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加藤剛訃報で『忍ぶ川』を、下塚誠訃報で『早春の光』を思い出す [芸能]

加藤剛訃報で『忍ぶ川』を、下塚誠訃報で『早春の光』を思い出す

加藤剛の訃報と下塚誠の訃報が重なりました。実際には加藤剛は6月18日、下塚誠は7月7日に亡くなっているそうですが、事務所の発表の関係で芸能ニュースとしては重なってしまいました。加藤剛と下塚誠というと、どんな作品を思い出されますか。加藤剛は「ほしのもと」にあらがい幸せを掴み、下塚誠は「ほしのもと」を克服できなかった不幸を演じました。(画像はいずれもGoogle検索画面より)



加藤剛の訃報では、『大岡越前』や『砂の器』がクローズアップされていました。

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もちろん、『大岡越前』は『水戸黄門』とともに、月曜20時のTBSを支えていた人気番組であることは存じていますが、私は加藤剛と言うと、『忍ぶ川』(1972年、東宝)を思い出します。

『忍ぶ川』といえば、栗原小巻をトップスターにした『忍ぶ川』『忍ぶ糸』(1973年、東宝)のうちのひとつです。

私が子供の頃、封切られた作品ですが、ビデオ化されて真っ先に鑑賞しました。

当時、栗原小巻は、花王と象印のCMに出ていたのですが、象印のほうが、『象印スターものまね大合戦』(NET)という単独スポンサード番組を19時30分に持っていて、毎週その時間になると、栗原小巻のCMが出てくるのです。

そして、CMはたんなる商品連呼ではなく、その時の栗原小巻の活動報告のような作りになっていて、例えば、「今日は『忍ぶ糸』の撮影で伊賀上野にやってきました」という栗原小巻のナレーションとともに、実際に『忍ぶ糸』の映像が流れる。

要するにタイアップ効果を狙ったCMでした。

『忍ぶ川』も『忍ぶ糸』も、それで知りました。

『忍ぶ川』は、お互い、暗い「ほしのもと」にある哲郎(加藤剛)と志乃(栗原小巻)が、それぞれの痛ましい過去を労わりあって結ばれる純愛物語です。

三浦哲郎原作です。

加藤剛は、生前、インタビューでこう答えています。

真面目で正義感の強い役柄が多かった加藤さん。73年の本紙インタビューでは、男の魅力について「何か行動を起こすとき、そこに飛び込んでいく前に見せるもろさ、ためらい、そして女よりも深い優しさ」と独自の美学を語っていた。https://www.tokyo-sports.co.jp/newsflash/1057819/

このインタビューは、『忍ぶ川』を念頭に置いたものとおもいました。

余談ですが、『忍ぶ川』は吉永小百合のキャスティングが決まっていたものを、吉永小百合の両親の横槍で流れ、栗原小巻になったといわれていますが、個人的には栗原小巻の起用で大変よかったとおもいます。

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『早春の光』の下塚誠亡くなる


『マッハバロン』の下塚誠亡くなる、という報道がたぶん100%だったとおもいますが、私の中では『早春の光』の下塚誠亡くなる、でした。

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『早春の光』というのは、NHK銀河テレビ小説として1977年3月7日~3月25日に放送されたドラマで、原作は曽野綾子の『二十一歳の父』。

タイトルの通り、エリート一家の21歳の次男が、盲目の女性と結婚して子を成したものの、不慮の事故で母子とも亡くなり、次男も失意で亡くなるという話です。

つまり、『忍ぶ川』とは180度違って、「ほしのもと」にあらがっても幸せになれないという、曽野綾子らしいガッチガチの保守封建思想のストリーですが、その思想の好き嫌いは別として、そうした無慈悲があるのは現実です。

いずれにしても、21歳の次男、盲目の妻、それを見守る父親、次男に刺激されて自分も結婚問題で親を困らせる友人などを描いた群像劇であるところに惹かれて、私は原作はもちろん、映画版も何度も見ています。

『二十一歳の父』主役は誰だったのか

下塚誠版は、盲目の妻役が吉沢京子で、父親が長門裕之。

音楽にビートルズの『イエスタディ』を使っていました。

吉沢京子が、やはり薄幸のヒロインを演じた『父ちゃんのポーが聞える』(1971年、東宝)、長門裕之の演じた愚直な主人公が泣けた『にあんちゃん』(1959年、日活)を思い出してしまう秀作であり、下塚誠はいい役に抜擢されたとおもいました。

お二人の生前のご遺徳をお偲び申し上げます。

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ナベちはる

『父ちゃんのポーが聞える』のポー、何かと思ったら蒸気機関車から鳴る音なのですね。
by ナベちはる (2018-07-10 00:46) 

末尾ルコ(アルベール)

加藤剛訃報で『忍ぶ川』を、下塚誠訃報で『早春の光』を思い出す・・・『忍ぶ川』『忍ぶ糸』も未見なのです。今夜のお記事を拝読させていただき、俄然(観なければ!)という気持ちが高まってきました。三浦哲朗もほとんど読んでないんです。
いつもながらなのですが、俳優や映画監督などの訃報の際にご紹介くださる作品やそして故人のプロフィールなど、いっぷく様ならではの切り口で素晴らしいです。前々から日本のテレビや新聞などメディアの、俳優や映画監督の訃報などに際しての取り上げ方のお粗末さには目に余るものを感じておりまして、その点、いっぷく様のお記事はいつも別格。新たな視点を頂いております。
特にテレビなのですが、俳優らの訃報に際して取り上げるのが、一般的に「代表作と見做されている作品」の紹介をするならまだましな方で、どう考えても代表作でさえないものを適当に紹介したりとか、そもそも近年はニュース番組などでも訃報をまともにやらなくなっております。これはもう、とんでもない文化的劣化でして、この件についてはいずれ纏めて追及したいと考えておりますが、こうした日本の文化状況の中、いっぷく様のお記事はひときわ輝いて感じられます。
栗原小巻という女優も、ビッグネームなので子どもの頃から知ってはいましたが、その出演作をあまり観てないのです。『忍ぶ川』などは栗原小巻の真価が発揮されていそうですね。

>吉永小百合の両親の横槍

両親の横槍(笑)。吉永小百合の場合、ご当人が出演することによって得られる+も大きければ、時に-も大きくなるスターだと思うんです。だから『忍ぶ川』は未見ながら、いっぷく様のおっしゃることが分かりような気がします。吉永小百合だと、作品のバリュー感や華やかさは人一倍増すのですが、どうしても「深み」に欠けてしまいますよね。
それにしても加藤剛の晩年の姿、ずいぶん痩せてしまって、とても痛々しいです。
下塚誠という俳優は存しませんでした。『マッハバロン』も記憶にないのです。このあたりはわたしの弱い部分です。

>その思想の好き嫌いは別として、そうした無慈悲があるのは現実です。

こうしたご姿勢も素晴らしいです。思想的な部分で反対だと、その人の何もかもを全否定する人が多いですからね。しかしそれでは、ものごとの本質を見誤ってしまうことも多くなると思います。わたしも曾野綾子の旧態依然としたゴリゴリの保守思想は受け入れられませんが、あの人はキリスト教のエッセンスを基にした、なかなかいいことを書いている文章もあります。もちろん、「何もかもお話にならない!」と言いたくなる御仁も世の中にはいますが、ある程度は人間のいい部分・悪い部分を客観的に見極めたいといつも思っております。

お見舞いのお言葉、ありがとうございます。今回の大雨は確かに(果たしてこのようなことが今まであっただろうか)と思うほどの酷さでした。ただ、これが30年~20年くらい前であれば、おそらく高知市のかなりの地域が水浸し、床上浸水や死者、負傷者続出という可能性があったのでしょうが、かつて何度となく水害で痛い目に遭ってますので、幸い排水などは以前とは見違えるほど良好になっております。高知市に関しては今回、雨が酷かった割には被害は最小限に抑えられているのではないかと思います。
ただ、この前もコメントさせていただいたように、土曜日の大規模通信障害には困りました。しかし高知市は土曜日の内に復旧したのですが、高知県の一部、あるいは西日本のかなりの地域で、昨日も通信障害が報告されておりました。
そして流通が大混乱で、スーパーは何も載ってない棚が続出し、何と高知市内スタバ4店舗のうち2店舗が昨日は臨時休業。今日からの営業もどうなるか分からないようです。
今回の大雨は西日本中心だったということで、東京キー局での報道量などいろいろ取り沙汰されておりますね。まだまだ被害の実態が明確にはなっておりませんので、報道も含めて今後も注視していかねばと考えております。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-07-10 02:32) 

green_blue_sky

加藤剛さんの訃報を聞いて・・・
大岡越前、三匹の侍、剣客商売、・・・多数で観てきましたのでとても残念です。
ご冥福を祈り致します。
by green_blue_sky (2018-07-10 05:50) 

旅爺さん

加藤剛の訃報を聞いて今更ながらに凜々しくて
素晴らしい役者さんでしたね。昔の俳優さんや
歌手の方が次々消えていくのは寂しいです。
by 旅爺さん (2018-07-10 06:09) 

pn

レッドバロンは記憶にあるんですがマッハバロン見て無かったんだよなぁ。
加藤剛はやっぱ大岡越前ですね、オープニングが好きだった♪
by pn (2018-07-10 06:15) 

ヤマカゼ

大岡越前は見てました。訃報は昭和の大きなな星が落ちた感じでした。
by ヤマカゼ (2018-07-10 06:50) 

hana2018

加藤剛の「忍ぶ川」は映画館で観ました。作家三浦哲郎の自伝小説とも言える本作。
残された兄弟との家族だけのささやかな婚礼シーン。
その後の雪が降り続く中での初夜のシーン、今思えば出演者、監督ともに大人の感性で撮った作品だけに、淡々として物静かな人物描写、流れが再現できたのだと思います。
今リメイクするとしたら、またまたジャニーズ系?笑ってしまうような幼い演技の若手女優なのでしょうか。
加藤剛、栗原小巻・・・ともにはまり役であったかと思います。。
by hana2018 (2018-07-10 08:03) 

taekozue

加藤剛さんと言えば、大岡越前が強く印象に残っています。
この頃ではあまりテレビなどにも出演されていなかったようにも思いますが、数か月前、最後の出演作という”今夜ロマンス劇場で”を見ました。一瞬加藤剛さんとはわからないほど痩せてしまわれていて、ちょっぴり気になってはいました。
凛としながらも優しい感じの昭和の俳優さんでしたね。
by taekozue (2018-07-10 08:50) 

チャー

端整な綺麗なお顔立ちでしたね お悔やみ申し上げます
by チャー (2018-07-10 11:35) 

kiki

下塚誠さんと言われたのだと知りました。
若い頃のドラマで何度か見たことがあったような気がします。
静かな演技が光っていたように記憶しています。
by kiki (2018-07-10 12:19) 

makkun

激痩せの加藤剛さんをテレビで観て
病気かと思っていたのですが・・・
訃報を聞いて「まだ80歳なのに」でした。
下塚誠さんは顏は知ってましたが
名前はイマイチでした。
若い頃はテレビで良く見掛けていて
良い男だな~と思ってましたです。

by makkun (2018-07-10 14:59) 

なかちゃん

水戸黄門と大岡越前と江戸を斬るは、どれも好きで見てました。
いい役者さんが次々と…残念です。

by なかちゃん (2018-07-10 15:27) 

みうさぎ

大岡越前 確か一年おきに水戸黄門と
テレビやってましたねっ
子供ながらあのアオイ画面は印象的で
水戸黄門が黄金?黄色と青の時代劇と
いう感じで欠かさず観てました
加藤剛さん穏やかでカッコ良かった
残念ですねっ

by みうさぎ (2018-07-10 15:30) 

JUNKO

好きな俳優さんでした。確か「人間の条件」もそうでしたね。
by JUNKO (2018-07-10 16:48) 

ヨッシーパパ

加藤剛の訃報は、TV放送で聞きましたが、下塚誠のことは全く知りませんでした。
ご本人も存じ上げませんので、聞き流したのでしょうか?
by ヨッシーパパ (2018-07-10 19:37) 

そらへい

「忍ぶ川」はリアルタイムで映画館で見たように思います。あとは、「砂の器」でしょうか。
好きな俳優さんでしたね。
by そらへい (2018-07-10 19:38) 

beny

知的でクールな和賀英良役は、加藤剛のはまり役。
ほかの役者では無理。
by beny (2018-07-12 08:54) 

レインボーゴブリンズ

いつもありがとうございます(^^)/ 自分の場合、加藤剛といえば、NHK大河「風と雲と虹と」を思い浮かべます。あの頃の大河ドラマは、今のようにヘンに笑いをとったりせず、歴史の流れを知る上では勉強になるドラマだったと思います。また、下塚誠といえば、マッハバロンしか出てきません(^^ゞ 実写ロボット物としては、3本の指に入ると思います。(三本しかないかな(^^♪)
by レインボーゴブリンズ (2018-07-16 11:10) 

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