マブチモーター事件、話題になった強盗放火殺人犯死刑囚獄中ブログ [社会]

マブチモーター事件を覚えていますか。実行犯の死刑囚・小田島鐵男が約2年に渡って綴った「死刑台への実況中継」ブログは書籍化され、さらに『殺人犯の断末魔』という書籍で、本人の協力の下に漫画化されています。当時、「死刑を真っ向からとらえた究極のノンフィクション」などといわれましたが、本人は執行前に獄死(病死)しました。

マブチモーター社長宅殺人放火事件というのは、2002年に千葉県松戸市常盤平であった、マブチモーター社長(当時)馬渕隆一宅で、夫人と長女を絞殺。
現金200万円と高級腕時計や指輪など966万円相当を奪った上、2部屋に混合ガソリンをまいて放火し、木造2階建て住宅延べ約170平方メートルを半焼させた強盗殺人・放火事件です。
実行犯の死刑囚・小田島鐵男は、収監中に身元引受人であるノンフィクション作家・斉藤充功氏と交わした私信をブログとしてアップ。その書籍化が話題になりました。
緊急速報!
— 実話ナックルズ編集部 (@jitsuwaknuckles) October 13, 2017
9月16日に獄中死した、マブチモーター事件の実行犯、小田島鐵男を10年間追ったノンフィクション「3650」が10月23日に発売決定。 pic.twitter.com/7DOKEigdXo
あらすじ
小田島鐵男は、出生前に父が死亡したため祖父母の子として入籍。
母親は都度都度愛人が変わり、4歳のときには小田島鐵男を無理心中に巻き込みますが、小田島鐵男は一命をとりとめます。
親戚を転々とした極貧生活で、畑の人参を無断で抜き取っては飢えをしのぐこともあったといいます。
母は11歳の時に、再び無理心中を行い弟や妹とともに死亡。
小田島鐵男は、母親に憎悪と愛情の入り混じった複雑な感情を抱かざるを得ませんでした。
貧しさのあまり、中学生時代に買い物に行った店の引出しから現金を盗み補導されたのが、転落人生の始まりです。
中卒後、16歳のときには空腹に耐えられず、食堂で食べ物を盗み中等少年院へ。
出院後も窃盗の常習となり、職を転々としながら各地で罪を犯して何度も服役します。
そんな小田島鐵男自身、再起のチャンスと振り返っているのが、39歳(1982年)のときに知り合った飲み屋の女性だそうです。
空き巣狙いで金銭的に余裕があった小田島鐵男は、彼女の借金の肩代わりをして結婚。
小田島鐵男も真面目に生きる決意をして、自動車教習所の教官になります。
ところが、悪い癖が出てしまい、盗品故買で刑務所に戻ってしまいました。
2度目の結婚のときは、服役中に妻に逃げられました。
自暴自棄になった小田島鐵男は、いよいよ開き直り、刑務所でも自分の犯行を自慢するようになりました。
もっとも、半分は話を盛っていましたが、それを額面通り信じ込んだ前科6犯の守田克実が、先に出所して小田島鐵男の出所を待ち、犯罪計画を打ち明けて誘います。
自動車教習所の教官時代にとった2種免許で、タクシー運転手になるつもりだった小田島鐵男は、引っ込みがつかなくなり、またしても犯罪に手を染めます。
逃走中、最後の婚姻だったフィリピンハプで知り合った女性との間に子どももできますが、それでも真人間になることはできませんでした。
結局、守田克実を共犯にマブチモーター事件を引き起こし、その後も殺人や強盗を重ねて逮捕。
自己批判して控訴を取り下げ死刑が確定します。
ブログの更新が止まるなど死刑執行を恐れてはいたようですが、収監先の東京拘置所で食道がんのため74歳で病死しました。
収録されている『殺人犯の断末魔』は、無料チケットで話題書が読めるピッコマなどで閲覧可能です。
「殺人犯の断末魔」がすごい!面白い漫画が今すぐ読める!コミック読むなら「ピッコマ」で! #ピッコマ https://t.co/lBpA0H0fxM
— あいゆうまのかい (@ono_sho_ten) January 14, 2019
貧すれば鈍す
犯罪を繰り返して、モンスターなどといわれた小田島鐵男。
ただ、その客観的な原点は、人格的問題というより境遇にあったように思います。
毒親のもとに生まれ、貧しすぎて犯罪を犯すうちに習い性となり、多少は更生する気持ちや機会があっても、人生の流れがそれを許さなかったようです。
前科6犯の守田克実と罪を重ねたのは、唯一の友だったから縁を切れなかったといいます。
不幸な境遇でも真面目に暮らす人はいるし、犯罪は許されるものではありませんが、親を恨まなければならないような「ほしのもと」で人生をスタートさせると、なかなか幸せになるのが困難なことも確かです。
結婚を機に真人間に戻れなかったのは、不幸な生い立ちで家庭のありがたみを知らなかったからでしょう。
死刑を恐れていた割には、食道がんが判明すると積極的な治療も行わずに亡くなるなど、人生に執着もなかったようです。
現代社会は豊かなようでいて、餓死者のニュースもたまにあります。
社会としてできることは、極貧根絶のためのセーフティネットを作ることでしょうか。

殺人犯の断末魔~あの凶悪事件の裏側~ (エンペラーズコミックス)

最期の夏 「マブチモーター事件」強盗放火殺人犯 死刑囚獄中ブログ
- 作者: 小田島 鐵男
- 出版社/メーカー: ミリオン出版
- 発売日: 2009/11/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
この国は精神的にも経済的にも貧しい方に入る気もします。
by pn (2019-10-31 11:36)
「貧すれば鈍する」というのは事実ですね。貧しい環境に生まれて貧した人生を生きざるを得なかった事は「罪」なのでしょうか?
“同じ様な環境で真っ当に生きている人もいるんだ”という事を言う人もいますが、それを聞くと「この人は同じような環境で生きていないな」と分かります。
by 扶侶夢 (2019-10-31 19:15)
いろんな人生がある中、それでもビックリするような逆境ですね。
この事件はもうタイトルしか覚えていませんが、こんな内容だったんだ。
何だかかわいそうにさえ思えてきます。
by なかちゃん (2019-10-31 21:55)
「貧すれば鈍す」、まさにその通りだと思うので何とかなるように国などには動いてほしいですね。
by ナベちはる (2019-11-01 00:52)
気の毒な生い立ちですね。生きていくのが苦しくなりますね。
by ヤマカゼ (2019-11-01 06:52)
境遇を発端に不幸の連鎖ですね。
そこから抜け出るには相当なエネルギーが必要になるでしょうね。。。
by Rinko (2019-11-01 08:45)
私生児として生まれ、あちこち転々として
養母が御飯を作ってくれないので、
畑の作物を盗んで飢えを凌いだ子供時代を送った人を
知っていますが、その方はちゃんとまともな人生を歩んでおられますね。
by そらへい (2019-11-01 22:33)
人生は、努力だけでは解決しないことも
ありますね。
by 犬眉母 (2019-11-03 23:25)