娘による実父殺害事件、5人出産&中絶に尊属殺重罰規定違憲判決 [戦後史]
尊属殺重罰規定違憲判決をご存知ですか。それまでは、子が親を殺害したら普通の殺人よりも罪が重いとされていた刑法200条が、憲法第14条(すべて国民は、法の下に平等)に反するものと否定されたのです。きっかけとなった事件は、1968年に起こった「栃木実父殺害事件」。『殺人犯の正体』(鍋島雅治 (著), 岩田和久 (著)、大洋図書)という、殺人事件9件をマンガにまとめた本の中に収録されています。
今年の4月、当時19歳の娘に性的虐待を行った父親が、無罪になった判決が批判を受けました。
刑法の性犯罪規定では、「暴行・脅迫が証明できなければ罪に問えない」とされているのですが、それを教条主義的に採用した判決だったために、親子の絶対的な関係という現実を無視したものと批判されるのは当然のことだと思います。
え、この記事メチャクチャじゃないですか!?
— 海老澤美幸 ebisawa_miyuki (@ebisawa_miyuki) April 15, 2019
準強制で暴行・脅迫!?
尊属殺重罰規定を出す意味も不明。
いやもうなんというか…
娘に性的虐待の父親が無罪、ネットから「狂った裁判」と怒りの声殺到 対照的な事件が昭和に https://t.co/OfGnu3uIOE @reallivenewsより
その判決のおかしさから、約60年前の事件が、「真逆の名判決」として改めて見直されました。
1968年、栃木県矢板市で当時29歳の女性が、近親姦を強いた当時53歳の実父を殺害した事件です。
戦後、憲法や民法は新しくなりましたが、刑法だけは目上の人を絶対視する戦前の家族制度観・封建的制度を反映したまでした。
刑法200条(尊属殺重罰規定)という、要するに親殺しは普通の殺人よりも重罪に処す決まりがあり、従来の判決では死刑か無期懲役は免れなかったのです。
しかし、判決は、刑法200条こそ憲法に違反するとされ、娘は実刑にならず、それが契機となって1995年には刑法200条そのものが削除されたのです。
では、それは具体的にどんな事件だったのか。
『殺人犯の正体』から見ていきます。
あらすじ
本書によると、事件の概要を知った弁護士は、無報酬で娘の弁護を引き受けたとありますが、新聞社のネット記事を見ると、娘はお金がなかったのでジャガイモを報酬として受任したとされています。
それと本書には出てきませんが、父親は植木職人で腕は良いらしく、月のうち10日働いて20日飲んだくれても暮らしてはいけたようです。
初めてコトがあったのは娘が14歳の時。
その夜から、週に2~3度関係がありましたが、娘は父の恐怖から逆らえませんでした。
それでも1年後には、勇気を奮って母に報告。
当然、母は夫をなじりますが、自分は他の子供を連れて7人姉弟のうち、娘とその妹を父親のもとに残して家を出ていってしまいました。
誰も邪魔するものがいなくなったことで、父親は存分に御伽をさせ、娘は学校へも行けず5人を出産(うち2人は死産)、5回の中絶を経験し、6回目の手術のときに、これ以上は体がぼろぼろになると医師にいわれ、不妊手術をしました。
子どもが3人いれば生活費もかかりますから、娘は印刷会社で働くようになります。
そこで、29歳のときに7歳年下の男性社員に“初恋”をし、父親に「嫁に行きたい」と告白するも、父親は刃物を持って「そいつをぶっ殺してやる」と暴れ、以来仕事にも行かずに娘を監視しつつ、日に2度も3度も娘を求めました。
それだけでなく、嫉妬から3人の子供の「始末」までほのめかされたため、ついに娘は父親を絞殺。
父親は、「お前に殺されるなら本望だ」と無抵抗でコト切れました。
本書は、AmazonKindle読み放題などで読むことができます。
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— 無料マンガ&マンガサンプル (@90mctw) October 31, 2019
親を絶対とする呪縛からの解放を
これまで、いくつかの凶悪事件漫画のレビューを行ってきましたが、たまたまなのかセオリーなのか、北九州一家監禁殺人事件以外、犯人の境遇は「ほしのもと」が恵まれず、とりわけ「毒親」という点が共通しています。
これを読まれている方の境遇は様々で、毒親のもとに育ったことがないと、理解はしにくいかもしれません。
また、一口に毒親と言っても、内容も、子の受け止め方も様々だと思います。
ただ、本件で刑法200条が否定されたように、私たちはこうした事件から、情は情として、親を絶対とする呪縛からは解放される教訓にしてもいいのではないかと改めて思いました。
そして、家庭内のことであっても、公序良俗に反することについては、なんとか公的機関による「善意の介入」で解決はできないものか。
近頃話題の乳幼児虐待事件などにもいえる願いです。
殺人犯の正体
公的機関がもちっと踏み込めば救える命はたくさんあったのではなかろうかと。取り締まる人も裁く人も結構その道のプロでは無く腰掛けが多いので事なかれで見過ごしているとしか思えない。
親殺しが重罪って江戸時代の話かと思ったよ(^_^;)
by pn (2019-11-03 11:58)
要するに、父親は娘を女として、本当に愛してしまったということですか。
実の親子であるのに…絶対的服従の関係なのに…
きっと、逃げ出さない娘も悪いとか言う人もいるんでしょうね。
実の親子であるのに…絶対的服従の関係なのに…
by 犬眉母 (2019-11-03 23:21)
子供への愛し方が捻じれてしまうと、とんでもないことが起こりますね…
by ナベちはる (2019-11-04 01:25)
この父親は、いわゆる鬼畜だと思います。
娘だろうが何だろうが、人として見ていたらそんなことは出来ないよ。893が誰彼かまわず強姦するのと違いはないと思います。そして逃げないから何度も何度も性的玩具にする、それと同じです。そんなもん殺されて当然ですよ。
本人が手を下せないなら、逮捕して10回くらい死刑にするべきです。
by なかちゃん (2019-11-04 05:55)
ただただ悲しい。。。。
親が子を、子が親を、が多すぎます。
by HOLDON (2019-11-04 06:44)