服のインクルーシブ、障碍があってもなくてもオシャレな服とは? [障害者]
病気や障碍のある人たちを起点にデザインした服のブランド、『041(オーフォアワン)』の服を、日テレNEWS24公式ページがFacebookページで紹介していたのでシェアします。コンセプトは、障碍があってもなくても、「誰が着てもオシャレ」とのこと。服のインクルーシブといえるでしょう。
車椅子でも脱着ができる服
『041(オーフォアワン)』の動画はこちらです。
動画では、一見おしゃれなTシャツながら、よだれかけにもなる服が紹介されています。
こちらがツイッター版のシェアです。
障害者が起点 041ファッション
— たかこ*新潟ヘルプマーク普及ネットワーク&SDGs (@r2Nn7tlbQ2uqSDp) March 30, 2020
障害があってもなくても「誰が着てもオシャレ」がコンセプトの服
よだれ掛けにもなるTシャツや車いすに座ったまま着れらるコートなど
、障害や病気のある人に寄り添った洋服をデザインするブランド「041」
#日テレNEWS24 #日テレ #ntv https://t.co/uLhnLHmEAH
車椅子の男児が着ているのは、両脇に縦のファスナーがつき、それを開けると生地が口元まで届く構造になっています。
背面が簡単に取り外せるので、車椅子での着脱が容易になるとのことです。
よだれや食べこぼし止めにもなります。
脳性まひや、強い薬でてんかん発作などを抑えている副作用で、よだれが出てしまうことがあるのです。
動画では、前面が開いて着脱しやすいパンツや、背面が取り外せて座ったままでも着られるコートなどが紹介されています。
いずれも、コンセプトは座ったままということですから、バギーや車椅子利用者には便利でしょうね。
ただ、率直なところ、個人的にはちょっと期待はずれかな。
『障碍があってもなくても、「誰が着てもオシャレ」』を標榜するなら、これだけでは足りないと思います。
そもそも障碍のある人で車椅子利用者はごく一部であり、そうでない障碍で服の脱着が困難なケースはほかにもあります。
たとえば、いくら前面や背面が脱着できるといっても、そもそも脱着する手や指が不自由だったり、視覚障害でファスナーがうまくつけられなかったりする障碍者は大勢いるということです。
たぶん今回の服は多くの障碍当事者にとって、「脱」はできても自力の「着」は難しいのではないでしょうか。
車椅子というのは誰から見てもわかりやすいので、障碍者の象徴みたいなところがあるのですが、車椅子には乗らない各種発達障害、知的障害、高次脳機能障害など、可視化出来ない障碍をもっと見ていただきたいですね。
可視化出来ない障碍者のために
……と、文句をつけるだけでなく、私だったらこういうものを開発しますよ、という例を示します。
というか、我が家では実際に自作して使っていたものですけどね。
色違いの面ファスナーで止める
ボタンは、脳卒中経験者も含めて、脳障碍者にはハードルがやや高いのです。
ファスナーも、合わせるところが難しいようです。
そこで、前ボタンは思い切って面ファスナーにするのです。
そして、面ファスナーをつけるだけでは視覚障害のある人には十分なカバーになっていないので、色を交互に変えています。
同じ色の面ファスナー同士を合わせればよいので、ボタンの掛け違いならぬ、面ファスナーの合わせ違いを防ぎます。
さらに、ここがミソですが、将来はボタンがつけられるリハビリにもするために、途中でボタンも1つ入れておきます。
真ん中にひとつから始めるといいと思います。
できるようになったら、ボタンを2つ、3つと増やしていけばいいのです。
そして、ボタンが完ぺきにできるようになったら面ファスナーは卒業。
今度は色だけをかえてボタンの服に進みます。
色違いのボタンとボタンホール
ボタンと、合わせるボタンホールの穴かがりを同じ色にします。
これによって、ボタンをかけ違うことを防ぎます。
もちろん、手指がどうしても不自由で、面ファスナーでないと自力でつけられない、ということなら面ファスナーのままでもいいと思います。
いうまでもないですが、面ファスナーは健常者の服でも使いますよね。
ボタンの色をかえるというのは、デザインとして成立すると思います。
ということで、インクルーシブな服としていかがでしょうか。
箸入れも工夫次第
あとは、服ではないのですが、以前ご紹介しましたお弁当の箸袋なども、応用できます。
⇒高次脳機能障害ってこういうことなんです、リハビリ箸袋自作経過
箸は箸袋に入っていますが、布が暗い色のためか、高次脳機能障害の長男はボタンホールの穴がどこにあるのか、なかなか見つけることができませんでした。
高次脳機能障害というのは、色盲や色弱ではないのに、脳と視神経の回路が壊れてしまうことで、色が同じだと判別できないことがあります。
そこで、ボタンホールの周囲を赤い糸でかがり、穴の位置がわかるようにしました。
これは成功で、すんなりボタンがかけられるようになったのですが、
布が裏も同じ色なので、蓋にあたる布を裏返しにしたままボタンをかけてしまうことがたびたびありました。
これはボタンをかけるときに、袋を持ち上げたり、向きを変えたり、いろいろ動かしているうちに表か裏かわからなくなってしまうのが原因のようです。
対策は、表と裏で色を変えることで違いを認識させるのが効果的と思い、裏の部分は別布を縫い付けました。
これにより、ボタンホールに厚みが出てしまい、掛け外しがやや難しくなったようですが、毎日続けることで慣れてボタン作業がスムーズにできるようになりました。
箸入れに限らず、こうした工夫で、健常者が使っても「おしゃれで便利」と思える作り方は可能だと思います。
まとめ
これを読まれているあなたも、将来、脳卒中になったり、がんで体の一部を切除したりした中途障害にならないとは限りません。
そんなとき、罹患前と罹患後で、服や道具など生活が一変したら、不便だし寂しいと思いませんか。
今回のような服や箸入れを使っていれば、脳卒中になってもずっと使い続けられるのでもう安心……っていい方はちょっと変ですが、こうした「障碍があってもなくても使える」デザインも、社会のインクルーシブ化の一環であると思いますので、気がついたことはこれからも提案していきたいと思います。
SDGs時代の課題解決法 インクルーシブデザイン (課長塾) - 井坂 智博
色分けは老眼にも効果絶大じゃないっすかね?
by pn (2020-03-31 10:22)
色違いのボタンとその色に合わせたボタンホールがとってもステキです!
これはいいですね~(^。^)
by Rinko (2020-03-31 11:38)
マジックテープは便利ですよね。犬服では大抵マジックテープになっています。ボタン留め、歳をとると難しいようです。義父も厚手のコートなどのボタン留める時時々手伝ってと言います。
年老いても使い続けられるおしゃれな物、これからもぜひご提案下さい!!
by エンジェル (2020-03-31 14:21)
最近、介護しやすいお洒落な洋服の普及が多くなりましたね。身内が骨折してちょっと大変な状態ですが、お洒落な服で過してます。
by kou (2020-03-31 17:15)
お洒落な工夫ですね。いつ何時そういう場面に直面するかわからないですよね。
by ヤマカゼ (2020-03-31 18:04)
ツーウェイのジャンパーで半袖にも長袖にも成るタイプは、ジッパー部分を左右色違いにしたり、ボタン部分を左右色違いにして区別を付けていることを思い出しました。
by ヨッシーパパ (2020-03-31 18:41)
色分けなどといったほんの少しの工夫で誰もが使える・着ることが出来るようになること、効果が大きいですね。
by ナベちはる (2020-04-01 00:44)
思いやりにあふれた商品ですね。それでいてお洒落なのでとてもいいことですね。
by ようこくん (2020-04-01 12:58)
工夫のあるお洋服、とてもいいですね。
袖の内側の柄も可愛い!
こういう提言がいくつも上がってくると、参考にできる人が増えますね^^
介護中に、親がバスタオルを落としてしまうようになったので、ぱっと留められるようにマジックテープを付けたのを思い出しました^^
by sana (2020-04-01 20:45)
高齢者にも使えそうな工夫ですね
by mau (2020-04-01 23:44)