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岡留安則さん訃報、『噂の真相』発行人兼編集長を思い出す [マスコミ]

岡留安則さん訃報、『噂の真相』発行人兼編集長を思い出す

岡留安則さん(1947年11月23日~2019年1月31日)の訃報が昨晩突然リリースされました。反権力スキャンダル雑誌『噂の真相』発行人兼編集長として25年にわたって活躍。休刊後は沖縄に移住し、雑誌や新聞への寄稿などを行っていました。(上の画像はGoogle検索画面より)



昨日あたりから、新井浩文の逮捕を「予言」していたと、ネットではスキャンダル誌の『実話ナックルズ』が注目されています。

あの雑誌は、多くを漫画で描いていますが、文章で伝えていたのが『噂の眞相』です。

1979年~2004年にかけて発行されていました。

しかし、ネット民というのはご都合主義ですね。

普段マスゴミとか唾棄しておいて、今回新井浩文の逮捕をほのめかす記事を書いていたからと、急に評価する。

昨年までは、文春を持ち上げておいて、今度はナックルズ。

もしはずれていたら、またマスゴミよばわりだったんでしょう。

1.スキャンダル誌というのは、時には取材や表現の誤りで人に迷惑をかけることもある。

2.しかし、市井の人々の知りたいこと、見えないことを暴くことで、時には政官財の闇を暴き出して倒閣することだってある

それ以上でも、それ以下でもないのです。

それをゴミというのなら、ゴミとは縁を切って新聞もテレビもやめて、知りたいことはすべて自分の足で確認することですね。

広告収入に頼らない雑誌運営に成功した理想の出版人


それはともかくとして、『噂の真相』編集部の岡留安則さんのところには、2003年に妻と訪問したことがあります。

『噂の真相』や『週刊文春』が、ジャニー喜多川のホモセクハラを暴いた頃です。

当時、ジャニーズ事務所は、スキャンダル誌の『噂の眞相』は「ないもの」と割り切って無視すると決め、『週刊文春』だけを訴えていました。

そこで、『噂の真相』と『週刊文春』のどちらにも、ホモセクハラの件で私たち夫婦は話を聞きに行ったのです。

第一審では『週刊文春』が敗訴したのですが、第二審でホモセクハラという主たる争点が真実性があると認められ、『週刊文春』が逆転勝訴しました。

ところが、多くの新聞・雑誌は、ジャニーズタブーから、それを正しく報じず、さも『週刊文春』が第二審も負けたように報じました。

そういう時期に、文藝春秋社の編集部ではなく法務部の責任者を、妻が引っ張り出してインタビューを行ったのです。

たぶん、法務部が他社メディアでロングインタビューで答えてくれたのは、文藝春秋創立以来初めてのことではなかったかとおもいます。

そして、ホモセクハラが、実はあおい輝彦(ジャニーズ)の時代から、あったことを指摘していた『噂の眞相』には、私も一緒に行きました。

『噂の眞相』は、皇室ポルノ事件といわれるトラブルで、誰も広告を出向しなくなったことがあり、以来、広告収入に頼らない雑誌運営をしていました。

それだけに、クライアントタブーがない自由な誌面づくりでした。

これは出版人としては理想の姿だとおもいます。

文藝春秋社は、かつて「ガス室がなかった」という記事を書いた『マルコポーロ』が、広告に全部引き上げられて廃刊になって以来、クライアントタブーという弱点を抱えていることは否定できません。

この取材がきっかけで、『噂の眞相』のかつての連載者である安部譲二さん、宅八郎さん、板坂剛さんらと知り合うことができました。

そういう経緯もあり、岡留安則さんには深く感謝し、生前のご遺徳をお偲び申し上げたいとおもいます。

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社会の暗部を暴く“後継媒体”は『実話ナックルズ』か


『噂の眞相』については毀誉褒貶ありましたが、休刊直後は復刊が待望されていました。

その頃、「復刊するなら、論考をしっかりと行う雑誌であってほしい」と、注文をつけていたのが、『ガロ』副編集長だった白取千夏雄さんです。

漫画家のやまだ紫さんの夫です。

白取千夏雄さんは、その後間もなく闘病生活に入られたのですが、ご夫婦お二人とも亡くなってしまいました。

今回、岡留安則さんも亡くなり、だんだん世代の近い方が亡くなるようになって、寂しい気持ちはあります。

私はもともと、『実話ナックルズ』をゴミなんて思っておりませんから、これからも『噂の眞相』を超えるスキャンダル誌として、ぜひ社会を暴いていただきたいとおもいます。

『噂の眞相』、ご存知ですか。

「噂の真相」イズム―反権力スキャンダリズムの思想と行動
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編集長を出せ! 『噂の真相』クレーム対応の舞台裏 [ソフトバンク新書]
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「噂の真相」25年戦記 (集英社新書)

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  • 作者: 岡留 安則
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2005/01/14
  • メディア: 新書



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末尾ルコ(アルベール)

岡留安則さん訃報、『噂の真相』発行人兼編集長を思い出す・・・わたしも昨日午後にこの報道を見ました。こうして見ると、サングラスの形の影響が大きいのでしょうが、野坂昭如と似てなくもないですね。

>新井浩文の逮捕を「予言」していた

『実話ナックルズ』という雑誌は知りませんでしたが、新井浩文の逮捕は、嫌韓の連中が大喜びですね。わたしは俳優としての新井浩文は好きだったのですが、それはさて置き、よく「韓国」というだけでこれだけ何もかもボロカスに言えるものだといつもながら唖然としてしまいます。その反面、男女を問わず、韓国アイドルグループは日本で大人気なのですよね。『日経エンタ』が発表している2018年日本国内のコンサート動員力の1位は韓国の東方神起となっております。嫌韓の人たちはこういう状況に地団駄踏んでいるのでしょうね。わたしは韓国映画はいいのがあるのでちょいちょい観ますが、音楽は興味ないです。でも別に嫌うほどでもありません(笑)。

>ネット民というのはご都合主義ですね。

ホント、そうなんです。自分が気に入らなければ、「ゴミ」。気に入れば、「なかなかやるじゃないか」とか、彼らは日本の教育の失敗作ですね。
『噂の真相』は、そうですね、10代後半から20歳蔵まではほとんど毎号読んでおりました。今、執筆陣を再チェックいたしましたが、筒井康隆、本多勝一、左高信、田中康夫ナンシー関、大槻義彦(笑)、中森明夫らの連載がありましたね。わたし中森明夫って、当時からあまり好きじゃなかったです。ヘンな屁理屈こね回してアイドルを語るのって、まあああいうの、どうとでも言えますからね。

>クライアントタブーがない自由な誌面づくりでした。

今もいくつかありますが、その記事内容はさて置き、編集方針自体は評価しなければなりなせんね。なにせ昨今、ジャニーズタブーだけでなく、秋元康タブーもできてますから。各雑誌、乃木坂何たららのグラビアで売り上げを助けられているようで、こうなるとなかなか批判できなくなりますね。テレビ局はもっと酷いですが。件のNGTなんたらの事件も、「アイドル」という観点から見れば、ほとんどおぞましいような話が飛び交っておりますが、テレビ報道の少ないことといったら。他にも日本は、「実質タブー」というのがかなりありますね。

>やはり朝読毎が多いのではないかと思います。

『高知新聞』の圧倒的シェアという状況も、間違いなく高知県民のメンタリティに大きく影響しているのではないかと思っております。誌面の中でローカル記事のページが非常に多く、全国ニュースや世界のニュースも掲載されはしますが、全体的には甚だバランスを欠いております。とにかく毎日、そうそうニュースバリューのあるローカルネタなどあるはずないのに、無理矢理捻出して紙面を作っている感じ。それにしてもこの高いシェアは摩訶不思議ですね。わたしの家庭も祖父母の代から『高知新聞』を取っております。(『高知新聞』を取るのが当然)という社会的イメージが少なくとも戦後のある時期にはできあがっていたようです。
わたしも本当はもう『高知新聞』、いらないのですが、何と時代に逆行して、「ラテ欄」が必要・・・というほどではないですが、便利だと感じているのです。もちろん地上波テレビはもうそれほど観てませんが、母が一日の多くの時間をテレビで過ごしておりまして、どんな番組に合わせておればいいかをチェックするのにラテ欄は便利です。各局の番組が一面で分かるようになっておりますから。ネットで各局ごとの番組を調べるのって、けっこう面倒なんです。
『高知新聞』をはもう10年くらい前になりますが、英会話NOVAでよく一緒になっていた同紙の記者がおりまして、彼の言うにはその時点で広告収入などかなり厳しい状況になっていたのだとか。投書欄への「投稿講座」とかもそうですが、学校の生徒を相手に「新聞を教材に」キャンペーンを張るなど、同紙に付加価値を付けようと必死な状況が続いているようです。まあしかし、もともとのシェアが異常ですよね。  RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2019-02-03 02:53) 

Take-Zee

おはようございます!
年取って暦が早いです・・
もう暦の上では春です。

by Take-Zee (2019-02-03 08:26) 

pn

日本の銃器雑誌が実銃の事を好き勝手に書けるのは本物メーカーの広告無いからだってずいぶん前に書いてあったなぁ。
その代わりトイガンの評価はやっぱオブラートに包まれてるやつも(^_^;)
本来情報誌って(情報番組もか)スポンサーに左右されちゃダメですよね。噂の真相は知ってはいましたが広告無しで運営だったとは知りませんでした。
by pn (2019-02-03 09:17) 

扶侶夢

『噂の真相』…“虚”を追い求めた'80年代に'70年代の反体制スピリットで切り込んだ、我々にはノスタルジックな思想の雑誌でした。
昭和は遠くなりにけり…ですね。
by 扶侶夢 (2019-02-03 12:35) 

ヨッシーパパ

さっぱり、存じ上げませんでした。
by ヨッシーパパ (2019-02-03 18:51) 

チナリ

こんばんは。

こういった雑誌を読んだことがないのですが、いっぷくさんの記事を拝見させていただいていると、本当に多くの方々とつながっていらっしゃるんですね。

個人的には、有名人の不倫や金銭問題など、赤の他人の私からするとどうでも良いような内容の記事を書いて人を貶めるようなことをするよりも、良いことをした人を取り上げるようなニュース番組や雑誌があれば良いのにと思っていますが、世間では他人の不幸を糾弾するような内容のほうが視聴率や売れ行きが良いのでしょうね。

by チナリ (2019-02-03 22:32) 

ナベちはる

自分たちに都合がいいことは評価して、悪いことはけなす。
ネット民は、本当にそうだと思います…
by ナベちはる (2019-02-04 00:22) 

Rinko

「噂の真相」は夫が読んでいたものを私もたまに読んでいました。岡留さん、亡くなったんですね・・・なんだか寂しいです。
by Rinko (2019-02-04 07:43) 

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