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『兄貴の恋人』加山雄三、酒井和歌子、内藤洋子の恋愛物語 [懐かし映画・ドラマ]

兄貴の恋人タイトル

『兄貴の恋人』(1968年、東宝)を観ました。加山雄三が、例によって正義感があって悪気がないバカ正直な男を演じています。ほぼ同じキャラクターの若大将シリーズが、翌年から大学を卒業して社会人編(『フレッシュマン若大将』)をスタートしており、それに先駆けて、本作では商社マンを演じています。恋人役には酒井和歌子、妹役には内藤洋子が出演しています。(画像は『兄貴の恋人』より)




北川鉄平(加山雄三)の妹である女子大生・節子(内藤洋子)は、鉄平に縁談の話があると、機嫌が悪くなり相手にケチをつけてぶちこわしていました。

職場では、野村和子(酒井和歌子)が退社することになり、鉄平はプレゼントのブローチを買ったのですが、麻雀に誘われて和子に手渡すのを忘れてしまいました。

一方、和子は、鉄平のために新しい湯のみを用意して、後任者の小畑久美(岡田可愛)に伝えます。

鉄平と和子の2人はお互いを想う関係というわけです。

しかし、妹の節子は久美の友だちなので、鉄平の情報は筒抜けです。

行きつけのバーのマダム・玲子(白川由美)、鉄平が酔っばらいにからまれていたのを助けた西田京子(豊浦美子)など、鉄平の前に現れる女性を逐一チェックしています。

兄を想う妹のいじらしさを描きたいようです。

が、私個人のイメージですが、内藤洋子って、ちょっとトゲがある感じで、適役という気がしません。

本作も、鷹揚な兄に似ていない、小賢しい小姑のような感じがします。

和子は、やくざ者の弟・弘吉(江原達怡)と、病気の母(東郷晴子)を養うために、待遇がいいと言われて伯父(人見明)の店を手伝うことにしたのですが、そこはちょっとガラの悪い大衆酒場でした。

鉄平はそんな店で働く和子を見て、「結婚するなら金持のお嬢さん」という方針が揺らぎ、結婚相手として和子に惹かれていきます。

が、鉄平は、専務(清水元)にいわれて訪問したクライアントの娘・中井緑(中山麻理)にも気に入られます。

職場ではアメリカ行きの話が。もちろん栄転です。

鉄平は考えました。そして、意を決して和子にプロポーズ。

でも和子は断ります。

理由は自分の家族です。

案の定、弘吉はつまらない喧嘩をし、鉄平も関わってしまったので、アメリカ行きはパー。

逆に、九州支社への事実上左遷となる転勤が決まります。

鉄平の母(沢村貞子)は、そのようないきさつから和子との結婚には反対しますが、父親(宮口精二)は、「人生後悔しないように」と、鉄平の背中を押します。

複雑な気持ちで推移を見ていた妹の節子は、何度も和子に求婚する鉄平を見て、自ら和子を説得。

九州行きの飛行機を空港で待つ鉄平に電話を入れて、和子が結婚に承諾したことを伝えます。

それまでさんざん兄の結婚の邪魔をしていた節子が、2人の仲を結びつけるハッピーエンドです。

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女性の幸せは星の王子様を獲得できるか!?


兄を想う妹の話と、女性ならいくらでもいるモテモテ男が、あえて“身分違い”の女性を選ぶという恋愛話が一緒くたになっているストーリーです。

後者は、60年代~80年代ぐらいまで流行したパターンですね。

石坂浩二や、田村正和の主演で、何度も見たような気がします。

たとえば、石井ふく子プロデューサーによる人気ホームドラマ『ありがとう』の第2部(1972年~1973年)が、史上最高の視聴率を叩き出したのは、大病院の跡取り息子(石坂浩二)と、母子家庭の看護師(水前寺清子)が結婚する回でした。

少なくとも昭和の時代には、“女性の幸せはどういう男性と結婚できるかで決まる”という価値観はありましたね。

今はわかりませんけど。

母親の沢村貞子は反対して、父親の宮口精二は背中を押しているところは、いかにも父親は夢や可能性を大事にして、母親は打算的な人間に見えますけど、でも、もしこれが現実なら、きっと母親の方が賢明でしょう。

鉄平は和子と結婚しても、和子の弟に足を引っ張られることが多々あるんじゃないでしょうか。

でも、苦労知らずのおおらかで悪気を知らない若大将が、政略結婚なんかしたらイメージ狂っちゃいますし、兄を想う妹が、兄の一途さに結婚を許し応援したという展開ですから、物語としては、とくに東宝映画としてはこの結末でよかったのだと思います。

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