香港クレージー作戦(1963年、東宝)香港ロケと昭和らしい飲食街 [東宝昭和喜劇]
『香港クレージー作戦』(1963年、東宝)が、来る6日のよる7時00分~8時58分に、BS11の『火曜シネマ昭和喜劇シリーズ』枠で放送されます。飲食店主を演じるクレージーの面々が、その顧客である植木等とともに香港に移住してビジネスを成功させる話です。(上の画像はポスターと劇中より)
どんな話か
『香港クレージー作戦』については、すでにネットではたくさん「あらすじ」のページが検索できます。
が、一応放送前なので、かいつまんで述べますと、植木等がツケをためて飲み食いしていた飲食店街が、香港籍の地主(リン・ツウオン)に立ち退きを迫られていました。
その飲食店街の人々は、ハナ肇が小料理屋、犬塚弘がそこの板前、谷啓がホルモン店、安田伸がとんかつ屋、桜井センリと石橋エータローがオカマの流しです。
独身サラリーマンの植木等は、それらの店のツケを溜めまくっていたので、ツケをチャラにする条件で、立ち退きの条件闘争に代理で出かけます。
そして地主とは、きれいに立ち退くかわりに、地主が建設している香港のビルに店主たち全員を迎え入れた日本食レストランを作る話をつけます。
しかし、香港に新たに出店するには金がかかります。
そこで植木等は大車輪の活躍で、仕入れる食材会社、とりわけビール会社社長(進藤英太郎)から多額の出資金をいただき、無事開店するところまでが前半です。
後半は、店を軌道にのせるための苦労が描かれているのですが、その一環として、クレージーキャッツが音楽コントを演じています。
見どころは、そのシーンと、当時の香港のロケーションになると思います。
外貨制限の中をロケ敢行
1960年代の東宝の屋台骨を支えた、クレージーキャッツを主演とする、通称“東宝クレージー映画”は全部で30本ありますが、本作『香港クレージー作戦』は、シリーズで最初に海外ロケを行った作品です。
『東宝昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』(Vol.12)より
シリーズ中、海外ロケを行ったのは本作を含めて4回あります。
博打好きの主人公を描くために、香港・マカオのロケを敢行した『無責任遊侠伝』(1964年)
ラスベガスの中央通りを通行止めにして、ぶっつけ本番のロケを行った『クレージー黄金作戦』(1967年)。
『クレージー黄金作戦』より
メキシコオリンピックにあわせて封切られた『クレージーメキシコ大作戦』(1968年)。
『東宝昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』(Vol.7)より
その当時は、日本人の海外渡航が「年1回、外貨持ち出し500ドルまで」の制限があった頃なので、本作と、『無責任遊侠伝』はまとめてロケを行ったそうです。
他の出演は、柳家金語楼、有島一郎、石山健二郎、由利徹、浜美枝、淡路恵子、中尾ミエなど。
スタッフは、製作:藤本真澄/渡辺晋、脚本:笠原良三、監督:杉江敏男です。
「食いだおれ横丁」の意味
作中の飲食街は、いかにも昭和の佇まいで、私はJR蒲田駅を少し歩いた路地裏に今もある、食いだおれ横丁を思い出してしまいました。
「食い倒れ」という意味は、私はてっきり、安くて美味しい店が並ぶので、つい食べすぎて倒れてしまうからそう呼ぶのかと思っていましたが、そうではなくて、「飲食にぜいたくをして、財産をなくすこと」(https://dictionary.goo.ne.jp/jn/60181/meaning/m0u/)なんだそうですね。
ずいぶん、ぶっそうな意味だったのです。
でも、実際には大阪名物くいだおれなども、庶民的なお店はありますよね。
とにかく、観ていると、美味しいものを食べたくなってしまうのも、本作の特徴です。
食いだおれというと、どんなお店を想像されますか。
香港クレージー作戦 [DVD]
映画が夢を語れたとき―みんな「若大将」だった。「クレージー」だった。
- 作者: 田波 靖男
- 出版社/メーカー: 広美出版事業部
- 発売日: 1997/07
- メディア: 単行本
ブーちゃんの看板が、シンプルな訴求で昭和らしいですね。
by 犬眉母 (2019-08-05 21:48)
食い倒れにそんな意味があったとは。まさに財産食い潰すってか(^_^;)
by pn (2019-08-05 22:06)
>「飲食にぜいたくをして、財産をなくすこと」
食い倒れということを同じように解釈していたので、こういう意味があったとは思いもしませんでした。
by ナベちはる (2019-08-06 00:44)
人生明るく生きていこうと訴えているような映画ですね。京急蒲田と蒲田駅の間に沢山の飲食店ありますね。
by ヤマカゼ (2019-08-06 05:40)