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初井言榮、早熟でかつ大器晩成だった“冷徹で手厳しい姑役”女優 [懐かし映画・ドラマ]

初井言榮、早熟でかつ大器晩成だった“冷徹で手厳しい姑役”女優

初井言榮 (はついことえ、1929年1月8日~1990年9月21日)の命日が21日でした。映画やテレビドラマでは、悪役、または冷徹で手厳しい姑や老婆の脇役が多いイメージがあるかもしれませんが、新劇の世界では、劇団青年座を結団当初から支えた大御所だったのです。



初井言榮さんは、テレビドラマで演じる役柄と、実際の人柄はだいぶイメージが違っていたようです。

初井言榮
Google検索画面より

料理番組やトーク番組に出演されていた時は、おとなしくて礼儀正しく、「これが、あの冷徹ないじわるばあさんか」と思ったものでした。

25歳で、山岡久乃や成瀬昌彦、東恵美子らと劇団青年座を結団。

以前の所属である俳優座をやめた理由はわかりませんが、独立のメンバーに入っているということは、役者としての力量も認められ、またご本人に確たる理想があったのでしょう。

青年座では、創立後の苦しい状態を支え、配役では森塚敏や西田敏行の助演を演じてきました。

映画は日活と契約していましたが、契約解除後はフリーになり、独身の中年女性や母子家庭の母親などを演じてきました。

たとえば梶芽衣子が主演した人気シリーズ『女囚さそりシリーズ』のひとつである『女囚さそり 701号怨み節』(1973年、東映)に出演しています。

女囚さそり 701号怨み節
劇中より

『女囚さそりシリーズ』というのは、自分を裏切った男への復讐に執念を燃やす女囚・松島ナミの話です。

警部(細川俊之)は、ナミ(梶芽衣子)を第一級殺人と脱走罪で逮捕しますが、かつて過激派で警部(細川俊之)に拷問の取り調べを受けたことがある工藤(田村正和)がかくまいます。

女囚さそり 701号
劇中より

ナミ(梶芽衣子)と工藤(田村正和)は、警部(細川俊之)の自宅で、妻(金井由美)を人質にとってたたかおうとしますが、妻は逃げようとして窓から転落死。

女囚さそり 701号
劇中より

警部(細川俊之)は工藤の母親(初井言榮)まで説得役に連れて来て、工藤(田村正和)にナミ(梶芽衣子)の居所を言うように仕向け、工藤(田村正和)は母親に負けて、ナミ(梶芽衣子)の居所を“うたって”しまいます。

女囚さそり 701号
劇中より

意地でも警察の言うことはきかない、と決めていた田村正和は、観る人に意味が分かる程度に訛った津軽弁を話す初井言榮の熱演に心を動かしてしまうのです。

おさな妻』(1970年10月2日~1971年9月24日、C.A.L/東京12チャンネル)は、富島健夫原作のドラマです。

おさな妻
Google検索画面より

母の急死で叔母の家に身を寄せている高校生・玲子(麻田ルミ)は、アルバイトを始めた保育園で、母を亡くした園児と知り合い、その父親(井上孝雄)と結婚。妻・母・学生の3役をこなすこととなったというストーリーです。

初井言榮は、学校の実力者であり、2人の結婚に大反対する水野教頭を演じました。



ちなみに、『おさな妻』は、関根恵子(高橋恵子)主演で映画化もされましたが、

おさな妻、富島健夫の生まれた日に昭和の衝撃作品を思い出す

原作のモチーフである、10代の性や愛をテーマとした「ジュニア小説」に近いのはどちらかというと映画の方で、テレビドラマは、20時放送の連続テレビドラマということもあり、あまり過激なシーンはなく、高校生妻と地域の人たちとのかかわりを描くホームドラマや、もしくは学園生活を描く青春ドラマ的体裁をとっていました。

ま、だいたい学園ドラマというのは、校長は無能か優しい味方のどちらかで、教頭が憎まれ役であることが多いのですが、初井言榮にピッタリの役だったのかもしれません。

ただまだこの頃の初井言榮は、ドラマを盛り上げるための嫌われ役ではありましたが、主役の動きに波風を立てる程度の脇役であり、主役の寝首をかこうか、というところまで大きな役ではありませんでした。

初井言榮が、ブレイクするきっかけとなったのは、市毛良枝とのコンビで、フジテレビの『ライオン奥様劇場』と称した月~金の帯で放送した嫁姑シリーズでしょう。

201809212332.png
Google検索画面より

1977~1984年まで、足掛け8年の間に全部で9本作られています。

放送された時期からして、橋田壽賀子が書いた『となりの芝生』の人気にあやかったものと思われますが、シリーズ化は、初井言榮・市毛良枝コンビの方がはやく、橋田壽賀子版は、その後、TBSに移って『ああ家族』(1987年)を経て、その翌年から『渡る世間は鬼ばかり』が始まっています。

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“ハイライト”は晩年だった


その後は、フジテレビの大映ドラマである『ヤヌスの鏡』(1985年12月4日~1986年4月16日)『花嫁衣裳は誰が着る』(1986年4月23日~1986年10月15日)『アリエスの乙女たち』(1987年4月8日~ 9月23日)などに、校長や旧家の家主役などでたて続けに出演。

元気ないじわるばあさんとして、キャラが完全に認められ主役もつとめるようになりました。

ただ、Wikiによると、最後のドラマ出演は、ドラマ23『ビートたけし殺人事件』(1989年、TBS)となっていますから、市毛良枝とのコンビによるシリーズが終了してからはわずか5年。

テレビ女優としては、ちょっと遅咲きだったかもしれません。

初井言榮さん。どんな作品を覚えておられますか。

女囚さそり 701号怨み節
女囚さそり 701号怨み節

昭和の名作ライブラリー 第29集 おさな妻 DVD‐BOX Part1 HDリマスター版
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ナベちはる

「いじわるばあさん」を演じたようには見えない、優しい雰囲気のある女優さんですね。
by ナベちはる (2018-09-22 01:30) 

うつ夫

過激派の学生が、山本圭ではなく田村正和という意外性・・
by うつ夫 (2018-09-22 01:38) 

末尾ルコ(アルベール)

初井言榮、早熟でかつ大器晩成だった“冷徹で手厳しい姑役”女優・・・出てくるだけで、愉しませてくれる女優の一人でしたね。ただわたし不届きなことに、『女囚さそり』をまだ観てないのです。園子温監督の『愛のむきだし』が大好きで、その中で主演の男が「さそり」の扮装をし、「さそりって、呼んで」と主演女優満島ひかりを騙す展開になるんです。こうして簡単な説明だけをしても、(いったいどういう映画なんだ?)となること必定ですが、観ているとこのくだりがめちゃめちゃおもしろいんです。それ以来、『女囚さそり』は必見映画にリストアップしているのですが、たまたま機会がなくて未見なのです。
『ヤヌスの鏡』は、わたしのブログ記事へも書きましたが、最も好きだった大映ドラマです。なにせ爆笑シーン連発。そもそも主演の杉浦幸がヘン!ということで、忘れ難いドラマでした。)さらに、『花嫁衣裳は誰が着る』『アリエスの乙女たち』も観ていたような。だからわたしは、初井言榮にいいイメージを持っているのでしょうね。

『おさな妻』の映画とドラマがあまりに違うのには驚きです。ドラマの方は外見的にも、『おさな過ぎる妻』という風情で、わたしこのヘアスタイルもやや苦手です。これが関根恵子となると、明らかに普通の大人の女性よりも濃厚な色香で、こういう人が家にいるのだったら、一年間くらいはどこにも外出せずに、「二人だけの世界」の住人になりたくなるというごとき妄想がとめどなく、果てしなく、溢れ出します(笑)。

>応援団が煽らなければ静かだと思います。

絶対そうですよね。そしてこれはスポーツ界には限らないと思います。バレエとか、この前は山田姉妹のコンサートへも言ったのですが、クラシック系で素晴らしいパフォーマンスに対しては、「BRAVO!」と声援を贈るのですが、高知なんかだと、それするのわたしだけという有様です(笑)。さすがに東京文化会館などであれば、わたしを含め(笑)複数の人が「BRAVO!」を叫びますけれど。
突き詰めれば多くの日本人は、「一人では何もできない」のですね。だから野球やサッカーでも組織的応援が中心になってしまう。日本の場合、ロックでもアイドルでも、観客が同じ動きをしてしまっているのがほとんどです。わたし、ああいう「同じ動きの一人」にはなりたくないタイプです(笑)。
プロレス生観戦をしていたのは高校くらいまででしたが、だいたい二階席最前列を取って、一緒に行ったメンバーの中ではわたしが一番大きな声を出してました。普段は静かな空間が好きなのですが、ステージやプロレスなどでいいものを見ると、できるだけ大きな声で声援を贈りたくなります。

>2007年の「カンヌ国際映画祭」のパターンと似てますね。

もうあれこそ、「国辱行為」だと思うのです。世界最高の映画祭(米アカデミー賞は別ですが)を何だと思っているのか。『HERO』なんていう映画がカンヌで評価されるわけがないのに、わざわざこうしたことをして現地で失笑を買う。ところが日本では、「木村拓哉、カンヌに登場」となるわけですから。そう言えば今回の香取慎吾の個展に関するニュースのコメント欄を見たら、「どこまで昇り詰めるんですか」とか「次々と夢を実現していきますね」とかいう書き込みがいっぱいでした。いくらファンでもここまで盲目では・・・。「このタレントのファンだけれど、この行動がいただけない」というスタンスが一切なくて、好きになったタレントがやっていることは、「すべて最高!」となりますよね。こういう人たちとはまず話の接点が持てないものです。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-09-22 02:42) 

pn

なんとなく山岡久乃とイメージが被ってるんですよ俺の中では。何のドラマか忘れたけど途中まで山岡久乃だと思って見てたら初井言榮だった、よく見れば全然違うんですけどね(^_^;)
by pn (2018-09-22 06:15) 

ヤマカゼ

悪役とかの俳優さんは普段は、優しかったと聞いたことがあります。
by ヤマカゼ (2018-09-22 06:39) 

えくりぷす

初井言榮さんは、意地の悪い婆さん役がなんとなく記憶にありますが、亡くなったのが61歳というのにビックリです!
若くして婆さん役をを演じられていたのですね。
by えくりぷす (2018-09-22 09:17) 

hana2018

「女囚さそり 701号怨み節」と言えば、梶芽衣子の歌う「怨み節」。
クエンティン・タランティーノ監督の「キル・ビル」のエンディングで、効果的に使われていました(笑)
ヲタクらしい彼の遊び心が感じらるニクイ、梶へのオマージュぶりでした。
関根恵子(高橋恵子)主演の「おさな妻」、実は映画館でリアルタイムで見ました。恥ずかしいものの好奇心には勝てなかった!?
初井言榮さんは勿論!年齢と共に良い顔になっていますね。人格、生き方が顔に出る、良い例かと思います。
by hana2018 (2018-09-22 11:14) 

Take-Zee

こんにちは!
毎回拝見して、あの名優さんしばらく
見ないと思うと無くなっています。
 自分が65歳過ぎたので当然のことかと
思いますが寂しいですね。

by Take-Zee (2018-09-22 11:52) 

kiki

初井さん、声に特徴があって、
キリッとした方と覚えています。
by kiki (2018-09-22 21:29) 

poko

亡くなられたのがそんなに前になるんですね。
意地悪なおばあさん役のイメージですが
亡くなったのが61歳とはちょっとビックリでした。
by poko (2018-09-22 22:53) 

犬眉母

安心してみていられるいい女優さんでしたね。
by 犬眉母 (2018-09-22 23:39) 

きーちゃん2

イジワル婆さん役のイメージが固定化している方ですがそれが実写ドラマだけでなくて、宮崎駿監督の劇場アニメ「天空の城ラピュタ」のドーラ役の声優としても強烈なイメージが私的にはありますね。
by きーちゃん2 (2018-09-23 03:27) 

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