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心肺停止妻、遷延性意識障害長男、肝炎等母支えた6つのポイント [障害者]

心肺停止妻、遷延性意識障害長男、肝炎等母支えた6つのポイント

何度か書いていますが、私は妻子と母の4人が命を脅かされる経験をしました。心肺停止した妻、遷延性意識障害に転落した長男、卒寿過ぎてから肝臓障害・腎臓障害・感染症などいっぺんに経験して意識障害に陥った母などがそうですが、すべて生還してくれました。家族としてそのたびにどう乗り切ってきたかをまとめます。



あらまし


8年前に火災があり、妻は一酸化炭素中毒による心肺停止。

子どもたちは医学的にはJCS300という深昏睡で、長男は遷延性意識障害に。

卒寿過ぎた母は1年半前、食思不振で腸管免疫が不全となり3度真菌などの感染症にかかった上、薬剤性肝蔵および腎臓障害で意識障害を起こし平穏死を勧められました。

が、いずれも現在は、全員補装具もなく普通に日常生活を送っています

心肺停止から生還した妻の脳を回復へと導いた筆記会話と数独

ただ、その道程は決して平坦ではなく、たとえばその処置も含めて、私は既往15年で7回、身内をストレッチャーにのせて手術室まで付き添いました。

全部、命がけの大きな手術です。

これだけいろいろあったら、人生やり直しのつもりで、姓ぐらいかえたっていいでしょう。

戸籍をいじらずに「姓または名を変更」する方法

それはともかくとして、ある人はいいます。

「それはお子さんが偉かったんだ」

もちろん本人が一番大変です。

が、本人は治療や措置の受け手ですから、少なくとも急性期は何もわかりません。

自分の意志とコントロールで治療を受けているわけではありません。

全部、私の判断です。

もう、手術や処置の説明承諾書に、何十枚サインしたかわかりません。

母は15年で19回入院しているため、大げさでなく、サインは合計3桁かもしれません。

といっても、手柄話や苦労話として、このことを書きたいわけではありません。

どうやって、生還にこぎつけたのか、社会的公益性のある話だと思ったから、書くことにしたのです。

それはひとえに、謙虚に多くの人から体験談やアドバイスを聞き、的確な差配をしてくれるソーシャルワーカーやケアマネージャーとミーティングを積み重ね、ベストな診断をできる医師にたどりつき、効率の良いリハビリを根気強く行ってきたことによるものです。

なんだ、当たり前だと思うあなた。

じゃあ、私と同じ経験をして、全部ソツなくできますか。

そのアタリマエのことをできない人が、リハビリが鍵を握る予後をしくじるのです。

患者の家族に必要な6つのポイント


それを実践する上で、私の実体験として枚挙しておきたいことは6つあります。

全体としていえることは、患者が著しく回復できる時期は僅かな時間であり、つまり家族が回復へ大きく貢献できる時期は、実はそんなに長くないのです。時間も勝負のうちということです。

医学医療にケチを付けない


たとえば、自分の家族の治療結果が思わしくないと、八つ当たりで、検査や処置にケチをつける人がいますが、関連論文を見たこともない素人の分際で思い上がりも甚だしいことです。

医療現場は忙しいし、余計なことをして、それが医事紛争にでもなることを一番恐れており、たいていはガイドラインにそって理由がある必要なことしかしません。

結論をはっきりする


とはいえ、病院にミスが絶対にないとは言えません。

しかし、それが許せないなら、他所の病院に行けばいいのではないでしょうか。

処置や治療に悪口を言いながら、でも転院もせず居続ける患者も変です。

今はセカンドオピニオンなど、病院は選択ができ、転院もできます。

入院中に、他の病院に話を聞きに行くこともできます。

何が気に食わないのか、合意のために自分は病院側となにを努力すべきか、交渉決裂のときはどうするのか。

自分の目標や希望があれば、病院に対する要求や判断もはっきりできるはずです。

どうしたいのかよくわからず、ブツブツ言っていたら、相手も人間ですから信頼関係は構築できず、患者自身が損をするだけです。

プライドは無意味


求めていることが成就できるかどうかは、情報収集ができているかどうかが全て、といっても過言ではないかもしれません。

同じような立場の人の体験談はもちろん、実はそのことと全く関係のない知り合いから、思わぬ情報を得られることもあります。だから世の中は面白い

そのためには、自分が今どういう状況であり、どんな情報を求めているかを、できるだけ多くの人にわかってもらうことが必要です。

でも、中には変なプライドが邪魔をして、「同じケースの人がいるとは限らない」「効率が悪い」等々、“しない理由”を作って、それを怠る人がいます。が……

そんなこと、やってみなきゃわかんねーだろ

たぶんそういう人は、私のように、生後5ヶ月の知能の遷延性意識障害者に転落した子どもを、高校に復学させることはできないでしょう。

人間なんて、ひとりひとりは微力です。

それを自覚して、謙虚に一からコツコツと成就の道筋を掃き清める姿勢が必要です。

現状について深層心理に不満を抱く「不遇」な人は、「君は雑魚だ」といわれると侮辱するなと身構えるものです。

私もいわれのない誹謗は容認できませんが、自分が雑魚だとは思うので、くだらないプライドなどはなく、人からアドバイスされたら反論ではなく前向きに受け入れ、家族のために無原則でやれることはすべてやりつくし、結果で見返そうと思いました。

ちなみに、以前も書きましたが、So-netブログで肝臓の闘病をされているひでほさんには、肝臓専門医をご紹介いただき、本当に助かりました。

初動が鍵を握る


いつもいう、そして今回も上で述べているのは、「人生、やるかやらないか」なわけですが、実はただやればいいというのではなく、すぐに実践することが大事です。

初動でつまずくと、なかかなその後もうまく動けないことがあります。

やろうと思ったときが一番集中できるときだからです。

そして、わずかでも成果が上がれば、次への意欲が生まれます。

明日やろうと考えたら、いろいろ用事ができてずっとできなくなった、ということってありませんか。

感じたときが動くときなんです。

できない言い訳を作らない


しかし、現実には、どんなことでも、少数の「やる」人と、大半の「やらない」人にわかれてしまいます。

そして、やらない人は、自己正当化の言い訳をつくります。

成功のために、お金のために「魂は売りたくない」とかね(笑)

人生で魂を売ることなんかそうそうねえだろ

そんな、いわゆる「綺麗事」(←そもそもきれいでもない)を言うやつに限って、カネがなくて家族にいい思いをさせてやれないものです。

また、中には「そんなことは、いわれなくてもこれからやる予定だった」などと言い訳する人もいます。

脳内の未来に委ねる最強の言い訳

でもいくらご立派な構想があろうが、脳内では物理的には何の価値もありません。

世の中、結果を出さなければ評価しようがないし、そんなことで自己満足している間にも、患者は回復しうる機会を少しずつ失っているです。

ブログ読者を裏切らない


自分の経験を、闘病記ブログなどで発表することはあるでしょう。

そのときは、すべて本当のことを書くか、もしくはフィクションか、いずれかにすべきです。

あとでいくらでも著者裁量でごまかせる余地を残した書き方をして、逃げ道を作る人がいます。

たとえば、自分が書いた闘病記で自分の知識や行動の不作為を注意され、面白くなくなったからといって、「あなたは知らないだろうが、書かないだけでその裏にはあなたの知らないことがいっぱいある」などという韜晦(とうかい)趣味でやりこめるのです。

これは、読者に対するだまし討ちで、読者との信頼関係を破壊する行為です。

真面目に読んでくれた読者に対して、絶対にやってはならないことです。

ブログとして発表したことは、書かれていることが全てであり、読者はそれ以外の情報はなく、また不明なところを推し量る義務もありません。

書かなければ、どんな理由だろうが、また真相がどうだろうが、書かなかった著者が全て悪いのです。

たとえ著者の話が本当だったとしても、そういう後出しのような言い訳をする人は、自己保身でいざとなったらあらゆる責任転嫁しそうです。

ですから、ブログ記事の読者に対して、裏切らない関係を作るということは、人格に対するトレーニングでもあります。

そして、それをまじめに守ることは、必ずやリアルな対人関係にも役に立つことだと私は考えます。

読者を裏切らないようにしましょう

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まとめ


以上のことは、私のようにすれば、絶対うまくいく、という話ではありません。

その時の、その患者のコンディションや実際の医療体制が前提ですから、現象的に同じ人の相談をされても、私には医学的にな答えはだせません。

ただ、家族としてベストを尽くすなら、上記のことは守ったほうがいいということです。

なお最後に、私はトレンドとしての平穏死には反対ですが、ただし、高齢者がケガや病気を契機にガクッと弱り衰える現実を受け入れないわけではありません。

不老不死のつもりで何でもかんでも、治る、元気になるなんて思っていませんし、それは結局、御本人につらい思いをさせるだけです。

万物は、生成発展消滅するものです。

では後遺症が残った状態でどうするか、ということについては、やはり上記の6点を守って、社会資源(制度だけでなく人間もブログも)を最大限上手に使わせていただくという姿勢が大切なことに変わりはありません。

魂のリハビリテーション―植物人間からの生還 (1984年)
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犬眉母

耳の痛い話です。
顔の見えない匿名の無料ブログですと、つい嘘を書いたり、
大げさに脚色したりすることはあるかもしれませんね。

でも読んでもらうことで、読者の時間を奪っているのですから、
たとえバーヂャルでも、それに見合う誠実さは持ちたいと思います。
by 犬眉母 (2019-06-26 03:00) 

いっぷく

>読者の時間を奪っている
>それに見合う誠実さ
ブログに限らず、リアルの打ち合わせや会合などでも、相手の時間を奪うという発想がない人が多いですね。
by いっぷく (2019-06-26 05:39) 

ヤマカゼ

大変な経験をされてますね。いっぷくさん一生懸命にあたまがさがります。
by ヤマカゼ (2019-06-26 06:00) 

いっぷく

ありがとうございます。
ここのところ俳優の誕生日や、障害者の動画の話ばかりでしたので
たまには、力を入れてやや長文を書きました。

by いっぷく (2019-06-26 06:18) 

Rinko

いっぷくさんの経験なさった事を知る度に、私に同じことが起こったら果たしてここまでできるだろうか?と毎回考えさせられます。
諦めず・冷静に判断していく力。大切ですね。
by Rinko (2019-06-26 08:06) 

なかちゃん

何度も大変な想いをされて、でもその全てで頑張って今は全員がご無事でなんて、ボクには無理かもしれません。
もちろん家族に何かが起これば駆けつけますが、どうしても逆らえない運命もありますからね。ボクの場合は父が事故でその後2日で帰らぬ人となってしまったし、ボク自身も癌で長い入院生活を送りました。
その時のことをいっぷくさんのように自信を持って書けるかというと、書いてはいるけど自信はないなぁ(^^;
自分の治療のことでセカンドオピニオンを求めなかったことは、今でも悔やまれる時がありますね。
でも、まだ生きているから良しとしなければ…です(^^)

by なかちゃん (2019-06-26 08:25) 

ようこくん

ご家族の生死をさまよう場面に何度も、そして何年も向き合って前向きに情報収集、行動をされてきたいっぷくさんに頭が下がります。仕事も続けながらではさぞ大変だったことでしょうね。
ブログに対する姿勢、勉強になります。
by ようこくん (2019-06-26 12:41) 

pn

耳が痛すぎる。
それはともかく、俺そんな判断出来ないだろうなぁ。失敗しても責任負いませんみたいなやつにサインするのなんとなく納得がいかないんだよ。
by pn (2019-06-26 16:42) 

いっぷく

>by Rinko (2019-06-26 08:06)さん
>諦めず・冷静に判断していく力。大切ですね。
私はエラソーに書いてますが、家族が大事と思う気持ちをそのまま行動に移せば、普通はできるのではないかと思います。ひとつひとつは当たり前のことなのです。
ただ、世の中には自己愛が強いといいますか、人からアドバイスを受けるのがどうしてもできないとか、その病気の名医と言われる人をたずねまくって、それで全部断られたら嫌だとか、そういう意識が働く人が意外と多いみたいですね。そういう余計な意識で動けなくなるか、断られてもはずかしくないと次をたずねられるか、その差だと思います。
by いっぷく (2019-06-26 20:42) 

いっぷく

>by なかちゃん (2019-06-26 08:25)
>ボク自身も癌で長い入院生活を送りました。
私は、高齢者を介護されたり、墓守をされたり、若くしてがんを経験されたりした方は、理屈抜きでその方を信用させていただいてます。そういう方は苦労されたことによって陰翳に富む機会を得ているからです。

by いっぷく (2019-06-26 20:43) 

いっぷく

>by ようこくん (2019-06-26 12:41)
>ブログに対する姿勢、勉強になります。
ブログの齟齬・トラブル全体としては、読者に責任があるケースもあると思います。
たとえば、揚げ足を取るように、文脈上恣意的といわざるを得ない決めつけなど、「書いていない落度」以上に「決めつける」ことが方が悪い場合もあります。
ただ、一般論ですが闘病記のような場合は、辛気臭い自分の事情を読んでいただき、それに対して読者の善意の忠告が入るわけです。常識的には、「色々なご意見ありがとうございます」ですよね。
でもたまに、自分が至らない指摘を受けたような気になったからか、隠していた(慌ててでっち上げた)「新事実」を持ち出して反論するバカバカしい「論破」で自分の面目を保つような悲しい展開もそうしたテーマでは見かけます。
そうなれば、善意の方々から自ら情報を獲得する機会を失うことになると思いますし、やはり闘病記のようなものを書くときは、自分の精神状態が落ち着いているときにしたほうがいいのかもしれませんね。
by いっぷく (2019-06-26 20:50) 

いっぷく

>by pn (2019-06-26 16:42)
>失敗しても責任負いませんみたいなやつにサインするのなんとなく納得がいかないんだよ。
実際には、命が危ないとなったらサインなしでもやりますから、殆どの場合意味はないといってもいいのです。
が、きっと90年代ぐらいから医療裁判が急増したためできたことだとおもいます。訴訟大国になんかなると不便なこともあるわけです。
by いっぷく (2019-06-26 20:51) 

扶侶夢

物事の考え方や視点に対しては勿論ですが、それを明確で真摯な言葉に出来るという事が素晴らしいですね。いつもブレていないいっぷくさんに驚かされます。個人的にはいっぷくさんのブレてしまった失敗談も聞いてみたいですが…(笑)
by 扶侶夢 (2019-06-26 21:09) 

ナベちはる

>やろうと思ったときが一番集中できるときだからです。
「思い立ったが吉日」という言葉もありますし、その時を逃すと結局やらずに後悔…なんてこともあるので、やろうと思ったらすぐ行動に移さないといけないですね。(もちろん、犯罪行為はダメですが…)
by ナベちはる (2019-06-27 00:48) 

這い上がるママ

 いっぷくさんのご決断がご家族を良い方向に繋いできたのですね。頭が下がります。

 家族が病気になった時、いい病院、いいお医者様を探すことは重要だと思います。そのために患者の家族も病気について学ぶことも。実母を亡くし、助けてあげられなかったことを今も後悔しています。最初からもっと母の体調不良を真剣に受け止め、別の病院に連れて行くべきだったと。お医者様も人間ですから良し悪しがありますね。

 ブログはすべて実話を書いています。産後うつのことを書きたいのに横道にしょっちゅう逸れるのは、書きたいことを頭のなかでまとめられない時ですかね。すいません、精進いたします。
by 這い上がるママ (2019-06-27 17:04) 

yokomi

 重い思いを込めてniceしましたm(_ _)m
by yokomi (2019-06-27 18:13) 

いっぷく

>by 扶侶夢 (2019-06-26 21:09)
>個人的にはいっぷくさんのブレてしまった失敗談も聞いてみたいですが…(笑)
ぶれたかどうかは評価の問題もあるので私にはなんとも言えませんが、世間の「常識」からみたら、「それは変だ」と非難されことはあるとおもいます。たぶん。
私がなにかの間違いで、政治家やタレントとして神輿にのせられたら、「怪文書」としてそれが出回るかもしれませんが、逆に言うと、そうなったら悪意の人は私のどこを突っ込んでくるだろうという「世間の価値観」のようなものがわかるので、神輿を待たずに、これからもブログに「自分史」を洗いざらい書いていったらいいかもしれませんね。
by いっぷく (2019-06-27 18:53) 

いっぷく

>やろうと思ったらすぐ行動に移さないといけないですね。(もちろん、犯罪行為はダメですが…)
>by ナベちはる (2019-06-27 00:48)
私は年をとってきて、お茶をすすったら、「あれ、何するつもりだったんだっけ」ということもないわけではないので(汗)そう心がけています。

by いっぷく (2019-06-27 21:58) 

いっぷく

>ブログはすべて実話を書いています。
>by 這い上がるママ
いつも拝見してリアルに状況が伝わってきます。
私も余談が多いのですが、それは個人ブログなので勘弁してもらっています。

by いっぷく (2019-06-28 20:11) 

いっぷく

>重い思いを込めてniceしましたm(_ _)m
>by yokomi (2019-06-27 18:13)
エラソーに書いてますが、たぶん同じことがあれば、何が一番大事か冷静に考えれば同じかそれ以上のことをみなさんもされます。
ただ、2日後の記事にも書きましたが、自己愛といいますが、一般的に見た「ベストを尽くす」ことが苦手な方もおられるようなので、その方は何かと大変だなと思います。
by いっぷく (2019-06-28 20:24) 

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