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米倉斉加年、菊川昇、赤シャツ、モランボンCM出演などを思い出す [懐かし映画・ドラマ]

米倉斉加年、菊川昇、赤シャツ、モランボンCM出演などを思い出す

明日の10日は米倉斉加年さん(よねくらまさかね、1934年7月10日~2014年8月26日)の生まれた日です。『男はつらいよ』では、善人役で何度か出演していますが、悪役でもずいぶん仕事をされています。モランボンCMへの出演も話題になりました。(上の画像は、上段下段左がDVD劇中から、右がYoutubeから)



米倉斉加年さんは、劇団民藝で役者としてだけでなく演出家としても活躍し、テレビや映画も多数出演されています。

また、芝居の世界だけでなく、絵本作家や絵師としても仕事をされていました。

冒頭に書いたように、『男はつらいよ』には、マドンナに恋する気の弱い書生役や、地域を担当する人のいいおまわりさんなどを演じています。


ところが、金田一シリーズ『三つ首塔』では、真野響子を折檻して縛りあげる悪役を演じています。

私がとくに記憶に残るのは、1978年の田宮二郎版『白い巨塔』の菊川昇教授役です。



東貞蔵(中村伸郎)が財前五郎(田宮二郎)を教授にさせたくないばかりに、自分の出身の東都大学の実力者である船尾徹(佐分利信)に刺客を依頼。

佐分利信が選んだのが、金沢大学で静かに研究に打ち込んでいた米倉斉加年でした。

中村伸郎は、教授にするだけでなく、自分の娘(島田陽子)と結婚させることまで目論んでいました。

しかし、結局教授選は財前五郎が当選したため、米倉斉加年は自分の意志とは無関係に道化させられてしまった、というストーリーです。

一方、米倉斉加年は、『坊っちゃん』で赤シャツを、テレビドラマでは竹脇無我版で、映画では中村雅俊版で演じています。



菊川昇を演じる人なら、『坊っちゃん』ではさしずめ“うらなり”役をイメージしてしまいますが、米倉斉加年は赤シャツ役でした。

善人、小市民、悪人、偽善者、何を演じてもはまり役になってしまうのは素晴らしいと思いました。

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モランボン問題




米倉斉加年さんは、モランボンの焼き肉のたれ「ジャン」のCMにも出演しました。

パジチョゴリを着て、キムチをトッピングして、湯気が出ているアツアツごはんを頬張っているCMでした。

そのCMについては、芸能雑誌で読んだ記憶では、最初、米倉斉加年さんはCM出演の話が来てもなかなか承諾せず、熟慮のすえ、本人から「やっぱりやります」と回答があってCMが制作されたと書かれていました。

私はてっきり、キムチを美味しそうに頬張る演技に自信がないのかなあ、ぐらいに思っていました。

まあこれはよく考えると、プロの俳優に対して大変失礼な推理なんですけどね。

ところが、最近になって、ネットを調べてみると、そうではないことがわかりました。

モランボン=牡丹峰、という社名から、民族(朝鮮)系の食品会社であることがわかりますが、そのCMに出演したことで、米倉斉加年は役を降ろされたり、家族がいじめられたりした、と書かれている読み物がいくつかあります。

米倉斉加年さんは日本人です。にもかかわらず民族系会社のCMに出たので、「お前は朝鮮人か(それなら差別してやる)」もしくは「日本人のくせに朝鮮の会社のCMなんか出やがって」という意味で、そのような仕打ちを受けたのです。

当時は、ソウルオリンピックに向けて、韓国都市部の再開発が進むときで、韓国をPRするTV番組もあったのですが、一方で、埼玉の在日朝鮮人三世の中学生がいじめで自殺するなど、差別と偏見は確実に残っていました。

米倉斉加年さんがCMを引き受けたのは、社会意識への挑戦だったんじゃないだろうか、と私は感じました。

しかし、人気商売の俳優で家族もおられた米倉斉加年さんにとっては、大変な決断だったと思います。

そして、そのことは民族差別的出来事であるだけでなく、CMの演者という“末端の労働者”がいわれのない糾弾を受けているのに、そのCMを作っておおもとの利益を得ている、放送局や新聞・雑誌などのメディア、および広告代理店は何も傷つかないという、資本主義社会の矛盾も露呈したものにほかならないと思いました。

米倉斉加年さん、どんな作品が記憶に残っていますか。

おとなになれなかった弟たちに…
おとなになれなかった弟たちに…



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コメント 10

犬眉母

私たち日本人消費者だって、焼肉のタレを
買っているのにおかしいですね。
by 犬眉母 (2019-07-10 01:56) 

ナベちはる

民族系の食品会社CMに出ただけで、こんな言われよう。本人も「なぜ?」と思ったでしょうね…
by ナベちはる (2019-07-10 02:06) 

ヤマカゼ

モランボンのCM覚えてます。まさかそんな事情があったとは知らなかったです。
by ヤマカゼ (2019-07-10 06:11) 

テリー

米倉斉加年、懐かしいですね。
アメリカ東部旅行から、昨日、戻って来ました。
by テリー (2019-07-10 08:58) 

さくら君

モランボンのCM、懐かしいですね。
晩年出演されたNHKの朝ドラ「ちりとてちん」での演技が記憶に残っています。
by さくら君 (2019-07-10 09:15) 

pn

土曜ワイド劇場だったかな?犯人役で「もしもし、こちら地獄」(墓場だったかも)って台詞が記憶にあるんだけど果たして本当に米倉斉加年だったかと言うと定かではない(笑)。
それはそうとまさかねと読むのかぁ・・・
by pn (2019-07-10 11:51) 

Rinko

絵本作家や絵師もなさっていたなんて!
マルチだったんですね。
by Rinko (2019-07-10 14:43) 

Take-Zee

こんにちは!
この人、斉加年さん。
まず読めなかったお名前でした。

by Take-Zee (2019-07-10 18:19) 

這い上がるママ

米倉斉加年さんは、子どもの頃、永六輔さんと見分けがついていない方でした。似ていらっしゃいませんか。
by 這い上がるママ (2019-07-11 16:34) 

そらへい

「男はつらいよ」を見て
この方の評価が一変しました。
by そらへい (2019-07-15 23:16) 

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