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テレビドラマ版『男はつらいよ』、映画と同じ点、相違点 [懐かし映画・ドラマ]

テレビドラマ版『男はつらいよ』と映画の『男はつらいよ』

『男はつらいよ』が、BSジャパン改めBSテレビ東京、サービス名称『BSテレ東』で、毎週土曜日18時30分から、順に放送されています。すでに10月6日に、1作目の『男はつらいよ』が放送されましたが、テレビドラマ版『男はつらいよ』と比べてみました。(画像はテレビドラマ版『男はつらいよ』DVDより)


13日には、第2作目にあたる『続・男はつらいよ』が放送されます。

『続・男はつらいよ』は、葛飾商業時代の恩師(東野英治郎)と、その娘(佐藤オリエ)が出演しますが、実はこれは、映画の「原作」となった、テレビドラマ版の『男はつらいよ』のキャスティングそのままでした。

ということで、今日は改めてテレビドラマの『男はつらいよ』(1968年10月3日~1969年3月27日)をご紹介し、映画と比較してみます。

そもそも『男はつらいよ』とは……


フジテレビ映像企画部の制作した、テレビドラマ版『男はつらいよ』のDVDは、小林俊一、山田洋次、星野哲郎など関係者の談話映像と、第1回VTR、露木茂のナレーションによる第2~25回のあらすじ、最終回VTRが収録されています。

男はつらいよ

『男はつらいよ』は、フジテレビのプロデューサーであり演出家だった小林俊一が企画・演出。

フジテレビと高島事務所(当時の渥美清の所属事務所)が制作した“フジテレビのテレビドラマ”です。

その中で、小林俊一が山田洋次に脚本を依頼したものであり、会社として松竹は制作に関与していません。

ちなみに、小林俊一といえば、何度かご紹介している田宮二郎版『白い巨塔』の制作者でもあります。

テレビドラマ版『男はつらいよ』は、最終回でハブに噛まれて寅次郎を死なせてしまったところ、視聴者から多数の抗議が殺到したため、山田洋次が“罪滅ぼし”で企画を引き継ぎ、映画化されたといいます。

ただ、松竹とは無関係の作品で、もとより当時は映画>テレビだったため、会社からゴーサインがでるまでは大変だったようです。

そこで、何作か撮って、一区切りつけるつもりだったのが、映画化されてもますます人気で、今度は会社の方が続けることを求めてきたため、全49作の国民的映画になったわけです。

改めてテレビドラマ版『男はつらいよ』を見ましたが、その26話のストーリーのほとんどは、映画の『男はつらいよ』『続・男はつらいよ』の2作に展開されています。

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テレビドラマ版『男はつらいよ』とは……


テレビでは、第1回で、寅次郎(渥美清)が久しぶりに『とら屋』に帰ってくるところ、さくら(長山藍子)はキーパンチャーで、竜造(森川信)、つね(杉山とく子)夫妻と住んでいるのは同じです。

車寅次郎

ただ、セットのドラマで場所は葛飾柴又と特定されておらず、裏に印刷工場もないので、タコ社長は出てきません。

温かく迎えられた寅次郎は、調子に乗ってテキ屋仲間を呼んでどんちゃん騒ぎをして居づらくなり、また旅に出ようとしますが、その前に寄った恩師の坪内散歩先生(東野英治郎)の娘(佐藤オリエ)を見て、急遽腹が痛いことにして旅はやめます。

ドラマでは、佐藤オリエがマドンナとして君臨しますが、散歩先生が亡くなったときにバイオリニストの恋人(加藤剛)が出てきて、失恋した寅次郎は旅に出ます。

そして旅先で寅次郎も死んでしまうわけです。

映画『続・男はつらいよ』では、寅次郎は本当に食あたりで入院。

佐藤オリエの恋人は、その担当医で山崎努がキャスティングされています。




テレビドラマ版では、さくらに恋人(横内正)もいるのですが、結局博士(映画と違うのは「士」がつく、井川比佐志)と結婚します。

寅次郎と桜と博

2枚目の横内正よりも、実直で誠実な井川比佐志を選んだというストーリーですが、映画のさくら(倍賞千恵子)は、最初から相手は博(前田吟)ひとすじなので、ここだけはテレビドラマのみのエピソードです。

寅次郎の実の母親役は、テレビドラマが武智豊子で、映画がミヤコ蝶々。

まあ、これはどちらの役者でも適役といっていいでしょう。

ということで、テレビと映画について、同じところと違うところを挙げてみました。

いずれにしても、13日の映画『続・男はつらいよ』が楽しみになりました。

テレビドラマ版「男はつらいよ」 [DVD]
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続・男はつらいよ HDリマスター版(第2作)
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テレビドラマ版「男はつらいよ」 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 松竹
  • メディア: DVD



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末尾ルコ(アルベール)

テレビドラマ版『男はつらいよ』、映画と同じ点、相違点・・・今夜もまた、素晴らしいお記事!『男はつらいよ』鑑賞の今後の大きな指針とさせていただきます。本当に有難いです。
テレビ版の内容はざっくりとは存じておりましたが、本日のお記事、そして昨日いただいたコメントで、大きく理解が深まりました。テレビ版のストーリーのすべては映画2作目までに凝縮されているというお話、とても興味深いです。ドラマ版のストーリー自体もとても印象的ですね。最後に主人公がハブに噛まれて死ぬとか、昨今のドラマではほとんどあり得ない、ある意味シュールな結末に感じます。もちろん人間はいつどのような形で死を迎えるか、誰にも予想はできないのですが、それにしても、「ハブに噛まれて死ぬ」確率は極めて低いですよね。そうした結末を敢えて用意したところに、(ひょっとしたら、象徴な意味でもあるのだろうか)といろいろ想像してしまいます。
それにしてもテレビドラマの内容に抗議するというのは今も昔も変わらないのですね。今では電話などによる直接抗議のほかに、ネットで炎上させるという方法もありますが。『男はつらいよ』の場合はその抗議が国民的人気シリーズを生むという「いい方向」へ進んだのですが、時に「理解力の足りない視聴者」によって、「何だ、このわけの分からない終わり方は!」的な抗議が寄せられることも少なからずあるようで、そうした風潮も手伝って、今のドラマは最初から終わりまで「何もかも説明してしまう」という表現としてはレベルの低い内容のものが多くなっているという可能性はかなりあると思います。その点、「ハブに噛まれて死ぬ」という結末は創造力も刺激して、わたしとしては好みです。もっとも、寅さんが生き返ったからこそ、長きに渡っつて愉しめているのですが(笑)。
山田洋次監督がいつの時点で『男はつらいよ』をライフワークの一つと捉え出したかも実に興味深いテーマですね。いかに制作当初に人気があっても、いくら何でも30本も40本も同じシリーズが続くとは想像できなかったと思います。
山崎努や仲代達矢は、若い頃はほんとに奇麗で、しかも危険な薫りをぷんぷんさせていますよね。「名俳優の最盛期」については、もっともっと多くの日本人が周知するべきだと常々感じております。かくいうわたしもいっぷく様に教えていただきまでは、森繫久彌というと、『屋根の上のバイオリン弾き』とか映画『小説 吉田学校』とか、すごくイメージが固まっておりました。よもや『社長シリーズ』などであれだけの素晴らしい喜劇をとても多くやっているとは想像もしておりませんでした。いっぷく様のように、「伝えてくださる方」は本当に大切なお仕事をしてらっしゃると尊敬しております。わたしも自分なりにできる限り、そうしたことをしていきたいです。

輪島が死去しましたね。大相撲時代の和島についてはぜんぜん記憶がないのです。北の湖は割と好きだったのですが。輪島は名前くらいしか知りませんでした。プロレス転向の日本デビュー戦がタイガー・ジェット・シンだったですよね。その試合はよく覚えていて、父と一緒に観たのですが、試合前は輪島の風格ある佇まいに、「シン相手にも余裕やねえ」とか言ってましたが、始まるといきなり倒されて踏まれたりしたのを見て、「ありゃ」とか言ってました(笑)。輪島と天龍の絡みも当時はあまり観ておりませんでした。観ておくべきだったと、かなり後悔しております。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-10-11 03:18) 

pn

映画の最後では無く本当に死んじゃって終わっちゃったってーのがなんか寂しいです。
by pn (2018-10-11 06:13) 

ヤマカゼ

そういえば一時、寅さん役の後任は誰がするのだろうと噂がたちましたね。完結したんですね。
by ヤマカゼ (2018-10-11 06:22) 

Rinko

テレビドラマ版があったんですか!それがあっての映画版だとは知りませんでした~。
比べてみると面白いですね^^
by Rinko (2018-10-11 07:35) 

なかちゃん

テレビ版がハブに噛まれて死んで、それに対する抗議?を受けて映画バージョンが作られたというお話は知ってましたが、ストーリーが『続』の部分も持ってるというのは知りませんでした。
実は、映画は全作品、そしてこのテレビバージョンもDVDで持っているのですが、持っているというだけで満足してしまって観ていないんです。
大いに反省しつつ、見てみます(^^)

by なかちゃん (2018-10-11 08:35) 

kiki

ドラマも映画も観てないです。
でも「それを言っちゃぁ〜お終いだ」というセリフは
知ってます(笑)
by kiki (2018-10-11 08:37) 

えくりぷす

『男はつらいよ』は、いちおう映画は全部見ましたが、テレビ版は全く見る機会がありません。(BSフジでやっていたような気はしますが…)
森川信がおいちゃんということは、テレビ版でも、「まくら、さくら取ってくれ」は言うのでしょうか?
by えくりぷす (2018-10-11 14:11) 

いっぷく

みなさん、コメントありがとうございます。

>森川信がおいちゃんということは、テレビ版でも、「まくら、さくら取ってくれ」は言うのでしょうか?
>by えくりぷす (2018-10-11 14:11)

第1回と最終回以外映像は残っていないので、脚本で確認するしかないのですが、脚本が同じ人なのであるかもしれないですね。
by いっぷく (2018-10-11 16:56) 

ヨッシーパパ

寅さんは、子供心に面白かったですね。
by ヨッシーパパ (2018-10-11 18:26) 

Take-Zee

こんばんは!
テレビの寅さんも見ていましたね!
最終回はハブにやられてしまいました。

by Take-Zee (2018-10-11 19:34) 

yamatonosuke

次に東京へ行った際には帝釈天を訪れてみます♪
by yamatonosuke (2018-10-12 00:56) 

ナベちはる

『男はつらいよ』は映画しかないと思っていたので、テレビドラマ版もあると知って驚きです。
by ナベちはる (2018-10-12 01:16) 

犬眉母

ビデオライブラリーで第1回は見られるみたいですね。
by 犬眉母 (2018-10-12 06:17) 

そらへい

テレビドラマの「男はつらいよ」も見ていたのですが
連続してみていたか記憶がありません。
ただ、最終回は強烈に覚えていて
寅次郎が死んでしまうところが、子供心に怖いと言うか
何か許せないものを感じたのは覚えています。
子供心と言っても、記録を見ると17.8歳だったらしいのですが。
by そらへい (2018-10-12 21:12) 

うつ夫

白い巨塔と寅さんとは対照的ですね。
by うつ夫 (2018-10-21 01:41) 

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