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『特捜最前線 シャムスンと呼ばれた女!』に出演した織本順吉 [懐かし映画・ドラマ]

『特捜最前線 シャムスンと呼ばれた女!』に出演した織本順吉

織本順吉さん(1927年2月9日~2019年3月18日)の訃報が話題です。大ベテランで、数え切れないほど出演作がありますので、どれかひとつというのも難しいですから、私好みの作品として、特捜最前線215話『シャムスンと呼ばれた女!』(1981年6月17日放送、テレビ朝日)からご紹介します。(画像は劇中より)





織本順吉といえば、「滋味あふれる脇役で存在感」(朝日新聞デジタル)という表現が合っている貴重な役者でした。

劇団青俳の結成メンバーで、映画、テレビドラマ、舞台の脇を固める役を何十年もつとめあげてきた大重鎮です。

ドラマも映画も見ない、という人でない限り、誰もが「見たことのある役者」ではないでしょうか。

織本順吉さんの代表作、というより私が好きなドラマの出演作ですが、特捜最前線215話『シャムスンと呼ばれた女!』(1981年6月17日放送、テレビ朝日)に、重要な役で出ています。

ビル4階の窓からガラスをぶち破って身を投げ……


覚せい剤の運び屋をやらされているシャムスン(風吹ジュン)

シャムスン(風吹ジュン)

覚醒剤ルートを調べるために、身分を隠して日本三大ドヤ街のひとつである、横浜・寿町の現業系労働者として働く、桜井刑事(藤岡弘)と紅林刑事(横光克彦)。

桜井刑事(藤岡弘)と紅林刑事(横光克彦)

なかなか捜査が進まないので、藤岡弘は「自分ひとりでやる」として、やり方は明らかにせず単独で寿町へ。

シャムスンに近づいて一緒に暮らし、覚醒剤のルートを調べるという掟破りの方法を採ったのですが……。

藤岡弘

最初は頑なだったシャムスンが、次第に心を許していくさまに、リアリティがありました。

シャムスン

特捜最前線は何度かご紹介したことがありますが、1時間ドラマなのに、長尺の映画を1本見たような内容の濃さで、見終わった後は、ちょっと疲れるのですが(笑)

同作はストーリー一般公募の話で、風吹ジュンのドラマの代表作と言ってもいい話ではないかと思うほどよくできています。。

で、織本順吉は、ドヤ街の医師で、彼女たちをいつも見守っています。

織本順吉

捜査は、織本順吉が特命課に、10kgの覚せい剤が取引されると通報したことがきっかけです。

シャムスンは、すでに生きているのが不思議なぐらい体がぼろぼろだったので、これ以上罪をおかしてほしくないという気持ちからでした。

シャムスンは、桜井刑事に「あなたの仲間にこの場所を教えてあげる」と言い、何と、ビル4階の窓からガラスをぶち破って身を投げるのですが、たとえドラマでも強烈なシーンです。

桜井刑事は、それまで一匹狼的なところがあり、危ない捜査も平気だったのですが、この事件以来、6年間、『特捜最前線』の最終回まで、“身勝手”で無茶な捜査をしなくなりました。

その意味では、シャムスンの出演は1回でも、ドラマや桜井のキャラクターに与えた影響は大きかったのです。

シャムスン

シャムスン役の風吹ジュンの熱演だけでなく、見守る織本順吉もさりげなくいい仕事しています。

映画では、深作欣二監督との付き合いが深かったようなので、『仁義なき戦い完結篇』を挙げましょう。

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仁義なき戦い完結篇


『仁義なき戦い』(1973~1974年、東映)というのは、広島の暴力団の抗争を描いた全5作の実録映画です。

『仁義なき戦い完結篇』(1974年、東映)で織本順吉は、早川英男・早川組組長を演じています。

山口英弘という人がモデルといわれているのですが、私の知識で述べさせてもらえれば、難しい役だと思います。

というのは、もともと一方の組の若頭だったのに、夫人の経営するバーに、敵対する組の組長がやってくることから、敵のスパイと疑われ破門になってしまった人なのです。

しかし、もともと敵対する立場に、じゃあ今度はそっちのお世話になるというわけにもいかず、破門にされたところには敵意を抱きながらも、ポジションとしてはどちらにも入れない一本独鈷だったというデリケートな立場です。

前作までは、その役は室田日出男が演じていました。

Wikiによると、「室田日出男はテレビドラマの『前略おふくろ様』で人気が出て主役級になっていたため、スケジュール的に無理」だったと書かれていますが、これは時間的に合わない話です。

なぜかといえば、『前略おふくろ様』は、『仁義なき戦い』シリーズの終了した1975年の秋クールから始まっているからです。

Wikiは何でも正しいわけではないということですね。

織本順吉さんの生前のご遺徳をお偲び申し上げます。

特捜最前線 BEST SELECTION VOL.8 [DVD]
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仁義なき戦い 完結篇 [DVD]
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特捜最前線―写真集 (テレビ朝日ゴールデンアルバム)

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: テレビ朝日
  • 発売日: 1984/01
  • メディア: 単行本



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犬眉母

見応えありそうなドラマですね
by 犬眉母 (2019-03-26 02:28) 

末尾ルコ(アルベール)

『特捜最前線 シャムスンと呼ばれた女!』に出演した織本順吉・・・こうしてよく『特捜最前線』についてのお記事を拝読させていただいておりますと、このドラマを観てなかったのがとても残念な気持ちになります。高知にネットのないテレビ朝日系だとは言え、これだけの人気ドラマ、そして長寿ドラマですから、どこかの時間帯で放送していたと思うのです。
織本順吉さんは92歳でお亡くなりになったのですね。しかしわたし不届きにも、織本順吉さんの顔と名前が一致しませんでした。またしても反省です。プロフィールを見てみると、昨年公開の映画にも出演しているのですね。素晴らしい俳優人生だと思います。そしてバラエティに富んだ出演作品群。安藤桃子が高知ロケで完成させた『0.5ミリ』にも出演しています。
「シャムスンと呼ばれた女!」の「シャムスン」は風吹ジュンではありませんか!中年以降の「可愛い主婦」的イメージとなった風吹ジュンと違い、若い頃は体は大きくないけれど、かなりムンムン(笑)してましたよね。しかも相手が藤岡弘となると、「濃い」のも当然、時間を忘れそうな組み合わせです。藤岡弘は、ずっと若い頃のイメージのままなのが凄いですよね。子どもの頃から大好きです。

>ドラマや桜井のキャラクターに与えた影響は大きかったのです。

そのような流れもしっかりあるのですね。「人間」がきちんと描かれている。だから忘れられないのでしょうね。

>これは時間的に合わない話です。

探せばいっぱい間違いが出てくるかもしれませんね。いつも思うのですが、Wiki日本版は特に俳優についての情報が薄い場合が多い感じです。その点英語版はとても充実している場合が多いです。映画を「国の誇り」と認識している米国と、政治家から文化芸術に関する発言がほぼゼロの日本との大きな差がこの辺りにも出ているのではないかと。

・・・

今回母の入院でいろいろ深く考え、新たに分かったことも実に多くありますが、基本的に担当医は一人であり、その方がどれだけの医師かは別として、見立てや治療方針などは一貫していることが多いのですが、総合病院の場合一人の患者に多くの看護士が関わってくるので、人によって話のニュアンスがかなり変わってくることが多いようです。看護師の技量の違いも大きいですし、さらに性格の違いもとても大きそうです。

>人は寝たきりだとすぐに衰えるからだそうです。

これは特に高齢者の場合は要警戒ですね。と言っても今の段階で母の体力的な面に関してはわたしにできることはないのがもどかしいですが。母はもともと脚腰痛もひどかったですので、そのあたりも含めてリハビリをどう進めてもらえるか、注視していきたいと思います。

>どこまでプライド高いんだと……。

度合いにもよりますが(笑)、プライドや、そしておっしゃるように、何よりも「前向き」が大切ですね。こうして毎日病院へ通っているといろいろな患者さんを見かけるのですが、残念ながら「前向き」とは程遠い状態の方々もいらっしゃいます。わたしにできる大きなことの一つはやはり、母が前向きであり続けられるように精神的な補助をしていくことだと思っております。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2019-03-26 03:28) 

ヤマカゼ

ひとつの大きな時代が過ぎた感じですね。
もうすぐ平成も終わりですね。
by ヤマカゼ (2019-03-26 06:38) 

pn

おー、名前知らなかったけど確かにあちこちで見てる顔だ!
by pn (2019-03-26 07:21) 

tsun

私はこの方の声が好きでした。
ベストセレクションでまた観たくなりました。
by tsun (2019-03-26 10:31) 

Take-Zee

こんにちは!
また大物脇役俳優さんが亡くなりました。
昭和が遠くなりますね。

by Take-Zee (2019-03-26 14:25) 

ヨッシーパパ

名前は全く存じ上げませんが、顔を見たら、なんとなく分かりました。
by ヨッシーパパ (2019-03-26 19:24) 

なかちゃん

織本順吉さんといえば、NHKの朝ドラ『澪つくし』の漁労長だったかな?の役が思い出されます。
好きな俳優さんでした(^^)

by なかちゃん (2019-03-26 19:54) 

ナベちはる

「シャムスン」、由来が気になります。
by ナベちはる (2019-03-27 00:35) 

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