『日本一のゴマすり男』高度経済成長時代屈指のサラリーマン喜劇 [東宝昭和喜劇]
『日本一のゴマすり男』(1965年、東宝)が、来る23日のよる7時00分~8時58分に、BS11の『火曜シネマ昭和喜劇シリーズ』枠で放送されます。父親のコネで入社した植木等が、自分が幹部候補生でないことで発奮。ゴマすりによる出世を決意するサラリーマン喜劇です。(上の画像はBS11公式サイトのスクリーンキャプチャ)
2014年発行の、1960年代東宝喜劇映画をDVDにおさめた『昭和の爆笑喜劇』(全50巻、講談社)では、最初の10巻の作品を、クレージー映画の人気投票順に収録したそうですが、本作『日本一のゴマすり男』は、第4巻に収録されています。
本作は30作あるクレージー映画の中で、4番目に人気のある作品だったということです。
植木等が、輸入自動車の販売会社に入社し、C調(軽薄で調子がいいこと)で困難をすり抜け、成功するコメディタッチのストーリーです。
ネタバレ御免のあらすじ
『東宝昭和の爆笑喜劇DVDマガジン』(Vol.4)より
中等(植木等)は、社長(進藤英太郎)と同期だった父親(中村是好)のコネで、後藤又自動車に入社(ロケ地は港区のヤナセ自動車)します。
しかし、コネ入社で、そもそも人員としても全く期待されておらず、ちゃんとした机もありません。
どこからかもってきた机で、仕事は来る日も来る日も宛名書き。
フルコミッションでバリバリ稼ぐ直販営業社員・眉子(浜美枝)からは、「閑職正社員に甘んじるくらいなら、私のように独立した身分で車を売らない?」と誘われますが、植木等は、いったん入社した以上、サラリーマンとして成功してみせると啖呵を切ってことわります。
腹をくくった植木等は、以来徹底したゴマすりで活路を見出します。
係長(人見明)、課長(犬塚弘)、部長(有島一郎)に次々とりいって、とうとう常務(高田稔)の夫人(京塚昌子)まで味方につけてしまいます。
その常務夫妻のパーティーでは、後藤又自動車の会長(東野英次郎)の娘(中尾ミエ)と知り合いますが、彼女が飛行機好きであることを知ります。
すると、アメリカから日本に横断して話題になっていた、日系三世のジョージ箱田(藤田まこと)の滞在するホテルに強引に訪問。
彼女を紹介して仲をとりもち、感謝されます。
ことほどさように、とにかく相手が喜ぶことを積極的に行っていくのです。
ゴマすりというと、本来の仕事の実力ではない、裏芸のような後ろめたさがあります。
しかし、これは、現代のリアル社会でも参考になるのではないかと思います。
ギブアンドテイクは、まず自分からギブを行う。
サラリーマンであれ、独立起業した事業主であれ、人脈づくりにあてはまる処世術かもしれません。
ちょっとした見どころ
個人的には、脇役の女優が面白かったと思います。
一人は、常務夫人役の京塚昌子。
『日本一のゴマすり男』より
昭和の喜劇は、コメディリリーフというと、レンズの分厚いメガネか、東北訛りのキャラクターが使われましたが、70年代のホームドラマ全盛時、大きく化けた京塚昌子が演じています。
まあ、今だったらそういうキャラクターを設定するのはむずかしいのではないでしょうか。
もうひとりは、会社のベテラン女性社員役で、植木等に封筒宛名書きの指示を出す宮田芳子。
『日本一のゴマすり男』より
自分の仕事までさせて、自分は編み物をしています。
「ほら、ちょっとこっちきて」というセリフが、ベテラン女性社員らしくて巧い!
一般には有名ではないかもしれませんが、宮田芳子は東宝の大部屋女優の一人です。
当時は、映画会社が専属で、主演からエキストラまで俳優を抱えていたので、小さな役でもプロであり、しっかり仕事をするのです。
あとは、浜美枝に見下され、植木等が「今に見てろ」と、下宿に帰ってきて発奮ぶりを表現するのですが、「あなたのお名前なんてぇの? なかひとしと申します。お歳はいくつと聞いたなら、20と5歳でござります」といいながらツイストを踊りだします。
これは当時の流行です。
トニー谷の『アベック歌合戦』という素人の歌番組があり、トニー谷が拍子木でリズムを取ってアベックにそうやって自己紹介させていたのです。
トニー谷は、「さいざんす」「おこんばんは」「レイディースエンジェントルメン、アンドおとっつぁんおっかさん」なんて言葉を流行させました。
おそ松くんのイヤミのモデルであり、最近はピコ太郎がモデルにした、ともいわれています。
ということで
『日本一のゴマすり男』は、右肩上がりの高度経済成長時代らしい、やる気が湧いてくる映画です。
とくに仕事のスランプなどで落ち込んでいる方には、気分転換におすすめしたいですね。
職場で、ゴマすってますか?
製作:渡辺晋 / 森田信
脚本:笠原良三
監督:古沢憲吾
日本一のゴマすり男 [DVD]
ゴマはすらないわ好き勝手に買い物するわだから嫌われているんだろうなぁ(^^ゞ
by pn (2019-07-22 22:10)
ゴマをすりましょう~陽気にゴマをねっ♪~
明るい日本が見えてんですよねぇ
この時代は~
懐かしいなぁ
by みうさぎ (2019-07-23 00:13)
ゴマすり、しないですね…
by ナベちはる (2019-07-23 01:08)
懐かしいですね。ツイスト踊りとセリフは流行りましたね。
by ヤマカゼ (2019-07-23 04:05)
こんにちは!
こんな言葉が流行りましたね!
会社でも嫌われるタイプの人たちに
多くいましたね・・
by Take-Zee (2019-07-23 12:23)
京塚昌子さんは、肝っ玉母さんでの記憶しかありませんでした。
by ヨッシーパパ (2019-07-23 19:37)
懐かしいですね。
このゴマスリ、当時小学生の間でも大人気、先生に同調する奴がいると、みな先生には見えないようにゴマスリの仕草をしていた、そんなワンシーンを思い出しました。
by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2019-07-25 17:05)