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尾崎士郎、大田区立尾崎士郎記念館と『人生劇場』 [大田区散歩]

尾崎士郎、大田区立尾崎士郎記念館と『人生劇場』

大田区立尾崎士郎記念館(大田区山王)は、今日が生まれた日である尾崎士郎(1898年2月5日~1964年2月19日)によって1954年に建てられた居宅(玄関、書庫、客間、書斎など)を再現。2008年5月にオープンした馬込文士村の中でも核になっている展示館です。代表作はなんと言っても人生劇場です。



馬込文士村とはなんだ


馬込文士村とは、JR大森駅西口から都営地下鉄浅草線西馬込駅までの一帯にある、文学史上近代(明治から昭和前半)に活躍した、作家・哲学者・画家などの邸宅を、記念館として残したり、記念碑を建てたりした散策コースです。

公式サイトによると、43人の文士たちが住んでいたそうです。



馬込文士村は、当時の文士たちの説明板や記念館などをいくつか建てていますが、当時を再現した居宅形式は見応えがあります。

その核になるスポットのひとつが、尾崎士郎記念館です。



馬込文士村を形成するに中心的役割を果たしたといわれる尾﨑士郎宅の玄関、書庫、客間、書斎などが再現されています。



机まわりの雑然とした雰囲気なども見どころです。

大田区立尾崎士郎記念館の中身


大田区は北西部が武蔵野台地の高台ですが、尾崎士郎記念館も台地の上にあります。



大きな玄関と、広い庭であることがわかります。



庭には、記念碑もあります。

大田区立尾崎士郎記念館は撮影可です。



1954年~1964年の10年間を暮らした“終の棲家”を復元しています。



尾崎士郎は1898(明治31)年、愛知県幡豆郡横須賀村(現吉良町)に生まれました。

早稲田大学(政治科)に入学後、作家となり、宇野千代と結婚するもその後離婚。

1930年に古賀清子と結婚し、大森山王に落ち着きます。

1933年から『人生劇場』の連載を『都新聞』に開始。

1935年に、竹村書房より単行本『人生劇場』を刊行し、川端康成が絶賛すると一躍ベストセラーとなります。

そして1937年、川端康成の『雪国』とともに、『人生劇場』は第3回文芸想話会賞を受賞しました。

尾崎士郎と人生劇場


尾崎士郎と言えば『人生劇場』です。

尾崎士郎が愛知県吉良町から上京。

早稲田大学に入学した、青成瓢吉の青春とその後を描いた自伝的大河小説です。

同作が売れたことで、尾崎士郎は作家としてのポピュラリティを獲得しました。

最初の作品である青春編は昭和8年(1933)に『都新聞』に連載。

同10年に挿絵を担当した中川一政の斡旋で出版されました。

川端康成がこれを絶賛すると一躍有名になり、様々なシリーズが刊行されています。


何度も映画化されていますが、その代表的なものは、「残侠編」を原作とした『人生劇場 飛車角と吉良常』(1968年、東映)といわれています。

作品は、1963年の沢島忠監督『人生劇場 飛車角』のリメイクですが、吉良常にスポットを当てている点が新機軸です。

飛車角は鶴田浩二、吉良常は辰巳柳太郎。

青成瓢吉は松方弘樹、芸者おとよは富司純子、若山富三郎や高倉健も出演しています。

東映任侠映画のモデルともいえる作品です。

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ポスターを見るだけで、緊張感と期待感で胸が一杯になります。



関ケ原シリーズや相撲好きもしのばれる記念館


尾崎士郎は、『石田三成』『篝火』など関ケ原シリーズや、相撲や歴史に関する著書も上梓しており、記念館には、それらの原稿や書籍なども展示されています。

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双葉山の写真があるように、大森相撲協会を設立したこともある尾崎士郎は大変な相撲好きでした。

と同時に酒好きでもあり、いくつもの徳利や調度品も展示されています。

こうした展示からは、尾崎士郎や馬込文士村の魅力を再発見することができるでしょう。

人生劇場、ご存知ですか。

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コメント 9

犬眉母

馬込文士村は、龍子記念館に行ったことがあります。
来月あたりは桜並木公園が賑わいそうですね。


by 犬眉母 (2020-02-05 14:59) 

ヨッシーパパ

「人生劇場」は、有名ですので名前こそ知っていますが、内容はさっぱり知りませんでした。
by ヨッシーパパ (2020-02-05 19:38) 

pn

馬込文士村は聞いた事(いっぷくさんの記事か?)あるけど人生劇場は内容知らなかった(^_^;)
by pn (2020-02-05 20:21) 

ヤマカゼ

本社が大田区にあるのに、人生劇場はしりませんでした。残念です。
by ヤマカゼ (2020-02-05 20:46) 

skeptics

出演者の面構えが迫力ありますね。
by skeptics (2020-02-05 22:17) 

なかちゃん

残念ながら全然知りませんでした。
そういうタイトルの歌があることは知っていますが、元は小説だったんですね。

by なかちゃん (2020-02-05 22:55) 

mau

川端康成は知っていても、この方は存じ上げませんでした。
by mau (2020-02-05 23:10) 

ナベちはる

ポスターに載っている表情の力強さ、思わずドキッとしてしまいます。
by ナベちはる (2020-02-06 00:50) 

HOLDON

私は東映の映画で育ったような者。
子供でも楽しめました。
鞍馬天狗、白馬童子・・・
忠臣蔵は絶対に見たなぁ。
そして任侠もの。
まだ生存しておられる人、いるのでしょうか。。。。

by HOLDON (2020-02-06 07:04) 

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