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三人子持ちシングルマザー生活保護不正受給事件 [トレンド]

三人子持ちシングルマザー生活保護不正受給事件

『三人子持ちシングルマザー生活保護不正受給事件』(桐野さおり作、ユサブル)を読みました。生活保護費をもらい続けたいために、婚姻しないばかりか給与明細を偽造。さらに内縁の夫は建て売りを購入していたために逮捕。家は「ナマポの家」と叩かれた事件です。




本書では具体的に明かしていませんが、「原作」は、2012年の「生活保護不正受給で逮捕の母親 3000万新築一戸建て購入していた」事件(https://www.j-cast.com/2012/08/03141868.html?p=all)と思われます。

つまり、本書は実話です。

あらすじ


体を壊して働けなくなった前夫から、親との同居を提案されたのを機に離婚した女性の話です。

子ども3人を引き取り、月2万5800円の府営住宅に入居。

離婚前から生活保護の対象者で、月額で29万円(www.j-cast.com では23万円と報道)を受給していました。

府営住宅のほとんどの世帯は生活保護を受けていましたが、働くと打ち切られるからと、就活するふりをして、のんべんだらりと過ごす人ばかりでした。

女性は、週3日のクリーニング店に週1日の看護助手で働き、生活保護の所得の枠を出ないようにしながらも、そのときは真面目に働いていました。

そのうち、看護助手でお世話した老婆の息子と再婚。

そのあたりから、受給第一に考えるようになります。

まず、不景気ながらもリフォーム業で暮らしている新夫とは、生活保護が打ち切られるために籍を入れませんでした。

次に、看護助手をしている病院から、給料20万円以上の常勤にするとの話が。

夫からは、クリーニング店もやめたのだから、常勤になったことを福祉事務所に報告すべきではないかと言われましたが、女性の年収は300万円近くになり生活保護の打ち切りは必至です。

夫には、「お父ちゃんの借金が返済し終わってから役所には報告する。もし途中でバレたら『報告し忘れてた』といえばいい」と強弁。

しかし、隠しているプレッシャーに負け、行きつけの喫茶店から印鑑をちょろまかし、偽造の給与明細を作成します。

それで、月収は生活保護枠内の2万7000円~5万3000円と報告し、クリーニング店をやめたことのつじつまを合わせます。

合計で、年収は約600万円に。

しかし、結局病院の常勤がバレて、生活保護は打ち切りになりました。←そりゃ、バレるでしょう

市からは、不正受給の717万円を返還せよといわれましたが、女性は「みんな使ったからビタ一文払えない」と開き直り、その頃は夫まで図々しくなって、妻が刑事告訴されているにも関わらずローンを組んで3200万円の家を買います。

それが警察を刺激したのか、女性は新居に住んでまもなく、生活保護費不正受給と有印私文書偽造同行使の疑いで逮捕。

最初は真面目に働いていたのですが、だんだん欲が深くなって、ついに犯罪者に転落してしまったわけです。

生活保護が必要な人もいる


こういう事件があると、生活保護という制度自体をやめろという話が出てくるのですが、不正受給は全体の2%ぐらいですからね。



それに、人間は誰でもいつどこでどうなるかわかりませんから、セーフティネットは必要だと思います。

生活保護自体に批判的なあなた。あまり、自分の健康や財産を過信しないほうが良いと思いますよ。

そもそも、本来生活保護受給というのは、なかなかハードルが高いもののはずです。

それだけに、不正受給する人は、いったいどうやっているんだろうと思いますね。

本書は、マンガ図書館Z、紀伊國屋電子書籍ストア、AmazonUnlimitedなどで読むことができます。


ベーシックインカムが問題解決に資するか


では、不正問題はどう解決すればいいのかというと、思い浮かぶのはやはり、ベーシックインカムでしょうか。

ベーシックインカム(basic income)とは、「政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を定期的に支給する」(Wikiより)政策です。

福祉サービスの「公平無差別な定期給付」であり、そのかわり従来の年金、雇用保険、生活保護などの個別対策的な社会保障政策は、大幅縮小または全廃が前提です。

憲法第25条にもかなっていると思いますが、ただし与党は、とくに自由民主党は、ベーシックインカムに対してもっとも消極的と言わざるを得ません。

そして、一見旗振り役になりそうな日本共産党も、実は乗り気ではなさそうです。

同党の公式サイトでは、橋下徹氏が「(国が国民に一定の現金を配る)ベーシックインカムが成立すれば…年金制度、生活保護制度、失業保険制などを失くす可能性を考えることができる」と指摘したことについて、「“ある程度の金をやるから後は勝手にしろ”といわんばかり」と批判しています。(https://www.jcp.or.jp/web_policy/2012/04/post-418.html

要するに、「能力に応じて生産し必要に応じて分配する」共産主義からすれば、「ある程度の金をやるから後は勝手に」というベーシックインカムは自由主義としての福祉政策であり、「必要に応じて分配」ではないから「ある程度」の金額をめぐって国民生活との矛盾が露呈するだろう、ということではないかと私は解しています。

でもそれをいったら、年金だって「ある程度の金をやるから後は勝手にしろ」ですから、ベーシックインカム固有の欠点や限界ではないと思うんですけどね。

みなさんは、いかがお考えですか。

三人子持ちシングルマザー生活保護不正受給事件/ザ・女の事件Vol.2 (スキャンダラス・レディース・シリーズ)
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生活保護から考える (岩波新書)

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  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2013/11/20
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コメント 9

PopLife

いわゆる
氷山の一角でしょうね?
と言った訳でではまた、ありがとうございました。
by PopLife (2019-11-09 10:12) 

pn

新夫が強く言ってればとも思うけど、どのみち結果は変わらなかったんじゃないかなと。
by pn (2019-11-09 12:49) 

扶侶夢

端的に言ってしまえば、ベーシックインカム派ですね。
かつてはそうでも無かったのですが、様々な不正や個人要領の良さ悪さによる受益不受益の格差などを考えると、そしてそれを配分する政府への不信感などを考慮するようになりました。

>「“ある程度の金をやるから後は勝手にしろ”といわんばかり」と批判しています。
…と批判するのはいいですが、能力格差による不公平な分配がまかり通ることはどう考えるのでしょうね。
by 扶侶夢 (2019-11-09 16:49) 

kou

生活保護の受給に関しては、グレーゾーン思っている人たちとかなり接してきましたが、ケースワーカーも黙認している場合が多いですね。
ベーシックインカムは確かに平等で、無駄な公務員も減り、社会保障費も抑えることが出来ると思うので政策的には賛成ですが、なかなか実現は難しいような気もします。
by kou (2019-11-09 18:32) 

ヨッシーパパ

吉岡里帆の『健康で文化的な最低限度の生活』(フジテレビ系)を思い出しました。
by ヨッシーパパ (2019-11-09 19:02) 

starwars2015

常勤になった時点で、病院から税務署に年末調整の書類って行かないんですかね。
サラリーマンの天引きとかけ離れていますね。
by starwars2015 (2019-11-09 21:43) 

ナベちはる

>不正受給する人は、いったいどうやっているんだろうと思いますね。
不正受給できる「穴」を突いたりしているとは思いますが、見当が付かないですね…
by ナベちはる (2019-11-10 00:46) 

犬眉母

どういう場合に生活保護が受給できるのか、
自治体によって、判断が分かれる曖昧さも問題ですね。
もっと客観的な基準はないものでしょうか。
by 犬眉母 (2019-11-10 13:50) 

そらへい

>働くと打ち切られるからと、就活するふりをして、のんべんだらりと過ごす人ばかりでした。
それで楽しいのでしょうかね。生きてはいるけれど・・・
by そらへい (2019-11-10 16:38) 

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