若尾文子さん(わかおあやこ、1933年11月8日~ )の誕生日です。若尾文子というと、大映時代にたくさんの主演作品があり、テレビドラマに活躍の場を移してからも70本以上出ているのですが、私が印象に残るベストワークは、倉本聰のテレビドラマ『あなただけ今晩は』(1975年7月26日~9月27日、CX)です。(上の顔画像はGoogle検索画面より)
まずは、自宅で撮影したという
若尾文子31歳当時の記事を振り返る新聞記事です(『東京スポーツ』2015年4月14日付)。
若尾文子というと日本的な女優というイメージがありますが、写真には派手なヘアとアイメイクの若尾文子がうつっています。
記事によると、この時点での次回作は谷崎潤一郎原作の『刺青』。
「成熱したエロチシズムを漂わせながら女の情念を演じて男たちをスクリーンにクギ付けにした」と記事は結んでいます。
このブログでは、大映時代の若尾文子主演映画の記事は、『
砂糖菓子が壊れるとき』と、『
妻は告白する』をご紹介したことがあります。
もちろんまだまだいい作品があるので、これからは、大映作品にも言及したいとおもいます。
倉本聰ドラマでコミカルに、そして切なく女の情念表現
さて、冒頭で述べた『あなただけ今晩は』は、倉本聰脚本のドラマです。
なぜか再放送もされないため、自分だけがこだわっているのかと気になって、ネットを検索したところ、私なんかよりもよほど詳しいブログが複数出てきたのでホッとしてしまいました。
たとえば、
★(*^ー゚)σ ドラマ『あなただけ今晩は』5
http://blog.livedoor.jp/hanahenro1973/archives/16225919.html
こちらでは、あらすじを詳細に書かれています。
若くして亡くなった妻(若尾文子)は、一人遺された夫(藤田まこと)が心配で、「この世」に現れて夫を心配したり、部下の女性(仁科亜季子)にヤキモチを焼いたりします。
しかし、夫には自分の姿は見えず、夫の兄(中条静夫)だけが見えるので、夜な夜な現れては、夫への思いを中条静夫に語ります。
夫は妻の死を儚んで後追い自殺を試みますが、夫の愛情を十分確認した若尾文子は気持ちにけじめを付け、夫を「この世」に戻し、かわりに自分は「この世」の記憶をすべて失い天国に旅立っていくという、最後はちょっと切ない話です。
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コミカルな中にも女の情念を表現
こちらのブログでは、ノベライゼーションの紹介記事を書かれています。
倉本聰「あなただけ今晩は 星の世界の夕子」装幀・辰巳四郎/出演・若尾文子 藤田まこと
http://hifumi.ocnk.net/product/6568
ノベライゼーションとは、ドラマを原作として小説化することです。
ノベライゼーションまであったとは知りませんでした。
実は、『あなただけ今晩は』と、主たる部分で同じストーリーの映画は過去にもありました。
最近ご紹介している旅行シリーズの一つ、『
喜劇怪談旅行』(1972年、松竹)という映画はそうです。
フランキー堺が日色ともゑ演じる夫人を亡くしたのですが、フランキー堺にだけは幽霊になった夫人が見えていて、やきもちを焼いたり励ましたりするのです。
最後は、夫人そっくりの女性(日色ともゑの二役)と再婚することになり、夫人は安心してあの世にいくというストーリーです。
『あなただけ今晩は』との違いは、若尾文子のことが見えるのは、夫の藤田まことではなく、夫の兄の
中条静夫という点です。
DVD『渡る世間は鬼ばかり』より
夜、屋根の上でだったか物干しだったかで、若尾文子が夫への思いを滔々と述べ、中条静夫がそれを聞くというシーンが毎回のクライマックスだったのですが、中条静夫といえば大映時代は大部屋俳優。
若尾文子主演の大映映画では、板前、同僚の1人、通行人など、端役やエキストラだったので、大映時代ならありえないツーショットシーンが展開されていたのは、中条静夫自身が驚いたことでしょう。
映画の序列をぶち壊して、新しい価値を創出しようとする倉本聰の意欲がうかがえたのと、長年大映で一緒にやってきた中条静夫の抜擢をむしろ喜んでいるような若尾文子が素晴らしいとおもいました。
もとより、ライトコメディのようなストーリーの中で、女の情念を表現する役柄もいいと思ったので、私はこのドラマがお気に入りなのです。
若尾文子というと、どんな作品が思い浮かびますか。
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若尾文子、倉本聰ドラマでは幽霊役でも女の情念を演じた女優・・・若尾文子についてはわたしもいろいろ書いていきたいと思っておりますが、この前、田中絹代、原節子、京マチ子についてブログで少し書きましたけれど、なにせ皆出演映画が多いので未見作が山積みで、客観的評価はなかなか難しいですが、「誰が好きか」と問われれば、前述の3大女優よりも若尾文子です。
まず顔立ちがいかにもスクリーン映えする映画女優そのものでありますし、エグいまでの情念を演じ切る凄みがを持ちながらも、アイドル的な可愛らしさもあり、コメディも得意としておりましたよね。風格たっぷりの文芸作品もよし、ポップでパンクな作品もお手の物と、役の範囲も極めて広いですよね。全盛期の藤純子にも魅了されますが、役としては任侠物一択という感もあります。やはり若尾文子、絶対に凄いですよね。鑑賞した映画はほぼすべて好きですが、いくつか挙げさせていただくと、『祇園囃子』『青空娘』『赤線地帯』『四十八歳の抵抗』『浮草』『からっ風野郎』『ぼんち』『女の勲章』『雁の寺』『妻は告白する』『しとやかな獣』『越前竹人形』『獣の戯れ』『清作の妻』『華岡青洲の妻』など。
>中条静夫の抜擢をむしろ喜んでいるような
『あなただけ今晩は』は未見なのですが、若尾文子って、そんな太っ腹なイメージがありますよね。最近出版されたロングインタヴュー本も読んだのですが、大らかで心の広い人間性を感じました。
まあそれにしても若尾文子のお話とかをさせていただいていると、今の女優とか、同じ「女優」と名乗ってもらいたくない気がしてきます。特に剛力彩芽とか(笑)。
そして、今現在、わたしの個人的「日本人女優ベスト」は、若尾文子か高峰秀子か・・・という感じで考えております。
>藤田ニコルは、きゅうりが好きなタレントですね。
そうなのですか!そのあたりもまったく知りませんでした。若手女優とか歌手系はだいたい把握しておりますが、バラエティ中心のタレントとなるとさっぱりで、そういえば、今週も既に何度かバナナマンを見かけました(笑)。
ハーフタレントの需要が多い理由はいろいろあると思いますが、その中の一つは画面上の賑やかしではないでしょうか。一般的日本人の顔ばかりだと画面(えづら)が地味になると、だから少々派手な顔立ちのハーフタレントを入れておくと、画面が華やぐと、わたしは思いませんが(笑)、バラエティ番組関係者はそう思っているのではないかと。そうした賑やかしのハーフタレントに、ちょっとおバカなリアクション、ちょっと頓珍漢なリアクションの役割を与えている場合も多いのかなと思います。バラエティ番組のレギュラーはバナナマンを筆頭に(笑)見苦しい外見の人が多いので、画面の調整(笑)的な役割もあるのかなと思います。
それと何だかんだ言って、欧米人コンプレックスの日本人はまだまだ多いのだなと実感させられることもしばしばです。やたらと欧米人を否定しようとするのもコンプレックスの一形態でしょうし、ネトウヨ御用達のケント・ギルバートの談話で見たのですが、「はじめは自分の(ネトウヨ的内容の)本が売れるとは思わなかった。同じような内容の本はいろいろ出ているから。しかしこうして売れっ子になったのは、やはり米国白人である自分が書いているからではないか」といった意味の話でした。愛国者を気取る人たちがケント・ギルバートごときに日本を褒められて喜ぶことがまさに噴飯物なのですが、このエピソードにも根強い欧米人コンプレックスが窺えます。 RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2018-11-08 03:19)
そう言えば「これ」って言える作品が思い浮かばない、名前は超有名なのになんでだろ?それよか2枚目写真のチャタレイ夫人は日本にもいたが気になる(^_^;)
by pn (2018-11-08 06:16)
砂糖菓子の壊れるときのこのカット昔見たことあります。
昨日コメント忘れましたが、蒲田はキネマの天地、地元に誇れるところがあるのはいいですね。
by ヤマカゼ (2018-11-08 06:29)
若尾文子さん、若い頃はイメージが違いますねー!
「THEゴージャス」の言葉がぴったりな雰囲気です^m^
by Rinko (2018-11-08 07:57)
『あなただけ今晩は』といえば、ビリー・ワイルダー監督の映画と関係が…と思ったら、全然違う話でしたね^^;
若尾文子さんは大女優というイメージでしたが、若い頃はヌードなんかも披露されていたんですか。ナルホド。
思い浮かぶ作品といえば、NHK大河ドラマ、なかでもナレーションもされてた『武田信玄』です。「今宵はここまでに致しとうござりまする」は印象に残っています。(一昨年BSで再放送されていたこともあります)
by えくりぷす (2018-11-08 09:25)
若尾文子は、最近再放送された「木枯らし紋次郎」で拝見しました。若かったですが、名演技でした。
by kou (2018-11-08 09:39)
中条静夫と藤田まことが兄弟役というのがいいですね。
若尾文子さん、お名前は存じておりますが実際にテレビや映画で拝見して覚えているのは『男はつらいよ 純情編』です。
そういえば今度の土曜日にBSテレ東の『やっぱり土曜は寅さん』でその『純情編』が放送されますね。とても楽しみです(^^)
by なかちゃん (2018-11-08 09:40)
幼少の頃、初めて贔屓にした男優が宍戸錠で、女優では若尾文子でした。(5歳ですでに叶順子にエロチシズムを感じていた私でしたが(苦笑)
色んな面を持って好演している彼女なのでどの作品がベストと言われても選びにくいですが「座頭市と用心棒」で、勝・三船の両雄に混じる紅一点として岡本喜八監督に選ばれている事は特筆したいですね。
by 扶侶夢 (2018-11-08 10:24)
若い頃は、エロティックな女優だったんですね。
by ヨッシーパパ (2018-11-08 19:15)
若尾文子では、私もコメントしなくては…
実は彼女、家の母と同い年なんですけど、サスガは大女優!
八十代でも驚異の若さ、美しさを保っていますね。…と言いつつ、ここ2~3年出ているところを見ていないのですけれど。
RUKOさんが仰るように、役柄を問わずどんな役でも演じられる幅の広さ、庶民的に見える時もあれば、役柄によっては妖艶で、美貌で、セクシーで…と。そこに落ち着いた声の良さの魅力も加わっているのだから。
俳優は見た目は勿論ながら、声のトーン、話し方に品がなくては魅力があるとは思えないのです。その点、黒柳徹子など、どうして、いつの間に大物扱いになったのか疑問に思えてなりません???
私がぱっと思い浮かぶ作品は…「ぼんち」「雁の寺」「越前竹人形」「華岡青洲の妻」くらいしか。
テレビドラマも出演作品は多数ある中、先日コメントした坂口美千代役をした「クラクラ日記」をあげたいと思います。
by hana2018 (2018-11-08 23:01)
相当な美人で世の男性を虜にしたのだろうなという印象を持ちましたが、実際にそのようで驚きました。
by ナベちはる (2018-11-09 00:35)
若尾文子さんは好きな女優です。
品があって、芯が通っている印象で、妖艶さも秘めているような。
若い頃の作品はほとんど知りません。
いつ何の作品で好きになったのか?
作品がたくさんありすぎて~^^;
by sana (2018-11-10 00:39)
本当の大女優は、代表作が多すぎて
一つに絞れないものですね。
by 犬眉母 (2018-11-10 16:00)