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『「思秋期」の生き方 45歳を過ぎたら「がまん」しないほうがいい』 [社会]

『「思秋期」の生き方 45歳を過ぎたら「がまん」しないほうがいい』(大和書房)を読みました。著者は医師の和田秀樹氏です。「思秋期」というのは思春期を意識した著者の造語です。タイトル通り、45歳を過ぎてからは、思春期のように人生に希望や構想をもって一歩前に踏みだそうという内容です。



人生80年といわれる長寿社会になって、とくに50代、60代以降の生き方を問う書籍を多く見かけます。

同書は、「思秋期」という造語を掲げて、思春期に相当するような人生の転換期だから悔いなく過ごそうと提案しています。

老夫婦

『「思秋期」の生き方 45歳を過ぎたら「がまん」しないほうがいい』の狙いと「思秋期」の意味については、和田秀樹氏がラジオ番組(ゴールデンラジオ、ホストは大竹まこと)で語っているので、その部分を書き起こしてみます。

蓄えや年金ではなくどんな人になりたいかを考えよう


大竹まこと 本の冒頭にもあるけどね。サザエさんの舟さんが48歳とか書いてあるけど、これらだって、あれだよね、自分が若い時は、60なんかなあ、ものすごい爺だって言う……思ってたけど、今(自分は)64だから、なんつーのかねえ、気持ちだけはなあ。とんでもないよなあ、64なんて。

和田秀樹 でもね、ぼくか思秋期という言葉をつくろうと思ったのは、思春期に対抗して作った言葉なんですけども、思春期というのは子どもから大人になる間の時期なんですね。で、あともうひとつは、子供の頃っていうのはやっぱり、まあ、性器とかも発達してないしホルモンとかも少ないので、まあ中性みたいなもんなんだけど、思春期にどっと男性ホルモンと女性ホルモンが出て、それでおっぱいも大きくなったりペニスも大きくなったりして、それで結局、男女にわかれるわけです。

で、思秋期というというのはそうじゃなくて、大人から老人になる間の時期だし、あと、その男性ホルモンも女性ホルモンも、男性は男性ホルモンが、女性は女性ホルモンが減ってきて、で中性化しちゃうってことです。ほったらかしにしておくと老人になっちゃうし、自分の性も失っちゃうんだけど、ところが、その後の人生が今はものすごく長いから。

ちゃんと、思春期の時って、たぶん、「役者になろう」であれ、「医者になろう」であれ、「小説家になろう」であれ、なんか思い悩んで、どんな大人になってやろうかと思っているのに、思秋期の時って、わりと会社勤めしてる人だったら、定年まで勤め上げればいいやとか、あるいは子どもをちゃんと育て上げればいいやとか、と思っていて、わりとその後のことを考えている人が少ない。

考えているとしても、老後の蓄えはどうしましょうとか、暮らしていく年金どうなるんだとかって、そっちの方の話で、どんな人になりたいかとか、それとも少しでも老いを遅らせようとか、そういう発想をするべきで、だから(思春期の)「思う」って言葉はいいなあと思って、思春期に対抗して思秋期って(命名しました)。(2013/11/01)
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要するに、40代後半と言ってもまだ先は長い。惰性や守りに入っている人生から一歩踏み出しませんか、ということではないかと思います。

まあ、そうはいっても、肩書をいくつも持つ和田秀樹氏とは違い、リストラされるかもしれないと必死に頑張っている市井の一庶民が、自由に生きることは夢物語だと思うかもしれません。

でも同書は、何も「会社をやめて一から人生をやり直しなさい」と言っているわけではありません。

今の立場で、少しばかり発想をかえませんか、ということです。

たとえば、医師の立場から、巷間出回っている美容や健康情報を懐疑。さらに日常生活の指南も行っています。

ざっとご紹介すると、糖質制限、メタボ、ダイエット、降圧剤、スポーツ、糖尿病治療などについては、「老ける」ものと懐疑的・批判的です。

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そして、お金をもっと使え、町内会の役員を積極的に引き受けろ、覚えるよりアウトプットしろ、知識人より思想家を目指せ……など年齢にふさわしい活動をどんどん行うことを奨めています。

つまり、節制や忍耐を必要とする営みは否定し、タイトル通り、思っていることやできることをがまんしないで実践することを説いているのです。

たとえば、「知識人より思想家を目指せ」ですが、暗記力は45を過ぎたら若い頃よりも落ちていて当然です。

なのに無理して新しい知識を獲得しようとするよりも、今ある知識を応用したり昇華したりする方が、年齢的にも理にかなった活動であるということです。

書かれている内容にとくに斬新なことはないのですが、日々のルーチンな生活を送っていると、つい守りに入って、新しい発想や実践が億劫になってくるものです。

それを気づかせてくれる書籍といえるかもしれません。

後悔のない思秋期を


生き方は人それぞれ自分で決めればいいと思いますが、45歳という時期に目をつけた和田秀樹氏の提案には、大いに共鳴できるものがあると私は思います。

同書によると、和田秀樹氏は47歳で、30年来の夢だった映画の監督をつとめたそうです。

守りに入って精神科医の世界にとどまっていたら、それはなかったというわけです。

私の場合、ちょっと奥手で、思春期と言われる時期は、あまり人生について考えていなかったのと、20代半ばに結核でおやすみしたブランクがあるので、歳をとってからでも一花咲かせたいという気持ちはありました。

若い頃考えていた、士業のための資格試験にチャレンジしようとか。

エキストラはやったけど、きちんと演技も学びたい、とくに時代劇の芝居をやってみたいから前進座の研究生に応募しようとか。

志を同じくする仲間と組んで音楽にチャレンジするのもいいなあとか。

……それらは、火災を経験してすべて消えてしまいました(涙)

でも同書を読み、現在でもできることを改めて考えてみようと思いなおしています。

「思秋期」の生き方 45歳を過ぎたら「がまん」しないほうがいい

「思秋期」の生き方 45歳を過ぎたら「がまん」しないほうがいい

  • 作者: 和田 秀樹
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2013/10/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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