『喜劇駅前音頭』大空真弓とスリーファンキースによる歌の宴 [東宝昭和喜劇]
『喜劇駅前音頭』(1964年、東京映画/東宝)は、全24作ある駅前シリーズの9作目にあたります。大空真弓やスリーファンキースの歌のシーン、『ゴジラ』シリーズやテレビドラマ『アテンションプリーズ』の佐原健二が出演など、いつになく賑やかな構成になっています。(画像は断りのない限り劇中から)
先月のBS11で、初めて放送された『喜劇駅前音頭』は、DVD化されていません。
マニアには、お宝作品なのです。
また来年再放送されるかもしれないので、簡単にご紹介します。
劇中のクライマックスは、大空真弓が歌を3度も披露していることと、当時売れっ子だったスリーファンキースがタイトルの『駅前音頭』を披露していることです。
大空真弓は、父親は沖縄県、母親は広島県の出身です。
Google検索画面より
広島県佐伯郡五日市町(現在の広島市佐伯区)で被爆経験があることから、どちらかというと「広島」の話が多いのですが、今回は「沖縄をルーツとする大空真弓」の魅力がいかんなく発揮されています。
この作品で、ああ、駅前シリーズというのは、実は大空真弓がヒロインだったのかもしれないと気づきました。
『喜劇駅前音頭』設定と登場人物
『喜劇駅前音頭』設定と登場人物を簡単にご紹介します。
小田急線のとある駅の商店街にある、呉服屋と洋品店が張り合っています。
そして、有線放送を流している広告会社が、どちらにもいい顔をして出入りしています。
呉服屋は、森繁久彌と淡島千景夫妻。従業員は松山英太郎
洋品店は、伴淳三郎と淡路恵子夫妻。従業員はいしだあゆみ
いしだあゆみは映画初出演ですね。
いがみ合っている店同士ですが、松山英太郎といしだあゆみは恋仲という、ありがちなパターン。
広告会社社長がフランキー堺、有線放送を流しているのは大空真弓。
そして、大空真弓の年上のいとこで沖縄料理店のマダムが池内淳子。
町内会長が沢村貞子。
ジャパンとハワイの民間文化使節が三木のり平。
安定の昭和喜劇陣です。
いろいろあって、全員ハワイに行き、伴淳三郎が、亡兄の戦没者叙勲の表彰を受けるのですが、ハワイ在住の父が山茶花究、その息子が佐原健二です。
『ゴジラ』シリーズ常連の佐原健二は、喜劇駅前シリーズ初出演です。
Google検索画面より
佐原健二はともかくとして1908年生まれの伴淳三郎の父親役が、1914年生まれの山茶花究という、かなり強引なキャスティングですが、山茶花究もシリーズのレギュラーのため、どこかで使いたかったのでしょう。
脚本は新井一
本作は、長瀬喜伴、新井一の共同脚本です。
新井一さんは、東宝の社員でありながら、脚本家としても活躍。2足のわらじを履いていた方です。
Google検索画面より
おそらく、本作以外も、補助執筆や編集作業などで、名前がクレジットされなかっただけで、脚本に関わっていた作品が多数あるものと思われます。
東宝が路線変更後は、シナリオ・センターを開講しました。
シナリオ・センター創設者の新井一は、「シナリオを書くことで、創る側も観る側も考える力が身につく」と「テレビは日本人の考える力を奪う『一億総白痴化の箱』」と言ったジャーナリストの大宅壮一に対抗。この考えを粋に感じた大宅から、シナリオ・センターを創設する際、「新井さんが目指すのは『一億総シナリオライター化』」と言葉をもらう。(シナリオ・センター公式サイトより)
要するに、大宅壮一さんは、テレビなんか見ていると視聴者は何も考えなくなると言っているのに対して、新井一さんは、シナリオの書き方を知ることで、テレビ(ドラマ)を考えて鑑賞するようになる、と「対抗」しているわけです。
大宅壮一さんも、“対抗”されたのに、メッセージを発するとは「粋」ですね。
実を申しますと、私もかつてはシナリオ・センターに在籍し、直接新井一先生の指導を受けておりました。
道理で、喜劇駅前シリーズは波長が合うと感じたわけです。
新井先生は、指導者としては褒めて伸ばすタイプの方でしたね。
「本当にうまくなりました」といわれると、「そうかな?」なんて思いながらも、悪い気はしなかったですよ。
それにしても、最近のTV番組は、バラエティ番組では画面にいちいち字幕スーパーが入り、一方ドラマのセリフは画面を見なくてもわかるよう長々と説明セリフ。
これでは、視聴者が考えようがないですね。
大宅壮一さんも、新井一さんも、草葉の陰でトホホとおっしゃっていることでしょう。
せめて昔の映画やドラマを見て、考えることにしましょう。
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いしだあゆみさんは、ずいぶん前から出てらしたんですね。
by 犬眉母 (2018-12-30 02:11)
『喜劇駅前音頭』大空真弓とスリーファンキースによる歌の宴・・・この作品はまだ観てないのですが、とても愉しそうですね。いつも通りの豪華な出演者なのですが、特に目を引くのがいしだあゆみです。この時代のいしだあゆみは観たことないのですが、このような感じだったのですね。今のいしだあゆみがかなり老けてしまっていると、少し前にも話題となっておりましたが、わたしの子ども時代のいしだあゆみのイメージは、「痩せて、やや陰気な女性」というものでして、あまりファンになりたいとか、そのような対象ではなかったのです。でもこの作品のいしだあゆみはそうしたわたしのイメージを覆すに十分な溌溂とした姿ですね。これはぜひ観たくなりました。
どんな俳優や歌手でも、どうしても「初めて観た段階」の姿が第一印象となり、その姿が自然と定着していくものですが、やはりできるだけ全盛期の姿を知っておきたいものですよね。いしだあゆみの場合はこの作品の極めて若い頃よりも、わたしが子どもの頃に知った姿の方が全盛期に近いのかもしれませんが、とにかく「ずっと知っていた人」の「知らなかった姿」を知るのは刺激的です。俳優たちにとっても、そうしたファンが増えるのは嬉しいことだと思います。
このお写真の池内淳子がまたいいですね~~~。こうして見ると、完璧な顔立ちしてますよね~。顔立ちが綺麗なだけでなく、内面から湧き出てくる女性的魅力もとても豊かな女優なのだなあとあらためて感じます。
>「シナリオを書くことで、創る側も観る側も考える力が身につく」
これは素晴らしいコンセプトですね!なにせ今、日本国民の鑑賞力が、映画、ドラマに限らず、様々な表現作品に対して危機的な状況になっていると感じております。本来、「1から10まで説明しているようなシナリオ」は「レベルが低い」とされるものなのですが、今では事細かな説明なしでは、「わけ、分かんな~い」などと決めつける人たちが大方になっております。想像力も、解釈力も、読解力も欠場しているのですね。そして、(理解してやろう)という努力も一切しません。これでは作る側もやってられません。この点に関しては本当に、一億再教育(笑)が必要な状況だと思います。
高木美保のようなスタイルのタレントが出てきてくれては困りますよね。ああやってワイドショーなどで座り、適当なコメント言ってるだけで、地道に頑張っている俳優や歌手などよりも高収入の場合もあるわけでしょうから。高木美保もそうですし、実質「何もしてない」のにテレビで能書きたれて稼いでいる人って、今ではかなり多いですよね。
そう言えばちょいちょいお話させていただいている叔父(わたしと血は繋がっておりません)なのですが、確か2017年の夏前くらいに悪性リンパ腫と診断を受け、終末医療も勧められたのですが(おそらく2017年内にも危ないとされていたと思います)、その後回復し、日常生活を送れるまでになっていたのです。ところがアル中でもあって、11月でしたか、居酒屋で倒れたのです。脳梗塞だったようですが、(まだ居酒屋へ?)とあらためて驚きました。家族の中に彼の飲酒を止められる者がいないのです。せっかくほぼ奇跡的に悪性リンパ腫が抑えられている状態だったのに、今は脳梗塞で半身麻痺となり、どうにかリハビリができ始めた段階です。まあこの家族が例の「高学歴勘違いファミリー」でして、この叔父・叔母にもわたしはかなり複雑な気持ちを持っているのですが、長くなりますので(笑)、またの折にお話させていただこうと思います。RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2018-12-30 03:47)
同じ歳で教師と生徒役とかもあるからねぇ(笑)
説明台詞は置いといて字幕出るのは邪魔ですよねあれ。
行ってる事を微妙に端折ったり丁寧に直したりしてるのが気になって(^_^;)
by pn (2018-12-30 06:24)
いしだあゆみさんの若い姿はじめて見ました。大空真弓さん名前は聞いたことあります。
駅前音頭たのしそうですね。
by ヤマカゼ (2018-12-30 07:45)
いしだあゆみさん、すごく普通の女の子だったんですね。
今はどうしておられるのかしら。
by coco030705 (2018-12-30 09:59)
そういえば、いしだあゆみさんって最近見てないな~。
by poko (2018-12-30 11:20)
今年も訪問、コメントありがとうございました!
よいお年をお迎えくださいね!
by Take-Zee (2018-12-30 15:34)
「いしだあゆみ」さんの、歌が好きでした。
by ヨッシーパパ (2018-12-30 16:28)
いしだあゆみさんの映画出演というと、男はつらいよを思い出します。
それにしても豪華な出演者の顔ぶれ、今の映画とは雲泥の差みたいに見えます。
by なかちゃん (2018-12-30 18:48)
こんばんは。
今回の記事では、どなたも存知上げなかったです。
>それにしても、最近のTV番組は、バラエティ番組では画面にいちいち字幕スーパーが入り、一方ドラマのセリフは画面を見なくてもわかるよう長々と説明セリフ。
ここ何年もドラマは見ていないので、ドラマのことはわかりませんが、バラエティー番組では「ここが笑いどころだぞ」といわんばかりに字幕スーパーのオンパレードになっていますね。
いちいち字幕で出さなくても、自分のおもしろいと思ったところで笑うのでうっとおしく感じてしまいます。
あとは、テレビ番組では当たり前のテレビの画面に小さく入る、共演者の顔を映すワイプも、番組を見ているとジャマに感じてしまいます。
ほとんど最近のテレビは見なくなってしまっているので、どうでも良いと思ってしまいますけれど。
by チナリ (2018-12-30 21:59)
今年もお世話になりました。
来年もよろしくお願いします(^_-)-☆
by yamatonosuke (2018-12-31 00:42)
>最近のTV番組は、バラエティ番組では画面にいちいち字幕スーパーが入り、一方ドラマのセリフは画面を見なくてもわかるよう長々と説明セリフ。
間違って伝わってしまうと、場合によっては良くない問題につながりかねないからかもしれませんが、見ている側からしたら「それって要る?」ということも少なくないですよね…
by ナベちはる (2018-12-31 01:14)