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あさひが丘の大統領、NTV青春学園ドラマの最終作を思い出す [懐かし映画・ドラマ]

あさひが丘の大統領、NTV青春学園ドラマの最終作を思い出す

『あさひが丘の大統領』という、日本テレビ系で放送されたテレビドラマの第1回が、39年前の今日、1979年の10月17日に始まりました。高校を舞台にした教師と不良高校生の青春学園ドラマシリーズの最終作品として、当時水曜日の8時に1年にわたって放送されました。(画像はBS日テレ放送時より)



1965年に始まって以来、NHKの大河ドラマを脅かした日本テレビの青春学園ドラマシリーズ全12作。

ドラマによってキャラクターは違いますが、熱血教師がスポーツなど、学園生活を通して生徒と向かい合い問題を解決。

生徒たちはスポーツ、友情、恋愛など、思春期ならではのキラキラした経験をする話です。

最後の2作は、水曜日の午後8時に移行して放送しています。

【日本テレビの青春学園ドラマシリーズ一覧】
青春とはなんだ(夏木陽介、1965年10月24日~1966年11月13日)
これが青春だ!(竜雷太、1966年11月20日~1967年10月22日)
でっかい青春(竜雷太、1967年10月29日~1968年10月13日)
進め!青春 (浜畑賢吉、1968年10月20日~1968年12月29日)
(炎の青春)(東山敬司、1969年5月12日~1969年7月14日)
☆おれは男だ!(森田健作、1971年2月21日~1972年2月13日)
飛び出せ!青春村野武範、1972年2月20日~1973年2月18日)
☆おこれ!男だ(森田健作、1973年2月25日~1973年9月30日)
われら青春!中村雅俊、1974年4月7日~1974年9月29日)
★青春ド真中!(中村雅俊、1978年5月7日~1978年9月24日)
★(ゆうひが丘の総理大臣)(中村雅俊、1978年10月11日~1979年10月10日)
★(あさひが丘の大統領)(宮内淳、1979年10月17日~1980年9月17日)

()のドラマは、日曜20時以外の放送枠
☆は松竹製作、★はユニオン映画製作、無印は東宝、テアトル・プロ製作です。

12作ありますが、○○ケンちゃんシリーズと同じで、世代によって覚えている番組が違うかもしれません。

Wikiによると、「『あさひが丘の大統領』は、前作『ゆうひが丘の総理大臣』のヒットを受けて制作された続編的作品」とありますが、ストーリーは続編ではなく、全く別の物語です。

ただ、同じロケ地(多摩美術大学八王子キャンパス)を使い、「ゆうひが丘」と「総理大臣」を「あさひが丘」と「大統領」に変えただけのイージーな命名である点は、「関連」があるといえなくもありませんが。

主人公の教師をつとめたのは、その3ヶ月前に『太陽にほえろ!』のボン刑事を殉職したばかりの宮内淳です。

宮内淳

『太陽にほえろ!』のプロデューサー、岡田晋吉は、青春学園ドラマシリーズのプロデューサーでもあるのです。

主人公はアンチ熱血教師だった……


あさひが丘の大統領

舞台となるあさひが丘学園高校は、補助金狙いで生徒数を増やすため、全国の落ちこぼれ生徒を受け入れており、いきおい先生も必要になります。

飲み屋の女将(藤間紫)に入れあげている校長(宍戸錠)は、その弱みにつけこまれ、藤間紫の一人息子、大西元(宮内淳)を教師として受け入れてしまいます。

しかし、宮内淳は、同校OBで留年経験もある「落ちこぼれ」。

宮内淳

赴任しても校則は無視して、授業は「楽だから」とテストばかりで、ついたあだ名が「ハンソク」です。

前作までの教師たちと決定的に違うのは、それまでの教師は留学経験があり英語がペラペラ、つまりなんだかんだいっても本職(英語教師)の資質はあり、そしてお節介にお節介を重ねて生徒や同僚教師の心に入っていく“熱血”ですが、ハンソク(宮内淳)は「落ちこぼれの自己体験」に基づき、問題ある生徒はいつも突き放して自分で解決させています。

いわば、シリーズのこれまでの熱血教師を否定するようなキャラクターです。

一方、同僚の今井涼子(片平なぎさ)は、過去の青春ドラマの熱血部分を優等生的に継承しています。

今井涼子(片平なぎさ)

しかし、あまりに教条的で、人間的にも心の内を見せず面白みがありません。

ラグビー部の部長をつとめますが、一本気で、ついたあだ名は「タックル」

「ラグビーで、生徒と一緒になって汗をかけば生徒の気持ちがわかる」と標榜しているわけですが、副部長になった宮内淳は、「そんなもんで落ちこぼれの気持ちなんかわかんねえよ」と衝突しています。

ハンソクは最初、あまりの無茶苦茶ぶりに、教頭(高城淳一)にはいつも解雇をほのめかされ、同僚教師(秋野太作、谷隼人、金沢碧、樹木希林、由利徹)には疎んじられ、落ちこぼれの生徒たち(井上純一、藤谷美和子、長谷川諭、岡村清太郎、北村優子、久我直子、大村波彦ら)も、どう付き合っていいか戸惑いがありました。

それが、回を重ねていくうちに、ハンソクの人格や手法は次第に生徒たちの心をつかみ、それに嫉妬するタックル片平なぎさは、最終回で、とうとうハンソクをプールに突き落として

宮内淳と片平なぎさ

「くやしー」と「優等生」をやめて自分の感情をさらけ出す、という話です。

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熱血教師は伝説の彼方へ


さすが鎌田敏夫脚本。最終回などは面白かったとおもいます。

すでに現実の社会は1980年に入り、たとえドラマですら「熱血教師」像など歴史的遺物になりつつあり、新しい教師像を模索するのも「先見の明」かもしれません。

生徒同士(岡村清太郎と久我直子)(長谷川諭と上田美恵)さらには教師と生徒(谷隼人と北村優子)のキスシーンも青春学園ドラマとしてははじめての試みでした。

ただ、ちょっとストーリーの練り込みが不十分で、ドラマに不可欠な葛藤や切なさを感じる場面がありませんでした。

たとえば、前作の『ゆうひが丘の総理大臣』の大岩雄二郎(中村雅俊)は、母親と生き別れて養護施設で寂しく育ったという「影」を持ち、それゆえ、人間はいつも人と関わり不幸になっちゃいけないんだ、という行動原理が明確だったので感情移入できました。

しかし、ハンソク宮内淳は、せっかく母子家庭で苦労していそうなのに、それがふるまいのどこにも反映されておらず、「母ちゃんの料理はうまいよ」などというノーテンキな台詞しか出てこないので、感情移入したくてもできませんでした(苦笑)

それにしても、熱血なお節介を「する」ことで成果があるからドラマになるのであって、それが通用しなくなって、今度は「しない」ことでうまくいくことをドラマとして表現するのも、考えてみると、なかなかむずかしいですね。

その意味で、青春学園ドラマ自体、歴史的な役割を終えるべき潮時だったのかもしれません。

『あさひが丘の大統領』の終了した1980年は、社会もドラマも大きな転換点だったのだろうとおもいます。

青春学園シリーズ、“現役時代”にどのドラマをご覧になりましたか。

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末尾ルコ(アルベール)

このドラマは約1年間も続いたのですか。1年間毎週同じ時間に宮内淳を観ることができたわけですね(笑)。わたしも多分ある程度は観ていたと思うのですが、「たまに」という感じだったのだと記憶しております。はっきり覚えているのは、「『ゆうひが丘の総理大臣』がウケたからって、『あさひが丘の大統領』なんて作りやがって!」とかいう会話を弟と交わしたことです。まあドラマがどのような事情で制作されるかなど、まったく想像できてない時期のお話です。
こうしてお写真を拝見すると、やはり宮内淳は類稀な暑苦しさがありますね(笑)。髪の毛がやたらと厚く、揉み上げらしきものも見えます。ドン・レオ・ジョナサンの揉み上げはいいのですが、日本人の揉み上げは微妙な場合が多いですよね。
教師にあだ名をつけるっていうのは、『太陽にほえろ!』を踏襲しているのでしょうか。わたしの学校生活を振り返っても、あだ名で呼ばれていた教師とかほとんど記憶にないです。だいたいが生徒同士の会話の中では、教師は「姓を呼び捨て」でした。しかしそもそも、原則中年以降のおじさん同士であだ名で呼び合う警察署って何なんだという話にはなります(笑)。思えば気持ち悪いですよね、警察署で刑事のおじさんたちがきっちりあだ名で呼び合っているのは。
そしてこの片平なぎさの「タックル」というあだ名ですが、わたしは「タックル」といえば、『仮面ライダーストロンガー』の「電波人間タックル」をいまだに思い出すのです。テントウムシを模した仮面はかなりあほらしいのですが(笑)、ミニスカートにブーツでバイクへ乗るのですよ。
https://www.youtube.com/watch?v=6rxMYMh2pgY

今夜のお記事とまったく関係ないのに、ついリンクさせていただきました(笑)。
これは子どもには刺激的過ぎるヒロインでした。『あさひが丘の大統領』もプールへ落ちるのが片平なぎさの方だったら、わたしの記憶により強烈に刻印されたことだと思います(←すごく馬鹿なことを書いている気がしておりますが 笑)。

映画でもドラマでも、あるいは小説や漫画などでも、惚れ惚れするような完成度でひたすら崇めたい作品があると同時に、ディテールはツッコミどころ満載の、不細工だけど何度も観たくなる、そして観ればパワーをいただける作品も多くあるのが愉しいですね。例えば『ロッキー』を観ていても、有名なスタローンが生卵をがぶ飲みするシーン、飲みながらわざわざ口の端から卵をたらたらとこぼし、それがジャージまで垂れていき、しかも唇をジャージの袖で拭くんです。(いやいや、そんなことしてたら、ジャージがいちいち臭くなるだろう!)と思うのですが、作る側はインパクト重視だったんでしょうね。そもそもチャンピオンが、「イタリアの種馬」というニックネームがおもしろいからという理由で無名のロッキーを挑戦者に指名するのですが、(そんな試合、成立しないだろう!)というお話です。でもこうした映画はある意味神話と同じようなものかもしれません。世界で最も有名なギリシャ神話などもツッコミどころ満載なのですが、そこに美があり世界や人間の真実があるのですよね。
日本のものでは最近観た『愛と誠』なんて、最高のツッコミどころ満載映画でしたし、ドラマではやはりかつての大映ものですね。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-10-17 03:27) 

ヤマカゼ

毎回楽しみに見てました。高視聴率だったのですね。
by ヤマカゼ (2018-10-17 06:23) 

なかちゃん

青春ドラマシリーズ、ボクが見ていたのは『俺は男だ』『飛び出せ青春』『われら青春』の3つです。その後は学園ものではありませんが『俺たちの旅』を観たのが最後かもしれません。特に『飛び出せ青春』と『われら青春』が好きでした(^^)

by なかちゃん (2018-10-17 08:32) 

pn

けんちゃんシリーズと聞いて洗濯屋を思い出してしまった俺は汚れきってますね(笑)

ある意味70年代にけりを付けた作品と言った所でしょうかね、んでもってリアル?な金八へとバトンタッチ。まあ何にせよあんな教師達はいないんだろうけどね(^_^;)
by pn (2018-10-17 09:00) 

hana2018

おれは男だ!の、森田健作…森田健作と言えばこれ一本だけ、あとは「砂の器」くらいしか主な出演作品がないに関わらず、それなのに県知事なんかになっちゃって!?ここにも千葉県民の民度の低さが表れているように思います。
飛び出せ!青春の村野武範も、他には藤田敏八監督の映画「八月の濡れた砂」しか心に残っていませんけれど。。
われら青春!、中村雅俊ってその後も生き残っている稀有な存在ですけれど、どうもそれは要領がいいからと感じられて好きじゃないのです。
…で、あさひが丘の大統領ですが、宮内淳のその後もパッとしないですね。
日曜夜の8時台は自分の記憶では大河を見ていたはずながら、こうしてみたら結構浮気していたみたいです(笑)
by hana2018 (2018-10-17 11:33) 

えくりぷす

これらの青春学園ドラマの記事を拝見して、「ごくせん」もその延長上にあるような気もします。
現実の落ちこぼれは、九九ができない、アルファベットもDから先が言えないそうで、不登校も非常に多いそうなので、彼らを描くのは難しいように思われます。
by えくりぷす (2018-10-17 14:29) 

kiki

片平なぎささん若い!
誰だかわかりませんでした(笑)
by kiki (2018-10-17 17:00) 

Take-Zee

こんばんは!
宮内淳さんは生まれ月がちょっと上の兄貴分。
同学年になります。

by Take-Zee (2018-10-17 17:47) 

kou

このドラマも好きで観てました。
シリーズは宮内淳さん主演のこのドラマで終わったんですね。観ていた割には記憶が・・・(^_^;)

by kou (2018-10-17 19:07) 

ナベちはる

「青春シリーズ」が今放送されたら、一体どのような評価を受けるだろうと思いました。
羨ましいと思うか現実を見ろと言われるか、両極端かもしれませんね。
by ナベちはる (2018-10-18 00:42) 

犬眉母

ボン刑事は、このドラマの後はあまり活躍を聞かなくなりましたね。
by 犬眉母 (2018-10-18 17:50) 

うつ夫

片平なぎささん、きれいでしたね。
by うつ夫 (2018-10-21 01:37) 

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