SSブログ

障碍者の親が世間に「すみません」「ありがとう」と言うのは屈辱ですか? [障害者]

障碍者の親が世間に「すみません」「ありがとう」と言うのは屈辱ですか?

Facebookのチャンネル『NHK HUMAN』で、リーチ数トップ(投稿後1週間での比較)を記録した投稿動画が、『みんなで決めるHUMAN大賞2019』の第2位になりました。「“障害者の親”というだけで、ヘコヘコして生きたくない」という主人公の言葉が共感を呼んだそうですが、私は一面で違和感を抱きました。



先日の記事で書いた、『みんなで決めるHUMAN大賞2019』の投票結果が公式サイトで発表されました。

第1位は、『ダウンタウンになれなかった男』

53歳の売れない「お笑い芸人」竹井輝彦さんが、ダウンタウンにすっかり差をつけられたけど、まだ現役で頑張っている、という話です。



統合失調症で40年ぶりに退院し、人生をやり直すアヤ子さんの動画は第4位でした。


「料理したい、恋したいー69歳の新生活」問われている社会的入院

アクセス順では圏外だったのが、編集部推薦でノミネートされたものです。

それが第4位にまで順位を上げたのです。

ちょっとセクハラっぽい表現かもしれませんが、アヤ子さんて、チャーミングで好感持たれそうですよね。

このブログでご紹介したことも、少しは貢献できたかな。

どんな人も対等に、フラットに生きられたら


それで、今回ご紹介したいのは、第2位に輝いた、『どんな人も対等に生きられたら』という動画です。



誰もが自分らしく生きるために、自閉症と知的障害がある子の母として、富山県でデイサービスの福祉施設を運営する宮袋季美さんの話です。

宮袋季美さんは幼い頃、暴れる父から妹をおぶって逃げる毎日を過ごし、“強くならないと生きていけない”と学校時代は暴走族に所属。

施設をひらいたきっかけは、重い知的障害がある息子さんがパニックで暴れると、周囲の人は「親の躾がなってない」と言ったこと。

(障碍者の親は)なんも悪いことしとらんがに『すみません』と言ったりとか、大したことしてもらってないのに『ありがとう』と言ったりとか、それでヘコヘコして生きていかんなんていうのは、ちょっと我慢できないと思ったなあ」(宮袋季美さん)

そこで、どんな人も対等に、フラットに生きられたらと、自分と同じ境遇の人の福祉施設を作ったといいます。

「すみません」と「ありがとう」の意味


この動画に対する私の意見ですが、「福祉施設を作った」ことと、「どんな人も対等に、フラットに生きられたら」という考えは、無条件にすばらしいことだと思います。

ただ、「すみません」や「ありがとう」を言うことを「ヘコヘコして生きてい」くと考えるのは、障碍者に理解がない世間であることを差し引いても、ちょっと一面的ではないかなという気がします。

「なんも悪いことしとらん」でも、つまり自分に過失がなくても不可抗力でも、相手に謝罪することって世の中にいくらでもありますよね。

別に障碍者の親でなくても。

謝罪って、法的な落ち度でするものではなくて、相手を思いやる気持ちから発する場合もあるんじゃないでしょうか。

だって、立場が変わって考えてみたらどうでしょう。

いきなり、近所で人が暴れていたら、何事だろうと思うのは当たり前ではないでしょうか。

それに対して、「すみません、いつもお騒がせして、うちの息子がまた例の発作なんです」の一言があることで、「大丈夫、うちは気にしてないから。ちょっと今日は暑苦しいからストレス溜まったんだよねー」と近所の人も返せるかもしれません。

それを、「私の責任じゃないから『すみません』なんて言いたくない」では、「だってあんたの息子がパニック起こしたのは事実だろう」という返しになっちゃうじゃないですか。

結局、それは息子さんの肩身が狭くなるだけなんです。

私は自分の子に対する、侮辱や差別は許しませんが、理解と支援のためなら、いくらでも「ヘコヘコ」します。

人間関係なんて、売り言葉に買い言葉、魚心に水心の面はあります。

「ありがとう」もそうです。

大したことかどうかで「ありがとう」の出し惜しみをするというのは、失礼ながらちょっと心が荒んでませんか、と思います。

些細なことでも、心から「ありがとう」と言ったっていいじゃないですか。

「ありがとう」って言えることが、どれだけ自分にとって気持ちがいいことか、そういう清々しい経験がないのかなと思います。

それはやはり、育った環境を勘ぐらざるを得ません。

親に暴力で支配されてきたから、「強くならないと生きていけない」という価値観につながったのではないでしょうか。←またしても毒親が元凶か

しかも、強くなることが暴走族?

だったら人間社会の頂上は暴力団になっちゃうでしょう。

たぶん、宮袋季美さんは、苦労しすぎていつも身構えてるんじゃないでしょうか。



弱者でも生きていける社会


いずれにしても、障碍者は決して強くありません。

弱者でも生きていけることを求めていく愚直さこそが、本来の障碍者の親としての「強さ」という見方はできないものでしょうか。

そして私は、「ありがとう」や「すみません」ぐらいは、素直な気持ちで言える人間でありたいなと思います。

日本は、「どうも」と「すみません」さえ覚えておけば、コミニュケーションがおおかた通用するとも言われているし(笑)

この点、障碍者の親御さんも、そうでない方も、いかがお考えですか。

バリア★ブレイク―障がい者福祉の常識をブチ壊す金髪魔女のデイサービス
バリア★ブレイク―障がい者福祉の常識をブチ壊す金髪魔女のデイサービス

バリア★ブレイク―障がい者福祉の常識をブチ壊す金髪魔女のデイサービス

バリア★ブレイク―障がい者福祉の常識をブチ壊す金髪魔女のデイサービス

  • 作者: 宮袋 季美
  • 出版社/メーカー: 雲母書房
  • 発売日: 2013/10/01
  • メディア: 単行本



nice!(189)  コメント(15) 
共通テーマ:学問

nice! 189

コメント 15

pn

この人にとっての強さって力なのかもね。ありがとうすみません言わない人は少なくとも俺の周りでは横柄な人しか居ないな、自分は偉いんだ凄いんだ思いこんでるよあいつ等は(笑)
by pn (2019-12-28 11:09) 

風太郎

人の世は「お互い様」!!だと思います。
by 風太郎 (2019-12-28 11:16) 

Take-Zee

こんにちは!
 拙い武爺のブログにご訪問ありがとうございました!
また、来年もよろしくお願いいたします。
 佳いお年をお迎えくださいね ("^ω^)・・・
by Take-Zee (2019-12-28 13:44) 

marimo

人権に関する諸々はデリケートですね。
例えば何かをしてもらった時「すみません」と言うのと
「ありがとう」と言うのでは自他ともに心の在り方がずいぶん違う気がします。
ありがとうと言われて悪い気がする人はいないと思うので、
私は「すみません」より「ありがとう」と言うようにしています。
by marimo (2019-12-28 15:14) 

犬眉母

世間を見返すということは、むしろ信頼関係の構築が大事だと思います。、
基本的な意思の疎通も、ネガティブに捉えるのは、
自分を追い詰めるような気がしないでもないです。

by 犬眉母 (2019-12-28 19:30) 

なかちゃん

若い頃、似たような考えで若干とんがってた時期がありました。でも、今は素直にその言葉が出ます。
そこに至るまではいろんなことを考えましたが、極端な言い方をすれば『すみません』も『ありがとう』も、言うだけなら無料ですからね。
今はもうそこからも卒業して、素直に言えると思っています(^^)

by なかちゃん (2019-12-28 21:44) 

チナリ

こんばんは。

私は気が弱いからかもしれませんが、他人に対してスグに 「すみません」 と言ってしまう癖のようなモノがあります。

それと、いっぷくさんが書かれているように 「育った環境」 が関係があるのかもしれませんが、昔から 「感謝の心を忘れずに」 と言われて育ってきたので、お店屋さんなどで店員さんに探し物をしてもらったり、レジでのお会計が終わったときには必ず少しだけ頭を下げ 「ありがとうございました」 と毎回必ず言うように心掛けています。

今回の記事で私がわからないと思ったのは、どうしてそれが 「ヘコヘコすること」 につながるのか?という点でした。

by チナリ (2019-12-28 22:21) 

mau

本当にありがとうって思ったらへりくだってるとは感じないはず
by mau (2019-12-28 22:36) 

サボテン

いっぷくさんの考え方に、全面的に賛成です。「ありがとう」や「すみません」、「ごめんなさい」は、社会の潤滑油です。夫婦喧嘩だって、余裕のある方が「ごめんなさい」で結局丸く収まります。丸く、遊びをもたせて生きていきたいですよね。
by サボテン (2019-12-29 00:04) 

ナベちはる

>「ありがとう」や「すみません」ぐらいは、素直な気持ちで言える人間でありたいなと思います。

同じく、「ありがとう」「すみません」は裏の意味のない、直な意味で言いたいです。
by ナベちはる (2019-12-29 00:55) 

ヤマカゼ

話は違いますが、電車の中で降りようとして少しぶつかって嫌な顔されたことが何回かあります。まあかなりの爺さんなのでしょうがないのでしょうが。それからというものちょっとすみません降りますと声かけると嫌な顔されなくなりました。ヘコヘコしているのかわかりませんが、所詮はお互い様なので少しの気遣いだと思った方がいいのかもしれませんね。
by ヤマカゼ (2019-12-29 03:39) 

kou

昔、東京で先生と呼ばれる方の鞄持ちのような仕事をしていた時ですが、よくその先生に叱られ、何でこんなことで?と思いながらも「すみません」と連発していました。するとその度に「すみませんと言うな!」とまた叱られていました。
今の時代であればパワハラでしたね(笑)
by kou (2019-12-29 09:30) 

さすらいの話師

>“強くならないと生きていけない”と学校時代は暴走族に所属

この部分に違和感を覚えますね。身体を鍛える(鍛えすぎて)相手に優しくない人と会うと思います。「ありがとう」とか「すみません」を言うと負けだって思ってる感じがするんですよ。言えたほうが素敵なんですけどね。
by さすらいの話師 (2019-12-29 09:48) 

こじろう

「ありがとう」と「すみません」
この言葉が潤滑油のようになることが多いと思うんだけどなぁ。
でも,ありがとうを頑なに言おうとしない人って居る。
その人の周りの環境とかあるんだろうけど,ちょっと寂しい気がするな・・・。

今年も大変お世話になりました
寒さ厳しい折,くれぐれも体調など崩さぬようにご自愛くださいませ
どうぞ佳いお年をお迎え下さい 
by こじろう (2019-12-29 19:38) 

skeptics

施設内はそれでよくても、対世間で孤立するのでは?
by skeptics (2019-12-30 01:34) 

Facebook コメント

Copyright © 戦後史の激動 All Rights Reserved.
当サイトのテキスト・画像等すべての転載転用、商用販売を固く禁じます