歌えるよん
黒い花びら
とか 母が話をしてくれたので
映画は観た記憶はないですが



by みうさぎ (2020-07-06 16:27) 

kou

そんなに早く亡くなっていたんですね。
歌は親父がしょっちゅう口ずさんでいたせいか、結構覚えています。カラオケでもすぐに歌えるかもしれません。
by kou (2020-07-06 19:33) 

gardenwalker

こんばんは
ホーロー看板以外何も知りませんでした
歌手だったんですね、水原さんって名前も初めて知りました
いまでもたまに見かけますがインパクトありますよね
by gardenwalker (2020-07-06 21:38) 

mau

アースの看板は由美かおるさんしか見たことなかったです。
by mau (2020-07-06 22:10) 

maro_maro

アニメ『カムイ外伝』の曲もいいですよねぇ(^_-)
by maro_maro (2020-07-06 22:27) 

なかちゃん

水原弘さん、存じているのはお名前だけですね。
ただし、アースの看板は我が家のすぐ近くにごく最近まであったので、そちらは憶えています(^^;

by なかちゃん (2020-07-06 22:42) 

beny

黒い花びらを初めて聴いた時は,ものすごくインパクトを感じました。ハスキーで寂寥感溢れる歌唱力は、マネの出来ない天性のもの。黄昏のビギンも好きです。ちあきなおみもカバーしてましたね。
 何故か長谷川明夫とダブってしまうのは私だけでしょうか。
by beny (2020-07-07 10:37) 

U3

銀座で豪遊していたそうですね。
by U3 (2020-07-08 00:43) 

Azumino_Kaku

こんばんは、
蚊取り線香と、水原弘と、由美かおるのホーロー看板の組み合わせは鉄板のレトロな日本の風景という感じですね。歌手としての水原さんの活躍は存じませんでしたが、この看板はよく覚えております。

「豪遊で身体をこわし、借金返済のための激務・・」という部分拝読し、かつての芸能の世界は、器の大きい人がたくさんいたのだと改めて思います。
by Azumino_Kaku (2020-07-08 21:58) 

そらへい

活躍されていた時期が私は子供の頃だったので
大人の歌手でしたね。
by そらへい (2020-07-11 21:49) 

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