野村沙知代さん(のむらさちよ、1932年3月26日~2017年12月8日)の一周忌が近づいたことで、マスコミは沙知代さん関連の記事を前倒しで書いていますが、注目されるのは遺された野村克也さんの近況と心境。中でも週刊現代の記事がネットでは好評のようです。
野村沙知代さんが亡くなって、野村克也さんがどう暮らしているか、何を考えているか、野村沙知代さんに何を思うが、という記事がいろいろ出ています。
ツイートからいくつか拾ってみます。
中でも、一番話題として盛り上がっていたのは、この記事です。
『週刊現代』の記事ですが、『日刊ゲンダイ』とは“生みの親”が同じなのに、全く連携がないようですね。
野村克也氏に対するスタンスも、『日刊ゲンダイ』は、精神科医までコメントを出させて野村克也氏の人格批判に勤しんでいたほどですが、『週刊現代』の以下の記事は、そのような悪意はありません。
こちらは、同記事にどのようなコメントが付いたかのまとめ記事です。
↓
【芸能】ノムさんの告白「沙知代よ、君がいない毎日は本当につまらなくて」 あれから一年。いま、思うこと
https://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1543091368/-100
これは、たしかにいい読み物でしたね。
誹謗中傷が好きなネット民も、おおむね好意的でした。
上のツイートをクリックすると、当該記事に飛びます。
ぜひ全文を読まれることをお勧めしますが、一部は記事として必要な抜粋をします。
こんな別れがあっていいのか。そう思った。あんなに強かった女が、あまりにもあっけない。人間の最期とは、かくも唐突に訪れるものなのか。
〈今日の仕事、沙知代はなんて言うかな〉
彼女の反応が、私の活力になっていた。
いま、家にいるときはテレビが唯一の話し相手。画面に向かってボヤくしかない。
「亭主が手持ち無沙汰でウロウロしていたら、家の中は真っ暗になるし、そのうち病気になっちゃうじゃない。だから、私はあなたを休ませないの。これも内助の功。妻の愛よ」(中略)
この年になっても、私がこうして仕事をいただけるのは、紛れもなく彼女のおかげだ。
めったに言葉を荒らげることのない私だって、何度怒鳴りつけてやろうと思ったかわからない。
だけど、彼女と別れようと考えたことは、人生で一度たりともなかった。
「俺以外に、お前と上手くやっていける人間が、この世にいると思うか」
そういう気持ちだった。
私は生来の不安性で、ふとした瞬間に弱気の虫が顔を出す。そんなとき、平然とした顔で「なんとかなるわよ」と励ましてくれる彼女に救われた回数は、数限りない。
悪妻かどうかは、周囲ではなく、夫である私が決めること。何度聞かれても、私は断言できる。
「サッチーは、これ以上ない最良の妻であり、私にとっての最高のラッキーガールだった」と。
そして夜、独りの家に帰ってきて、妻の位牌に語りかける。
「サッチー、君がいない毎日は、本当につまらないよ」
こんなボヤきを聞いて、彼女はどう応えるか。それは、なんとなくわかる気がする。
「大丈夫。なんとかなるわよ」
そうだよな、あとちょっと、生きてみようか。
みなさんは、このインタビューを読まれて、どんな感想をお持ちですか。
私が思うに、このインタビューで、ポイントとなることは3点あります。
夫婦の価値観は他人にはわからない
ひとつは、
夫婦の価値評価は夫婦当事者が判断すること
引用はしませんでしたが、野村克也さんのインタビューによると、野村沙知代さんの経歴の嘘はわかっていたそうです。
そして、引用したように、「めったに言葉を荒らげることのない私だって、何度怒鳴りつけてやろうと思ったかわからない」と、野村沙知代さんには決して服従ではなく、衝突することもあったことを認めています。
でもやっぱり、サッチーが一番なんだ。
野村克也さんはそう言っているわけです。
事情を知りもしない第三者が、「どうして沙知代なんかと結婚したんだ」などというのは、差し出がましいにもほどがあります。
世間からどううつっても自分を補ってくれる良き妻
2つ目は、
恐妻=悪妻ではない、ということ。
私自身、「決められない、断れない」タイプの人間のため、セールスマンの口上につられてつい注文してしまい、後始末のクーリングオフを妻にお願いすることがあります(汗)
ジャイアント馬場夫人の、
馬場元子さんも、生前は「女帝」だのハチノアタマだのと、ずいぶんひどい言われ方でした。
が、ジャイアント馬場の(人として必ずしも悪いことばかりではないのですが)優柔不断なところを、ぜんぶ自分が代行して振る舞い、夫が「馬場さん」などと聖人化される代わりに、悪者になっていたのではないかと思います。

⇒
馬場夫妻と全日本プロレス、Gスピリッツ Vol.48 (タツミムック)
http://spysee.jp/%E9%A6%AC%E5%A0%B4%E5%85%83%E5%AD%90/38462/image より
ピンピンコロリは本当に“迷惑をかけない”のか?
3つめは、
“ピンピンコロリ”なるトレンド死生観の薄っぺらさ。
野村沙知代さんは、絵に描いたようなピンピンコロリです。
さて、これは迷惑をかけない最期だったのでしょうか。
だったら、一年たったインタビューでも払拭できない、野村克也さんの苦悩はいったいなんなんですか。
ネット民の中には、ピンピンコロリを否定するこんな書き込みもありました。
野村沙知代さんが亡くなったからと言って、世間に甘えずちゃんとしろという「立派な」書き込みに対しての批判のやりとりです。
>廻りに誰も居なくなった訳じゃ無いから、(野村克也さんも)迷惑かけないようにはしないと。
>>お前はステキな事書いたつまりなんだろうけど、俺からしたら本当にゴミだわ
これだけ大成して、足跡も残して、仕事もやりきった人が、持ってる金で解決出来る範囲なら後は何やっても良いだろ どんだけ「迷惑かけない」に取り憑かれてんだよ。。。
そして、もうひとつは、自分の親を例にして、寝たきりでもいいから生きていてほしかったという意見です。
>うちの親父、大動脈解離で倒れた時
>救急隊の人に覚悟しておいてくださいって言われたなぁ
>結局ダメだったんだけど
>最期の言葉が背中が痛いだった
>ほんの数十秒前は横にいて晩酌してたのに
>もう二度と会う事も話す事もできなくなるなんてな
>介護してる人にポックリ逝ったんだからって言われるけど
>
突然いなくなっちゃうんだぜ?こんなに悲しい事あるかよ?
>俺からしたら死んじゃうより寝たきりでも生きていてほしかったよ
私も、妻が心肺停止になって、救急隊の人に「覚悟しておいてください」って言われたことを思い出しました。
突然の死を、歓迎できるわけがないでしょう。
そういう経験もない人が、ピンピンコロリに憧れても、私からすれば、何を抜かすか……ですよ
もちろん、これは価値観の問題なので、私の意見やこれらの書き込みが正解である、ということではありません。
ただ少なくとも、「迷惑をかけずに死ぬ」というピンピンコロリの根拠は、決して万全でも万能でもないんですよ、ということです。
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またサッチーと結婚したい?
南海ホークス時代、野村克也監督のもとでプレーしていた門田博光氏が、『日刊ゲンダイ』で現役時代を振り返る連載をしていたとき、野村克也監督について、「おっさん(野村克也監督)は勝てば自分の手柄、負ければ選手のせい」にすると指摘しました。
当時いわれていた「不仲」は本当だったのか、と思いながら読み進めたところ、最後に、「でも、もし若返ってユニフォームを着ることができたら、またおっさんと野球がやりたいな」と結んでいました。
門田博光氏は、巷間言われていた野村克也氏の話がたとえ事実であっても、そんなものがすっ飛んでしまうほどいいこともある。
だから私は野球人として野村克也氏を認めるのだ、ということがいいたかったのです。
野村克也氏としては、同じような気持ちを、野村沙知代さんに抱いているのではないでしょうか。
このデンで言えば、たとえば、ご贔屓の俳優が批判され、「○○さんに限ってそんなことはない」などと根拠もなくかばうことに懸命になっているうちは、本当のファンではないですね。
本当のファンなら、いいところも悪いところもしっかりと受け止めなければ。
女房はドーベルマン
野村沙知代さん一周忌の談話で野村克也さんが語った3つの教え・・・これは本当に深く考えさせていただけるお記事です。野村夫妻については表面的なことしか知らなかったものですから、まず野村克也が「生来の不安性」だと語っているのに驚きました。本当に人間を見た目の印象、表面的な言動だけで理解したつもりになってはいけませんね。あのいかにも自信ありげな、理論が勝るタイプに見える野村克也にして、「生来の不安性」を自認していたとは。そしてある意味安堵もします。(野村克也にして、そうなんだ・・・)と。そうなのですよね。どれだけの実績を残そうが、あるいは世間的に見て「普通の人」であろうが、一人の人間であることに変わりはありません。いかなる人間でも同じような悩みを持っている・・・当たり前のことですが、つい忘れがちなこの真実を再認識させていただきました。
>ポイントとなることは3点
すべて同感でございます。人間の感情を単純化したり、世間的な公式に当て嵌めてはいけませんよね。人間関係にしてもそうで、ステロタイプと比較してすぐにどうこう言う人たちは結局何も考えてないのでしょうし、傲慢極まりないし、根本的に「自由」が理解できてないのだと思います。
「ピンピンコロリ」って、そもそもこの言葉が嫌ですね。「ゴキブリホイホイ」とほぼ同じ語感。これで人間の生き死にを語られてはたまりません。「ピンピンコロリがいい」なんて思っている人は、まず根本的な想像力に欠けているのだと思いますし、テレビで「サバ缶が健康にいい!」と聞けば、すぐにスーパーに走る人たちとかなり重なりそうです。
最近、若手右派の古谷経衡 『日本を蝕む「極論」の正体』という本を読みまして、書いてることすべてに賛成というわけではないのですが、おもしろく書けておりました。同書の要点は、「極論は閉鎖空間で有効に浸透し、一定の支持者を掴むけれど、外側の一般層にまでは浸透しない」という説で、田嶋陽子らの極端な男性憎悪発言などはまさにその閉鎖空間で手堅く固定した支持を得る手法の一つなのかなと思います。ただ歴史的に見れば、ナチスドイツのような極論中の極論が、ドイツのように本来知性が売り物の国を覆いつくした例もありますから、小さな極論でも笑ってみているわけにはいかないと思います。
>きっと議員として立派な仕事をデキる人ではないような気がします。
ここが大きな問題ですよね。「デキる人・できそうな人」は女性アナウンサーでもやっかまれてなかなかメインの扱いを受けない風潮がありますから。「女性の敵は女性」という紋切り型の言い方を容易に当て嵌めてはなりませんが、日本の場合は確かにこの傾向は強いですね。それと女性アイドルにもいろいろあって、ももクロのように女性の性的な要素を売り物にしないグループもありますが、やはり秋元康系の一つのグループで何十人も(笑)女性をステージに立たせて品評会のような形で人気を集めていくというのはいまだ抵抗があります。おニャン子とかの時はまだパロディ的なところがあったと思いますが、乃木坂の写真集がバカ売れとか、性的な要素を全面的に押し出していると見えます。そしてAKBだけでなく、(いったい何グループあるんだ??)と思うくらい秋元康系の女性アイドルグループがいて、しかも一般の若い女性たちからもけっこう憧れられていますよね。もちろん性的な要素を押し出すことも全面的に悪いとは言いませんし、それどころか芸術文化的にはとても大事なことだと思いますが、基本的に「歌も演技もダメ」な女性が何十人も集まったグループが国内にいっぱいいて、すべてかなりの人気を集めているという現状は異様です。なんか、政治のお話から離れてますね(笑)。
気を取り直して(笑)政治のお話に戻りますと、片山さつきにしても高市早苗にしても、自分らは女性として特別のエリートで、一般の女性たちと比較してほしくない・・・といった意識がかなり強く感じられまして、そういったところも彼女たちの存在が一般女性の政治意識向上に繋がらない部分でもあるのではと思います。 RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2018-11-27 03:00)
位牌に愚痴る姿を想像すると泣きそうだ、いい夫婦だったんだなぁ(T_T)
by pn (2018-11-27 06:17)
たしかに、夫婦の価値観は他人にはわからないですね
by ヤマカゼ (2018-11-27 06:25)
このインタビュー記事、ステキですね。
夫婦にはその夫婦にしか分からないモノってありますよね。
by Rinko (2018-11-27 08:23)
すごくいいお話だと思います。ボクもカミさんのおかげで今を生きていることを痛感しました。
ピンピンコロリについては考え方は人それぞれでしょうが、ボクの父は即コロリではなく事故の2日後に亡くなりましたが、2日後でさえ全然覚悟は出来ませんでした。そしてたくさんの後悔が残りました。そして・・一度だけ『大丈夫かな?』と思った時の嬉しかったこと、忘れません。身体に障害が残ると言われましたが、それでも生きていてほしいと思いました。結局はダメでしたが・・・
人それぞれとは思いますが、ピンコロがいいとは絶対に思えません。
by なかちゃん (2018-11-27 09:17)
おはようございます。
野村沙知代さんがお亡くなりになってしまってから、もう少しで1年になるんですね。
時間が経つのは早いです。
野村沙知代さんはテレビでのイメージしかありませんが、一番近くにいらっしゃった野村克也さんの想いがすべてを物語ってる気がします。
テレビでは良いイメージを持たれなかったかもしれませんが、とても素敵なご夫婦だったんですね。
by チナリ (2018-11-27 09:18)
もう一周忌を迎えるのですか、早いものですね。
ピンピンコロリといっても、これは『突然死』を言い換えただけではないでしょうか。望ましいはずがないと思います。
by えくりぷす (2018-11-27 11:48)
夫婦って、補完しあったり競い合ったり
面白いですね。
野村さん夫婦は個性が強いもの同士ですが
お互いがその存在の大切さを認め合っていたのが
大切な所なんでしょうね。
by そらへい (2018-11-27 22:29)
もうすぐ一周忌なのですね…時間が経つのはあっという間だと思いました。
by ナベちはる (2018-11-28 00:29)
夫婦とは奥が深いものですね。
by うつ夫 (2018-11-28 02:07)
ジャイアント馬場さんと 夫人は 優柔不断な夫のかわりにビシッと決断ちょっと悪役担当? えーっ、馬場さんずるーい。^^;
ピンピンコロリは、”自分がそうなら” 気楽だなと思います。
闘病はしんどいし、介護してもらうのも憂うつですもん。
が、もし”同居家族や 血縁者、親しかった人が そうなったら、 ” 突然の ポッカリ喪失感。悲しいし つらいです。
かといって、自分が介護する側で 10年以上 老老介護だったら、いつまで続くんだろう? そろそろ楽になりたい・・と思う瞬間が来るかも。 ほどほど がよいなあ。
by Orange_blancオレンジブラン (2018-11-29 14:55)