多々良純(たたらじゅん、1917年8月4日~2006年9月30日)さんの命日です。新劇、映画・テレビドラマに出演。1956年には、『あなた買います』『鶴八鶴次郎』などの演技で、第7回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞している名優です。今日は『特捜最前線』を思い出します。(画像は断りのない限り劇中より)
多々良純といえば、今更ご紹介するほどもないほどたくさんの映画・ドラマに出演。
Google検索画面より
「頑固ながら根は優しい役などに定評があり、軽妙な役もこなせる貴重なバイプレーヤーとして活躍」(Wikiより)しました。
ご紹介したい作品は多数ありますが、今日は私の好きなドラマである昭和の刑事ドラマ『特捜最前線』(1977年4月6日~1987年3月26日、東映/テレビ朝日)をご紹介します。
多々良純は、『特捜最前線』に4本出ていますが、うち2本は、津上刑事(荒木しげる)の殉職を描いた、第146話『殉職I・津上刑事よ永遠に!』と、第147話『殉職II・帰らざる笑顔!』です。
第146話では、たんなる清掃職員で2場面しか出てこないので、「レギュラー殉職だから端役も豪華メンバーなのかな」ぐらいに思ったところ、第147話で大どんでん返し。
実は多々良純こそが事件の犯人だったという、2話連続で見ないとわからない構成になっています。
ネタバレごめんのあらすじ
暴力団幹部が多数出席した結婚式の食中毒で、50人以上の死者が出ました。
原因は、新型ボツリヌス菌による大量殺戮でした。
その後、木曜日の午後3時に第2の犯行が行われることが判明。
疑われたのは、過去に冤罪に問われた山崎(林哲夫)でした。
怨みを晴らす犯行と読んだ警視庁特命捜査課の神代課長(二谷英明)は、津上刑事(荒木しげる)に、山崎の内縁の妻綾子(佐藤オリエ)をマークするよう命じ、荒木しげるは佐藤オリエがホステスとして働く飲み屋のバンドマンとして潜入します。
そこで清掃の仕事をしていたのが細田(多々良純)です。
佐藤オリエが山崎の連絡先を教えてくれましたが、山崎は何者かに射殺されてしまいます。
犯行日の木曜日。飲み屋のオーナーに誘われ、商店街のチャリティーライブに出る荒木しげる。
荒木しげるが刑事であることを見抜いていたオーナーは、ライブの最中、荒木しげるにピエロが持っている風船にボツリヌス菌を詰めていることを教えますが、同時に演奏している連中も仲間だから少しでも動いたらただではすまなくなるといわれ、周囲に伝えることが出ません。
そこで荒木しげるは、シンバルの打音でモールス信号を発して特命捜査課のメンバーに伝え、特命捜査課はグループを逮捕するものの、ここでもオーナーが何者かに射殺されてしまいます。
一方、荒木しげるは風船の爆発まで時間がないからと、車に風船を詰め込んで走り出すところまでが第146話です。
続く147話では、車は自爆して、その熱でボツリヌス菌は消滅させたものの、荒木しげるは殉職。
ボツリヌス菌の入手は射殺されたオーナーしか知らず、グループのメンバーはドラッグをやっていたために、それで警察が自分たちに目をつけていたと思っていました。
そうしているうちに真犯人と思しき「黒の十字軍」名で、犯行予告のビラが撒かれます。
しかし、そこには日時だけで、具体的な場所や方法などは書かれていません。
細田(多々良純)が荒木しげるの焼香に来て、「巻き添えを食わせて申し訳ない」とつぶやくのを、佐藤オリエは不審におもいます。
さらに、佐藤オリエと津上刑事(荒木しげる)の妹(立枝歩)に、80万円ずつの小切手が細田(多々良純)から郵送されます。
橘刑事(本郷功次郎)は、細田(多々良純)の部屋の仏壇にあった父子の写真から、1年前にヤクザに刺殺された息子が動機になっているのではないかと考えます。
こうして、ひとつずつヒントが積み重なり、細田(多々良純)が本星であることが明らかになります。
細田(多々良純)の息子は、1年前に上野広小路の歩行者天国で刺された時、助けを求めるも歩行者達に知らん顔されて死んでしまったので、細田(多々良純)はその復讐のために、ボツリヌス菌での実験犯罪を重ねていたのです。
そして、やはり上野広小路の歩行者天国で、1年前に息子が殺された時と同じ時刻に、ビルの屋上に仕掛けた風船を割って復讐の大殺戮をするつもりでした。
特命課の刑事たちはあてもなく歩行者天国を歩き回りますが、神代課長が屋上の風船を発見。
ギリギリのところで大殺戮は未遂に終わります。
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人間を描いた哀愁刑事ドラマ
『
特捜最前線』の舞台は、特命捜査課という警視庁捜査一課直属のセクションですが、所轄からは独立して独自の捜査の権限をもっていることになっています。
所轄が解決できない、もしくは事情があってさわれない事件を解決する、非常手段的組織であり、オフィスも警視庁ではなく、民間のビルに入っています。
刑事たちには、『太陽にほえろ』や『西部警察』のような、あだ名で呼び合ったり、「なんじゃこりゃー」なんて叫ぶ漫画チックなシーンで殉職したりはしません。
殉職自体、のべ13人出てきた刑事のうち、今回の荒木しげると、公私に渡って仲が良かった誠直也の2人だけ、準レギュラーだった長門裕之含めて3人です。
西田敏行も、桜木健一も、大滝秀治も、藤岡弘も、みんな異動や退職です。
服も基本的にスーツで、はみ出しもののキャラクターだった藤岡弘が若干カジュアルな服装をしていたぐらいです。
特捜最前線では、派手な事件の一方で、刑事とは何か、などと書生臭い葛藤に悩んだり、仔細な疑問を試行錯誤しながら何日も追い続け新事実に到達する、という粘り強い捜査も行われたりします。
要するに、どんな凶悪犯罪の超法規的捜査だろうが、捕まえる刑事は人間なのだ、というモチーフで作られていたわけです。
その意味で、地味な作り方ではありましたが、それぞの刑事の人間性を全面に出した(刑事同士の衝突はしょっちゅう)、人間を描いた哀愁刑事ドラマとしての独自性を確立していったように思います。
ファウスト・チリアーノの歌『私だけの十字架』も哀愁を帯びていました。
私は、もっとも印象に残る昭和の刑事ドラマと言えば、やはりこの『特捜最前線』を挙げるでしょう。
DVDもセレクションがNo.10まで出ていますが、まだ「3」までしか見ていないので、がんばって続きを見ようとおもいます。
特捜最前線 BEST SELECTION VOL.1【DVD】
特捜最前線 BEST SELECTION VOL.39 [DVD]
ニュースステーションがなければもっと長寿だったでしょうね。
by うつ夫 (2018-09-30 02:17)
多々良純、津上刑事が殉職した『特捜最前線』での熱演を思い出す・・・多々良純の出演作は少なからず観ておりますが、多々良純にフォーカスをしたことはなく、今夜もいっぷく様のお記事で新たな世界を見せていただいた気分になっております。いつも有難うございます。
刑事ドラマの中では『特捜最前線』がお好きなのですね。これはテレビ朝日ですから高知では本放送はなかったです。長く続いた人気ドラマですからおそらくどこかの時間帯でやっていた可能性はありますが、わたしはあまり観た記憶がなくて、残念です。『太陽にほえろ』と比較しておられますが、確かにこちらは、優作やショーケンのカリスマ性で引っ張られていた時期はよかったのですが、全体的には刑事同士のニックネームもワザとらしく、和気あいあいとした雰囲気が少々気持ち悪かったです。殉職で視聴率を上げるというパターンもどんどん陳腐化していきました。『特捜最前線』のように地に足がついたドラマは、日々の生活の中で力を与えてくれそうですね。
『特捜最前線』は殉職3人ですか。『太陽にほえろ』とか、一つの警察署であれだけしょっちゅう殉職が出ていたら、毎日ワイドショーが殺到するでしょうし(笑)、間違いなく政治問題にもなって、国会で審議されるはずです。当然、「呪われた七曲署」的なビデオやDVDも大量に販売され、深作欣二監督で映画化されたのは間違いありません(笑)。いくらドラマでも、あれだけ殉職出したらいけませんよね。
>私に言わせれば1億総特区行きですね。
なるほどです!これは観光の超目玉になりそうですね(笑)。
「家制度」については最近ヤフコメ欄で、元記事が何だったかは忘れましたが、「日本の素晴らしい家制度に嫉妬したアメリカが陰謀でぶち壊しにしてしまった」とか書いている人間がいまし。こういう手合いは杉田水脈なんかを熱烈に支持しているのかもしれませんね。
大仁田厚が七度目の復帰を発表しましたね(笑)。もはやネタにもならない感がありますが、こうした人物が国会議員だったのだから笑えます。けれど、(まあ、大仁田だから嘘を言っても仕方ないや)といった甘やかせとかをいつまでも許しておいてはいけない気もします。
>場所が始まったら土俵に熱中していると思うんで
そうなんですよね。かなり前に客足が落ちたこともあったようなのですが、ここ数年はどんな不祥事があっても賑わっていて、NHKアナウンサーもいつも誇らしげに「今日も満員御礼です。いや~、相撲人気は凄まじいですね~」とか言ってます。こんな状態で反省するわけないですよね。
「勝敗」と言えば、今年も広島が優勝しましたが、去年は大差で3位のDeNAが日本シリーズへ出場。クライマックスシリーズというのも珍妙な制度です。まあわたしは現在プロ野球を観てないので、いろいろ意見することはできませんが、よくこんな制度ができたものだと思います。6チームしかないのに、3位までクライマックスへ出場できるとか、チャンピオンカーニバルで優勝したのに、「さあ、これから3位までのメンバーで真の王者を決めるぞ!」なんて言われたら、ブッチャーだって怒りますよね(笑)。
わたしもいしだあゆみの画像見てみました。もともと痩せ型だったからか、皺がきつい感じですね。いしだあゆみは70歳ということで、(では倍賞千恵子は?)と思い調べてみたら、77歳でした。やはり倍賞千恵子、凄い!もちろん年相応の皺などはできておりますが、常に凛としていてカッコいいですよね。77歳でこれだけ現役感のある女優はそうそういないですよね。 RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2018-09-30 03:19)
多々良純は『特捜最前線』が有名ですが、自分が好きな必殺シリーズや鬼平犯科帳にもちょいちょい出演していた存在感のある男優でしたね。
話がそれますが、藤岡弘は本当に歳を取っても変わりませんね。
by kou (2018-09-30 05:50)
ストロンガーとアカレンジャーが殉職で1号ライダーは無事なのか(笑)
私だけの十字架、好きだったなぁ♪
by pn (2018-09-30 06:17)
おはようございます!
悪人から善人まで
時代劇から現代劇まで幅広い演技のできる
方でしたね。
by Take-Zee (2018-09-30 06:48)
『特捜最前線』観ていました。
皆さん若いですね〜
40年も経っているのですね。
光陰矢の如し、あっという間ですね。
by kiki (2018-09-30 08:15)
「特捜最前線」は見ていたはずなのに、内容がほとんど思い出せません。
ましてや多々良純に注目をするなど、思ってもみませんでした。
二谷英明、本郷功二郎、荒木しげると言った渋い出演者といい、丁寧なドラマ作りがされていた様子が伺えます。
比較されている「太陽にほえろ」、あの当時からあざとさが感じられて、今のドラマ作りへと続く・・・ばかばかしさがありました。
by hana2018 (2018-09-30 08:16)
多々良さん、個性派の名脇役でしたね、
みなさん、お若いです。自分もずいぶん年をとったこと
実感します。
by kohtyan (2018-09-30 09:20)
多々良純は穏やかな言い俳優さんでしたね。
懐かしい顔ぶれも見られて昔を思い出します。
by 旅爺さん (2018-09-30 09:21)
特捜最前線大好きだったなぁ~。
再放送じゃなくて再々々かもだけど,いい役者さんが揃ってたとしみじみ。
by こじろう (2018-09-30 18:31)
多々良純さんは、名前が印象的なので、よく覚えています。
ただ、どんなドラマに出ていたかなど、詳しいことはさっぱりです。
by ヨッシーパパ (2018-09-30 18:58)
特捜最前線、見てました。それにしても誰かしらの命日があるもんですね。よく調べられますね。
by ヤマカゼ (2018-09-30 20:10)
『特捜最前線』は、人間味のあふれるドラマだったのですね。
by ナベちはる (2018-10-01 00:28)
ドラマってわかってても
つい手に汗握りました。
by 犬眉母 (2018-10-03 01:56)