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武田鉄矢、エキストラも“非正規”時代に入った弊害を語る

武田鉄矢、エキストラも“非正規”時代に入った弊害を語る

武田鉄矢が、6月16日の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、無償エキストラの弊害を指摘したことがネットの話題として広がりを見せています。近年の撮影現場では、無償か交通費のみ支給という条件で素人をエキストラに使うのでプロ意識に欠け、撮影中に話しかけたり、サインを欲しがったりして困るという話です。



武田鉄矢いわく、「昔のドラマはプロダクションに依頼して、エキストラは全員雇っていた」

「一般公募で集まったエキストラの中には、撮影中に話しかけてくる人もいる。役者はセリフを覚えたいのに、話しかけられて集中できないこともある」


これは、武田鉄矢の言うとおりだとおもいます。

今の制作会社が、ドラマづくりをナメているのか、もしくはそれほど低予算の劣悪な条件であるかということです。

いずれにしても、そんなところにも平成以降のドラマの低落の原因があると思います。

たかが、通行人やラーメンを注文する役に、プロもハチノアタマもなかろう、と思いますか。

そうじゃないんですよねー。

人が歩いたり、声を出したり、視線を向けたりするタイミングは、ちょっとずれるとドラマがぶち壊しになるのです。

ですから、やはりそこは阿吽の呼吸が分かるプロが必要なのです。

もともとの枠は“大部屋俳優”


本来映画に出る人は、主役だけでなく通行人もプロでした。

もちろん「プロ」というのは「役者」、もう少し正確に述べると、

1.映画会社に入社して俳優契約している専属
2.社外のプロダクション所属
3.劇団所属

という3つのチャンネルがありました。

1の専属俳優の場合は、主役や準主役など主要な役をつとめる人と、端役やエキストラが多い人は、契約形態が違っていました。

後者を、通称大部屋俳優と呼んでいます。

たとえば、黒澤明監督の『天国と地獄』(1963年、東宝)で、子供をさらわれた父親役の佐田豊は、大部屋出身の抜擢です。

それが、1970年代になり、大映が倒産。日活が成人映画化。

東宝は、制作会社を分社化してたんなる配給会社になり、抱えている俳優との専属契約を解除しました。

さらに、松竹、東映などもそれに続きました。

その結果、名のある映画俳優は、映画会社から分社化したプロダクションや、既存のプロダクションに入ったり、個人事務所を作ったりして、立場を変えてテレビや映画で引き続き仕事をしました。

一方で、知名度がない大部屋俳優は、契約を解除されて行き所がなくなり、多くは廃業しました。

しかし、映画にしてもテレビドラマにしても、端役や通行人は必要です。

そこで、「芸能家紹介所」という、“大部屋俳優”を派遣する事務所が繁盛したわけです。

よく、スタッフやキャストを表示するエンドロールで、〇〇プロとか、劇団△△という名前がおしまいの方に出てきますが、あれがそうです。

1970~80年代ですと、鳳プロ、早川プロ、クロキプロ、劇団白鳥座などがよく出ていましたね。

私は鳳プロでは1回仕事をしたことがあり、クロキプロでは映画に出させていただき、白鳥座時代には50本以上テレビドラマに呼んでいただきました。

たとえばこれは、クロキプロ時代に出た『CHECKERS in TANTANたぬき』(1985年)で、右で踊っているのが財津一郎、真ん中の赤いネクタイがヨネスケ、一番左で撮影している記者役が私です。

チェッカーズはタヌキなんですよ

このときも、ストロボをたくタイミングを財津一郎さんから念押しされ、えらく緊張したものです。

その経緯や、エキストラの苦労話については、すでに書いたとおりですが、

エキストラ、いわゆる“仕出し”の醍醐味とは?

そういう事務所でも、学生アルバイトとか、土日だけの副業は抱えていました。

でも、そういう人たちも、たいていは仕事としての矜持はありましたし、カメラに長く映ったり、セリフがついたりするような場合は、長くやっている専業の人が選ばれますから、たしかに武田鉄矢の言う通り、素人の物見遊山ではなかったのです。

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いい経験ができた専業“大部屋”時代


私がいたのはそれほど長い間ではなかったのですが、専業時代はいろいろな作品にかかわれ、またこの道のベテランたちとも知り合え、演技論、芸能界の裏話、専業エキストラの私生活など、いろいろな話を聞け、得難い経験をさせてもらいました。

それだけに、現在、“プロの端役・通行人”の市場が縮小してしまったのは大変残念に思います。

それでも、ニーズが全くなくなったわけではなく、クロキプロは現在も募集はしているようですね。

以前(1980年代ぐらいまで)のようには仕事はないと思いますが、ぜひやってみたいという方はいかがでしょうか。

※脇役、端役、エキストラの違いについては、こちらで書きました。
堺左千夫、『電送人間』等ニューフェース一期生が支えた東宝映画

冒頭のイメージ画像
Photo by Avel Chuklanov on Unsplash

大部屋役者 (1980年)
大部屋役者 (1980年)



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コメント 10

こんちゃん

制作費がかなり低くなっているようですね。
私も若い頃バラエティの収録でただの客なんですが2000円頂いたことあります。その時も収録前に注意事項を聞きました。
by こんちゃん (2019-06-19 04:03) 

ヤマカゼ

予算の都合でしょうか?雰囲気が壊れてしまうのは困りますね。
by ヤマカゼ (2019-06-19 08:35) 

Take-Zee

おはようございます!
梅雨の中休みが続いていますが、
蒸し暑いですね。
 健康に留意してくださいね!!

by Take-Zee (2019-06-19 08:40) 

pn

やっぱ予算の都合でしょうねぇ(^_^;)
男はつらいよのメイキングで向かいの店の客の動向をもきっちりと指示してたの見て名もなき脇役もしっかり演技するんだなと思いました。

by pn (2019-06-19 08:59) 

這い上がるママ

映画『CHECKERS in TANTANたぬき』が懐かしいと思っちゃいました。当時は他のアイドル映画と香港映画の3本立てで上映していましたね。ジャッキー・チェン、サモハンキンポー、ユンピョウの映画は結構観ました(笑)。
by 這い上がるママ (2019-06-19 10:40) 

末尾ルコ(アルベール)

武田鉄矢、エキストラも“非正規”時代に入った弊害を語る・・・たまにネットでも見かけます、映画やドラマのエキストラ募集広告。しかし真っ当な作品を作ろうというのであれば、どこからどこまでもプロを使うべきですよね。稀に素人ばかりのキャストで傑作が生まれることがありますが、それはぴエル・パオロ・パゾリーニのような歴史的映画監督の思想性と指揮あってのこと。(予算を削りたい)とか、そのような動機での素人起用であれば、作品の質がどんどん下がるのも当然ですね。このところ時に書かせていただいている、昨今の日本映画(あるいはドラマ)の「スカスカ感」の大きな理由の一つとしか思えませんね。エキストラが素人で、しかもギャラも支払わない。そしてサインを求めるなんていうのは現場が緩んでいる証拠でもありますよね。素人を集めておいて、指導もまるでできてない。あるいは指導するつもりもないのかもしれませんが。本当に昨今の日本映画やドラマ、かつての見事な作品を鑑賞した直後に観ると、「スカスカ感」がとてつもないのです。まあエキストラや脇役だけでなく、主役からスカスカの場合も多々ありますが(笑)。
かつて溝口健二『西鶴一大女』を始めて観た時に、画面に映っている人間が隅から隅まで、異様なまでに統一感のある動きをしているのに衝撃を受けました。もちろんみな違う動きでとても自然、しかし統一感が漂ってくるのです。一本の映画としてのとんでもない完成度。それは巨匠溝口が画面の隅っこに映るだけの役者にも厳密な演技指導しているからに他なりません。その完璧主義は、小津、黒沢も同様です。現在の映画、ドラマの状況、情けないとしか言いようがありません。

・・・

>8割は水分ですし

それは最近知りました。見かけによらないなあと思いましたです。水分とかほとんどないように感じますが、しかし思えば人間も水分の割合が多いのですよね。見かけによらないものです(笑)。

>メイバランスなど摂る方が

なるほどです。バナナはさて置いて、どうしても「自然のもの」がいいのではと、極端な自然食品派に対しては批判的なわたしでもつい思いがちなのですが、確かに自然のものの中でしっかりバランスの取れた食品なんてそうそうありませんよね。
>いずれしわ寄せは何らかの形で来る

う~ん、心しておきます。前にもちらっと書かせていただきましたが、コンビニパンが2色続くと無性にご飯を食べたくなりますし、正直なところ気持ちも荒んでくる感覚がありまし。極端な食育にも批判的なわたしですが、食べるものと脳の関係も実感として分かる気がします。

>「今日はどこにしようかな」

確かにどのように多忙でも、そのような時間は持つべきですね。実はスーパーによってはけっこう美味しい弁当もありまして、それらを選ぶのもそこそこいい時間ではありますが(笑)、もっと工夫も必要ですね。ちなみに、コンビニのパンをしょっちゅう食べてたら、ベーカリーのパンがやたらと美味しく感じることがあります。RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2019-06-19 13:27) 

kohtyan

大部屋俳優というのよく聞きました。
武田さん、今も演歌番組の司会をされていますね。
by kohtyan (2019-06-19 15:14) 

ヨッシーパパ

最近は予算がなくて困っているんでしょうかね?
by ヨッシーパパ (2019-06-19 19:03) 

チナリ

こんばんは。

予算がないのかはわかりませんが、撮影前の台詞を覚えている最中、もしくは役作りに入っている俳優さんに対して無償とはいえ話しかけるという非常識なエキストラがいるのですね。

ちゃんとしたエキストラの方を用意できないのも問題かもしれませんが、無償で出てやっていると思われても仕方のない態度をとる人たちの人間性も問題ですね。

by チナリ (2019-06-19 22:22) 

犬眉母

ちゃんとしたものを作るには、お金もかかるんですね。
by 犬眉母 (2019-06-21 06:10) 

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