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藤本義一、人間のおかしさの中に狂気と哀しさを描く [懐かし映画・ドラマ]

藤本義一、人間のおかしさの中に狂気と哀しさを描く

藤本義一さん(ふじもとぎいち、1933年1月26日~2012年10月30日)の7回忌です。直木賞作家やテレビ司会者として活躍しましたが、もともと宝塚映画や大映なとで映画や舞台の脚本も執筆。さらにテレビコメンテーターや演芸評論なども行っていました。



藤本義一といえば、『11PM』(1965年11月8日~1990年3月30日、NTV・YTV)の司会を、まず思い出します。

『11PM』


1PMタイトル

夜の11時過ぎに始まった月~金の“深夜のワイドショー”は、月曜、金曜の司会が大橋巨泉、水曜日が愛川欽也(以上NTV)、火曜と木曜が藤本義一(YTV)でした。

藤本義一が、最初に挨拶代わりにその週の話題についてしばらく硬い話をしていると、横山プリンが出てきて、「藤本っつぁん、藤本っつぁん、何ごちゃごちゃいうてまんねん」と話を遮り、番組が始まるというパターンでした。

横山プリン
Google検索画面より

2018年3月7日付『東京スポーツ』には、「深夜番組クイズ」として、『「11PM」藤本義一の歴代パートナー(アシスタント)A~Eを選ぼう』という設問が掲載されています。

「11PM」藤本義一の歴代パートナー(アシスタント)A~Eを選ぼう

1(A)
2市川靖子
3笹田泉
4(B)
5岸じゅんこ
6多田千香
7(C)
8(D)
9(E)
10秋本圭子
11松居一代
12吉田由紀
13池田裕子
14遙洋子
15浦島三和子

さて、いくつご存知でしょうか。

A=安藤孝子、B=真理アンヌ、C=東てる美、D=横山エミー、E=テレサ野田、です。

私は、真理アンヌと秋本圭子と松居一代と吉田由紀のときは覚えていますが、真理アンヌと秋本圭子の間が記憶にありませんでした。

『11PM』は、夜の番組ですからお色気もありましたが、硬派な社会問題も特集しました。

『鬼の詩』


『鬼の詩』(1975年、ATG)は、藤本義一が第71回直木賞を受賞した同名の映画です。



明治末期の大阪の寄席で活躍する、二代目桂米喬をモデルとした桂馬喬の生涯を描いています。

封切り当時見ましたが、人を笑わせる生業の落語家が、それを真面目に追究するあまり狂気の世界へ突入していく様が、恐ろしくもあり哀しくもあるストーリーです。

鬼の詩
Google検索画面より

片桐夕子の脱ぎっぷりと優しさが、ひときわ光ります。

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『喜劇駅前探検』


このブログで何度かご紹介している喜劇駅前シリーズの、第20作目(全24作)は『喜劇駅前探検』(1967年、東京映画/東宝)です。

喜劇駅前探検
DVD『喜劇駅前探検』より

『喜劇駅前探検』は藤本義一が脚本を書いています。

ストーリーを簡単に述べますと、割烹旅館女将(淡島千景)の家から出てきた古文書に書かれている、豊臣家の軍資金3万7000両の埋蔵金を目当てに、山師(森繁久彌)、考古学者(フランキー堺)、質屋(伴淳三郎)のトリオと、詐欺師トリオ(三木のり平、山茶花究、砂塚秀夫)による、欲の皮を突っ張らせた争いを描いています。

面白いのは、森繁久彌の妻役の京塚昌子です。

『喜劇駅前探検』の京塚昌子
DVD『喜劇駅前探検』より

最初は堅実な生活を望んでいましたが、後半は埋蔵金を掘り当てた後の贅沢な暮らしを夢想して、舞い上がっています。

山師の夫に対して、不平不満たらたらのヒステリーキャラクターを実に上手く演じているので、その振り幅がまさに喜劇です。

石井ふく子の世界である『肝っ玉かあさん』とは全く違う、京塚昌子の本来のキャラクターを見せてもらいました。

いずれにしても、藤本義一は、人間の狂気を書くのが得意なのかもしれませんね。

鬼の詩 (1976年) (講談社文庫)
鬼の詩 (1976年) (講談社文庫)

11PMのテーマ - 三保敬太郎
11PMのテーマ - 三保敬太郎

喜劇 駅前探検 [DVD]
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無条件幸福論 (ベスト新書)

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  • 作者: 藤本 義一
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2011/12/09
  • メディア: 新書



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末尾ルコ(アルベール)

藤本義一、人間のおかしさの中に狂気と哀しさを描く・・・子どもの頃のイメージは、「テレビの人・関西弁の人」でした。子ども心に、(何か、クセのある人だな)と感じておりましたね。『11PM』は1990年まで続いたのですか!子どもの頃は9時までに寝らせれていた時期が長かったのですが(それ以前は、8時就寝だったような)、それが緩和されてからはじょじょに『11PM』も目に入ってきていたと思います。ただ、藤本義一のパートナーはまったく覚えてないですね。巨泉の隣にいた朝丘雪路のきめ言葉が、「朝まるで弱い朝丘雪路」だったことは今でもよく覚えております。遥洋子も出てたんですね。
藤本義一の著作は今のところまったく読んでおりません。ちょっと、テレビタレントとしてのイメージが、わたしにとって強過ぎたのかもしれません。『鬼の詩』は映画の方も未鑑賞なのですが、ATGの作品なのですね。ATGの映画もまたいろいろ観たいものがあります。
『喜劇駅前探検』の脚本も書いているのですね。昨今は小説家が脚本を書くとかもあまり聞きません。京塚昌子の「本来のキャラクター」にもとても興味があります。

>ミズーリ州ヘビー級選手権ではないかと思われますが

あ~~!ちょっと形が違うと感じてました。ご指摘、有難うございます。
米国の70年代、80年代プロレスファンの書き込みをたまにチェックしていると、レイスとフレアーは別格のようなコメントが多くて、特にレイスに惚れ込んでいたファンが多いのには嬉しくなります。当時は米国での反応など、プロレス紙・誌などの情報統制下(笑)でしか知ることができませんでしたから、これもまた今となって、(ああ、こうだったのか!)と分かることが多いのがおもしろいですね。わたしが最初にファンになったレイスは、(アメリカの男たちの心も震わせていたのか)という感じです。それと、「ミズーリ州ヘヴィー級」とか、米国の地理もよく知らない時期でしたが、言葉の響きにロマンを感じておりましたね。その最たるフレーズが、「NWAの総本山 キール・オーデトリアム」でしたが。今はそうしたものが動画で見られるのがおもしろいです。

>猪木の口撃

「レイスなんか、いつでも簡単に叩きのめすことができる」的なことも言ってましたよね。新日の試合が全日よりもスピーディで、確かにより格闘技的な雰囲気は漂わせてましたから、(ひょっとしたら、そうなるのだろうか・・・)と思ったりしておりましたが、当時は体格の違いを(わたしが)重視しておらず、体の厚みが生む強さの違いを理解した現在、猪木の口撃には賛成できなくなりました。

>これは新井に読まれてスッポ抜け…。

絶対、読まれてないのにずっぽ抜けてますよね。と言いますか、読むも読まれるもないものだというものなのですが、いまだに、しかも高齢プロレスの試合でもこのようなレポートをするのですね。猪木が衰えてしまった頃、試合内容はまったく説得力がないのにフォール勝ちしちゃったのを東スポ(高知では大スポ)などが、「猪木、魔性フォール!」とか、「魔性」で読者を納得させようとしていたのは辛かったです(笑)。

>渥美清の才能にいちはやく気づいた

それは興味深いですね。先ほどまで『続 男はつらいよ』を観ていたのですが、「素晴らしい!」のひと言です。渥美清のスター性はちょっと別格ですね。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-10-30 02:42) 

ヤマカゼ

多才なかただったんですね。
by ヤマカゼ (2018-10-30 06:22) 

pn

エロネタにしか興味が無かったからアシスタントは全然覚えてない(^_^;)
by pn (2018-10-30 07:19) 

Rinko

藤本義一さんは脚本家でもあったんですね。知らなかったです。
by Rinko (2018-10-30 07:48) 

馬爺

おはようございます。
藤本義一さんとは懐かしい人が出ていますね、11PMはよく見ました。
by 馬爺 (2018-10-30 08:39) 

なかちゃん

藤本義一さん、役者で小説家で脚本家ですか?スゴイですね(^^;

by なかちゃん (2018-10-30 10:26) 

ヨッシーパパ

しゃべらなけらば、イケメンのおっさんだったんですが。
くどくどと、話の長いおっさんだという記憶があります。
by ヨッシーパパ (2018-10-30 19:07) 

Take-Zee

こんばんは!
最近テレビに出てないなと思うと
亡くなられている方が多いですね!

by Take-Zee (2018-10-30 20:49) 

ナベちはる

「深夜番組クイズ」、全く分かりませんでした…
by ナベちはる (2018-10-31 00:28) 

うつ夫

今のテレビ番組は作家の司会者はいませんね。
by うつ夫 (2018-11-03 02:10) 

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