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馬場夫妻と全日本プロレス、Gスピリッツ Vol.48 (タツミムック) [スポーツ]

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Gスピリッツ Vol.48(タツミムック) が発売されました。今回の特集は「馬場夫妻と全日本プロレス」。馬場社長時代、登記上は役員でもないのに巡業に帯同して指示を出していた元子さんを“女帝”と呼ぶ向きもありました。馬場夫妻に近い人たちは、馬場夫妻と全日本プロレスをどう見ていたのか、複数のインタビューが掲載されています。





馬場夫妻と全日本プロレスについて振り返る特集インタビュー


6月3日、元子さんの四十九日の法要の後、馬場夫妻の納骨が行われました。

馬場元子

http://spysee.jp/%E9%A6%AC%E5%A0%B4%E5%85%83%E5%AD%90/38462/image より

馬場元子さん訃報、マッハ隼人スカウティング秘話を思い出す

ジャイアント馬場が亡くなってから17回忌も過ぎたのに、墓が建てられなかったために、くだらない詮索が絶えませんでしたが、実は夫婦揃って納骨という約束が生前2人の間にあったことが、お世話をしていたレフェリーの和田京平によって明らかになりました。

そして、今日発売されたGスピリッツ Vol.48(タツミムック)は、その馬場夫妻と全日本プロレスについて振り返る特集インタビューが掲載されています。

話者は、

佐藤昭雄
グレート小鹿×キム・ドク
大仁田厚
川田利明×和田京平

です。




これまで、マニアが、グレートザ・カブキやグレート小鹿やミスター・ヒトなど、ジャイアント馬場と現役時代をともにした人たちの証言から認識している馬場夫妻というのは、

・ジャイアント馬場というプロレスラーは全盛時はすごかったし勉強にもなった
・一介のレスラーだった日本プロレス時代はスーパースターで遠い存在だったが話しやすく人柄も悪くはなかった
・全日本プロレスを立ち上げて経営者になってから不服や不満が出てきた
・経営が苦しくなって、資産家である元子夫人の実家から資金援助があってから夫人の干渉が増えておかしくなった
・馬場元子夫人が口を出したから全日本プロレスが混乱して大量の離脱者を出した

といったことです。

同誌では、ジャイアント馬場の日本プロレス時代からの付き人だった、佐藤昭雄がロングインタビューに答えています。




馬場さんは、プロモーターとしての器量がないんだ
元々、会社を経営するようなタイプじゃないからね
優柔不断だし、そこが元子さんは歯痒いわけだよ
だから、事務所にも毎日来るようになって…


佐藤昭雄によると、馬場が優れていたのは、スターとしてのジャイアント馬場を演じることであり、そのプロデュースは得意ではなかったそうです。

つまり、団体運営や、所属選手の売出しはもともと上手ではなかったということです。

俳優として成功したからといって、監督やプロデューサーとして成功するかどうかはまた別の話、ということでしょうね。

そこで、元子夫人が、ジャイアント馬場のかわりに、団体運営の憎まれ役を引き受けていたという話です。

これはまあ、今までにも明らかになっていたことです。

しかし、私は、次の戸口正徳と川田利明のインタビューを読んだとき、佐藤昭雄とは逆の面も感じました。

キム・ドク(戸口正徳)は、全日本プロレスのナンバー3として活躍後、新日本プロレスに“ジャンプ(移籍)”し、晩年また全日本のリングに上がっています。

馬場さんがキム・ドクとタイガー戸口の名前をあけだけ売ってくれたから、今日の俺があるわけだからさ。嫌な目にも遭ったけど、感謝のほうが大きいね。元子さんとはあまり接点がなかったけど、俺を許してくれて、また全日本に上げてくれた感謝もあるよ。

ジャイアント馬場は、1度離脱した人間を絶対に許さない不寛容な人間と言われていました。

当時は、大量離脱でレスラーが足りなかったからということもあるかもしれませんが、どうして戸口はまた全日本のリングに上がれたのか。

全日本一筋で頑張った川田利明の話によると、元子さんは、離脱した人に対しては「絶対に許せない」と怒るのに、何年かたって再会して優しいことを言われると、「あの子はね、いい子だったの」とすぐに許してしまうそうです(笑)

しかし、それでは、そのレスラーが離脱して困ったとき、残って頑張ってきたレスラーにしめしがつきません。

ジャイアント馬場が、いったんやめた人間を絶対に許さなかったのは、馬場自身が不寛容なこともあるかもしれませんが、干渉する元子さんの“軽さ”を心配して、レスラーの気持ちを守るという意味もあったのだと気づきました。



一心同体の夫婦


つまり、ジャイアント馬場の経営者としての優柔不断さは元子さんが嫌われ役になってカバーし、元子さんの“軽さ”は、レスラー心理の側からジャイアント馬場が不寛容呼ばわりされながらも抑えていた、ということではないかとおもいました。

そういう意味では、馬場夫妻は2人で1人といいますか、互いの自己犠牲で補完しあった一心同体の夫婦なのかもしれません。

ジャイアント馬場夫妻に限らず、たとえば野村克也夫妻にしてもそうですが、キャラのたった夫人であると、世間は、「どうしてそんなのと結婚したのか」という人がいます。

夫婦のことは当事者にしかわからないことがあるのですから、いくら有名人でも、そんなことは大きなお世話なんです。

一方、馬場は夫人にだけ憎まれ役をやらせていた卑怯者だ、という言い方が、プロレス業界の中ですらあります。

しかし、それも的はずれであると私はおもいます。

いずれにしても、今回もマニア必見です。




Gスピリッツ Vol.48 (タツミムック)
Gスピリッツ Vol.48 (タツミムック)
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yamatonosuke

ジャイアント馬場さんはとっても義理堅い性格の人だったんですね♪
by yamatonosuke (2018-06-28 01:07) 

末尾ルコ(アルベール)

馬場夫妻と全日本プロレス、Gスピリッツ Vol.48 (タツミムック)・・・「レイスモデル」という文字が光り輝いておりますね。それはさて置き、こうして若い頃の元子夫人を見てみると、なかなか魅力的な女性だったということが分かります。顔立ちもとてもいいですね。結果的には多くの女性と不安定な関係を持たざるを得なかった猪木と比べ、もちろん馬場の不器用さもあるのでしょうが、それにしても元子夫人との生涯は見方によればとてもロマンティックです。

>プロデュースは得意ではなかったそうです。

そうですね。もともとあまりにもプロレスラーとしての資質に恵まれていた馬場は試合以外の大袈裟なパフォーマンスの必要もなかったですし、なにせ性格が「極端」を嫌うタイプのようでしたから、「旧来のプロレス界の権威」から逸脱した価値観を生み出そうとはしなかったですよね。とは言え、オープン選手権の時の外国人同士の「夢の対決」シリーズは、わたしの感性のいろんな部分を大いに刺激してくれました。子どもの頃にあれを見ることができたのはとても大きかったです。
お記事を拝読しながらあらためて感じたことは、馬場の性格の複雑性は言うまでもありませんが、そもそも誰であっても、「人間」というものの心理を単純化して断言してはいけないということですね。もちろん、「この人間はまったくダメだ!」と断言したくなる御仁は多いですが(笑)、一人の人間に対して極力様々な要素を見つけ続ける努力はいつも必要だと思います。

多くの演歌歌手が歌っているのを見ながらよく思うのが、(この楽曲ではいくら頑張ってもヒットしないだろうな)という印象なんです。「演歌」というジャンルの中の、「ベタ中のベタ」とでも呼ぶべき歌詞と曲構成の楽曲がほとんどなのに驚かされます。おそらくそうしたベタな楽曲に対するニーズがあるからこそ、似たような作品が再生産され続けているのでしょうが、そのニーズもどんどん先細りすること間違いなしですので、新たな展開もいろいろ出て来ればいいなあと、まあこれはほんの1年ちょっと前までは演歌の門外漢だったからこそ感じてしまうのかもしれませんが。
半面演歌の世界、凄い曲は見事に凄いのであって、しかし記事でも書いて「みだれ髪」なんかは「いつものベタな楽曲とまったく違うじゃないか!」という感じで、作り始める段階から「まったく違うものを作ろう」という意識があったとしか考えられないですね。じゃあ一体、「ベタな曲の山は何なのだ」とどうしても感じてしまうのですが、確かにプロレスのビッグマッチと地方巡業というたとえは分かりやすいですね(笑)。毎日、猪木VSストロング小林はできませんよね(笑)。
まあなにせ、巨匠クラスの演歌の作曲家・作詞家ともなれば、何千という楽曲を作っているということで、そりゃあ普段は同じようなものばかりになるのは分からなくはないですが、歌詞にしてもいまだに、「耐え忍ぶ女」「待ち続ける女」のオンパレードです(笑)。天童よしみはなぜかそういう楽曲をあまり歌わないようですが(笑)。

「パクリ」に関しては、昔渋谷陽一がロックの世界がいかに「パクリ」が多いか特集をしていました。完全なオリジナルというものがいかに難しいかもよく分かりました。

>「リアル」と「芸」は区別して両立させるという見方

これは素晴らしいですね!わたしの場合かなり長い間、「リアルな人生が反映されている」ところを敢えて見ようとしなかった傾向がありまして、要するに、「作品(パフォーマンス)さえ素晴らしければ、私生活は関係ない」と決めつけていたきらいがありましたが、それは「人間」そのものを直視していなかったのだと現在は反省しております。「人間」が創っている作品やパフォーマンスに「リアルな人生」が反映されてないはずはなく、また「リアルな人生」をしっかり踏まえて鑑賞する方がずっと深く、しかもおもしろいのであるということを心したいと思います。 RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2018-06-28 01:16) 

ヤマカゼ

時代が今とは違い、女社長としてさぞかし苦労されたのですね。
by ヤマカゼ (2018-06-28 06:19) 

pn

見た目同様凸凹でかみ合ってたんですねちゃんと。良い夫婦じゃないっすか。
by pn (2018-06-28 06:19) 

チャー

元子の“女帝”ぶり テレビで観た事があります
by チャー (2018-06-28 06:52) 

kou

うちの父が馬場さんの大ファンでした。
リングアナウンスの「ショーヘイ・バーバー」とうフレーズが未だに頭に残っています。
by kou (2018-06-28 07:18) 

makkun

馬場さんの奥さん・元子さんの事は
全く知りませんでしたが
スポーツ選手にとっては
連れ合いがマネージメントしていた方が
良いように思いますね~
無骨そうだけど笑顔が可愛かった馬場さんは
そういう意味からでも
ファンも多かったんでしょうね~(^^
by makkun (2018-06-28 11:42) 

なかちゃん

俳優の例えもそうですが、スポーツでも名選手=名監督とは限らないと言われていますよね。

by なかちゃん (2018-06-28 12:53) 

ヨッシーパパ

16文キックやヤシの実割でしたか?
懐かしいですね。
by ヨッシーパパ (2018-06-28 17:58) 

犬眉母

子供のいる普通の夫婦には、
子供のいない馬場夫妻の気持ちは
わからないかもしれませんね。 

by 犬眉母 (2018-06-29 02:05) 

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