言語に「手話を含む」と規定された、改正障害者基本法案が2011年7月29日、参議院本会議で全会一致で可決、成立し、同年8月5日に公布されました。NHKハートネットでは、「日本で唯一手話が第一言語のろう学校」のダイジェスト動画を投稿しているのでシェアします。
8年前の改正により、障害者基本法第3条三に「言語(手話を含む。)」と規定され、日本で初めて手話の言語性を認める法律ができました。
第3条(地域における共生等)
三 全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。)その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。
先日の選挙の政見放送でも、左後方に手話者が必ずいましたが、この法律が根拠になっています。
それにしても、 「えっ初めての法律なの」と思われるでしょう。
手話自体は、以前からあったからです。
ところが、「日本では長い間、手話は『手まね』とさげすまれてきた歴史がある」(全日本ろうあ連盟の久松三二事務局長、
https://www.sankei.com/life/news/180125/lif1801250016-n1.html)ことと、国や自治体の手話体制における責任が発生することから、法的に「言語」ではなかったのです。
ということは、ろう学校でも、手話による教育は建前としては行われなかった、ということです。
「世間の大半は、手話がわからないのだから、手話を使わないコミュニケーションを身につける」という口実はあったのかもしれませんが、ろう学校でも授業に使わないのは合理性を欠いています。
そこで、NHKハートネットでは、「日本で唯一手話が第一言語のろう学校」のダイジェスト動画を投稿しているのですが、ここにシェアします。
直近では、5月5日【総合】朝9時 ETV特集「静かで、にぎやかな世界 ~手話で生きる子どもたち~」で放送されたそうです。
そして、05月31日には、第56回ギャラクシー賞受賞しています。
ドキュメンタリーですが、ノーナレーションです。
東京都品川区の私立特別支援学校・明晴学園は、幼稚部(プレ含む)、小学部、中学部の一貫教育でバイリンガルろう教育を行っている、日本手話がが第一言語のろう学校だそうです。
テレビカメラが回っていることもあると思いますが、児童が明るいですね。
日本手話という自分の“ことば”を持つことで、児童・生徒がコミュニケーション力や思考力を育んでいきます。
「(以前のろう学校の時は)しゃべりかけてこないし言葉もなかった。明晴学園に入ってから、止められないくらいおしゃべりになりました」(保護者)
「聞こえないこと以外はすべて同じなのに障害者といわれたくありません」(6年生の児童会長)
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日本手話と日本語対応手話
さて、明晴学園の「第一言語」は「日本手話」と書きました。
「手話」には、「日本手話」と「日本語対応手話」の2種類がある、と説明されているサイトがあります。
「日本手話」というのは、生まれつきろう者独自の、日本語の文法体系とは異なる体系の手話です。
「日本語対応手話」というのは、日本語の体系を知っている健聴者、元健聴者(中途失聴者)が学ぶ、「音声言語である日本語に手話単語を一語一語あてはめていく」手話です。
手話サークルで行う手話はもちろんのこと、口語法(先生の口の動きから言葉を学ぶ)を採用しているろう学校も後者の手話を使います。
一方、「日本手話」は、ろう者同士のコミュニケーションや、両親がろう者の場合の家庭でのコミュニケーションで身につくそうです。
全日本ろうあ連盟によると、同じ「手話」を、違うもののように述べるのは、「聞こえない人や聞こえにくい人、手話通訳者を含めた聞こえる人を分け隔てること」として否定しています。
ただ、「日本手話」を使うということはバイリンガルですから、手話サークルに通うだけでは身につくものではなく、健聴者にはわかりません。
「日本手話」が、健聴者にもよりわかりやすいものになると、さらにコミュニケーションが豊かになるように思いました。
三訂 DVDで学ぶ手話の本 全国手話検定試験5級対応 (手話でステキなコミュニケーション 1)
聾の世界にも、手話にも、とても関心を持っていて、明晴学園は立ち上げの頃から知っています。
今、知人のお子さんで聾ではないのですが気管切開をしているお子さんを受け入れていただいたりしています。
by 森田惠子 (2019-07-28 22:06)
手話に2通りあるとは知りませんでした。
by pn (2019-07-28 22:36)
恥ずかしながら、手話が言語として制定されてからまだ8年しか経っていないということを知りませんでした。
by ナベちはる (2019-07-29 01:04)
勤務先にも、1人います。といっても1000人近い中での
1人。電話に出れないのが可哀そうですが元気に職務についてます。
by ヤマカゼ (2019-07-29 06:05)
手話の言語制定がこんなに短かったとは初耳でした。前職場の話になりますが、日常生活には支障がないものの耳が聞こえづらい社員がおりました。ある社員は公然と「耳が聞こえないのなら・・・」と罵声を浴びせていましたが、まだこんな人間がいるんだと驚いた記憶があります。
by kou (2019-07-29 07:48)
同じ手話でも2種類あるんですね。
ろう学校の授業で手話が取り入れられていなかった事に驚いています。
by Rinko (2019-07-29 08:05)
手話はテレビや、会合などで見ますが、
2種類あるのですか、知りませんでした。
外国語にもそれぞれの手話があるのでしょうから、
2ヶ国語の手話を使う人もおられるのでしょうね。
by kohtyan (2019-07-29 16:17)
聞こえないこと以外はすべて同じなのに障害者といわれたくありません…という意見にまったく同感ですね ^^
ボクの町内にも聞こえない両親の間に生まれた聞こえない姉妹がいましたが、児童クラブの活動とかにも積極的に参加して、溶け込もうと懸命でした。
そして、そんな子と一緒に過ごすことで他の子どもたちもやさしい子どもに育っていってくれたと思っています(^^)
by なかちゃん (2019-07-29 18:40)