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『全盲の夫婦がみつけた、家族のかたち』懸念を覆した3つの決断 [障害者]

『全盲の夫婦がみつけた、家族のかたち』懸念を覆した3つの決断

Facebookの日テレNEWS24で、全盲のご夫妻と、視覚障害のない2人のお子さんの生活にフォーカスした『全盲の夫婦がみつけた、家族のかたち』のダイジェスト動画が投稿されたのでシェアします。2020年1月に50周年を迎える『NNNドキュメント』が、名作を2~3分にリメイクした動画を、1月末まで配信するそうです。



全盲の大胡田さんご夫妻と、視覚障害のない2人のお子さんの生活にフォーカスした『全盲の夫婦がみつけた、家族のかたち』のダイジェスト動画が話題です。


動画は、全盲のお母さんの大胡田亜矢子さん(44)と娘さんが歩いていて、駐車していたトラックのサイドミラーにぶつかるシーンから始まります。

「ん~、しょうがない」と、おでこをさするお母さん。

一方、お父さんの誠さんは全盲で弁護士(42)。

目が見える2人の子どもは、両親を手伝っています。

たとえば、洗濯物を干していて、靴下が片方ないと、息子さんが探して誘ってくれます。

「障碍あるとかないとか関係なく、好きな人の子どもを産みたいという思いっていうのは誰しも同じじゃないかと思います」(大胡田亜矢子さん)

「目が見えなくても、いろんな仲間を作って、いきいきと仕事してるんだぞ、という姿は(子どもたちに)見せたいな、と思います」(大胡田誠さん)

お二人は、同じ盲学校で出会い、結婚したそうです。

ご夫妻の目が不自由であること以外は、そうでない家庭と何ら変わらず、むしろ親子の絆はしっかりしていることが伺えます。


視覚障害のある人同士の家庭生活


コメントは、「すごいなー」と賞賛が並んでいます。

もちろん、それは私も同感ですが、では具体的にどのへんが賞賛の対象なのかといいますと、要するに、「障碍者は結婚して家庭を持つなんて出来ない、ましてや2人とも同じ障碍で子どもまでいるなんて」という懸念や偏見を、しっかり結果を出して覆していることです。

支援学校(盲学校)出身でも弁護士資格を取得した


家庭をもつためには、暮らせる正業につかなければなりません。

大胡田誠さんは弁護士になりました。

視覚障害者対象の支援学校は、知的障害を伴っていない限り、教科書は一条校(学校教育法をクリアした学校、健常の行く普通の学校)と原則同じです。

ただ、健常者でも司法試験突破は至難の業です。

たぶん周囲からは、「そんなことに時間とエネルギーを使っていないで、障碍者としての身の振り方を考えろ」などと言われたのではないでしょうか。

たとえば、高校や大学に行くにも、「障碍者がそんなとこ行ってどうするの」という声は、必ずしも悪意でなくてもあったはずです。

そこで負けずに、進学を決断されたことが素晴らしいと私は思います。

ちなみに、法科大学院の受験資格は、原則として4年制の大学を卒業していることが必要なのです。

進路によって学歴が必要な場合があるのは、障碍のあるなしに関係ありません。

支援学校(盲学校)のカップルが結婚した


男子校出身の私としては、きわめて重要なことです(笑)

支援学校の高等部は原則として送迎なしのため、各自登下校しますが、見ていると、男女がカップルで下校する姿もあります。

自分の青春時代を振り返ると羨ましいです。

年相応の青春を経験しているというのは、すばらしいことなんです!

そして結婚。

障碍者同士で生活ができるのか、という疑問を抱かれ、周囲では懸念や反対をした人もいるかもしれません。

ここも、大胡田さんの決断によって突破したのでしょう。

視覚障害者夫妻で子どもを産み育てている


もちろん、障碍者同士の結婚自体は、ないわけではありません。

ただ、子どもについては、その障碍の度合にもよりますが、大きな課題にはなるでしょう。

ひとつは「遺伝」、もうひとつは実際の「子育て」の心配があるからです。

しかし、障碍のある赤ちゃんは、必ずしも親が障碍者だから、高齢出産だからということではなく、若い健常なお母さんからも一定の確率で必ず産まれます

そして、その障碍が遺伝性かどうかは、高度な医学的判断を要する場合がほとんどです。

それに、健常で産まれても、高熱や感染症の後遺症でどこかが不自由になる、ということは医学の発達した現代でも決して根絶されていません。

障碍者が産まれることがそんなに悪いことだというのなら、もう誰も子どもは産めませんよー、という話です。

そして、目が不自由ななかで、子育てができるのだろうかという不安。

いずれにしても、最終的にはご当人の決断にかかっています。

動画では、娘さんのほうが、お母さんよりも料理が上手なようです。

ご家族が助け合って暮らしているのです。すばらしいではありませんか。

決断


大胡田誠さんに現在の生活があるのは、やはり上梓された書籍のタイトル通り「決断」があるからでしょう。

決断とは、自らつかみ取ること。勇気を持って人生を切り開くこと。 と帯には書かれています。

大変だけれども、前例は少なくとも、自分の人生は自分で進むべきと決めた道を進もうという決断です。

『24時間テレビ』などは、とにかく障碍者を「はじめに感動ありき」の対象として観たがるのですが、私はそうではなくて、障碍のあるなしに関わらず、本質はいつも、ひとりの人間の生き様として、「ほしのもと」や今ある課題とどう向き合っているか、ということに刮目しています。

今回改めて感じたのは、人生は障碍があろうがなかろうが「決断」が大事ということです。

みなさんも、人生のターニングポイントで、しっかり「決断」されてますか。

決断。全盲のふたりが、家族をつくるとき (単行本)
決断。全盲のふたりが、家族をつくるとき (単行本)

全盲の僕が弁護士になった理由

全盲の僕が弁護士になった理由

  • 作者: 大胡田誠
  • 出版社/メーカー: 日経BP
  • 発売日: 2012/03/22
  • メディア: 単行本



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コメント 11

pn

うん、学生時代からの流れで結婚ってなんかうらやましい(笑)
by pn (2019-12-26 11:26) 

skeptics

極論として、決断できる人はこんな所でブログやってないのでは?
決断できず、後悔や不満があるからブログでガス抜きしているとか。
by skeptics (2019-12-26 18:30) 

mau

決断、重い言葉です。
by mau (2019-12-26 22:40) 

エンジェル

素晴らしいご夫婦、そしてお子さん達ですね!!心から応援したいです(*^-^)
今までの人生で決断って本当に数える程ですが、一度決めたら失敗しても後悔はせず、次の道を見つけるようにしています。
by エンジェル (2019-12-26 22:54) 

coco030705

何と勇気のあるすごいご夫婦なのでしょう。感動的ですね。決断は、私の場合、学生時代から高校、大学を選び、会社を選び、結婚相手を選び、その後の仕事を選ぶたび、決断してきました。各々の道はベストではなかったかもしれませんが、後悔はありません。これからも、色々なときに様々な決断をしていくことになりそうです。それが人生かもしれませんね。
by coco030705 (2019-12-27 00:08) 

ナベちはる

障碍があってもなくても、「決断」するべきときに決断するのはなかなか難しいです…
by ナベちはる (2019-12-27 00:59) 

ヤマカゼ

素晴らしいですね。
たとえ障害があっても自分達の可能性を切り開いていく勇気と決断力。
by ヤマカゼ (2019-12-27 06:19) 

HOLDON

大昔、「名もなく貧しく美しく」という映画がありました。
とても感動しました。
まだ聾唖者の方がましなんでしょうが比べるものではありませんね。
今年も考えさせられる記事をたくさんありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。

by HOLDON (2019-12-27 08:47) 

Rinko

素晴らしいご夫婦ですね。
その裏にどれだけの努力と決心があった事か。きっと私の想像以上のものだと思います。
勇気をもらえます。
by Rinko (2019-12-27 09:31) 

犬眉母

自分の意欲や能力というより、周囲からの否定や反対が
挫折に繋がることが多いですね。
ハンデがありながら自分の意思を貫くというのは、大変な精神力ですね。
by 犬眉母 (2019-12-28 19:35) 

そらへい

少し話が逸れますが、この間見たドラマに
主人公が友達の家に遊びに行くと
その御両親が全盲だったという下りがありました。
何のドラマだったかなと考えているうち思い出しました。
NHK「少年寅次郎」の一場面でした。
by そらへい (2020-01-01 20:04) 

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