ダストレスチョークの生産ラインは障碍者、日本理化学工業の取り組み [障害者]
ダストレスチョークはご存知ですか。粉末が飛び散らない粒子の重いチョークですが、年間20万トンは廃棄されるというホタテの貝殻を原料に使っていることが特徴。さらに生産ラインは、知的障害者が長年携わっていることをTBS NEWSがFacebookで紹介しています。
日本理化学工業のダストレスチョークの生産
TBS NEWSが投稿した、ニュース番組のダイジェスト動画です。
北海道美唄市の小学校で、色を細かく使い分ける板書のシーンが映し出されます。
チョークには、SDGsの可能性が詰まっているというナレーション。
どういうことでしょうか。
「字のカスレがなく、発色がいい」(板書する先生)
「重ねたら、いろいろな色になるので楽しい」(児童)
チョークを作っているのは、地元の理化学工業。
チョークの全国シェア7割を占め、海外20ヶ国にも輸出されているそうです。
チョークの原料は、毎年20万トン近く捨てられている道産のホタテの貝殻を使っています。
その貝殻を、独自の技術で5ミクロン(1000分の5ミリ)に砕き、練り上げることで、粉末が飛び散らない粒子の重いダストレスチョークが出来上がります。
1日20万本生産していますが、そのラインは27人の知的障害者が担当しています。
同社は、60年前から知的障害者を積極的に雇用しているといいます。
知的障害者の「能力を引き出す」
【私が使うチョーク】財政政策は赤、金融政策は青など私は事前に板書のルールを決めて講義をするのでカラーチョークを多様する。必ず私は日本理化学工業 @kitpasportal 様のダストレスチョークを活用する。品質の良さに加え、従業員の7割超に障碍者を雇用するフィランソロピー精神に共鳴するためだ。 pic.twitter.com/ZdoTw9Csd9
— 矢住勝大(やずみかつひろ) (@yazumikatsuhiro) March 30, 2020
日本理化学工業の本社は、神奈川県川崎市高津区。
たとえば、数字を読むことが苦手な人には、グラムではなく色で計量できるよう、目方に色の目印をつけて能力を引き出すことで、従業員は働く喜びを得るといいます。
「いい製品を送れるように、お客さんに喜んでもらうために働いています」(従業員)
障碍者を採用するだけでなく「能力を引き出す」
ここがポイントですね。
同社は、従業員の7割が知的障害者、チョークの生産ラインはすべて障碍者が担当しているそうです。
ライン管理も職能があり、たまに欠勤者の代わりや、繁忙期に臨時で健常の従業員が入っても、足手まといになることもあるとか。
まさか、労働力として、障碍者>健常者のはずがない、と思いますか。
知的障害者もケースは様々ですが、自閉症由来の場合、日々ひたすら同一単純作業で、健常者には真似できないほどの集中力を発揮することがあります。
決まったことは絶対に欠かさず、すべての工程を完璧にまじめに守るんです。機械のように正確精密に。
まあ意見は多様というか、障碍者の親御さんにも「わかっちゃいない」人が一部にいます。
曰く、「障碍者と見下して単純な作業をさせているのは差別だ」と。
こういう不満は実話なんです。
もちろん、これはすべての知的障害者が、ルーチンワークを必ず確実にこなせるということではないし、知的障害者がそれ以外の仕事を選んではいけない、ということでもありませんから、そこは誤解なきよう。
ただ、同社の「能力を引き出す」環境によって、日々ひたすら同一単純作業の得意な知的障害者がその能力を全面開花している現実がある、ということです。
従業員と向き合った「人的資源管理」
法律では、従業員50名以上を擁する会社は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」によって、従業員全体の2.0%以上障碍者を雇用することが義務付けられています(重度障害者の場合は2名として計算される)。
が、実際には「戦力にならない」と決めつけて、雇うだけで仕事を与えない会社もあるといいます。
これは、障碍者にとっても、会社にとっても不幸な話です。
以前ご紹介した、クロネコヤマトのヤマトホールディングスが、同法で定められたグループ内企業の障碍者をまとめて採用する特例子会社において、パンと軽食のスワンカフェ&ベーカリーを運営し、障碍者を「戦力」としているのはまだまだ少ない例です。
障害者が働くパン屋さん ベトナムでヤマト子会社が展開
— 障害部位でつながるSNS (@OpenGate_AL) January 12, 2019
宅配大手ヤマトホールディングスの特例子会社スワンが展開するスワンカフェ&ベーカリーが、海外初のフランチャイズ店をベトナム南部ホーチミンに2店舗オープンさせた。まずは現地の障害者の女性2人が働き始めたhttps://t.co/2hbpt28Fh4
それにしても、障碍のあるなしに関わらず、従業員の「能力を引き出す」ことをちゃんと考えている会社が、どれだけあるのでしょう。
いっくら「人材が命」とかいったところで、ノルマだけ与えて、できなければ使い捨てるという了見では、有望な人材は育ちません。
たんに職務内容を刷り込む「研修」だけでなく、会社は社員とミーティングを積極的に行い、その能力や適性を存分に発揮できるような環境を作ったほうが、その会社にとってもメリットが有るはずです。
みなさんの会社では、いかがですか。
虹色のチョーク - 小松 成美
日本理化学工業 ダストレスチョーク 蛍光6色(赤・橙・黄・緑・青・紫) DCK-6-6C
- 出版社/メーカー: 日本理化学
- メディア: オフィス用品
随分とカラフルなチョークですね。昔のイメージとはかなり違いますね。やりがいを持って作業されていて頭がさがります。
by ヤマカゼ (2020-07-05 01:20)
>障碍のあるなしに関わらず、従業員の「能力を引き出す」ことをちゃんと考えている会社が、どれだけあるのでしょう。
結果が求められる以上、「能力を引き出す」ところまで考えている会社、少ないように思います。
by ナベちはる (2020-07-05 01:21)
SDGsを標榜していても形だけの会社が多くある中で、このように誠実に実践している会社もありますね。会社を選ぶときにその辺を見るかどうかは利用者側、消費者側のスタンスの問題です。誠実な会社が潰されない様な社会が本来実現されるべきなんですけれどね。
by 扶侶夢 (2020-07-05 02:33)
弊社の場合本人のやる気の問題があるような(^_^;)
by pn (2020-07-05 06:14)
ダストレスチョーク!知らなかったです。
しかもホタテ貝が原料だったとは!
勉強になりました。
by marimo (2020-07-05 09:02)
法定雇用率2.0%の障害者を雇用する義務があり、達していない場合、企業名を社会に公表される事もあり、企業努力は当然なのですが、実際業種にもよりますが、適材適所の割り振りが非常に難しかったことが経験上思い出されます。
by 十円木馬 (2020-07-05 14:27)
私が勤務していた動物病院でも発達障害的な
トリマーの女の子がいました。
コミュ能力に少し問題があるようで、
でもトリミング技術は、素晴らしいものがありました。
お客さんとのコミュは、院長がとり、
それを彼女に伝達すると、その通りに仕上げていきます。
気持ち的には弱いところがありましたが、
技術と真面目さは凄かったですね。
by 念仏親父 (2020-07-05 15:25)
たまたまこの番組を見ました。
皆さん笑顔だったのが印象的でした。
健常者であれ、障碍者であれ
仕事にいやいや取り組むよりは
ずっと健康的でいいですね。
by そらへい (2020-07-05 20:36)
普通の企業と勝負出来る商品は、素晴らしいですね。
by mau (2020-07-05 21:53)
ここのチョークを毎日使っていますよ!
by tyuuri (2020-07-05 22:55)
色々な企業が気づいてくれたら、雇用が増えると思います。
by 犬眉母 (2020-07-06 01:58)
とてもキレイな色のチョークですね^^
思わず手にとってみたくなります。
by Rinko (2020-07-06 08:23)
日本理化学工業については、東京新聞で何度か取り上げられていて、すごい会社だなと思いました。
この記事で、さらに多くの方に知ってもらえてうれしく思います。
by hnhk (2020-07-07 08:31)