毒親を特集したNHK番組で、キャスターの武田真一さんが突然大粒の涙を流し、ツイッター上で一部高く評価されています。しかし、キャスターが本番中に涙をながすことを「褒める」視聴者の価値観はいかがなものかと思いますし、武田真一キャスターの言い草には私も人の親として疑念を抱きました。
話題になっているのは、2019年4月18日(木)に放送された、『クローズアップ現代+』の、『毒親って!? 親子関係どうすれば・・・』という放送。
私も、たまたまこの番組は見ていました。
番組によると、毒親とは、大きく分けて
- 過干渉
- 暴言・暴力
- 親優先
のパターンがあり、いずれにしても“親の考え”を大事にして子の立場に立たないことであると指摘。
「毒親にならないため」には、子には適度に関わることなどが大事とする、精神科医の岡田尊司さんの考え方が紹介されました。
岡田尊司医師については、すでにこのブログでご紹介していますが、毒親について「
子供第一に考えていない親の『自己愛』がその原因」と指摘されています。
⇒
『母という病』『父という病』子は親との関係で人生が変わる
というわけで、問題はここからです。
一通り話が終わったところで、武田真一キャスターが、突然「毒親」という言い方にクレームをつけました。
「あのー、私は、毒親という言葉にものすごく抵抗があって、それを耳にするたびにですね、1人の親として本当にズタズタに切り裂かれるような痛みを感じるんですね」
武田真一キャスターによると、親は子供を思って一生懸命育てており、子供に期待するのは当然ではないかというのです。
それに対して、岡田尊司医師はこうたしなめます。
「ただ、やはり人間、親子といえども、それぞれ違う特性を持った存在です。だから、親にとって、これが一番いい正解だと思うことをこうしなさいって言うことは、子供にとっては、全然的外れな答えを押し付けることになっているかも分からないですね」
すると、武田真一キャスターが大粒の涙……という展開です。
武田真一キャスターが、なぜ「大粒の涙」を流したかについては詮索しません。
しかし、それを見ていた視聴者の一部から、「本当に精一杯やっているんだなぁ」「武田アナにとても共感した」「涙流してたのに少し救われました」などというツイートがあったというのには
違和感があります。
ああ、
その人たちは毒親で苦労したことのない人たちなんだ
と思いました。
一方、Web掲示板ではいつものように、武田真一キャスターに辛辣な意見が書き連ねられていました。
いつもは、叩くことが目的化しているとしか思えないWeb掲示板のほうが、よほどまともだと思いました。
いくつか抜粋します。
>そうそう、こんな風に外面はいいんだよね/他所に良い親だと思わせる態度が上手い
>これめっちゃ思った。毒親って公の場で(毒)親子関係の話題になった時とりあえずまずは泣くよね/自分が!傷付いてます!てかんじで/文字だけでイラッとした
>実際の毒親育ちからするとすごく迷惑な番組だった
>テレビで一方的に親に泣かれる子供の気持ちも想像してみたらいいのに/想像力の欠如が色々な問題を生むんだよ
>泣きたいのは毒親に当たった子供の方だよ
>アナウンサーが泣いたのにもどん引きだったよ
>こうやってイイ親パフォされると反抗しづらくなってガキの方はより精神的に追い込まれるよね。
とくに最後の1行が重いと思います。
要するに、親が、「これだけ子を思ってます」と自分可愛やで表現するパフォーマンス自体が、すでに毒親の行為そのものなんです。
子ども第一の人がそんなことしますか。
以前も書きましたが、親と子というのは、対等の関係ではないのです。
そして、子は親を選べません。
それだけ、親が絶対的に優位で支配的な立場にあるのです。
これは、学校現場の先生と生徒とか、会社の上司と部下にも言えますけどね。
体罰やハラスメントは、だから重罪なのです。
それはともかく、親は子に対して、振る舞い一つ、発言一つに最大限の注意を払う責任があるのです。
もちろん、人間だから間違いもあります。
しかし、そこで「子供を思って一生懸命なんだ」などという言い訳を行うのは、子に対して
暴力に等しいプレッシャーであると私は思います。
なぜなら、子が反論できない“安全地帯”からのずるい物言いだからです。
親が子を一所懸命育てるのは当たり前です。
改めて自慢することではありません。
でもその結果、どうもうまくいかない。
なら、言い訳する前に自己批判して、自分の振る舞いをもう1度検証したらいいでしょう。
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涙を流せばいいというものではないと思うのですが……
番組中に指摘された、過干渉、暴言・暴力、親優先(ネグレクト含む)という、毒親の3パターンですが、これは全く別個に3つのタイプあるのではなくて、おそらくは、それらが複数絡み合っているように思います。
たとえば、「暴言・暴力」をともなった「過干渉」とか。
「過干渉」と「ネグレクト」って一見相反しているように見えますが、子供にとって何が一番かを、子供の側から考えることについて不熱心だという点で、実は軌を一にしていると思います。
それにしても、一部視聴者の浅はかさにがっかり。
命をかけたから筋が通っている、
涙を流したから本物、
日本人はそういうの好きみたいですが、そういうもんじゃないと思います。
ちゃんと中身を判断しなければ、いつも、見かけでしか判断できない薄っぺらい人間になってしまいますよ。
毒になる親 一生苦しむ子供 (講談社+α文庫)
武田真一アナの言い訳が、実は多くの親にとっての
エクスキューズの代弁になっていたのかもしれませんね。
一所懸命やっているんだからいいじゃないって。
何のためにどこへ向かう「一所懸命」かは思考停止して。
by 犬眉母 (2019-04-21 02:20)
そう言えば番組欄に「毒親」と書いていたので観ようかなと思ったのですが、すっかり忘れておりました。ただこの番組、武田真一がメインになってから何度となく観ておりますが、たいがい驚くほど中身が薄い印象です。ほとんどバラエティ番組のような感覚です、わたしが観た時は。
武田真一アナはNHKのアナウンス部の格付けでは極めて高いと何かの記事で読んだことがありますが、(え?そんなものかな)とやや不思議に感じました。まあNHKがアナウンサーとしての能力にどのような格付けをしえいるのかとかは特に興味はないのですが。
今回の「涙」ですけれど、番組を観てないので一般論に近くなりますが、キャスターが番組で泣くのは、原則的には失格だと思います。泣いてはいけないですよね、プロであれば。そして、すべてとは申しませんが、著名人が公の場で「泣く」という行為を見せるのは、ある程度以上の割合で、(泣くところを見せよう)という計算の下に泣いているのだと思います。潜在的にせよ、顕在的にせよ、泣くことによって、「同情を引きたい」「いい人と見られたい」などの計算がある場合が、特に公の場での涙には含まれているケースが多いと思いますね。
>すると、武田真一キャスターが大粒の涙
う~ん・・・(笑)。観てないのであれですが、「準備した涙」臭い感は強いです。このやり取りで普通は泣かないでしょう。あるいは余程「毒親」に当て嵌まることをやっているのか。そしてこの涙を誉めそやす人たちも、「毒親」としての言動をしている後ろめたさがあるのかもしれません。
>よほどまともだと思いました。
たまにそういうことってありますよね(笑)。明らかに「おかしい」ことでもメディアがお追従しか書かないようなケースで、掲示板などではまともな意見が飛び交っていることもあります。
しかし思い出せばわたしの父も、自分のことを「いい人」と信じ込んでいたものでした。そしてわたしにも、「模範生」を強いておりまして、ある時期からとてもしんどくなりましたね。父には感謝する点も多々ありますので批判もそこそこにすべきだとも思うのですが、実質的にはコミュニケーションを取ろうとしませんでしたし、柔軟に「子供のため」を考えるという視点はなかったですね。
>一部視聴者の浅はかさ
こうした浅はかさ、甘ったるい感覚などは、こと武田真一の涙についてだけでなく(笑)、政治や芸能などに対しても同様で、だからどんな分野も薄っぺらくなってきているのだと思います。
・・・
母の腰痛については診断結果が出ました。後日の記事で詳細は書きますが、近くコルセット着用になると思います。コルセットで治療できるならそれはそれでいいことだと思いますし、どうせならこれまでずっと母を苦しめてきた脚腰痛全体に好影響を及ぼしてほしいと、少々贅沢な希望かもしれませんが、思っております。
>我が家への介入につながっていた
これはもう、わたしも大警戒です。わたし自身は人様の家庭に介入しようなど夢にも考えないタイプなのですが、「介入が普通」の人が多いですよね。母の末妹の家庭はよく話題にさせていただいている高学歴勘違い家族なのですが、介入大好きのタイプです。まあこの家族もいろいろあったので、この前会った時はかつて傲慢そのものだった末妹も多少は丸くなっている感はありましたが、警戒は緩められないと考えております。 RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2019-04-21 03:34)
昨日の清水由貴子さんと重なり、なんとも言い難思いがありますね。
by ヤマカゼ (2019-04-21 06:58)
こんにちは。
子供には親しか頼るものがないのに、子供に身体的にも、精神的にも、危害を加える親って全く問題外です。
アメリカでは裁判で、毒親と子供側から、縁を切ることができるというニュースを見たことがあります。
NHKの武田アナの行為は、単なるセンチメンタリズムであって、子供の気持ちを全く理解していないとしか言えませんね。こういう人を継続して使うのでしょうか。やはりNHKも、体質が古いですね。
by coco030705 (2019-04-21 09:57)
自分も子供の頃は親の価値観を押し付けられ、ホントに生きたここちがしない時期があったので、何となくですが子供の気持ちは分かるつもりです。
その番組は観ていませんが、キャスターとしては如何なものかと思いますね。
by kou (2019-04-21 11:48)
>学校現場の先生と生徒とか、会社の上司と部下にも言えますけどね。
ほんとうですよねー。。。
会社の部下が上司に「がんばってやったんだから、成果がでなくても認めてもらわないと…」って言ったときに武田キャスターはなんて答えるんだろうって思いました。
あと、リアル毒親に育てられた私としても彼の発言を文字でしか見たことありませんが、あの親のしたことをそんな理由で正当化するつもりなのか?と心締め付けられるものがあります。
by すーさん (2019-04-21 14:51)
こんにちは(^-^*)/
今日は裏山にタケノコを掘りに行って
来ました。 20数本採れましたよ!
by Take-Zee (2019-04-21 16:38)
番組を見ていないから判断が難しいけど。
報道する為のアナウンサーなら絶対に泣くべきではない。
でも,キャスターだから。
泣くことで自分の意見を視聴者に演出した,と言われれば,自分は納得はできないけど,そういう手法もアリなのかな?と思ったりするんだ。
by こじろう (2019-04-21 19:25)
武田が泣いたってニュースタイトルは知ってたけどこんな内幕でしたか。
家は子供居ないから意見出来ないけど毒親持った側からすると、その心配の裏は結局は自分の為って事だろよ?と言いたい。
by pn (2019-04-21 20:12)
子も一個の個性であると同時に
親も一個の個性であると思います。
そこで互いの役割としての
齟齬がいろいろな問題を含んでくるのだと思います。
by そらへい (2019-04-21 20:59)
私は双極性障害の母なので、子どもたちにとっては毒親だと思います(苦笑)。以前はキレやすかったのですけど、気分安定薬を処方してもらってからは穏やかに過ごしています。うちの亡くなった母親も変わった人だったので、仲良くなるまで、時間と、関わり方の変化が必要でした。
by 這い上がるママ (2019-04-21 23:47)
子と親…なかなか難しい問題ですね…
by ナベちはる (2019-04-22 00:36)