SSブログ

舩後靖彦、トップセールスマン⇒障碍者⇒参議院議員という激動の人生で語ったこと [障害者]

名称未設定のデザイン (1).png

舩後靖彦参議院議員といえば、れいわ新選組で当選した難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)患者です。津久井やまゆり園事件で、植松聖被告に死刑判決が出され、改めて障碍者に対する注目が集まっていますが、中途障害で人工呼吸器をつけた舩後靖彦さんのインタビューは、時宜にかなったいい記事です。(画像はれいわ新選組公式サイトより)



舩後靖彦参議院議員の立場と記事の意義


3月16日夕方、Forbs(https://forbesjapan.com/articles/detail/33029?internal=top_firstview_01)が記事を更新。

舩後靖彦参議院議員のインタビュー記事が話題です。


こういう記事があると、内容に関係なく、障碍者は社会の邪魔者だ、という誹謗が出てくるのですが、これを読んだらそんなこと言っていられないだろ、ということがわかります。

舩後靖彦参議院議員はもともと、大学を出て、時計や宝石を輸入する専門商社で、6億円を売り上げるトップセールスマンだったそうです。

舩後靖彦さんの存在は、社会の最前線で活躍している人が、突然障碍者になってしまうことがある、ということを改めて気づかせてくれます。

つまり、この記事は、障碍者をバカにしているあなたの明日の思いかもしれないよ、という前提で成り立っています。

津久井やまゆり園と自分の施設経験


記事は前後編にわかれ、前半は津久井やまゆり園についてコメントしています。

・自分は殴られるなどの直接的な暴力はなかったが、体質に合わない栄養剤を胃ろうから注入され、1年以上下痢を繰り返し、徐々に体がむくんでいった。何度も「栄養剤を変えてほしい」と要求したが聞いてもらえず、保険請求できる栄養剤を自費で払わされ、「経済的虐待」も受けた。精神的虐待については、ネグレクトや一部の職員による暴言があった。

・施設は人間関係が固定化した特殊な環境である

・ヘルパーの「◯◯をさせてください」と言う表現は一見へりくだっているようだが、心の奥底に『支配欲』を潜めており、やまゆり園事件の根底と繋がるものがあったのではないか

舩後靖彦さんは、そんな自身の経験から、施設運営のあり方や施設という構造自体が、植松被告の「差別的な考え方」を醸成する土壌になったのではないかと感じたそうです。

「中途障害人生」で考えたこと


舩後靖彦さんはそんな施設に嫌気が差して2011年、自立生活を始めました。

そして後編では、自らの「中途障害人生」を語っています。

中途障害者というのは、人生で健常者も障碍者も両方経験している人です。

どちらかしか知らないでものを言っているのではなく、ともに経験した上での意見です。

・結婚して子供も3人いる働き盛りの42歳で突然、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)になった。今は人工呼吸器を装着していて声を発することも難しいが、自身の考えや思いを文章にして、代読者などを通じて発信している。

・どん底から社会復帰を目指したが、その道のりは、自らが「障害者が健常者との距離を縮めるため」歩んできた。カメのようにコツコツと歩んできた障碍者は、社会貢献という面でウサギ化した健常者を追い抜き進んでいく場合がある

・「一生外せなくても人工呼吸器で延命したい」という意志を明確に持っていたからこそ現在の使命を果たせる

・人はいつ障害を抱えるか分からないから、障碍者も健常者も分け隔てなく『円』の内側にいる、インクルーシブ(包み込む/包含する)な社会をつくることを目指したい。

インタビューのキモは2つのキーワード


インタビューには、議論になる2つのキーワードがあります。

ひとつは「延命」について。

昨今の「平穏死ブーム」の本質は、なんか格好良く「きれいに」人生を終えたいという考えのようで、まるで「延命」というのが見苦しい営みのように扱われていますが、そもそも他者に迷惑や悲しみをうまない「きれいな」最期なんてあり得ません。

自分は人生を通して何をしたいのだろうと考え、それがまだ未達であれば、遠慮せずに大いに延命を望んだらいいと思います。

孫が結婚するまで見届けたいとか、オリンピックをもう1度見るまではとか、そういうことでもいいと思います。

もうひとつは、「インクルーシブ」について。

実は大変残念なんですが、障碍者の側から、インクルーシブなんて意味がない、という否定的な意見を聞くことがあります。

まあ立場や理由はいろいろあるのですが、要するに障碍者は健常者についていくのが大変だから、普通の人と一緒なんて意味がないという、私に言わせれば前向きでない意見です。

インクルーシブの本来の考え方は、健常者だっていつ障碍者になるかわからないということを前提としています。

ですから、障碍者を無理やり健常者に合わせるわけではなく、逆に障碍者が排除されずに自立するための社会と人間関係づくりを目指すもののはずです。

たとえば、舩後靖彦さんが議席を獲得したことで、議会のバリアフリー化が進みましたが、それも「インクルーシブ」の一環だと私は解しています。

世の中には、舩後靖彦さんが参議院議員の議席を持つことに文句のある人もいるようですが、健常者でさえあればいいというものでもないでしょう。

思想や個々の政策の賛否は自由に是是非非で行うとしても、舩後靖彦さんによる「気付き」と影響力ついては積極的な評価があって良いと思います。

しあわせの王様―全身麻痺のALSを生きる舩後靖彦の挑戦 - 靖彦, 舩後, 美千子, 寮
しあわせの王様―全身麻痺のALSを生きる舩後靖彦の挑戦 - 靖彦, 舩後, 美千子, 寮

三つ子になった雲 (-)

三つ子になった雲 (-)

  • 出版社/メーカー: 日本地域社会研究所
  • 発売日: 2012/07/09
  • メディア: 単行本



nice!(195)  コメント(12) 
共通テーマ:学問

nice! 195

コメント 12

pn

まあ否定ばかりする人は自分は関係無い所に居ると思ってるから言えるんでしょうね。
子供が死んだニュースを見れば親を攻め飛行機墜落すれば会社を攻める、何かの被害にあった人を注意が足りないとか言って攻める。何故そうなったか何て関係無くただ他人を攻める。
そして自分が攻められる立場になった時、急に弱い自分をアピールして助けを乞う都合よすぎる人達ばかりです。
by pn (2020-03-17 10:37) 

Boss365

こんにちは。
健常者から障碍者になる事を実感しています。小生の恩人も突然難病になり、厳しい現実と戦っています。「インクルーシブ」の教育は必要です。議席獲得で「目に見える形」で一部劇的に変化しました。社会全体に浸透させるには、社会の仕組みを変える必要性がありますが、個々の「気付き」が重要で起爆剤になると感じます!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2020-03-17 12:14) 

なかちゃん

障碍者という存在を身近に感じたことがなく育ち、そして大人になって生活してましたが、ある日突然父親が事故に遭い、病院では『生命が助かったとしても障害が残る』と言われました。最初は尾骶骨の粉砕骨折だったための下半身不随の可能性が、次は治療中に最高血圧が40まで下がった為に酸素が脳に行かなくて、生命が助かっても植物人間となると言われました。
結局父は亡くなりましたが、そんなことがあったので障碍者とは…ということを考えるようになりました。
ボクもまだまだ分かってませんが、まるっきり経験の無い人はやはり分かり辛いのだと思います。

by なかちゃん (2020-03-17 12:58) 

よーちゃん

ばりばりのアスリートでも、ちょっとした事故や
試合中の怪我で障碍を持つこともしばしば。
自分も決して例外でないことを前提に考えれることが
できれば、駅で車イスの人をちょっと手伝ったり
目の不自由な人に声掛けできたりなるんでしょうね。
身近な所から自分の行動を見直してみたいです。
by よーちゃん (2020-03-17 14:14) 

扶侶夢

津久井やまゆり園事件の植松聖被告の死刑が決定しましたが、舩後靖彦さんの言葉…
>施設運営のあり方や施設という構造自体が、植松被告の「差別的な考え方」を醸成する土壌になったのではないか
という言葉を聞いて、まさに眼からウロコでした。
私も軽度の障碍者の環境で少しばかり働いたこともあったのですが、私自身が従業員に疎外されてやめちゃったという経緯があります。施設とは名ばかりで美名に隠れたヤクザ経営のところもあると思いました。
by 扶侶夢 (2020-03-17 16:33) 

coco030705

舩後さんのケースは、誰にも起こりうることですね。中途障障碍者の立場に置かれた船後さんの経験論は、とても奥深いものがあると思います。今後も活躍なさることを祈っています。
by coco030705 (2020-03-17 16:41) 

エンジェル

健常者だっていつ障害者になるか分からないのが人生です。決して他人事ではありません。この方が国会の場に来られた事は本当に意義のあることだと思っています。障害者の意見は将来の私たちに大きく関わって来るのですから。
by エンジェル (2020-03-17 17:28) 

mau

国会のバリアフリー化はまだ出来てなかったのかと思ってTV見てました
by mau (2020-03-17 23:25) 

ナベちはる

健常者の人は、心の中で「自分は障碍者にはならない」と思っている人がほとんどですよね。

誰でも起こりうるということは自分にも起こりうると思わないといけないと思います…
by ナベちはる (2020-03-18 01:05) 

ヤマカゼ

施設経験での貴重な体験を見ることができました。
体質に合わない薬を投与されるのもきついですね。
外来で風邪薬ですら合わなければ薬を変えてくれるのに、差別的と言っていいですね。素人考えですが。
by ヤマカゼ (2020-03-18 07:06) 

Rinko

「インクルーシブ」を輪に例えて、その「輪」の直径がどんどん広がって行ける社会を願います。
仕事で知り合った方が、同じようにALSになられています。どんな気持ちでいらっしゃるんだろう・・・時々思い出して考える事があります。
by Rinko (2020-03-18 08:11) 

skeptics

人間いつどうなるかわかりません。

by skeptics (2020-03-19 04:26) 

Facebook コメント

Copyright © 戦後史の激動 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます