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久米明、90歳過ぎても現役だった役者・ナレーター [懐かし映画・ドラマ]

久米明、90歳過ぎても現役だった役者・ナレーター

久米明さん(1924年2月8日~2020年4月23日)の訃報が話題です。『すばらしい世界旅行』『鶴瓶の家族に乾杯』などのナレーション、ハンフリー・ボガートの声をあてるなど、現役最年長の声優として活躍しました。しかし、俳優としても実績は十分です。(上の画像は『ありがとう』『金環蝕』作品中より)



久米明とは誰だ


久米明さんは、東京商科大(現一橋大)時代に演劇研究会を立ち上げ、その後、劇作家木下順二さんや山本安英さんらと「ぶどうの会」を創立しました。

文学座から離合集散を重ねて発足した劇団昴にも所属。

ナレーションでは、多くの小説の朗読を担当しています。

NTV系で放送されていた『すばらしい世界旅行』を20年以上つとめていました。

またつい最近までは、NHKの『鶴瓶の家族に乾杯』でも独特の語り口を聞かせてくれていました。

「90歳を超えても達者で何より」と思ったものです。

しかし、終日コロナ報道一色である今月に入って、同番組はひっそりと降板していました。

都内の高齢者施設に入ったそうです。

ということで、久米明といえば声優のイメージが強いかもしれませんが、私は俳優としては『ありがとう』と『金環蝕』を思い出します。

ありがとう(第3部)



『ありがとう』は、石井ふく子プロデューサー、平岩弓枝脚本による、テレビドラマ史を語る上で不可欠なお化け番組です。

一応確認として、お化けとか、化けるって意味ご存知ですよね。

テレビドラマですと、驚異的な数字(視聴率)が出ることを指します。

ドラマは、1970年代に1年ずつ4部にわたって制作されました。

その都度設定と配役は違うのですが、第3部までは山岡久乃と水前寺清子の母子、第4部は京塚昌子と佐良直美の母子を中心にストーリーが展開するホームドラマです。

切った張ったもない、過激な愛憎もない、ありきたりな職場や商店街や家庭の出来事を描いたものですが、家庭の温かさを感じるいいドラマでした。

第1部や第2部では、母である山岡久乃に、叱られたり励まされたりして生きていく娘の水前寺清子が描かれていましたが、第3部では山岡久乃が再婚し、水前寺清子は独り立ちをします。

その再婚相手が久米明です。

久米明にも娘(大空真弓)がいる設定ですが、何かあると4人でコミュニケーションを取り、そのまとめ役としていいお父さんを演じていました。

視聴率は、第2部で水前寺清子と石坂浩二が結婚する回(1972年12月21日放送)が56.3%を記録。

おそらく単発では、今後も破られることはないであろうすさまじい数字とは思いますが、ドラマ全体としては私は第3部がいちばん印象に残っています。

金環蝕



金環蝕』(1975年、大映映画/東宝)は、石川達三による、同名のノンフィクション小説を原作とした山本薩夫監督の映画です。

このツイートで指摘されているように、久米明は池田勇人元総理にそっくりなのです。

映画では、池田勇人は寺田総理という役名でした。

『仁義なき戦い』と同じで、実録映画なのに仮名にしているのですが、出演者たちのメークが似すぎているのであまり意味がありません(笑)

さて、かつての自民党総裁選では、何十億という札束が乱れ飛んだといいます。

そのカネの出処は、ゼネコンなど公共事業者との談合汚職によって得る「献金」。

『金環蝕』では、宰相夫人が名刺を使って、談合を事実上指揮しますが、それを暴こうとする者はみな消されてしまうという、政治の世界のダークな部分が描かれています。

さすが、山本薩夫作品だけあり、宇野重吉を筆頭に、三國連太郎、山本學、大滝秀治、永井智雄、内藤武敏、加藤嘉、神山繁、北村和夫、久米明、西村晃……と、存在感あり過ぎの御用達俳優が揃っています。

『金環蝕』は重厚な見ごたえある作品で何度見ても飽きません。ぜひお勧めしたいですね



昭和は遠くなり、大正はさらに彼方へ


今回の訃報で、昭和は遠くなりにけり、といいたいところですが、久米明さんはそれ以前の大正生まれです。

今や、履歴書や各種申込用紙の「生年月日」選択肢に、「明治」が記載されることはほぼなくなりましたが、「大正」はあと何年残るのでしょうか。

久米明さんの生前のご遺徳をお偲び申し上げます。

僕の戦後舞台・テレビ・映画史70年 - 久米明
僕の戦後舞台・テレビ・映画史70年 - 久米明

金環蝕 - 仲代達矢, 宇野重吉, 三國連太郎, 西村晃, 山本学, 中村玉緒, 大塚道子, 長谷川待子, 北村和夫, 大滝秀治, 山本薩夫, 田坂啓
金環蝕 - 仲代達矢, 宇野重吉, 三國連太郎, 西村晃, 山本学, 中村玉緒, 大塚道子, 長谷川待子, 北村和夫, 大滝秀治, 山本薩夫, 田坂啓

朗読は楽しからずや

朗読は楽しからずや

  • 作者: 久米 明
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2007/04/24
  • メディア: 単行本



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コメント 8

pn

ニュース見た瞬間久米宏と勘違いしました(^_^;)
出演作調べたけどほぼ記憶に無いかった、やっぱナレーターの印象が強いっす。
by pn (2020-04-24 12:49) 

skeptics

冒頭の画像。佐藤栄作さんというより別の国の指導者に似ています。
考えさせられます。
by skeptics (2020-04-24 15:13) 

coco030705

久米明さんがお亡くなりになったというニュースをきいたとき、てっきり久米宏さんだと思って、びっくりしてしまったんですが、94歳で寂と聞いて、あ、違ったとわかりました。
久米明さんのナレーション、とても好きでした。心が落ち着きますね。すばらしい方だったと思います。
by coco030705 (2020-04-24 18:04) 

ヨッシーパパ

私の中では、なんとなく名前を聞いたことがある程度です。
by ヨッシーパパ (2020-04-24 19:05) 

mau

鶴瓶の家族に乾杯は母がよく見ています。
去年までのナレーターの方だったんですね。
by mau (2020-04-24 22:23) 

ヤマカゼ

90過ぎて現役とは、凄い方でしたね。
by ヤマカゼ (2020-04-24 22:31) 

ナベちはる

もう数年で100歳というところまで活躍されていた大ベテラン、失ったものが大きすぎますね。
by ナベちはる (2020-04-25 01:23) 

U3

おはようございます。
役者の久米明よりもナレーションの久米明の印象が強いです。
とても良いお声だった・・・。
by U3 (2020-04-27 09:21) 

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