千石規子は『静かなる決闘』や『野良犬』など黒沢明映画の常連 [懐かし映画・ドラマ]
千石規子(せんごくのりこ、1922年4月29日~2012年12月27日)さんの生まれた日です。黒澤明監督の映画にもっとも多く出た女優であり、三船敏郎、志村喬とともに『黒澤組』といっていいでしょう。東宝⇒東宝芸能に所属し、生涯“東宝の所属”を貫きました。(上の画像は右下がGoogle検索画面より。それ以外は断りのない限り劇中から)
千石規子さんというと、私がテレビや映画を見始めた頃は、いつも一言多い、ちょっと嫌味なお手伝いさんやお姑さんの役が多かったのですが、その昔は、クロサワ映画を支えた女優でした。
当時の画像が公開されています。(https://br.pinterest.com/pin/794392821745198064/)
千石規子さん、若かったですね。
黒澤明監督や、志村喬さんの視線が釘付け(笑)です。
三船敏郎さんだけは、難しい顔をしてノートを取っているのも“いかにも”という感じです。
ツイッターを見ると、黒沢明監督初のサスペンス映画『野良犬』(1949年)で演じた、ピストル屋のヒモ女の役が好評です。
黒澤明監督の『野良犬』(1949年)。
— 中井寛一 (@ichikawakon) 2018年7月24日
クーラーがない、戦後間もない頃の夏の暑さがよく出ていると思う。志村喬の老刑事がスリの女(千石規子)を取り調べる時に、アイスキャンディーを差し出す場面とか。。。
それにしても、29歳の三船敏郎は野性的でセクシーだなあ!
#熱中症映画 pic.twitter.com/V0EqnET2UF
【あきれた娘たち】の所有スチール写真より/この写真好きだなぁ。左から2番目のかわいい笑顔は、千石規子!このようなかわいい千石規子は見られません。年齢的にもこの時期がギリギリか。【野良犬】の好演から、重みあるわき役女優になったのは周知のとおり。/昭和24年・新東宝・斎藤寅次郎監督 pic.twitter.com/LOnH9LV5nk
— ガンちゃん (@aoisanmyaku1949) 2019年4月20日
このブログでは、同じ年に公開された『静かなる決闘』(1949年、大映)をご紹介したことがあります。
静かなる決闘
『静かなる決闘』は、配給会社が東宝ではなく『大映』になっています。
この頃は東宝争議があり、黒澤明は組合をやめて映画芸術協会という独立組織を結成。
手勢をひきつれて他社で撮っていたのです。
『野良犬』も、新東宝で撮っています。
Google検索画面より
三船敏郎は、軍医として戦地で働く青年医師です。
上等兵の手術中に誤って小指を切ってしまい、その傷口から上等兵の梅毒に感染してしまいます。
当時梅毒は、結核のように、治癒までに長い年月が必要な厄介な感染症だったのです。
戦地から戻ると、産婦人科医である父親(志村喬)の病院で働きますが、婚約者(三條美紀)など、周囲には梅毒に感染したことを隠しています。
病院の看護師見習いは千石規子です。
妊娠して男に捨てられ、自殺しかけたところを三船敏郎に助けられた元ダンサーでした。
あるとき、三船敏郎が誰もいない診察室で、隠れるように治療薬を打っているところに千石規子が入ってきて、梅毒の治療中であることがわかってしまいます。
最初、千石規子は誤解するのですが、やがて手術中の感染だったことがわかります。
三船敏郎は、いつ治るともわからない病気を抱え、結婚も諦め、それでも自暴自棄にならずに患者の治療を続けます。
そして、上等兵の妻(中北千枝子)が出産するのですが……。
当時の感染症の恐怖とともに、苦悩と葛藤を描いたヒューマニズム溢れているところは、その後のクロサワイズムを十分に感じ取ることができます。
嫌味でもさりげなく正義の味方
テレビに来てからの千石規子は、一言多いお手伝いさんや姑の役が多かったように思います。
たとえば、青春学園ドラマの金字塔『飛び出せ!青春』(1972年2月20日~1973年2月18日、テアトルプロ・東宝/NTV)では、野心家の太陽学園理事長(佐藤慶)のお手伝いさん役でした。
第11話では、理事長の私有地である学校の裏庭に、ボーリング場を作ろうとします。
有島一郎校長や、村野武範先生や生徒たち(石橋正次、保積ペペ、頭師佳孝)が座り込み、ボーリング場建設を撤回させる話です。
生徒たちは、裏庭に記念のユニフォームやボールを埋めて植樹も行っているため、反対するのですが、裏庭がどうなろうと利害関係のないお手伝いさんの千石規子までが、ちょこちょこ嫌味を言って理事長にプレッシャーをかけます。
2007年まで、女優を続けました。
千石規子さん、覚えていらっしゃいますか。
静かなる決闘 デジタル・リマスター版 [DVD]
野良犬
大きな役ではありませんが、物語の進行上必要な存在でしたね。
by 犬眉母 (2019-04-29 02:24)
千石規子は『静かなる決闘』や『野良犬』など黒沢明映画の常連・・・黒沢作品の中の現代劇は特に最近観返したいなと思っているところです。現代作品も数多い黒澤明ですが、わたしの中ではどうしても時代劇のイメージが強く、初期の現代作品は観逃しているものも少なくありません。
それにしても寝転がっている千石則子には目を惹かれますね。「洋服と畳」という組み合わせは日本人ならではのエロティシズムだと認識しているわたしですが、その意味でもこのお写真、とっても魅惑的です。
『静かなる決闘』は黒沢作品の中では記憶が曖昧な一本で、近々ぜひ鑑賞したいですね。黒澤作品と言えば、「大作」というイメージもありますが、この作品は90分台というのも新鮮です。
仙谷則子はもちろん知っておりましたが、この人にフォーカスして鑑賞したことはありませんでした。今後はしっかり観ていきたいと思います。『あきれた娘たち』にも興味がありますね(笑)。
・・・
実は昨夜からネット環境に難渋しておりまして、これはわたしのPCやネット環境のみの明代なのかもしれないのですが、一部So‐netブログへアクセスすると、極度に重い、だけでなく、「フリーズする」という現象が続いております。しかもその対象ブログが、わたしのブログ(笑)やいっぷく様のブログなどで、どうにもこうにも困り果てておりました。今夜は昨夜よりましではありましたが。多分、わたしのPCのトラブルでしょうね。
>高齢者はV字回復はないから
結局医療関係者は後からツッコまれないように、「低め」の見立てを言うもののようですね。責任上仕方ない部分もあるのでしょうが、真に受け過ぎないようにしたいと思っております。どんな疾病の罹患者でも、急性期を乗り越えたら、後はその後の取り組みやモチベーションが極めて大きな意味を持ってくるのだと考えております。現在の母の場合は、「80歳以上で、1か月以上ほとんどベッドにいた割には体力がある」と見做されているようなので、今後家族としてモチベーションを上げる努力を欠かさずしていきます。
介護タクシーなのですが、思えばあの時財布に5000円ぽっきりしかなければ(そのくらいのこともよくあります故 笑)、その場で支払いできませんでした。けっこうヒヤヒヤもののシチュエーションでした。しかも領収とかもくれなかったし。このところ車椅子でのリハビリも可能になってきましたが、転院前は車椅子にさえ座れない腰の状態でしたので、介護タクシーしか選択肢がありませんでした。
障害者手帳のお話、有難うございました。母の場合、障害者手帳も申請中という宙ぶらりんの状態で、しかもわたし自身現在いろいろ新しいこととして知り始めているわけですから、こうしてお教えくださるのはとても助かります。本当にいつも有難うございます。 RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2019-04-29 03:28)
おばちゃんやおばあちゃんのイメージしかない人の若い頃ってメチャかわいく見えるのは何故だろう(^^♪
前に書いたような気もしますが野良犬で無くした拳銃は実銃です、あの頃は法律ユルユル(笑)
by pn (2019-04-29 06:22)
残念ながら、覚えていません。若い頃の写真どこかで見た記憶があります。
by ヤマカゼ (2019-04-29 09:24)
昔懐かしの俳優たちがどんどん消えていくのが寂しいです。
by 旅爺さん (2019-04-29 09:38)
静かなる決闘と若い頃の三船敏郎、見てみたいですね。
by テリー (2019-04-29 10:21)
こんにちは!
こんな千石おばあちゃんいました、
いつも出しゃばりって感じの役でした。
by Take-Zee (2019-04-29 15:50)
笑顔を素敵なお婆ちゃんは覚えています。
by ヨッシーパパ (2019-04-29 19:21)
人を惹きつけるような笑顔、素敵です!
by ナベちはる (2019-04-30 00:57)