桜田一男さん訃報で思い出す、年金、SWS崩壊真相、猪木追放事件 [スポーツ]
桜田一男さん(1948年9月26日~2020年1月12日)が亡くなったというニュースが流れ、プロレスファンは驚きが隠せません。訃報は米国のプロレスラー親睦団体「カリフラワー・アレイ・クラブ」が公表し、「死因は不明だが、心臓のペースメーカーの故障によるという情報がある」(https://www.daily.co.jp/ring/2020/01/13/0013029653.shtml)といいます。(上の画像は、Facebookの桜田一男さんのページから)
ケンドー・ナガサキとしてブレイク
ケンドー・ナガサキ選手の訃報が流れてきたが、マスコミ情報を待ちたい。
— いずみ尚 @俳協 (@Izumi_Hisashi) January 12, 2020
え?
ラ・パルカも!?
#ケンドー・ナガサキ #桜田一男 #ランボー・サクラダ #ドラゴン・マスター #ドリーム・マシーン #ラ・パルカ #プロレス pic.twitter.com/20W5qXSou1
桜田一男さんについては、『プロレスリングの聖域』(別冊宝島編集部編、宝島社)というムックに掲載されたインタビューや、『ケンドー・ナガサキ自伝』(桜田一男著、辰巳出版)という自著を、このブログでご紹介したことがあります。
北海道網走刑務所刑務官の息子として生まれた桜田一男さんは、同郷の北の洋がいる大相撲の立浪部屋に入門。
7年後の1971年にプロレスへ転向したものの、73年には所属団体の日本プロレスが崩壊。
ジャイアント馬場の全日本プロレスに合流しましたが、これといった活躍の場もなく、アメリカマットに活路を見出します。
以前、桜田一男さんについて書いたとき、「プロレスラーとしては顔が優しい」とうコメントがありましたが、ご本人やプロモーターもそう考えたのか、ペイントレスラーであるケンドー・ナガサキとして売り出し、ブレイクしました。
日本では、メガネスーパーが累計99億円使ったプロレス団体、SWSの立ち上げに関わり高い報酬を得るものの、またしても団体が崩壊。
残った選手のために新団体NOWを作ったもののうまくいかず、逆に借金をこさえていつの間にかプロレスからはフェードアウト。ムックのインタビュー時は、ビルの管理業務を行っていました。
その際、ご本人は、不整脈の手術を行いペースメーカーが入っているので、カムバックはないと語っていました。
私はペースメーカーは入っていないので、詳細がわかってもピンとこないかもしれませんが、ペースメーカーを入れられている方は「故障」についてご留意ください。
プロレスラーの年金を告白
上記のムックインタビューによると、桜田一男さんの現在の生活にとって、厚生年金が支えになっていると語っていました。
引退後が不安定なイメージのあるプロレスラーが、年金をもらえる?
かつて全日本プロレスに所属していた際に、厚生年金に加入してもらっていたそうです。
「俺はいま少しばかり年金をもらっているけど、これは全日本時代に馬場さんが払ってくれたおかげなんですよ。馬場さんはたしかにケチだったけど、感謝もしている。」
桜田一男さんは全日本プロレス時代、さして活躍の場を与えられず、傍目には冷遇されていました。
アメリカに飛ばされて、ずっと帰ってこれず、業を煮やして他団体のリングに上った印象があります。
桜田一男さん自身、全日本プロレスが払っていてくれたことを知ったのは、最近になって自分の加入状況を確認したからだそうです。
「本当に知らなかったから、年金の記録に『全日本プロレスリング』ってあったときにはビックリしてね。馬場さん、ありがとう。」(『プロレスリングの聖域』で桜田一男さん)
⇒桜田一男「年金をもらっているけど全日本時代にアメリカに行ってる間も年金が支払われていた。馬場さん、ありがとう」
SWS崩壊の真相
桜田一男さんが立ち上げに関わったSWSが崩壊したことについて、一部のファンは『週刊プロレス』が叩いたからと決めつけています。
しかし、『ケンドー・ナガサキ自伝』によれば、当事者の桜田一男さんは当事者としてのプライドもあるからでしょうが、そのような責任転嫁は一切していません。
1.SWSは売り興行ができなかった
2.もともと悪かったレスラー間の関係は、ドン荒川がけしかけて北尾光司に騒動を起こさせたことで一層ギクシャクした
3.阿修羅原の入団で“反天龍”の機運が高まった
4.エースで役員レスラーの天龍源一郎に団体運営のビジョンがなかった
ファンは心優しくて、とくに一番下の「4」を指摘する人はいなかったのです。
ですから、レスラーの側からこの指摘があったのは新鮮でかつ説得力がありました。
アントニオ猪木追放事件で新証言も
かなり昔の、それもきわめてマニアックな話ですが、桜田一男さんは日本プロレスのアントニオ猪木追放事件で発言しています。
昭和40年代中盤、ジャイアント馬場とアントニオ猪木がタッグを組んで、BI砲として活躍していました。
黄金時代と言われ、会社は儲かっていましたが、経理上不正があるとアントニオ猪木が疑問をいだきました。
そして、上田馬之助を介して、ジャイアント馬場とともに会社改革をはかろうとしたものの、実はアントニオ猪木の後援者が成り上がりたくて絵を描いたクーデターだとジャイアント馬場は感じ、上田馬之助に問い詰めたところ、上田馬之助はすべてを白状。
さらに、上田馬之助は会社にも暴露し、アントニオ猪木は上田馬之助を恨みながら除名されてしまった、という一件です。
それに対して上田馬之助は、自分が密告した裏切り者になっているが、本当の密告者はジャイアント馬場である、と、ジャイアント馬場の7回忌が過ぎてから言い出しました。
⇒上田馬之助、『金狼の遺言ー完全版ー』に見る「いい人」の深奥
しかし、猪木を含めて、当時の関係者でその同調者は一人もおらず、それどころか上田馬之助の付き人だった桜田一男さんが、上田馬之助が達筆な密告書を、レスラー全員がいる前で芳の里淳三社長に手渡して読み上げたなど、むしろ上田馬之助の密告説を裏付ける新証言を行っています。
⇒『金狼の遺言ー完全版ー』(辰巳出版)で上田馬之助がジャイアント馬場の冷遇と「密告の新事実」を激白しているが…
また昭和プロレスの生き証人が鬼籍に入ってしまった
とくに昭和時代のプロレス事件については、きちんと真相が報じられないことが少なくありません。
それゆえ、マニアは想像力をはたらかせ、関連書籍が出ると目を皿のようにして熟読するのですが、そもそも昭和の生き証人自体が、少しずつ少なくなってきており、その中で桜田一男さんは、上記のように貴重な証言ができる1人でした。
まだまだ色々お伺いしたかったのですが、大変残念です。
桜田一男さんの生前のご遺徳をお偲び申し上げます。
ケンドー・ナガサキ自伝 (G SPIRITS BOOK)
プロレス リングの聖域 -
キン肉マンに剣道の超人レスラー出てたけどこの人がモデルなのかな?
by pn (2020-01-13 13:49)
「グレート・ムタ」のデビューにもかなり貢献したという話を聞きました。武藤敬司は若い頃一時、お師匠さんのように慕っていたとも聞きましたが
レスラーの世界にも人間的に立派な人は多くいますね。
by 扶侶夢 (2020-01-13 17:40)
メイクをしていないと優しげ近所の先輩みたいな感じですね。
by ヤマカゼ (2020-01-13 19:03)
こんにちは。
桜田一男さん、残念ながら存じ上げない方ですが・・・
ペースメーカーの故障での死亡は遺憾ですね。
小生知人も数十年前からペースメーカーをしていますが、
技術革新で薄くて小さくなり電池寿命も長く、
体にも負担が少なくなったみたいです。
16年に手術で「ペースメーカーの故障」は外部的要因ありそうです。
あの当時で、プロレスラーの厚生年金は驚きです。
馬場さん、良い右腕?番頭?を持っていた感じと推測です!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2020-01-13 19:14)
年金かぁ。ちゃんと貰えるのかなぁ
by mau (2020-01-13 21:57)
お金を稼ぐためにプロレスをして借金とは。人が好かったのでしょう。
人が好いと損をする世の中では、いけません。
by skeptics (2020-01-13 23:33)
笑顔が似合う、優しそうな方ですね。
かつてのプロレス時代をリアルタイムで知っていた方が亡くなるのは、惜しいですね。
by ナベちはる (2020-01-14 00:38)
素顔は優しいおじさん顔だったのですね!
ケンドーナガサキさんのご冥福をお祈りします。
by 我流麺童 (2020-01-14 05:54)