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重度難病・障碍者を国会へ送り込みバリアフリー化に風穴を開けた [障害者]

重度難病・障碍者を国会へ送り込みバリアフリー化に風穴を開けた

ALS患者(筋萎縮性側索硬化症)の舩後靖彦氏と、脳性麻痺による障碍者である木村英子氏が当選したことで、「重度障害者に国会議員が務まるのか」と話題になっています。ハフポストの記事(NEWS 2019年07月28日 16時36分更新)に、八代英太氏と乙武洋匡氏が発言していて興味深いと思いました。


記事の結論としては、「例え身体が動かなくても、言葉を話せなくても、何らかの手段で意思決定ができ、説明ができれば、私は国会議員が務まるのではないかと思う」(乙武氏)ということが書かれています。



“車椅子の大臣”だった八代英太さん、いいことおっしゃってますね。
障害をもってみて初めて分かったのが、誰しも障害をもつ可能性があるし、そうでなくても高齢になれば耳が聞こえなくなる、目がショボショボする、足腰が弱る、寝たきりになる。そういったことも障害だと思えば、人生の中で健康な時というのはごく短いものだ。社会には歩ける人と歩けない人しかいないのだから、歩けない人を標準にすれば歩ける人にとって不便はない。社会の変革には、そういった発想の転換が大事だと思う。(中略)私が及ばずながら第1期だとすると、いま、第2期のバリアフリー大改革に入ったという想いだ。頑張って欲しい」
文句のある人もいるかもしれませんが、自民党が第一党なのも、れいわ新選組が障碍者を国会に送り込んだのも、すべて選挙で有権者が決めたことです。


障碍者は決して少数派と排外視できない


ネットの排外的な書き込みを見ていると、障碍者はごく少数の「例外」のような見方で、だから「大多数」にとって邪魔だ、という扱いなのですが、そもそもその人数自体が実は少数派と切り捨てるほど少ない数字ではない、ということを今回は指摘しておきます。

平成30年版障害者白書によると、「身体障害、知的障害、精神障害の3区分について、各区分における障害者数の概数は、身体障害者(身体障害児を含む。以下同じ。)436万人、知的障害者(知的障害児を含む。以下同じ。)108万2千人、精神障害者392万4千人となっている」とあります。

日本における公式な障碍者数は、総計で936万6000人ということです。

日本の人口1268億 (2017年)をもとに計算すると、7.3%にあたります。

我が国の100人中7人は、つまり13人に1人は、公然とした障碍者なんです。

ただこれはあくまで、本人や家族が障害者手帳を申請して認められた人数に過ぎません。

同じステージでも、本人や家族の意志で申請しない場合があります。

とくに中途障害の場合、手足が不自由でリハビリ科に通っているのに「私は障害者ではないよ」とすましてがまんしている人が相当数います。

私の妻のように、間違いなく事故由来で肺活量が激減したのに、数値がギリギリ健常者の範囲だからというバカげた線引きで、障碍者手帳が出なかったケースもあります。

合併症のリスクが有る糖尿病罹患者が、予備軍含めて1000万人と言われています。

ストーマをつける必要のある直腸がん、高次脳機能障害のリスクが有る脳卒中などは毎年一定数発症します。

さらに、病気や障碍ではないけれど、高齢で体力や身体の諸機能が衰えたり、お腹の大きい妊婦であったりと、身体的な弱者を加えたら、最初からバリアフリー前提の建物づくり、街づくりが合理的であることは議論するまでもないでしょう。

国会は、八代英太議員や、晩年の田英夫議員など、車椅子議員がいたはずなのに、その前提が欠落していたのです。

記事中にも出てきますが、鳩山一郎元総理も車椅子を使っていたそうです。

日本社会党の飛鳥田一雄委員長は、足が不自由な障碍者でしたね。

その方々に、国会は学ばなかったのです。

どの党も、実は心底から障碍者のことを考えてはいなかったことが、バレてしまったのです。

だから、今になって慌てている。

恥ずかしい話です。

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私の意見


議員というのは、採決や委員会出席だけでなく、日常活動が必要です。

果たして、重度の難病・障碍者にそれがつとまるのか、私も、懐疑的な気持ちがないとはいえませんでした。

しかし、選挙後に起こった今回のバリアフリー騒動を見たら、少なくとも障碍者を国会へ送り出すことに限れば意義はあると思いました。

だって、上記のような統計があるのに、どこの政党もバリアフリー化に、党の命運をかけてでも実現に頑張るということはなかったじゃないですか。

それが、はじめての選挙で、“たった”2議席獲得にすぎない、れいわ新選組が、風穴を開けるとは、なんて痛快だと思いませんか。

一点突破全面展開とは、まさにこのことなんだなあと。

世の中を変えるというのは、今回のように多少無茶でも、正面突破のトライは必要なのかもしれません。

結局、私の結論は例によって今回も、「人生、やるか、やらないか」というわけです。

冒頭のイメージ画像
Photo by Bui Thanh Tam on Unsplash

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コメント 12

ナベちはる

今回の選挙で「風穴」を開けた2議席が、日本をいい方向に変えてほしいです。
by ナベちはる (2019-07-30 00:42) 

よしあき・ギャラリー

素晴らしいことと思います。
by よしあき・ギャラリー (2019-07-30 06:11) 

pn

近視遠視も事実上「障害」でしょうからもはや一割以上は確実にいるでしょうね、一割じゃきかないか。
これで法改正とかも進むと良いですね。
by pn (2019-07-30 06:13) 

renbajinharuhi

政治に対しては小さな一歩ですが、国民の意識改革には大きな一歩、障碍者の可能性に関しては無限であることを示した大きな出来事でしょう。
by renbajinharuhi (2019-07-30 07:10) 

kou

自分は入院中に申請を勧められましたが結局拒否しました。
そういう予備軍を含めると相当数いるんでしょうね。これを契機に良い方向に進むと良いですね。
by kou (2019-07-30 07:31) 

Rinko

よくぞやってくれた!と思いました^^
by Rinko (2019-07-30 08:23) 

yoko-minato

応援したいですね。
国会から変わって行ってほしいです。
by yoko-minato (2019-07-30 08:24) 

Take-Zee

こんにちは!
いろんな価値観があって意見も考えも
いろいろですね!
 
by Take-Zee (2019-07-30 09:58) 

いろは

こんにちは^^
確かに何かが変わるでしょうね。
by いろは (2019-07-30 16:07) 

扶侶夢

八代英太さんの言葉、その通りだと思いますね。障害者は決してマイナーな存在ではないです。
by 扶侶夢 (2019-07-30 16:48) 

足立sunny

自分はれいわ新撰組に票を入れたのですが、自分の同僚二人は「ほとんど身動きできない人が議員になって何をするんだ?」と言っておりました。
重度障害者が代表になった意義はあると思うものの、この意見に対してきちっとした説得はできませんでした。
by 足立sunny (2019-07-30 18:09) 

エンジェル

こんなことでもない限り変われないのが今の日本です。この方達を議員に送り込んだ山本太郎さんはなかなかの人物だと思っています。
by エンジェル (2019-07-31 22:59) 

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