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『ダイナマイトどんどん』は伊佐山ひろ子も出演した娯楽任侠映画 [懐かし映画・ドラマ]

『ダイナマイトどんどん』は伊佐山ひろ子も出演した娯楽任侠映画

『ダイナマイトどんどん』(1978年、大映/東映)という映画をご存知ですか。岡本喜八監督、菅原文太主演の娯楽任侠映画ですが、今日誕生日の伊佐山ひろ子も出演しています。ヤクザが野球チームを作って戦うというストーリーです。



伊佐山ひろ子は、日活ロマンポルノから活躍の場を広げるベテラン女優で、エッセイや小説なども手掛けています。

伊佐山ひろ子

2014年には、『孤独のグルメSeason4』の第11話『大田区蒲田の海老の生春巻きと とりおこわ』(2014年9月17日)に出演。

入ったばかりの雑用パートなのに、井之頭五郎の企画書にダメ出しをする白鳥美麗役を演じています。

孤独のグルメの伊佐山ひろ子

わざとオバサンかつらをかぶって、老けたように見せているようでしたので、若い頃を見たくなり、『ダイナマイトどんどん』を鑑賞しました。

ダイナマイトどんどんタイトル

伊佐山ひろ子も出演した『ダイナマイトどんどん』は、倒産後、制作会社として復活した大映が制作し、東映が配給しています。

舞台は昭和25年の福岡。進駐軍は暴力団一掃のため、彼らに沖縄での強制労働をちらつかせます。

困った警察は、署長(藤岡琢也)の提案で、抗争を平和的に行うようにと、12組参加のヤクザ対抗野球大会を開催することにしました。

中谷一郎を若頭に、菅原文太小島秀哉石橋正次丹古母鬼馬二志賀勝らを擁する岡源組は、リアルで福岡出身の姐さん(伊佐山ひろ子)が気合を入れるものの、親分(嵐寛寿郎)は呂律も回らず短気なだけで使い物にならず。

ダイナマイトどんどん

ダイナマイトどんどん

ダイナマイトどんどん

やっと娼婦の野球をコーチしていた傷痍軍人(フランキー堺)を監督に迎えます。

対する新興ヤクザの橋傳組は、親分(金子信雄)から発破をかけられた代貸・花巻修(岸田森)が、札束で選手をかき集めます。

1回戦では、酒に呑まれる芦刈の作蔵(田中邦衛)に、加助(菅原文太)が強い焼酎を飲ませて自滅させます。

2回戦は、香取祐一(中谷一郎)がスカウトした流れ者の銀次(北大路欣也)で危なげなく勝ちますが、加助(菅原文太)は銀次の女房・お仙(宮下順子)に片思い。

銀次はその関係を誤解しており、2人の気持ちは複雑です。

花巻修(岸田森)は、岡源ダイナマイツとの決勝戦を前にして、強引に銀次(北大路欣也)を引き抜いたため、試合はカチコミモードです。

一方、橋傳親分(金子信雄)は、短気でモウロクした岡源親分(嵐寛寿郎)を挑発して、決勝で負けたほうが縄張りを手放すという証文を書かせてしまいます。

このへん、嵐寛寿郎の、おもしろ困った親分ぶりが絶好調で笑えます。

決勝戦は、互いに意図的な危険球合戦でタンカ続出。そのたびに両チームは喧嘩になり試合は中断します。

ダイナマイトどんどん

試合は、お仙から縄張りの話を聞いていた銀次が手心を加えた一球を投じ、加助が逆転サヨナラの一打。

本当ならここで加助を胴上げして優勝旗の授与、といきたいところですが、彼らはここからが本番で、両チームの喧嘩が始まり、結局ご一統は強制労働することになります。

ダイナマイトどんどん喧嘩シーン

作品の感想は、とにかく面白い。

10秒に1度は笑ってしまいます。

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娯楽の中に反戦メッセージも


本作のタイトルは、試合開始時や途中の円陣で、岡源ダイナマイツ率いる菅原文太、もしくは小島秀哉が、「ダイナマ~イッ」と叫ぶと他のメンバーが、右足を踏み鳴らしながら「どんどん!」と気合いをいれるシーンに由来するといわれます(このシーンが岡本喜八イズムで小気味良いのです)。

ダイナマイトどんどん

岡本喜八監督は、『江分利満氏の優雅な生活』(1963年、東宝)というテンポの良い作品を撮っているのですが、それを思い出しました。

そして、出演者がもう豪華すぎ。

ただ、たんなる娯楽映画ではなく、随所に岡本喜八監督らしい反戦のメッセージが散りばめられています。

たとえば、ストライクが入らない石橋正次が、よく見たら指を詰めていたことが発覚。

傷痍軍人のフランキー堺監督は、自分の伸びなくなった指を見せ、「戦争でんなんでんなか時に、自分で自分の指ば……バカモン」と叱ります。

ダイナマイトどんどん

面白くて、ちょっとだけ考えさせられる、映画はこうでなくちゃ、という見本のような作品です。

未見の方は、ぜひ1度ごらんください。

ダイナマイトどんどん
ダイナマイトどんどん
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コメント 10

えくりぷす

伊佐山ひろ子は、顔と名前は覚えがありますが、日活ロマンポルノ出身だったのですか…タモリの従妹という話もありますが、血縁はないみたいですね。
『ダイナマイトどんどん』は知りませんでしたが、キャストが大変豪華です。この前ご紹介の『新幹線大爆破』がたいへん面白かったので、今度も探して観たいと思います♪
by えくりぷす (2018-08-18 09:18) 

pn

野球に興味無かったから見向きもしなかったな確かf(^_^)
孤独のグルメ観たけどずいぶん老けたなーと思ったけどカツラかあれ(笑)
by pn (2018-08-18 11:26) 

末尾ルコ(アルベール)

『ダイナマイトどんどん』は伊佐山ひろ子も出演した娯楽任侠映画・・・おおっ!!!実は昨夜弟と『ダイナマイトどんどん』の噂話(笑)をしていたところでございます!しかも現在WOWOWで放送中の『トラック野郎』シリーズ鑑賞を開始したところ。第1作を鑑賞したばかりで、今夜それに関する記事をアップの予定でございます!『トラック野郎 御意見無用』も実におもしろかったです!!
それにしても『ダイナマイトどんどん』は岡本喜八だったのですね。これも必見ですね。
それにしても豪華なキャスト。監督が岡本喜八では納得です。『ダイナマイトどんどん』というタイトルがまた素晴らしい。観てないのにずっと記憶に残りっ放しです。タイトルだけではストーリーの想像などつかないのに、凄まじい勢いを感じるという。お写真では石橋正次が手を上げておりますね。『御意見無用』へも出演しておりました。嵐寛寿郎も『網走番外地 北海篇』で見事な男っぷりを観たばかり。しかし嵐寛寿郎出演映画の本数は凄いですね。まあ邦画黄金期の大スターなので当然かもしれませんが、『鞍馬天狗』シリーズとかぜんぜん観たことないので、これらもぜひ鑑賞したいものです。北大路欣也はある程度以上の年齢からはどうもワンパターン演技ばかりになっていますが、若い頃はフレッシュでしたよね。
そして伊佐山ひろ子。実はわたくしこのお名前を知らなかったのですが、このところ70年代80年代の映画を観るにつけ、現在ではまったく見当たらない素晴らしく魅力的な女優が目についてならないのです。この前の早乙女愛もそうですが(笑)、必ずしもビッグスターでなくても(早乙女愛は一時ビッグスターだったのでしょうが)、どうも魅力的な女優が多いのですよね。その意味でいっぷく様がお取り上げの伊佐山ひろ子も今後いろいろチェックしてみたいと思います。
そして『ダイナマイトどんどん』のクオリティ。よくお話させていただいておりますが、「ギャグ」のクオリティも昭和と今とでは大きく異なっておりますよね。映画史を踏まえ、「できるだけ多くの人の笑いを生み出そう」という気概が基本であったのが昭和のある時期までで、ドメスティックな「小ネタ」で閉じた笑いが中心なのが現在と、大雑把に見ればそんなことが言えると思います。ドメスティックでしかも「世代限定」ですよね。そういう笑いのすべてが悪いとは言いませんが、そればかりでは映画に広がりが出ません。
そして「反戦メッセージ」ですね。これまた現代だとちょっと反戦メッセージを入れただけで、「反日映画」などとレッテルを貼られかねないご時世ですが、岡本監督が存命であれば、現代日本をどう描いたかと想像するのも愉しいものです。そう言えば岡本監督が『大誘拐 RAINBOW KIDS』で映画賞を独占した時、わたしも同作品を鑑賞したのですが今一つピンと来ませんでした。わたしの鑑賞姿勢に問題があった可能性大ですので、いずれ再鑑賞したいと思っております。

わたしも山口百恵がどうしてあれほどまでに祭り上げられていたのか、いまだ不思議でなりません。歌手としても女優としてもどこがよかったのかいまだまったく分からないのです。平岡正明の『山口百恵は菩薩である』なんていう本も出て、最近では濱野智史の『前田敦子はキリストを超えた』なんていう本も出ましたが(笑)、こういうの困ります。本当にドメスティックでしかも閉鎖的な世界ですよね。どうせなら濱野智史には死ぬまで(笑)『前田敦子はキリストを超えた』と言い続けてほしいですね(笑)。
「夢先案内人」は確かに幽玄なイメージで、いい曲ですね。「プレイバックPart2」などはいまだ歌謡史に残る傑作とされていますが、リアルタイムで聴いた時には「あざとさ」ばかり気になっていました。でもこの曲も、竜童が歌うといいんです(笑)。RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-08-18 13:30) 

ヨッシーパパ

その当時は、青春真っ盛りで、TVも視ずに受験勉強をしていました。
by ヨッシーパパ (2018-08-18 19:43) 

チャー

伊佐山ひろ子さん 懐かしいです(^^)
by チャー (2018-08-18 19:46) 

そらへい

昔はこういう映画を馬鹿にしていた節があります。
そして、見直す機会もなく、そのまま来ています。
解説を読んでいると面白そうですね。
偏りを平衡させる作品に出会えるかも知れませんね。
by そらへい (2018-08-18 20:07) 

ヤマカゼ

見たことないですが
ストーリーがおもしろそうですね。
by ヤマカゼ (2018-08-18 20:33) 

ナベちはる

面白い中にもメッセージのある映画、見るときは目が離せなさそうです。
by ナベちはる (2018-08-19 00:07) 

kiki

伊佐山ひろ子さん、見たことあるような気がします。
私より2つ年下で、現役で仕事をしてすごいと思いました。
by kiki (2018-08-19 03:07) 

うつ夫

すごく見たくなりました。
by うつ夫 (2018-08-22 02:06) 

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