ひし美ゆり子、豊浦美子、谷啓の“トライアングル”から考える [懐かし映画・ドラマ]
ひし美ゆり子さんがツイッターで、『ウルトラセブン』のアンヌ隊員の仕事を引退すると発表されています。アンヌ隊員役は、東宝で一期先輩である豊浦美子さんの『怪盗ジバコ』出演による代役でした。相手役は11日が命日の谷啓さんです。(画像は断りのない限り劇中から)
ツイッターで、私が光栄にもフォローしていただいているひし美ゆり子さんが、当たり役だった『ウルトラセブン』のアンヌ隊員の仕事を引退するとツイートしたのが4ヶ月前。
Google検索画面より
ダンありがとう?? https://t.co/k4nO2kuBsw
— ひし美ゆり子 (@ANNEinfinity) 2018年5月23日
そして8日には、ジャスト50年前に『ウルトラセブン』の最終回が放映されたので、同作の記念上映イベントもツイートされています。
最終話・鑑賞会を終えて。ご報告! https://t.co/jH6W0S8Mk7
— ひし美ゆり子 (@ANNEinfinity) 2018年9月9日
最終回(第49話)は、ウルトラセブン=モロボシ・ダンと、アンヌ隊員の別れを描いています。
50年もの間、ファンに忘れられずに、それどころか新しい世代がファンに加わり、大事にされてきた『ウルトラセブン』は、何が良かったかと言えば、やはりヒーローと大型怪獣との格闘戦だけではなく、モロボシ・ダンや友里アンヌら人間を描いたからだとおもいます。
ひし美ゆり子さんが、アンヌ隊員にキャスティングされたのは、東宝で一期先輩の豊浦美子さんが、映画出演で役を降りたための代役だったことを以前ご紹介しました。
Google検索画面より
ひし美 アンヌ隊員を演じる予定だった豊浦美子さんが映画出演で役を降りることになって、私は代役だったんです。いきなり抜擢されて、もう必死ですよ。台詞を吐き出すのが精いっぱい。私は演じる意識が希薄で、あれは地なんですよね。(『週刊大衆』2014年2月3日号より)⇒ひし美ゆり子と豊浦美子、『ウルトラセブン』と『怪盗ジバコ』
アンヌ隊員をキャンセルした豊浦美子さんが出演したのは『怪盗ジバコ』(1967年)で、谷啓の相手役でした。
『クレージーの怪盗ジバコ』より
その谷啓さん(1932年2月22日~2010年9月11日)の命日がきょう11日です。
Google検索画面より
一部には、「豊浦美子さんは、せっかくのアンヌ隊員を選ばなかったのはもったいない」という意見もありますが、それはどうなのかな、とおもいます。
当時は、映画>テレビでしたし、坪島孝監督から直々に声がかかっているのです。
何より、東宝の屋台骨を背負っていたクレージー映画で、『007号は二度死ぬ』のボンドガール、浜美枝とのダブルヒロインですから、当時としてはそれしか考えられない選択だったのではないでしょうか。
『怪盗ジバコ』は、ジバコ(植木等)が、日本の国宝を盗む団体を、元警官(谷啓)とともにやっつけるとともに、公害を出す大企業の親玉(進藤英太郎)に、日本中の工場を1日止めて、日本の子どもたちのために青い空を見せることを誓わせます。
娯楽の中にさりげなく社会性も反映させ、ファミリーで今鑑賞しても、十分に楽しめる映画です。
私は、30作あるクレージー映画の中でも、ベスト3には入れたい作品だとおもいますし、豊浦美子さんが同作に出演したことは、大変素晴らしいことだとおもいます。
ひし美ゆり子、幻のクレージー映画出演
『怪盗ジバコ』同様に、坪島孝監督、植木等・谷啓W主演のクレージー映画である、『クレージーだよ天下無敵』(1967年1月)の出演者には、ひし美ゆり子の名前が記載されています。
『クレージーの怪盗ジバコ』の9ヶ月前でした。
出演者には、一番最後に小さく名前が出ています。この時はまだ、「菱見地谷子」でした。
ところが、残念ながら、出演シーンはカットされています。
ここが端役の辛いところです。
ちなみに豊浦美子も出演しています。
Wikiによると、やはり出演をカットされたことになっていますが、銀座のバー“アラベスク”のホステスAがそうだともいわれています。中央のママ(北あけみ)の後ろの赤いドレスの女性ですね。
もっとも、こちらはエキストラです。
エキストラは「役者」ではなく「風景」扱いなので、同一の作品において、違う役で複数出ることはよくある話です。
豊浦美子は、ここできちんと仕事をしたので、浜美枝とのWヒロインに抜擢されたのです。
役者の選択肢に優劣はありません。
オファーのあった役を懸命に演じることで、いずれチャンスもあるでしょうし、その価値はきっと後世に伝わるものです。
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ひし美ゆり子、豊浦美子、谷啓の“トライアングル”から考える・・・本日もまた素晴らしお記事!しかもひし美ゆり子のチャームなお写真満載ですね。特にアンヌ隊員コスチュームの向かって左端のお写真です。わたしの憧れたアンヌ隊員の姿そのまま!実は最近調べた結果によれば、わたしが子どもの頃に観ていた『ウルトラセブン』は本放送ではなくて、再放送だったようなのですが、それを知ると、よくあの時期に再放送してくれていたなと思います。あの番組に教えられたことはかなり多いのです。何と言いますが、いわゆる「センス・オブ・ワンダー」に満ちた特撮ドラマでした。もちろん観ている当時は理解できてなかったですが、冷戦時の雰囲気、そして学生運動を含めてまだ国内左派の力が強かった時代の雰囲気も醸し出されていると思います。「侵略者はあなたの隣にいるかもしれない」という異様な恐怖感を志しているのも素晴らしいですね。黒澤清監督の近作『散歩する侵略者』は『ウルトラセブン』的世界観の現代ヴァージョンとも言えます。さらに素晴らしかったのが、何と言っても美術!とにかく画面が美しいのです。夕焼けや黄昏時、そして暗闇の中で戦うセブンの美しいこと。宇宙人や怪獣たちの造形も、ウルトラシリーズの中では『セブン』がピークだったと思います。写真で見だけでもイマジネーションを大いに掻き立てられる造形ばかり。今でも本屋で『セブン』本を見つけたら手にとって、しばらく見入ってしまいます。特にセブンにとって最強の相手だったガッツ星人やゴース星人のカッコいいことといったら!
さらに語らせていただければ(笑)、宇宙人や怪獣とセブン、そして必殺技の出し方など、昭和のプロレスと共通した「心地よいお約束」があったのですね。例えば、セブンの技の中で最強は「ワイドショット」なのですが、これを何と全話の中で確か2回か3回くらいしか使わなかったですね。つまり馬場のランニング・ネックブリーカードロップや猪木の卍固めのような扱いだったのです。今だと棚橋はほとんどの試合でハイフライフローを出しますものね。
と、『セブン』やアンヌ隊員のお話は止めどが亡くなるのですが(笑)、もう一つ付け加えさせていただきますと(前にも書かせていただいたような気もしますが 笑)、子ども向け『セブン』本に必ずと言っていいほど掲載されていた写真が、「鏡台に向かって座っているアンヌ隊員の背後でペガッサ星人が手を広げている」ものでした。これほどまでに子ども心の妄想を掻き立てくれたものはあったでしょうか(笑)。(ペガッサ、なにするんじゃい!)と憤ると同時に、(羨ましいな、ペガッサ・・・)という気持ちも(笑)。
もちろん、『怪盗ジバコ』もぜひ観てみたいです。豊浦美子さんにも大いに興味があります。
>価値観の啓蒙は、デリケートなものだなとおもいます。
これはまったくおっしゃる通りで、ちょっと前によく見られたのが、「ラケットを叩きつける錦織圭」に対する思考停止の批判です。ちょっとテニスを知っておれば、フラストレーションが溜まった時にラケットを破壊するなんて普通であって、そうしない選手の方が少ないくらいの印象です。ところが日本には、錦織があまりにメジャーですから、嫌いな人も大勢いて、ここぞとばかりにディスるんですね。そしてテニスは錦織の試合しか見たことがない人も多くいて、(あんなことする錦織は極度にマナーが悪いのか)と勘違いして批判する・・・さらに、「イチローが用具を大切にするのに比べたら、錦織の態度は何だ!」なんて馬鹿なことを書く人も少なからずいる。用具を大切にするイチローはイチローで立派だと思いますが、それは彼のやり方であって、MLBの標準でさえありません。ましてテニスは個人競技で、一人で一試合5時間なんていうことも男子では珍しくありません。試合中に溜まるフラストレーションは、休憩時間のかなり多い野球の比ではなく、それを比較するなんて・・・という感じです。 RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2018-09-11 10:09)
アンヌ隊員は、どんな感じでしたかねぇ。
プイッと怒った表情が記憶に残っていますが、どうだっかなぁ。
by ヨッシーパパ (2018-09-11 18:33)
ウルトラセブンが放映されていた頃は高校生ですね。
9歳下の弟が見ていたので、時々覗いていたような気がします。諸星団が好きでしたが、アンヌ隊員あまり印象無かったです。後で、ひし美ゆりこさんの熱烈なファンに出会って再認識しました。
by そらへい (2018-09-11 20:21)
無理して卒業とか言わなくてもいいのになぁ。いつまでたってもアンヌは嫌なのかな?
by pn (2018-09-11 20:30)
ウルトラセブン人気は、ひし美ゆり子さん人気もありますね。
by うつ夫 (2018-09-11 22:40)
ウルトラセブンをはじめとする「ウルトラシリーズ」。登場する怪獣達は勿論、隊員のキャラクターも多彩でした。
モロボシ・ダン役だった森次晃嗣さんは湘南の方で喫茶店だったか、カレー屋さんだったかをされているご様子ですね。
私が最も印象に残っているのは、オープニング映像の不気味さが際立っていた「ウルトラQ」でした。ナレーションは確か石坂浩二だったかと。
怪獣ラドン、カネゴン・・・とそのシュールさが懐かしく思い出されます。
by hana2018 (2018-09-11 23:47)
時間の移ろいは残酷で、スターウォーズのレイア姫をみているようですね。
その瞬間、瞬間にも若さとは違う輝きがあるのかも。
by ヤマカゼ (2018-09-11 23:48)
ウルトラマンシリーズのなかでもウルトラセブンは別格とする扱いも多いですね。私はamazon プライムビデオでウルトラQが見始めたのですが、ウルトラマンの途中でプライム対象から外されてしまい…(涙)。近所のGEOでも借りたのですが、傷がひどくて再生が途中で止まってしまう奴でした。
by えくりぷす (2018-09-12 14:31)
当たり役があると、それ以外の役が難しいと
いわれますが、当たり役があるからこそ
いつまでも愛され続けるということもありますね。
by 犬眉母 (2018-09-13 13:58)