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常石勝義、高次脳機能障害で騎手から障碍者馬術へ転身 [遷延性意識障害]

常石勝義、高次脳機能障害で騎手から競馬評論家、障碍者馬術転身

常石勝義さんは、栗東トレーニングセンターに所属していた元日本中央競馬会の騎手です。2004年の落馬事故で騎手は引退。新たに競馬評論家として文筆活動で再起し、2020年東京パラリンピックへの出場を目指して障碍者馬術の選手としても活動しています。



先日、「高次脳機能障害者当事者からの発信」というサブタイトルが付いた『輝いて生きる』(クリエイツかもがわ)という書籍をご紹介しました。

高次脳機能障害になった元競輪選手・石井雅史さんが、パラリンピックに自転車競技で復活した経緯が、橋本圭司医師を聞き手として、石井雅史・石井智子ご夫妻の話でまとめられています。

『輝いて生きる』高次脳機能障害のパラリンピック選手から思う事

同書には、やはりパラリンピックの出場を目指している、馬術の常石勝義選手も紹介されています。

輝いて生きる

常石勝義騎手は、1996年のデビュー半年後に落馬事故を起こし、脳挫傷で意識不明の状態になりました。

常石勝義騎手

この時は、リハビリによって奇跡的な回復で復帰。

その後、重賞レースを制覇するなど再び実績を挙げつつあった矢先の2004年、前回の事故と同じ小倉競馬場でまたしても落馬事故を経験します。

今度は、脳挫傷、外傷性くも膜下出血、頭蓋内血腫を併発し、1ヶ月意識不明の重体に。

なんとか命はとりとめたものの、高次脳機能障害と診断され、2007年にJRAの騎手は正式に引退します。

リハビリ中、常石勝義さんは、まだ十分に歩くことすらできないのに、馬に関わることだけはまだ覚えていて、騎手時代の馬上体操を行っていたそうです。

そこで、リハビリ目的の乗馬ではなく、馬場馬術を始めることに。

私も詳しくありませんが、「競馬の騎手」と「馬場馬術」は、「馬」という共通項があるだけで、同じ乗馬でも全く違うそうです。

そのため、一から技術を習得しなければなりませんが、常石勝義さんは高次脳機能障害による左半身麻痺で、上体は左に傾き、半側空間無視の所見がありました。

半側空間無視というのは、視空間の半側に存在するものに対して、無視したり、あるいは気付かないかのように振舞ったりする高次脳機能障害特有の現象です。

視界に入って見えているのに反応しないのです。

これは医学的には、「失認」ではなく「注意障害」になります。

なったことのない人には、およそ理解できない障害でしょうね。

「見えてんだったらなんとかしろよ」と思うでしょう?

見えても、脳が傷害するとそうなっちゃうんですよ。

そして、視力自体も2.0⇒0.4になり、意識しないと左手も動かなくなったそうです。

脳卒中の後遺症は、手の機能そのものが麻痺します。

が、高次脳機能障害の場合、私の長男もそうですが、左手の機能自体は麻痺していないのです。

ですから意識すれば使えるのに、普段は折り曲げて、転んでもとっさに受け身をとれません。

そのほか、常石勝義さんは、記憶障害、遂行機能障害(計画して実践したり、自己の行動を修正したりできない)もありました。

要するに、運動選手としての復帰は常識的に見て困難ですが、常石勝義さんはそれを猛トレーニングで克服しました。

週2日のスポーツジムで数時間のリハビリ、週3日は作業所で聴導犬の育成と喫茶業務、その合間に乗馬のトレーニング、競馬評論家の仕事、ジョギングなどをこなして、2014年には全国障がい者馬術大会で優勝しました。

今の目標は、2020年のパラリンピックで、馬場馬術の日本代表選手になることだそうです。

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為せば成る


中途障碍者の身の振り方については、しばしば当事者やその家族間でも議論になることがあります。

障碍者になったんだからおとなしく障碍者としてできることだけをやって生きろよ、という考え方と、諦めずに「為せば成る」と思って目標を持って頑張る生き方です。

常石勝義さんは、後者の生き方で、馬場馬術での“社会復帰”を成し遂げました。

今の世の中、良くも悪くも合理主義で、頑張っても成果が出なかった時のリスクを計算して、頑張らないこともひとつの選択肢とされる風潮がありますが、頑張らなかったら何も得られないのですから、2つの道があったら、私だったら頑張る方を選びたいですね。

「為せば成る」。素晴らしい言葉じゃないですか。

輝いて生きる
輝いて生きる

高次脳機能障害のリハビリがわかる本 (健康ライブラリーイラスト版)
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高次脳機能障害者の世界〜私の思うリハビリや暮らしのこと[改訂第2版]

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  • 作者: 山田 規畝子
  • 出版社/メーカー: 協同医書出版社
  • 発売日: 2013/04/03
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犬眉母

草食系とか出世を望まない、というのも
そうかもしれませんね。
出世がいいとは限りませんけど。
by 犬眉母 (2018-10-09 01:45) 

末尾ルコ(アルベール)

常石勝義、高次脳機能障害で騎手から障碍者馬術へ転身・・・二度の脳挫傷とは本当に厳しい人生ですね。しかしそこから「諦めず」に新たな人生へと復帰しておられる。こうしたエピソードをお記事でご紹介くださり、拝読させていただくことで、障碍者の方々の世界を教えていただけるだけでなく、わたし自身の人生に対しても様々なメッセージをいただいている気持ちになります。
「諦めない」というのは、病気などに対してはもちろん、人生のあらゆることに関しての基本姿勢であるべきですよね。もちろん状況や場合によっては断念すべき物事もあるでしょう。しかし「本当にやれるだけの努力はしたか」「柔軟な思考で、できる限りの可能性を試みてみたか」など、正面から検討し続けねばなりませんね。
それにしても、競馬評論家として復帰するだけでも凄いのに、スポーツ選手としても復帰しておられるのですね。わたしは自分では「スポーツをすること」にこだわりがないので、パラリンピックの映像を見ながら時に、(別にスポーツでなくてもいいのに)と感じることもありますが、結局のところ、「何に生きがいを感じるか」ということなのでしょうね。スポーツをやらない方が遥かにリスクは低くなるのだと思いますが、それでも挑戦する。「ただ生きている」のではなく、「生きがいを持って生きている」ということなのでしょうね。母が体調を大きく崩した後、わたしはピアノや合唱を続けることに反対したのですが、母は(どうしてもやりたい)と。とても悩んだのですが、母からそれらを奪ってしまっては、日々の張りが大きく無くなってしまうことを理解し、今では最大限体調に留意しながら応援しております。「やりたいことを続ける」というのは生きるための大いなるモチベーションですね。

猪木などのお写真、ありがとうございました。そうです、そうです。そしてだいたいどうでしょうか、猪木VSウィリーくらいまでは、体の内部はいろいろあったでしょうが、肉体には惚れ惚れしました。中学時代、同級生の女子が、「顔は別やけど、猪木のスタイルはえいねえ」とか言っておりました。(顔は別やけどって・・・倍賞美津子が惚れた猪木の顔に何言ってんだ 笑)と思ったものです。などど書きながら、うわ~、またいろいろ思い出してきました(笑)。その女子、その後テリー・ファンクの熱烈ファンになってしまい、あからさまに人生間違ってしまったんです。「テリー・ファンクのファンに=人生間違った」ではないかもしれませんが、いつぐらいだったでしょうか、わたしが20代前半くらいだったと思いますが、いきなり家へ訪ねてきて、「久しぶり~」とか言い出しまして、この語の展開は容易にご予想していただけるかと思いますが(笑)、「喫茶で話しよう~」とか言って、まだわたしもそうした展開に慣れてなかったもので、ぜんぜん行きたくなかったけれど、同行してしまったのです。テーブルについてからまず切り出したのが、「わたしバツイチ!オーストラリア人と結婚しちょったけど別れたが!」とか無理矢理な明るさでしばらく話をした後はご想像のごとく(笑)、「某宗教団体の勧誘」でした。それが分かれば、益体もない教祖や教義の自慢話を聴き続けるわけもなく、すぐに席を立ちました。その時のその女の憎悪に満ちた眼差しはなかなかに「カルト宗教の教科書」(笑)のようでした。ここまでお話すると、テリー・ファンクから大きく離れている感もありますが(笑)、可能性として、「テリー・ファンクファンになった→白人男好きになった→当然結婚に失敗した→カルト宗教に走った」という図式は十分あり得たと思うのです。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-10-09 02:36) 

ヤマカゼ

脳の障害はいかに大変かわかりますね。
by ヤマカゼ (2018-10-09 06:13) 

pn

兎にも角にもやりたい事をやるのが良い事ではなかろうかと思います。
by pn (2018-10-09 06:13) 

kiki

リハビリの凄さを感じます。
身体だけではなく、脳もリハビリできるのですね。
私もチャレンジしたい方です。
by kiki (2018-10-09 06:45) 

Rinko

2度も落馬を経験し、困難な状況下でもこうして復活してくるには想像を絶する気持ちの強さが必要だったでしょうね。
すごいです!!
by Rinko (2018-10-09 07:45) 

なかちゃん

為せば成る、素晴らしい言葉だと思います。
どこまでいけるかは分からなくても必ず頑張った分辿り着ける場所はあるはずだと思います。
ボクもまだまだ頑張らねば(^^)

by なかちゃん (2018-10-09 13:42) 

ナベちはる

落馬を経験して自分に障がいを負っても、負けじとリハビリをして馬術選手として復帰…想像できないほどの努力があったことが分かりますね。
by ナベちはる (2018-10-10 00:58) 

海市

パラリンピックなどの放送を見ると、多くの障害者の方がスポーツをやっているのを目にするので、凄いな…と感心します。
私は、額から汗が噴き出る程の痛みに毎月襲われるのですが、その時は何も出来なくなってしまいます。起き上がるのも困難です。そういう自分がいるので、彼らはどうやって克服しているんだろう…とよく思います。
by 海市 (2018-10-10 17:50) 

そらへい

アスリート魂のようなものが駆り立てるのでしょうか。
自分がそうなったとき、出来るかどうか
ほとんど自信がありませんが、
その努力にはただ頭が下がる思いです。
by そらへい (2018-10-12 21:19) 

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