NHK HUMANが、『みんなで決めるHUMAN大賞2019』という投票を実施中です。今回はノミネートされた動画のうち、「料理したい、恋したいー69歳の新生活」をシェアします。統合失調症で入院生活が続いた69歳の女性が、“夢にまで見た一人暮らし”を始めた話です。
NHK HUMANというFacebookページがあります。
「NHKで放送したドキュメンタリー番組から魅力的な「ひとの生き様、言葉」を短い動画にしてお届けする」(公式サイトより)ダイジェスト動画の投稿ページです。
公式サイトによると、「2019年に公開した動画の中から、リーチ数・再生完了率・エンゲージ率の3つの指標で上位に入った作品9本と編集部おすすめの1本、あわせて10作品を選」んだノミネート作品に対して、視聴者に投票をしてもらい、大賞を決めるというのです。
私が、このブログでご紹介したものは、残念ながら1本も入ってませんでした。
ちょっと目の付け所が違うのかな。
ま、それはともかくとして、その10本のノミネート作品の中で、今回私がご紹介したい動画が、『料理したい、恋したいー69歳の新生活』です。
統合失調症で入院生活が続いた69歳の女性アヤ子さんが、念願の退院が認められ、“夢にまで見た一人暮らし”を始めた話です。
アヤ子さんは、25歳で入院して以来、ほとんどの時間を、社会と隔絶されて過ごしてきたといいます。
知り合った人とも、どう会話をしていいかわからないそうです。
「家族もいない一人ぼっちで、これから、どうやって……」
看護師「自分で線引きしちゃうところがあるから、自分の中で壁を作らないで…」
アヤ子さんは言います。
「第二の人生、もっと楽しいことが起こるかなと思ったり、更に頑張ろうとファイトが湧いてきました」
社会的入院の背景には「隔離と排除」の歴史が
仕事で、しばらくの間、人とあまり関わらないでいると、会話のときにとっさに適切な言葉が出ないことを私は経験したことがあります。
ですから、それが40年以上も続いたら、いったいどうなるんだろうと思います。
NHKでは、やはり60歳の男性が、40年ぶりに精神病院を退院したことを特集しているのですが、そのページから引用させていただきます。
精神科病院の入院患者の数はおよそ32万人。そのうち、1年以上入院している人は20万人以上、10年以上同じ病院に入院し続けている人は7万人もいます。しかもこの長期入院者のなかには、社会的入院の人が相当多いといわれており、そのために「日本の精神科の平均在院日数は諸外国に比べて突出して長くなっている」と精神科医の岡崎伸郎さんは言います。(https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/4/)
「社会的入院」というのは、「入院治療がすでに必要ない状態なのに、帰る所がないといった理由で長期入院を強いられている状態」を指します。
ではなぜ、社会的入院が多いのか。
つまり、なぜ、患者が社会復帰に踏み切れないのか。
それには3つの理由を挙げています。
1.診療報酬が低いため、ベッドをなるべく空けたくない(長く入院させたい)という病院側の経営的問題
2.家族による患者の厄介払い(精神障害者に対する根強い差別偏見)
3.隔離収容型の精神科医療政策を続けた行政の誤り
もっとも重要な問題は「3」です。
いったい、我が国では、精神障害の患者にどう向き合ってきたのでしょうか。
簡単に述べると、「隔離と排除」を続けてきたのです。
まず1950年までは私宅監置といって、座敷や土間、土蔵などに置いた動物園の檻のような「監視室」と称するところに精神障害者を閉じ込め、もちろん治療などは受けさせず、食事もわずかな駄菓子程度しか与えない人権もへったくれもない仕打ちを法律で定めていました。
その後、欧米では精神障害者のケアが病院から地域へという潮流になっていたにもかかわらず、我が国ではそれと逆行して隔離病院を作りまくり、「精神障害者隔離が当たり前」という風潮を強めました。
1987年には、精神衛生法が精神保健法へと改正され、人権を守る建前はうたわれたものの、精神病床は減ることなく保護と収容の時代が続くことで、差別や人権侵害は解消されず、温存され再生産されていったわけです。
ハンセン病にしろ、優生保護法にしろ、我が国は、勝手に邪魔者認定して「排除と隔離」の歴史を積み重ねてきました。
しかし、結局、国はそれらの歴史について、
誤りを認める結末を迎えています。
“第二の人生”幸多からんことを
まあ69歳と言いますと、いくら長寿時代とは言え定年を過ぎた年齢ですから、正直なところ、これからできることといっても、若い頃に比べると限られることでしょう。
でも遅きに失したとしても、見方によっては、「失われた40年」があるからこそ、社会に対する新鮮なものの見方や真実へのアプローチがあるかもしれません。
アヤ子さんの“第二の人生”が、幸多からんことを願っております。
隔離収容型の精神科医療政策についての参考サイト
http://www.kansatuhou.net/07_genzai/03_system_doukaeruka.html
https://seseragi-sc.jp/sasage/0712-3.htm
マンガでわかる!統合失調症
そーなんすよ言葉がなかなか出てこないから会話が弾まないんすよ俺、酒とタバコとパチンコの会話が多い会社なので根本的に話が合わないのもあるのですが(笑)
by pn (2019-12-10 10:21)
私は75歳から一人暮らしですが外に出ると
知らない人にも挨拶をします。返事がなくても( `ー´)ノ
そして誘われれば経済が許す限りOKをして仲間入りを
何より孤独をいやすもの・・・ブログを続けて
無言でもコメントでのお付き合いが元気の源です(^^♪
by 侘び助 (2019-12-10 11:15)
若かりし頃に当方が入院をしたのは
社会的隔離だったのではなかろうかと
今になって自覚をする。
と言った訳でではまた、
ありがとうございました。
by PopLife (2019-12-10 11:38)
こんにちは。
「隔離収容型」時代に合わないですね。
今の社会だと、オープンに受け入れる方法はあると感じます。
「失われた40年」大きいと思いますが・・・
環境次第のような気もします!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2019-12-10 11:43)
私が子どもの頃“お姉さん”と慕っていた従姉が、若い頃にある事情で父親に施設に送られました。まさにそれは「隔離と排除」の精神病院で、そこで父親が死ぬまで暮らしていた従姉は通院と言う形になってからも時々幻覚を見たり不安定になったりして症状は良くはなりませんでした。
これは完全な処置・対応の誤りです。親戚である私の父も何度か病院から出して違った対応をと訴えましたが駄目でした。…難しいですね。
by 扶侶夢 (2019-12-10 15:26)
精神障碍者の生活拠点「浦河べてるの家」の撮影に1995年から10年以上関わっていました。
途中で精神科病棟が閉鎖されることになって、全員を地域に帰す試みがされていて、同じような苦労をしている当事者の方を撮影しました。
「べてるの家」の皆さんと出会っていなかったら、私の考えはもっともっと硬くて融通の利かないものだったと思っています。
by 森田惠子 (2019-12-10 18:47)
短期間入院しましたが、斜め向かいの方に奥さんが面会に来て「あんたは一生ここにいるんだからね」とキツく話しているのを思い出しました。話していると普通の方ですが、それぞれ分からない事情があるんだな・・・と思いました。
by kou (2019-12-10 21:22)
ボクは一人暮らしをしたことがないので、一度やってみたいと思いながらも実際にやったらどうなることやらですね。
長く社会と隔離されてきた人にはなお大変なことと思います。
せめて楽しい一人暮らしが出来るといいですね。
by なかちゃん (2019-12-10 21:35)
近所に昔からある病院、哀しそうな声で子どもを呼んでた女性が忘れられません
by mau (2019-12-11 00:23)
これまで大変な思いをされた分、いろいろと募る願いが一つでも多く叶ってほしいです。
by ナベちはる (2019-12-11 00:39)
第二の人生、楽しんでいただきたいですね。
by ヤマカゼ (2019-12-11 07:10)
精神障害のこと、実はあまり知らないです。
ちゃんとした知識や対応を学べる社会的な大きな流れが欲しいですね。
アヤコさん、楽しい一人暮らしになりますように~!
by Rinko (2019-12-11 08:28)
「隔離と排除」で尽きてしまった命が寿命が長くなったからこそ、第二の人生を楽しめる可能性が出て来たワケで楽しんで欲しいですね。
by さすらいの話師 (2019-12-11 09:51)
色々な病気がある中で、精神疾患はわかりにくい病気です。なかなか他人にも理解はされないのでしょうね。私もEテレの番組などを見て理解を深めたいと思います。そして、アヤコさんのこれからの人生が良いものとなることを、心から祈っております。
by coco030705 (2019-12-13 21:16)
精神障害者夫婦で有る爺達夫婦からすると精神障害者と言いますが実は脳の疾患なのです。副作用の強い向精神薬を生涯のみ続けないと発狂(発病)してしまうのです。寛解状態を保つには服薬が必要です。爺の場合はリチウムとバルプロ酸ですが、時々リチウム血中濃度を測定しなければなりません。
by bp1teikichi_satoh (2020-02-04 16:08)