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ジェリー藤尾、『遠くへ行きたい』をヒットさせ、最近は『やすらぎの刻~道』に出演 [懐かし映画・ドラマ]

ジェリー藤尾、『遠くへ行きたい』をヒットさせ、最近は『やすらぎの刻~道』に出演

今日はジェリー藤尾さん(1940年6月26日~)の誕生日です。おめでとうございます。もう80歳なんですね。歌手としては『遠くへ行きたい』をヒットさせ、俳優としても『どですかでん』など個性的な役を演じています。最近は『やすらぎの刻~道』に久々に出演して話題になりました。(画像は下のOGPより)




ジェリー藤尾とは誰だ


ジェリー藤尾は、NHKアナウンサーの父と、イギリス人の母のハーフとして生まれました。

中国からの引揚者で、英語を使っていた(日本語が拙かった)ことや、日本人の容姿と異なることで、ジェリー藤尾とその母は差別体験をしたそうです。

母親はその心労から体を壊して早逝。

ジェリー藤尾は、愚連隊に入りやさぐれていましたが、ジャズ喫茶で歌っていたところをマナセプロからスカウトされて芸能界入りしました。

マナセプロというのは、坂本九、水原弘、山下敬二郎、森山加代子らの所属していた、当時は日の出の勢いの事務所です。

1962年にリリースした『遠くへ行きたい』は大ヒットし、1970年10月にスタートした同名の旅行番組の主題歌としても使われています。


やさぐれていた過去から、芸能界一喧嘩が強い男として知られ、実際に武勇伝もいろいろあったようです。

たとえば、目尻には傷がありますが、その勲章とも言われています。

俳優としては、世界のクロサワの映画『どですかでん』や、岡本喜八監督のヒット作『独立愚連隊』などに出演しています。

どですかでん



『どですかでん』は、黒澤明監督が、山本周五郎的世界を描いて賛否両論の初カラー作品です。

ごみの集積所の一画に形成されたスラムを舞台とした、そこに生きる個性ある人びとの生活を描いています。

『どですかでん』人生は貧富や倫理で幸福か否かは決まらない!? 

主人公の六ちゃん(頭師佳孝)は知的障害者で、川の向こう側の健常児からは、石を投げられています。

でも、舞台となる集落の人たちは、彼をいじめません。

かといって、腫れ物にさわるような扱いもしません。

会話を求められればそれに応じ、奇行と思える行動も、別に危険がなければそのままです。

普通に接しているのです。

障碍者と生きるモデルのような描き方でした。

私は、障碍のある子どものことが多少は分かるので、この作品はリアリティがあって好きですが、というか、こんなに面白い作品はないと思うのですが、“世界のクロサワはこんな下世話な長屋話は撮っちゃいけないんだ”という声もあり、当時は興行・批評とも不振で、結局黒澤明監督は自殺未遂に追い込まれています。

クドカンこと宮藤官九郎さんも、この作品をすごく推してますけどね。

今回は割愛しますが、登場人物が、面白すぎるのです。

キャラ設定だけでなく、深いリアリティがあります。

ジェリー藤尾は、くまん蜂の吉という、誰彼となく喧嘩をふっかける役です。


もっとも、デフォルメしたアクションで啖呵を切るのですが、スラムの住人には誰一人手をかけることはしません。


ガチで喧嘩したらこんなもんじゃにないだろうにと思いますが、喧嘩慣れしている人でないとできない役かもしれません

誤解された泥沼離婚劇



ジェリー藤尾は、同じ時期に歌っていた渡辺トモコ(渡辺友子)と結婚、

2人の娘も含めて、幸せファミリーとして、番組の司会やCMなどに出演していました。

ところが、突然、渡辺友子が家を飛び出して別居⇒離婚。

渡辺友子が、ジェリー藤尾の浮気やDVが原因であると述べ、それに対してジェリー藤尾は反論など同じ土俵には立たなかったので、芸能マスコミはジェリー藤尾をいっせいに叩きました。

ところが、離婚の際、2人の娘は父である藤尾の側に付き、長女は「あの人は人間のクズ」と、渡辺友子の乱れた素行や男性関係を暴露しました。

娘にそこまでさせる母親ってどうなの、と思いますが、それはともかくとして、そのスキャンダルの余波でジェリー藤尾は仕事が減り、田園調布の豪邸を売却せざるを得なくなりました。

それでも、「(嫁いだ)娘の世話になる気はさらさらない」として、再婚もせず、現在は有料老人ホームで暮らしているそうです。



老人ホームからドラマに出演



しかし、ジェリー藤尾は、『やすらぎの刻~道』に出演。

久々に歌声も聞かせてくれました。

老人ホームに入所しても、全く引退したわけではなく、今も声がかかれば出演する意思はあるということでしょう。

Wikiには、2010年に渡辺友子の不貞を、ジェリー藤尾自身が認める発言をしたと記載されています。

私の記憶では、相手はジェリー藤尾の知っている人であることを示唆していて、渡辺友子の名前を聞くのも口にするのも不愉快だ、というような内容だったと思います。

子供の頃は差別され、離婚時は誤解され、家も失うなど辛いことも多々あった人生ですが、そうした陰翳に富む生き様は、古くからジェリー藤尾さんを知るファンにとっては、畏敬の存在にすらなっているようです。


これからもお元気で、たまにはメディアで近況をお知らせいただきたいですね。





遠くへ行きたい - ジェリー藤尾
遠くへ行きたい - ジェリー藤尾

どですかでん - 頭師佳孝, 田中邦衛, 菅井きん, 加藤和夫, 伴淳三郎, 芥川比呂志, 松村達雄, 黒澤明, 黒澤明, 小国英雄, 橋本忍, 黒澤明, 松江陽一
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ともあれ、人生は美しい ―昭和を生き抜いたジェリー藤尾の真実―

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  • 出版社/メーカー: 創美社
  • 発売日: 2005/09/26
  • メディア: 単行本



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コメント 13

mau

なんこカッコいいですね
by mau (2020-06-27 00:03) 

ナベちはる

>実家の畳に額を擦り付けました
ファンにとっては、神様のような方なのですね。
普通であればなかなかしないことをするとは、よほどではないかと思います。
by ナベちはる (2020-06-27 01:30) 

犬眉母

苦労されたんですね。
言い訳をしない。美しいですが、
声の大きい人が得をするこんな不条理な世の中で、
なかなかできることではありません。
美学もあるでしょうが、子どもの母親の悪口を言わない、
というモラルでもあったのかなと思います。
by 犬眉母 (2020-06-27 04:47) 

わたし

やすらぎの刻はずっと見ていました、ジェリー藤尾さんは、最初気が付きませんでした。
出演者のクレジットをみて、あっ!と気づきました。
離婚理由は、渡辺知子さんの素行だったのはおどろきです、可愛い奥様だと思ったのに。

by わたし (2020-06-27 08:41) 

扶侶夢

ジェリー藤尾は誤解され続けの人生でつらかったと思いますが自負心があるから弁解せずに生きれるのでしょうね、素晴らしい人です。…こういう私も誤解していましたが(苦笑)
映画「どですかでん」は異色ですが最高に良い映画だと思います。確かに興行的にはキツイ部分はあるかも知れませんがあんな映画撮れるのは黒澤監督しかいませんよね。悪評価する評論家の気が知れません。
by 扶侶夢 (2020-06-27 09:27) 

なかちゃん

最近はあまりお姿を拝見しませんが、お元気なのなら何よりです。
子ども心に日本人とはちょっと違う風貌だと思ってみていました。

by なかちゃん (2020-06-27 11:06) 

十円木馬

ジェリー藤尾と渡辺知子の離婚は記憶にありますが、このブログを読んで経緯を理解しました。子供の証言は、真相を知るうえで大きな影響力がありますね。
by 十円木馬 (2020-06-27 11:42) 

yokomi

愚連隊にいたとは驚き(^_^;) 世界の黒澤明監督なら、何を作ってもいいと思うのですがねぇ。了見の狭い方が多かったのですね(>_<)
by yokomi (2020-06-27 12:24) 

kou

ジェリー藤尾さん、ひさしぶりに聞きました。テレビでは何度も観ているのですが、そこまで壮絶な人世だったとは思いませんでした。しかし、娘さんのご理解があって本当に良かったのではないでしょうか。
by kou (2020-06-27 17:08) 

ヤマカゼ

見た目がかっこいい人だなと思っていたのですが、苦労を地でいく人生の方だったとは知りませんでした。
by ヤマカゼ (2020-06-27 18:37) 

ヨッシーパパ

従兄が似ていたので、親近感がありました。
その従兄は親戚のおじさん達によくからかわれていました。
by ヨッシーパパ (2020-06-27 18:57) 

そらへい

「どですかでん」タイトルは知っていましたが
そのような中身の作品とは知りませんでした。
一度、見てみたいですね。
「遠くへ行きたい」憧れた歌です。
by そらへい (2020-06-27 21:00) 

pn

日活映画にもそこそこ出てましたよね確か。あとで調べよう(^_^;)
by pn (2020-06-27 21:10) 

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