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藤岡琢也、毒もありお調子者も演じられお茶の間でもお馴染みの顔 [懐かし映画・ドラマ]

藤岡琢也、毒もありお調子者も演じられお茶の間でもお馴染みの顔

藤岡琢也さん(1930年9月4日~2006年10月20日)の命日です。藤岡琢也さんもまた数えきれないほどの出演作を残しており、今更語ることもありませんが、“お茶の間”ではサッポロ一番みそラーメンのCMに35年間出演し続け、短髪で眼鏡とちょびヒゲの親父さんとしておなじみの顔だとおもいます。



もっとも、藤岡琢也が亡くなった時、ワイドショーのコメンテーターだった市川森一は、この頃流行し始めた言い方を用いて、「ホームドラマに出演して、すっかりいい親父さんのイメージだが、本当は“チョイ悪オヤジ”なのだ」とコメントしていました。

京塚昌子もそうですが、「いい人キャラ」の役が親しまれると、それ以外の役に戻りにくくなるようです。

台詞の端々に出るトゲのある物言いは悪役に説得力があり、その一方で関西弁のお調子者なども幅広く演じていました。

以前ご紹介しましたが、『白昼堂々』(1968年、松竹)などは、“毒”を多少感じさせる役でした。

白昼堂々

201807172234.png
いずれもDVD『白昼堂々』より

“お調子もの”としては、若大将シリーズや、クレージー映画、社長シリーズなど、一連の東宝喜劇の出演が挙げられるでしょう。

藤岡琢也
DVD『社長学ABC』より

なぜか評判は最悪ですが、カルト的人気があり、DVDも発売されているテレビ版の『ブラックジャック』では、原作にない普段のブラックジャック(画商)の友人で刑事を演じました。

ブラックジャックで藤岡琢也
DVD『ブラックジャック1』より

友人でありながら、いつも何かを疑っている刑事の“嫌らしさ”は、俳優・藤岡琢也の適役だと思いました。

『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』(1983年、松竹)では、マドンナ・京はるみ(都はるみ)の事務所社長役。

スタッフ(桜井センリ、ベンガル、木の葉のこ)には厳しいのに、はるみには何も言わない(言えない?)役でした。

男はつらいよで藤岡琢也
プライム・ビデオより

『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』。

今回改めて見直しましたが、都はるみがんばってました。いい話だったです。

そういえば、木の葉のこさんとは、Facebookで「友達」なので、なんかエピソードを伺えたらいいなとおもってます。

死に花』(2004年、「死に花」製作委員会/東映)では、途中で亡くなる役ですが、恋人の貞子(加藤治子)が後をおうべく、いつの間にか棺桶に入り、焼き場で2人分の骨が出てきたというトラウマになりそうなシーンもあります。

死に花

Wikiによると、藤岡琢也は、社長シリーズに出ていた同年代の小林桂樹と、仲が良かったように書かれていますが、私の憶測では、藤岡琢也側は多少複雑で、ちょっと上にいる勝ちたいライバルという感情があったのではないかとおもっています。

日活⇒東宝と映画会社と契約して、ほとんど主演や助演をつとめてきた俳優エリートの小林桂樹。

一方、結核で大学を中退。小さな劇団からスタートして、「平凡な顔」でブレイクできずいろいろな役を経験した藤岡琢也。

東宝の食堂で食事をしていた時、小林桂樹が、「ここは東宝の専属じゃないと利用できないよ」とからかって、藤岡琢也が席を立ったり座ったりして困っていたと、藤岡琢也の訃報で小林桂樹はコメントしていました。

小林桂樹は、藤岡琢也の演技を認めており、まあ軽い気持ちだったと思いますが、私がそう言われたら、やはり悔しいですよね。

『喜劇がんばれ日本男児』(1970年)で、藤岡琢也は初めて東宝映画で主役をつとめるわけですが、当時、「感無量」というコメントを述べていて、小林桂樹との一件を覚えていたのかもしれません。

いずれにしても、結果を出すことで溜飲を下げるというのは、プロとして最高のあり方だとおもいますね。

私も、これまでの人生で、怨んでいることはいくらでもあるので(笑)、これから結果を出していかなければ、と前向きな気持になれます。

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『渡る世間は鬼ばかり』


Wikiには晩年の代表作のように書かれておりますし、遺作なので、『渡る世間は鬼ばかり』(1990年10月11日~2011年9月29日、TBS)はご紹介しないわけにはいかないでしょう。

渡鬼で泉ピン子と藤岡琢也
DVD『渡る世間は鬼ばかり1』より

正直なところ、藤岡琢也ならではのキャラがたった役でもないし、何度か書いてますが、たかが一介のサラリーマンが、岡倉家を継ぐだの継がないだのという話が旧弊な上にこっけいで、定年になってから料理人というのも職人仕事をナメている気がして、私個人はあまり好みのドラマではありませんでした。

ただ、以前、「きれいなことを書く平岩弓枝と、ドロドロしたものを書く橋田壽賀子ごときなど比較にすらならない」と、映画レビューブロガーの批判コメントがあったので、ここで回答しておくと、私はそういう意味では橋田壽賀子作品を否定するつもりはまったくありません。

きれいごとなら誰からも批判されず気持ちよく書けます。

しかし、倫理的でないこと、残酷なこと、くだらない事などについて、人間がそれをせずにおれないことを、世間の評判や自らの良心とたたかってでも、書ききれるかどうかこそが、作家の大切な資質ではないでしょうか。

人間の真実とは、「きれいなもの」も「ドロドロしたもの」も存在するから成立しているのです。

「きれいなもの」ばかりおいかけ、人間の嫌な面から逃げていて、創作物の真の批評などできませんからね。

藤岡琢也さんは、実生活では子供はいなかったので、晩年は犬を飼われてその世話をするため地方の仕事をしなくなり、緑山スタジオで撮るテレビドラマに専念されたそうです。

藤岡琢也さんのドラマや映画、何か印象に残るものはありますか。

冒頭の画像転載元
上段左から
https://www.pinterest.dk/pin/657103401855535966/
https://twitter.com/hashtag/%E8%97%A4%E5%B2%A1%E7%90%A2%E4%B9%9F
https://ameblo.jp/makaroni11/entry-11203862670.html

あの頃映画 「白昼堂々」 [DVD]
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ub24660森繁久彌 久慈あさみ続社長学ABC内藤洋子ポスター
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男はつらいよ・旅と女と寅次郎 [DVD]
男はつらいよ・旅と女と寅次郎 [DVD]

今夜はジャズで (1982年)

今夜はジャズで (1982年)

  • 作者: 藤岡 琢也
  • 出版社/メーカー: 立風書房
  • 発売日: 1982/12
  • メディア: -


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末尾ルコ(アルベール)

藤岡琢也、毒もありお調子者も演じられお茶の間でもお馴染みの顔・・・そうですよね。『サッポロ一番』はまさしくお馴染みでしたね。CMも現在のようなこじゃれたものはほとんどなかったですね。その分、スープの薫りが漂ってくるような印象がありました。

>「いい人キャラ」の役が親しまれると、それ以外の役に戻りにくくなるようです。

これは特にテレビドラマに定着した俳優にとっては大きな悩みになる場合もあるでしょうね。かなりの割合で「シンプル過ぎる視聴者」がおりますから、一度ウケた役を逸脱する演技をしてしまうと、「がっかり~」とか言われてしまいます。朝ドラへ出た俳優がよく、「役名で声かけられるなんて初めてですよ」と談話するのですが、それが近い将来自分を縛っやてしまうことにもよくなるのですよね。まだまだ日本人には、「俳優とはこういうものだ」という教育が必要な気が(笑)。
『白昼堂々』は最近観て、藤岡琢也が渥美清らと丁々発止やっているのが嬉しかったです。
やっぱり生き生きして見えますよね。しかし何と言っても『白昼堂々』で好きだったのが倍賞千恵子!わたしの知らなかった、ハードボイルドでしかも小悪魔な倍賞千恵子がそこにいたのです!!
『ブラックジャック』は未見でして、いっぷく様のお話をうかがうことで、ぜひ観たいと思っております。わたしもずっと以前、加山雄三で実写化するという報道を見た時には衝撃を受けました(笑)。若大将とブラックジャックがまったく繋がらない・・・と感じちゃったのです(笑)。だからこの作品に対しては、多くの人が観る前から(ダメだ)と決めつけていたのかもしれません。やはり当然ですが、観てみないと分かりませんよね。


>博多大丸ラケット、じゃなかった、博多華丸・大吉が出ているので

博多大丸ラケットではなくて(笑)、博多華丸・大吉がお嫌いなのですね!わたしはこの二人、『あさイチ』へ出始めるまではまったく知りませんでした。だからいまだこの二人について好きも嫌いもないのですが、確か『あさイチ』へ出始めた頃は「朝ドラ受け」などやらないことが多かった印象なのですが、どこかからプレッシャーがかかったのか、いつの間にかやるようになりました。

>さらに自分たちの番組の宣伝をする

とにかく今のNHK、こればっかりなのですよ。『あさイチ』だけでなく、ニュース番組でも(妙なネタを取り上げるなあ~)と思ったら、「このことについては次回の『NHKスペシャル』で特集します」とか、こういうパターンがしょっちゅうです。つい「以前」と比較してしまいますが、以前はここまで甚だしくはなかったと思います。要するに、「ここからはやっちゃいけない」というラインがどんどん緩み、広がっていって、「何でもありでいいじゃないか」という、言い換えれば、「恥を知らない」という社会になってきている感ですね。

>ドラマ以外に番宣につながる番組や読み物(インタビューなど)には一切出ませんでした。

素晴らしいいいいいい!!!!!!!と思わずシャウト(笑)してしまいました。昔の映画スターなどもそうでしたよね。事情はいろいろあるのでしょうが、そういう線引きをきっちりしている俳優、ひいては表現者が好きですね。それで言えば今のジャニーズとか、しょっちゅうテレビのバラエティで益体もないトークやゲームをやっていて、たまに映画やドラマでシリアスな役をやるとか、件の岡田准一を含めて、わたしには甘えているようにしか感じられないのです。しかしジャニーズ好きを含め、昨今の多くの日本人は「いつもテレビへ出ているあの人の映画(ドラマ)だから観てみよう」という感覚のようです。(ファンがこのレベルでは・・・)ですよね。
もちろん今は映画もドラマもなかなか観られなくなっている時代ですから、ある程度のメディアでの宣伝は致し方ないですが、時に命懸けで役作りをする俳優たちへのリスペクトがあまりに欠けておりますよね。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-10-20 03:04) 

ヤマカゼ

サッポロ一番みそラーメンのCMなつかしいですね。
by ヤマカゼ (2018-10-20 06:08) 

pn

やっぱサッポロ一番かなー。
あとあちこちで見てるはずなんだけどやっぱ渡鬼しか思い浮かばない(^_^;)
by pn (2018-10-20 06:22) 

kiki

『渡る世間は鬼ばかり』
新番組の頃、観ていた記憶がありますが、家庭内や人間関係のドロドロは苦手なので観なくなりました。
藤岡琢也さん確かに、おとーさん役でしたね。
遺作だったのですね。
by kiki (2018-10-20 07:21) 

kou

ぱっぱり「さっぽろ一番、味噌ラーメン」のイメージが浮かんでしまいます。
このCMのフレーズは頭から離れません。
by kou (2018-10-20 07:42) 

えくりぷす

母や祖母が夢中でしたので『渡る世間は鬼ばかり』を思い出します。藤岡琢也さんから宇津井健さんに代わったときに、かなり違和感がありましたので、あらためてスゴイ存在感だったのだと思います。(前も書きましたが、橋田作品は台詞が状況説明であって、人間の言葉とは思えないので、個人的には好きではありません)
by えくりぷす (2018-10-20 09:01) 

hana2018

CMの「サッポロ一番みそラーメン」もですけれど、
私の中での藤岡琢也は、独特の強烈な個性をもつ作家・坂口安吾役です。
妻の坂口三千代の自伝的エッセイ「クラクラ日記」を元に、大映映画の若尾文子がテレビ出演をした初作品であった事。
狂気じみた爆発的性格、ヒロポン中毒、破滅的な暮らしぶりと…安吾になりきっていて、その後の出演作品とは一線を画したドラマであったと記憶しております。
若尾文子ファンであるRUKOさんが、この作品に触れていないのはオシイ!です。。
by hana2018 (2018-10-20 09:14) 

poko

サッポロ一番みそラーメンのイメージですが
35年間も続けられていたからなんでしょうね。
by poko (2018-10-20 10:28) 

Take-Zee

こんにちは!
このおじさんを”ぶたや”と呼ぶと母親に叱られた
ものです。 ちゃんと読め!と。
 藤岡と言えば”重慶さん”、悪役でしたが味のある
俳優さんでした。

by Take-Zee (2018-10-20 10:33) 

beny

 座頭市のゲスト役で座頭市をおもんばかる良い役やってました。あまり好きな役者ではなかったですが、あのシーンだけは魅力的でした。
by beny (2018-10-20 15:59) 

なかちゃん

今回こちらに来て記事を読み始めてスグに『男はつらいよ 旅と女と寅次郎』のことをコメントしようと決めました。大好きな映画です。
サッポロ一番のCMも懐かしいですね(^^)


by なかちゃん (2018-10-20 17:16) 

ヨッシーパパ

ニッポンの親爺さんというイメージでしたね。
by ヨッシーパパ (2018-10-20 17:49) 

ナベちはる

藤岡琢也さん、「渡る世間は鬼ばかり」の印象が強すぎてそれしか思い出せないです…
by ナベちはる (2018-10-21 01:01) 

うつ夫

岡倉のお姉さんは森光子さんでしたね。
by うつ夫 (2018-10-21 01:34) 

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