株式会社明蓬館高等学校、発達障害を支援するSNECコース [発達障害]
明蓬館(めいほうかん)高等学校は、学習障害、ADHDなどの診断を受けている生徒を受け入れている、全国広域通信制の内閣府認定特区高等学校です。国の特区制度により、学校法人ではなく株式会社が運営。発達障害の支援スキルを持った職員と心理士が常駐しています。
本来、学校というのは、学校法人でなければ設置できません。
が、構造改革特別区域法に基づき、教育特区に認定された地域(明蓬館高校の場合福岡県・川崎町)では、規制緩和により株式会社が学校をつくることができます。
特区という制度の是非自体、議論があります。
が、それは今回は措きます。
明蓬館高校では5年前から、発達障害の生徒を対象に、「スペシャルニーズ・エデュケーションセンター」、略称SNEC(スネック)という特別支援教育コースができました。
要するに、発達障害の生徒が、特別支援付きで、普通科高校教育を受けることができるようになったわけです。
支援学校の中等部の生徒は、その高等部に進むしかなかったのが、支援学校としてのサポート付きで、普通科高校を卒業できるという、字面だけは大変結構な話です。
SNECでは、発達障害の支援スキルを持った職員と心理士が常駐。
学習障害、ADHDなどの診断を受けている生徒も受け入れています。
SNECの学習センターは、東京都品川区、立川市、神奈川県横浜市、福岡県福岡市に明蓬館高等学校直営校が、埼玉、千葉、長野、愛知、大阪、奈良など各地に、学習センターがあります。
品川は御殿山にあります
全国で約450名が在籍しているそうです。
株式会社明蓬館高等学校は、学校案内によると、
1.ネット授業で24時間いつでもどこでも参加できます
2.スペシャルな習熟度別にパーソナルな指導
3.一生の宝ものになる本校スクーリング、年に1回、3泊4日
4.成績は、テストだけでなく成果物での絶対評価
5.通信制高校ですが、毎日通えるスクールもあります。
と記載され、
「制服もあります(希望者)」と付記されています。
いずれも『学校案内』より
典型的な通信課程高校ですが、「成果物での絶対評価」が、これまでの学校訪問では聞いたことのない特徴です。
これだけ読むと、まるで、テストが出来なくても、クラスの落ちこぼれでも、単位をもらえそうな感じがしますね。
そこで、さっそく、東京にある品川中央キャンパスを訪問してみたのですが……
発達障害といっても「知的」は含まない
結論から書くと、発達障害なら誰でもいい、というわけではないようです。
告白すると、我が長男の入学はダメ出しされました。
発達障害は、知的な障害を含まないADHDや学習障害、自閉などが前提で、通常の授業は普通課程の教科書を使うそうです。
要するに、学力のレベル自体は、他の通信課程高校に比べると高いところを目指しているようです。
また、生徒にヤル気がなければだめだと、ヤル気を強調しているところもちょっと気になりました。
私は、予備校ならともかく、公教育がオノレのつとめを、「ヤル気」という生徒の自覚(自己責任)にまるなげすることについては賛成していません。
もちろん、生徒はヤル気がなくてもいい、などとは絶対に言っていませんよ。
ただ、知識の教育だけでなく、何のために高校行くの? どうして今勉強するの? といった生徒の気持ちに寄り添い、「ヤル気」等の陶冶・啓蒙を行うことも、公教育の仕事のひとつだとおもうのです。
事情があって通信課程に来る生徒なら、なおさらのことでしょう。
ただし、「ヤル気」には責任を持って対応に当たるようです。
たとえば、支援学校高等部からの転校、歳をとってから高校に入り直したくなった人なども同校は受け入れています。
まとめ
学力だけなら、高等学校に行けるだけのものはある。
しかし、人とのコミュニケーションや学園生活が苦手、という発達障害の生徒向きの学校です。
すでに、支援学校高等部を卒業した人でも、「入れるものなら、今からでも高校でやってみたい」と思われる方は、チャンスだとおもいます。
結論としては、障碍者の高校入学の可能性が、条件付きで広がったと前向きにとらえてよいとおもいます。
発達障害(の親御さん)のみなさん、いかがですか。
あなたのお子さんには通信制高校が合っている!!:通信制高校のお得なところ
株式会社明蓬館高等学校、発達障害を支援するSNECコース・・・「心理士」っていうのはどうなのでしょうね。学校施設には必要なポストなのでしょうが、わたしが予備校へ通っていた時期にそうした立場の若い女性がおりまして、わたしは問題予備校生(笑)だったので何度か呼ばれたのですが、何ら響いてくる言葉はなかったです。おそらく個人差があるのだと思いますが、「お飾り」でなければよいのですが。
>「ヤル気」等の陶冶・啓蒙を行うことも、公教育の仕事のひとつだとおもうのです。
おっしゃる通りです。公教育の施設であれば、やる気のない生徒も入ってきて当然だし、そうした生徒をどのようにしてやる気にさせるかに学校や教員は腕を振るわねばなりません。そもそも入学時は「やる気」が凄くあったとしても、どこでモチベーションを失うか分からないのが人間というものです。「やる気」という曖昧で流動的なものを前提としているのは確かに気になるところです。
それと細かなことですが、学校案内の「.スペシャルな習熟度別にパーソナルな指導」という言葉。学校案内に記載される説明としては、言葉が軽いなあという感は受けました。
>条件付きで広がったと前向きにとらえてよいとおもいます。
そうですね。いつもいろいろな教育施設のご紹介、「教育そのもの」を深く考える機会を与えてくださっております。現場に携わる人たちも常に試行錯誤で取り組んでいるのだと思います。その試行錯誤が積極的な方向へ進めば、教育機関は充実してくるのだと思います。
>個人ブログなのだから
これ、スゴイですね~(笑)。どこでこんなこと習ったのでしょうね~(笑)。ブログが人気で著名になった人たちは世界中に多数おりますが、もちろんスタートは「個人ブログ」ですよね。そしてそれらの人たちはたいがい「オピニオンブログ」ですよね。そういう世の中の現実をぜんぜん知らないんでしょうね。そもそもネット時代は、どこまでが「個人」でどこから「個人でない」かという境界がほとんどなくなっているのに、もちろんそんなことまったく理解してらっしゃらないのでしょうね~。間違いなくこの人、「個人」に対立する概念が何かなんて、一切考えたことないのだと思います。だいたいももクロだってデビュー直後はストリートライブとかやって、「個人アイドルグループ」(笑)みたいなものでしたから。
それと無知なのに「自分は分かってる」と勘違いしてる人は始末が悪いですよね。堂々と(笑)トンデモ発言を言ったり、書き込んだりしてきますからね。わたしホントに高校時代からそういう手合いに遭遇しまくってきましたから、よく分かります。
もうかなり以前にSo-netブログをやっていた女性でけっこう尖がった記事をアップする人がいて、その方も「しょうもないコメント」によく怒っておりました。確かチェ・ゲバラの写真をアップしただけで文句をつけてきた人がいて、「そのくらいのことが嫌なら、二度と自分のブログへ来なければいいじゃないか」と怒っておりましたね。「記事の内容を理解」した上での反論などであればいいのですが、見当外れのいちゃもん、つまりそれはその人たちのレベルの低さを反映したトンデモコメントであって、何とも言い難い不快感がありますね。
>「(マスコミが紹介した)○○を紹介しないのはおかしい」
これも何ともはや(笑)でして、頭痛くなりますね。と言いますか、映画を含め、いろんなことを知らない方が多いですよね。(え~~~~????)と思うほどものごとを「知らない」人が多いのでけっこう吃驚することが多いのですが、そのような人にとっては、「マスコミが紹介した=それだけが名作」という図式が成立しているのかもしれません。 RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2018-08-11 13:00)
教育の多様化は、今後も展開されていくのでしょうね。
by ヨッシーパパ (2018-08-11 18:51)
株式会社が運営していて、全国に何か所も学習センターがあって、生徒数も多くないとなれば、親御さんの負担も大きいのでは?余計な心配をしてしまいます。もちろん生徒さんを受ける教育機関の多様性が広がるのは良いことが前提です。
by えくりぷす (2018-08-11 19:00)
コメントありがとうございます。
学費の件は全くおっしゃる通りで、私もそう思いました
具体的な金額は公開していません。
うちはダメ出しされたので(笑)
細かくヒアリングしませんでしたが、
「コースによって違う」とのことでした。
障碍者に対応する通信制高校は、
学費が安い場合、公式サイトや学校案内で
それを前面に出すので
そうでないということは高いとおもいます。
by いっぷく (2018-08-11 19:40)
ヤル気を起こさせるのも教育者の務めのような気もしますが。
by pn (2018-08-11 21:11)
>やる気
高校は義務教育でないから、学校が求める「必要最低限」のものはを見せないと高校側もやらないというのもありそうな気がしました…
by ナベちはる (2018-08-12 01:51)
発達障がいといってもいろいろあるし…この話、気を付けて書かないと誤解されるんだけど…そもそも発達障がいなのか障がいじゃないのかも判断が難しい。とにかく営利目的の株式会社がこういったことをやることに?マークを感じます。やはり公教育で「みんなと違う」(みんなひとりひとり違うんですが)子どもたちをすくう(救うではない)教育が大事なのだと思います。ちなみに宣伝するつもりはありませんが私が勤めていた出版社のサイトです。
http://www.akashi.co.jp/search/index.php?page=1
いっぷくさんが「障碍者」という書き方をしているのにご注目ください。私は「障がい者」と書きます。「障害者」は明らかに差別語です。悪いのは行政とマスコミです。
by リス太郎 (2018-08-12 03:50)
コメント欄のことです。本文で「障害者」を使っておられるのは読みやすくするためと思います。批判しているわけではないので念のため。
by リス太郎 (2018-08-12 03:55)
コメントありがとうございます。
表記の件ですが、結論から書くと、
第一義的に議論する話ではありません。
根拠があって悪意がなければ「間違い」とはいえません。
個人的には「障碍者」か「障害者」かはどちらでもいいとおもっています。
ただし、最近は「障がい者」はやめています。
当事者には「がい」を嫌がる人もいます。
by いっぷく (2018-08-12 19:25)
なるほど。
by リス太郎 (2018-08-12 20:41)
何に対する「がい」かで意味が変わってくるので、
一概に差別とは言えず、文脈次第だとおもいます。
by 犬眉母 (2018-08-13 00:12)
ヨガ関係で発達障碍児向けのキッズヨガのお話があり、関連した本を2冊読み始めました。
by Rinko (2018-08-13 07:53)
犬眉母さんのコメントにナイス。
by リス太郎 (2018-08-15 10:15)
広く門戸を開放すればいいのにねえ。
by うつ夫 (2018-08-16 00:30)