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京マチ子、連続ホームドラマ初主演といえば『まんまる四角』 [懐かし映画・ドラマ]

京マチ子、連続ホームドラマ初主演といえば『まんまる四角』

京マチ子さん(1924年3月25日~2019年5月12日)の訃報で持ちきりです。これで、田中絹代、原節子、高峰秀子、山田五十鈴、京マチ子の昭和五大映画女優がすべて亡くなったといわれていますが、その映画女優が初めて主演した連続ホームドラマ『まんまる四角』を思い出します。(画像は劇中より)




まんまる四角


『まんまる四角』(1973年1月5日~6月29日、TBS)、10年前に1度だけ、CSのファミリー劇場で放送された昭和のホームドラマです。

まんまる四角

ストーリーは、典型的なホームコメディーといっていいでしょう。

「しっかり者の女房(京マチ子)と、ちょっとお人よしの亭主(二谷英明)が巻き起こす涙と笑いのホームドラマ。物語は、大阪のおでん屋のおかみで二人の子連れの未亡人が、赤坂でとんかつ屋を営む3人の子持ちの男やもめの所に嫁いでくるところから始まる。この二人が結婚したあと、そこから巻き起こる悲喜劇を、夏の夕立ちのあとの青空のように明るくカラリと描くホームコメディー」(当時のホームドラマチャンネル公式サイトより)

簡単に書きますと、連れ子がいる京マチ子が、やはり子供のいるとんかつ屋の主人(二谷英明)に嫁ぐ話です。

京マチ子の連れ子は、桜木健一と小鹿ミキ。

母親が浪花千栄子。

一方、二谷英明の子は、坂本九、沢田雅美、水沢あき子(水沢アキ)です。

そして志村喬という大物のお舅さんも控えています。

部屋割りは明らかにされていませんでしたが、たぶん1階はとんかつ屋、2階は住宅で、3部屋ぐらいと思いますが、そこに成人の連れ子が入ってくるのです。

まあ間違いなく息苦しいでしょう(笑)

でも昭和の時代は、こうした“狭いながらも楽しい我が家”という、みんなで肩をぶつけ合いながら飯台を囲む生活に幸せを感じたものなのです。

そして、京マチ子が初めて本格的に出演した連続ホームドラマで、老壮青が揃った、なかなかの顔ぶれだったのです。

その意味で、昭和らしいホームコメディーとして、私は評価が高いドラマです。

ただ、当時は『ドラマのTBS』といわれたものの、『まんまる四角』に限って言えば、運悪く同じ時間帯に放送されていたのが、人気刑事ドラマ『太陽にほえろ!』(東宝/NTV)。

ボス(石原裕次郎)とマカロニ(萩原健一)の関係が軌道に乗ってきたときで、残念ながらリアルタイムの放送ではあのり視聴率は伸びなかったようです。

最近になって、Facebookの投稿などで、忘れられていた古いドラマや映画を思い出す機会も増え、再放送が待ち望まれている番組のひとつです。

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SF的舞台の“ブラックコメディー”


京マチ子が“グランプリ女優”といわれた昭和の五大女優である以上、映画についても触れておかねばなりません。

大作というほどの受賞歴はありませんが、Facebookでは、怪作としての誉れ高い『他人の顔』(1966年、東京映画・勅使河原プロダクション/東宝)の人気が高かったですね。

他人の顔

同名の小説を作者の安部公房が脚色、勅使河原宏監督による京マチ子主演の映画です。

顔に大火傷をおった男(仲代達矢)が、妻(京マチ子)との関係を修復するため、他人の顔のマスクを精神科医(平幹二朗)に作ってもらい、2つの顔を使い分けようと企みます。

ただし、策を弄した割には、知的に障害のある大家(千秋実)の娘(市原悦子)に、あっさりバレてしまいます。

ここでやめておけばよかったのですが、会社ではバレなかったので、自信をとりもどしてしまった仲代達矢は、よせばいいのに別人を装い京マチ子を誘って関係します。

うまく行ったら行ったで、「こいつは他の男と寝たんだ」と仲代達矢は腹を立て京マチ子を責めるのですが、「はじめから知ってたわよ」と、京マチ子は呆れて夫の元を去ります。

メインのストーリーではないのですが、入江美樹と、精神病患者役として田中邦衛も出ています。

フィルム・ノワールタッチの映像に、人間の異常心理等、見どころは多々あります。

舞台はSFのような造形で、ブラックコメディ風の演技です。

ところが、人間の弱さを仲代達矢がうまく演じていて、たぶん映画館で上映された時は、手に汗握るというより、所々で、クスッという笑い声があったかもしれません。

当時、映画館で見たかった映画です。

京マチ子さんの生前のご遺徳をお偲び申し上げます。

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犬眉母

京マチ子さんの大阪弁は、ネイティブだったんでしょうね。
by 犬眉母 (2019-05-18 02:29) 

末尾ルコ(アルベール)

京マチ子、連続ホームドラマ初主演といえば『まんまる四角』・・・予想はしておりましたが、京マチ子が亡くなってもテレビではほとんど扱いませんね。歴史的大女優の死去。米英仏などではこのような扱いはあり得ません。
気を取り直して(笑)、わたしはマカロニ出演時の『太陽にほえろ!』は観ておりまして、特にマカロニ殉職時の内容はつぶさに記憶しておりますが、『まんまる四角』というタイトルにも覚えがあります。毎週きっちり『太陽にほえろ!』を観ていたかどうかは分かりませんので、ひょっとしたら『まんまる四角』を観たこともあったかもしれません。ただ、当時は京マチ子という人をまったく知りませんでした。この時点では『羅生門』も鑑賞しておらず、しかし『七人の侍』は観ていたはずです。『七人の侍』って、子どもでもまったく退屈することなく、あの長尺をあっという間に観られるのですよね。やはり凄い映画です。『まんまる四角』は志村喬も出演しているのですね。凄いですね。ただ当時は、さすがに三船敏郎は知っておりましたが、映画俳優よりもテレビドラマ俳優たちが馴染み深かったです。特に邦画はテレビで放送することもあまりなく、まだ映画館へも親がたま~に連れて行ってくれるくらいの時期でした。
『他人の顔』は未鑑賞なのですが、おもしろそうです。たまたま最近安部公房を読んでまして、けっこう映像化しやすい内容が多いなと感じておりました。この作品も素晴らしいキャストですね。仲代達矢は現在も活躍していて素晴らしいですが、やはり若い頃のブラックユーモアさえ漂わせる硬軟自在の佇まいが好きです。ある程度以上の年齢になってからは、「硬」に偏ってしまった感がありました。ただ、黒澤監督の『影武者』はいまだに「勝新の方がよかった」と言われることがありますが、わたしは仲代版、けっこう好きです。
京マチ子も出演映画膨大ですから、未見の作品が極めて多いです。好きな作品は、『雨月物語』『羅生門』『赤線地帯』『鍵』『ぼんち』、そして『男はつらいよ 寅次郎純情詩集』など。メジャーな作品ばかりで何なのですが。

・・・

>これは大変ですね。

そうなのです(笑)。しかも19日が町内一斉清掃で、これは前もって自宅前の側溝の泥をかなり掬っておかねば間に合いません。だいたい1週間前から始めますが、側溝が深くて広いので肉体的にもきついのです。金城には家の前の側溝などないに等しいという条件の場所も多くあるのに、毎年不公平さを噛み締めております。

>病院が1時間ちょっとかかるほど

これはもう、わたしなど想像し難いほど困難なご状況だったのですね。現在のA病院が車でそれこそ3分ほど、以前の高知赤十字病院でも10分かかりませんでしたから。かつて勤めていた進学塾までの距離が車で50分弱くらいだったのですが、毎日の往復で非常に消耗しておりました。しかも塾へ行けば、頭の固い職員ばかりでしたし。

>夜はICUで

夜のICUは独特な雰囲気ですよね。手術直後の(本当に麻酔から覚めるのだろうか)という不安感を忘れられるものではありません。手術翌日の晩など、看護士が母の瞳孔反応を調べたりしまして、今考えると重大な意味はなかったのだと思いますが、(いったい何が起こっているんだ!)と大きく動揺しました。ああいうのは向こうの方からちょっと説明してほしいものです。 RUKO


by 末尾ルコ(アルベール) (2019-05-18 03:00) 

旅爺さん

京マチ子のとぼけたような、ワンテンポ遅れたような仕草がとても好きでした。懐かしい人が次々消えていきますね。
by 旅爺さん (2019-05-18 06:58) 

pn

3部屋に大人5人かぁ、息苦しいを通り越して息詰まるわ(笑)
by pn (2019-05-18 07:09) 

ヨッシーパパ

その頃はまだ九ちゃんが生きていますね。
by ヨッシーパパ (2019-05-18 15:31) 

Take-Zee

こんにちは!
凄い女優さんとは知っていますが・・
この方のドラマや映画は見たことがないんです。

by Take-Zee (2019-05-18 15:44) 

老年蛇銘多親父(HM-Oyaji)

まんまる四角、これは見たことなく、そのうえすかっり忘れていて、この記事を見てそういえば思い出しました。

共演者も多彩で、これはと見てみたくなりました


by 老年蛇銘多親父(HM-Oyaji) (2019-05-18 16:37) 

kohtyan

大女優が旅立ちましたね、
羅生門は記憶にありますが、テレビドラマでは
覚えていないですが、容姿は魅力的でしたね。

by kohtyan (2019-05-18 20:47) 

ナベちはる

成人が3部屋に5人いる環境…狭くていづらそうな気がしました(^^;
by ナベちはる (2019-05-19 01:26) 

su-nya

映画の妖艶な女優さんということしか語られないので、
こんなホームドラマに出演されていたなんて知りませんでした。
by su-nya (2019-05-19 10:04) 

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